「日本のコンテンツ産業の輸出比率はわずか5%」「テレビ番組や映画の輸出を高めよ」「韓国を手本に」……。クールジャパンを論じる政府や論客は、判で押したようにこういう。だが、オタク文化を楽しむ外国人の実像を知れば、それはずれた議論であることが分かる。
■ドラマや映画とは論理が違う「新世代コンテンツ」
本来のクールジャパンの原動力となったオタク文化は「コンテンツ産業」とひとくくりにされ、政府部内ではテレビドラマや映画など旧来型のコンテンツ産業の海外輸出をいかに増やすかという議論に収れんしていった。成功事例として決まって出てくるのが、アニメ「巨人の星」を野球ではなくクリケットに変えてインドに版権を売った話。もう1つ、「韓流ドラマの輸出に成功した韓国を手本にすべきだ」という論調も定番だ。
しかし、オタク文化が好きな外国人は巨人の星など知らないし、日本のテレビドラマに興味を示さない。興味があるのは、現代のアニメであり、初音ミクであり、ニコ動のユーザー文化。いわば「新世代コンテンツ」である。しかも単に視聴するだけにとどまらず、外国人は日本のユーザーと同様に、コンテンツの担い手としても楽しみ始めた。
台湾から3人で超会議に訪れ、超パーティーでも熱狂していた25歳の台湾人女性はこう感想を語っていた。「ニコ動では誰でも自分の思いを自由にパフォーマンスできる。そこが、テレビとは違う魅力」。制作者から消費者へという旧来型コンテンツの単純な図式が通用する世界ではない。
もちろん、旧来型コンテンツの海外拡販は重要な課題だが、新世代コンテンツとは分けて議論すべきだろう。そして、本来のクールジャパンの強みをさらに伸ばしたいのであれば、韓国を追うよりほかにやるべきことがある。
■各国で「布教」に務める外国人ユーザー
超パーティー、エンディングのステージでベースを弾いていた韓国人は、「H.J.Freaks」という名で活躍するニコ動の人気ユーザー。プロのミュージシャンだが、08年からアニメの主題歌などニコ動で人気の楽曲に合わせ、ベースを弾いた動画を投稿し始めた。
以来、100ほどの動画を投稿。視聴したユーザーが聞きほれるほどの腕前に加え、毎回、メイド服などを着て女装しながら演奏することから、一躍、ニコ動の有名人となった。「俺たちの韓流スター」という異名がつくほどの人気だ。
「好きな歌や文化が日本にあったから。韓国にはない。ほかにもない。日本にある」と話す彼。クールジャパンを伸ばすためにやるべきことは何かを聞くと、自分の好きなアニメ「らき☆すた」になぞらえ、こういった。「『らき☆すた』の泉こなたさんが(アニメのなかで)いったように、布教というのが大事です。一応、僕も2008年から韓国で布教しているわけですけど」
ももいろクローバーZ、ヒャダイン、初音ミク、ニコニコ動画、ボーカロイド、ユーチューブ、ドワンゴ
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