アニメやゲーム、アイドル好きが育んだオタク文化は、ネットの普及とともに世界各地に広がっていった。加速させたのが、2006年12月に産声を上げたニコ動だった。
■コンテンツを自給自足する「ユーザー文化」
アニメやゲームなど人気の元ネタを改変し、二次創作、三次創作で楽しむのがオタク文化。その流儀がニコ動にも持ち込まれ、「ユーザー文化」が醸成された。ユーザーは人気の元ネタに倣ってダンスを踊ったり、コスプレをしたり、主題歌を歌ったり演奏したりする動画を次々と投稿。コンテンツを「自給自足」して楽しみ始めた。
07年後半からは、初音ミクを代表とする音声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド、ボカロ)」がニコ動を席巻した。一般ユーザーがボカロで作詞・作曲・アレンジを行い、ボカロに歌わせた動画をアップ。これを元ネタに、あらゆるユーザーが歌い、演奏やアレンジを加え、あるいはCG映像を作ってプロモーションビデオ風に仕立てた。
プロ顔負けの「作品」が続出し、若年層が夢中に。ボカロの人気楽曲はカラオケのランキング上位の常連となり、初音ミクなどのキャラクターはコンビニチェーンのキャンペーンの顔になるなど、ニコ動で育まれた文化はポップカルチャーへと昇華。同時に海外へも流行を運んだ。
ニコ動で流行った動画は、必ず動画サイトの「YouTube(ユーチューブ)」にも転載される。作品をユーチューブへ同時に投稿するユーザーも増えた。そのうち、オタク文化をめでる外国人たちがユーチューブで動画を見つけ、英語への翻訳バージョンや解説サイトなどを作り、ニコ動での流行は海外に伝わっていった。
■ニコ動の流行が反映される海外
海外では依然として「ONE PIECE」「NARUTO」といった少年誌マンガの人気も根強いが、最近は明らかにニコ動の影響が色濃い。毎年夏にパリで開かれ、12年は21万人以上を集客した博覧会「ジャパンエキスポ」。欧州各地からコスプレ好きが集まる場としても有名だが、昨夏、最も人気が高かったコスプレは、初音ミクなどボカロ関連のキャラクターだった。
ところ変わってアニメ関連ショップ「アニメイト」の台湾・台北西門店。台湾中のオタクが集まる「聖地」として有名だ。グッズ売り場をのぞくと、初音ミクはもちろん、「魔法少女まどか☆マギカ」「東方Project」「テニスの王子様」と、ニコ動での流行がそのまま反映されたような構成。客層は、10歳代の女子が最も多かった。
最新のオタク文化と海外のファンをつなげる装置として機能してきたニコ動。そして今、直接、外国人を取り込みつつある。
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