若い世代の圧倒的な支持を得ている動画サイト「ニコニコ動画(ニコ動)」を舞台とした国際交流が進んでいる。アニメやゲームを中心とする日本の「オタク」文化はネットを通じて世界中に伝わり、ファンを増やした。生粋のファンは今、海外からニコ動に参加し、日本のユーザーとの交流を深めている。彼ら彼女らは何を好きになり、楽しんでいるのか。実像を追うと、政府の「クールジャパン」戦略との乖離(かいり)が浮き彫りとなった。(文中敬称略)
4月28日、幕張メッセ(千葉市)に併設されたイベントホール。ここで、ニコ動を運営するドワンゴ主催のライブ「ニコニコ超パーティー2」が開かれ、会場の約8000人と、ネット中継を見守る数十万人が熱狂した。
ステージに立つのは、歌い手、踊り手、楽器演奏者など、ニコ動に動画を投稿して人気となったパフォーマー総勢350人。これに「初音ミク」をはじめとするバーチャルアイドルたちも加勢。始まって4時間30分が経過した夜9時30分すぎ、エンディングのステージを迎えると、会場の興奮は一段と高まった。主役を張っていたのは外国人だ。
■「ヒャダイン」の楽曲をイスラエル・英国・カナダ人が熱唱
楽曲は「ぼくとわたしとニコニコ動画」。アイドル「ももいろクローバーZ」の作曲で知られる「ヒャダイン」が2010年にニコ動に投稿したもので、以来、多数のユーザーがカバーしたり、映像をつけたりしている。3000万人以上のニコ動ユーザーに最も愛されている曲の1つだ。
これを英語に翻訳した歌詞をイスラエルの男性と、英国・カナダの女性が熱唱。その脇でフランス・オーストリア・中国といった国の女性がダンスで彩り、韓国の男性がベースで魅せる。その日に出演した日本人パフォーマーもステージ上に勢揃いし、前面の外国人たちを盛り上げた。
「おおおおおお」「うめぇぇぇ!」「英語かっけーーー!」……。生中継を見ていた数十万人の観客も大量のコメントで応援。日本の新たなポップカルチャーの集大成といえるライブは一気にグローバルな雰囲気を醸し、その余韻を残したまま超パーティーは幕を閉じた。
■10万人動員の「超会議2」、締めくくりに外国人
昨年に引き続き4月27、28日の2日間、幕張メッセの全ホールを借り切って行われたニコ動の巨大イベント「ニコニコ超会議2」。会場には10万3561人が押し寄せ、「ニコニコ生放送(ニコ生)」を通じた会場からの生中継には延べ509万4944人もの視聴者が“参加”した。
超パーティーは、この超会議に合わせて両日の夜間に開催された。5800~6800円する“リアル”チケットは即完売のプレミアムチケット。生中継の視聴も有料だが、2日間で延べ約110万人もの観客が群がった。冒頭のシーンは超会議全体の締めくくりでもある、重要なステージ。そこに多数の外国人が立ったことの意味は大きい。
オタク文化と海外のファン。その距離は年々縮まり、新たな段階に入っている。
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