2002年に「自衛隊漂流戦記」として発表していた作品を完全にリメイクしたものです。
(株)アルファポリス様より書籍化されました分についてダイジェスト化を行っております。ご了承ください。
第1部 戦乱の異世界へ ※ダイジェスト化
序章 依巫
朽ちかけた神殿の中に、扉を破ろうとする重い音が響いていた。
五百年に渡って栄華を誇ってきた神聖プロミニア帝国も、今は無惨な最期を待つばかりだった。
「ここが落ちるのも時間の問題か……」
薄暗く、微かな光魔法が灯されたランプに照らされた広場の中で、老若男女が静かな絶望と狂気を宿した表情で話し合っていた。
「よいな? ヒュムナ」
「はい……」
祭壇の上には依巫が静かに座っていた。
依巫はまだ幼い年頃の少女であった。
中央の祭壇を一周するように黒いローブを被った魔術師たちが等間隔に並んだ。
『虚空の狭間をたゆたう光よ』
『現世と冥界を繋ぐ番兵に投げ掛けん』
少女が苦悶の表情を浮かべる。
『この世界へ異空の代償を示したまえ!』
詠唱の完了と同時に、鉄扉に敵が殺到し、衛兵の断末魔の叫びが聞こえた。
それからそこで起こったことは一方的な戦いであった。
ローブ姿の者たちは手にする武器もなく、乱入してきた人外の軍団に倒れていった。抵抗らしい抵抗もしない。
しかし、倒れ伏す者の顔には単なる絶望以外の感情が宿っていたことに気づく敵兵はいなかった。
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