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皇軍(明治〜WW2の日本軍)がファンタジー世界に召喚されますたvol.16
1 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 13:08:18 ID:83/wJNuE0
自衛隊ではない日本の軍隊のスレッドです。
議論・SS投下・雑談 ご自由に。

ローテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …必要ないけど。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置。
・特定の作者専用スレは板として不可。
・以上を守らないものは…辻〜んの部下になります。 嘘です。

…皆、すっかり次スレたてるのを忘れていた件(´・ω・`)

2 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 13:09:00 ID:83/wJNuE0
暫定ガイドライン(分家皇軍Ver.)

1.「皇軍がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「大日本帝国の軍事組織」が「ファンタジー世界」に関わる話であること。
2.大日本帝国というからには、日本軍の組織・装備は実在もしくはその延長上にあるものに限る。
実在しないが延長上にあるものを出すには、そこに至る流れを説得力のある理由つけてハッタリかますこと。
3.核兵器(含む動力源)・大陸間弾道弾・人工衛星、巨大人型兵器・海底軍艦・飛行戦艦・陸上戦艦など当時の日本が配備するにはナンセンスなものは極力避ける。
しかし確信犯(誤用)的トンデモ架空戦記としてならまた別かも知れない。
4.あくまで「ファンタジー世界」の話であり、F世界側の設定は作者が自由に決めることが出来る。
ただしそれ単独でパワーバランスを大きく揺るがす存在(兵器・魔術・キャラクター等)は作らない事が望ましい。
5.日本・F世界双方の人間をきちんと描写する方が好ましい。
一方の主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
6.戦略・戦術としてありえないものを避ける。例えば一人の帝国陸軍軍人が軍刀一本で100人斬りとか。
7.萌え・エログロはあくまで表現手段であり、目的ではない。安易に狙ったり、しつこく要求するのは流石にウザイので自粛すべき。
どうしてもそれ主体でやりたい場合は各専用スレでやる事。
8.叩き・煽り・嵐は徹底放置。嵐認定を受けた後に、かまった者も同罪とする。
9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。
なお、二次創作の可否については原SS作者の判断に一任とする。現在、SS「帝國召喚」では公序良俗を乱す作品でない限り問題なし。
10.感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。作品が気に食わないなら透明あぼーん汁

3 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 13:09:40 ID:83/wJNuE0
過去スレ
01 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1116672903/
02 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1125644871/
03 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1130199183/
04 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1134983039/
05 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1139108925/
06 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1142596115/
07 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1145757330/
08 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1148549150/
09 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1151766955/
10 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1155287974/
11 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1157915129/
12 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1161151313/
13 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1167373446/
14 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1173192902/
15 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1179579011/

4 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 13:10:14 ID:83/wJNuE0
SS「帝國召喚」関係

作者くろべえ氏のサイト
KUROのどこかでみたような世界
ttp://www.geocities.jp/wrb429kmf065/

ここまで読んだ氏による公開済み設定まとめWiki
帝國資料館
ttp://www12.atwiki.jp/kokomadeyonda/pages/1.html

5 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 13:12:20 ID:83/wJNuE0
よし、準備完了。
では飯食ってくるデスよ(´・ω・)ノ

6 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:13:53 ID:hb56jpUg0
 スレ立て乙です。
 では続き投下。

7 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:14:24 ID:hb56jpUg0
帝國召喚 改訂版

 艦戦隊が上空で激しい空戦を展開しつつあった頃、艦攻隊は目標に到着、爆撃を開始しようとしていた。
 前回は飛竜巣のみが爆撃対象だったが、今回は上陸前ということもあり、他の軍事拠点も対象とされている。
 それぞれ目標は以下の通り――

 “神鷹”艦攻隊(九七艦攻6機):海軍防備隊基地。
 “瑞鷹”艦攻隊(九七艦攻6機):陸軍駐屯地。
 “祥鷹”艦攻隊(九七艦攻6機):州兵駐屯地。
 “ピ空”艦攻隊(九七艦攻9機):第一及び第二小隊は飛竜巣、第三小隊は支庁舎。

 ――このうち貧乏籤を引いたのが、飛竜巣に向かった“ピ空”艦攻隊の主力6機だった。



――――飛竜巣。

「……こりゃあ酷い有様だな、爆撃する所を見つけるだけでも一苦労だぞ?」

 飛竜巣を上空から眺め、第二小隊三番機の偵察員(兼爆撃照準手)は呆れた様に口を開いた。
 ……ここのドコに、爆弾を落とせと?
 小隊長も目標選定に苦慮しているらしく、先程から飛竜巣周辺の上空を旋回している。
 
「適当にバラ撒いたらどうだ?」

 こんな“飛行場の赤ん坊”みたいな狭いところ、何処に落としても同じだよ、と前方の操縦員が面倒臭そうに言う。

8 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:14:57 ID:hb56jpUg0
「馬鹿野郎、1発幾らすると思ってんだ。 ……それに俺達が抱えているのは25番や50番じゃあないんだぞ?」

 威力もたかが知れている、と偵察員。

「……それを言うなよ、艦攻が6番抱えて〜、なんて情け無いったらありゃあしない」

 偵察員の言葉に、操縦員はそう嘆いた。

 今回の爆装は、各機60s爆弾を6発のみ。九七艦攻の搭載力から考えたら大分少ないが、まあ250s以上だと威力過大(オーバーキル)なのだから仕方が無い。
 ……が、少数の大重量爆弾よりも多数の軽量爆弾――そんなまるで陸式の様な爆装と任務が続く毎日に、不満たらたらなのだ。
 そう、今回のことだけではない。転移による環境変化そのものに、艦攻乗り達は不満を抱いていたのである。

 転移後、艦攻の運用環境は大きく変化した。
 先ず何よりも大きいのは、魚雷攻撃の対象が消滅したことだろう。
 この世界の艦船など、せいぜいが駆逐艦クラスの木造帆船だ。そんな相手に高価な魚雷を用いるなど無駄も良い所、無用の長物でしかない。
 それ故、雷撃を主任務としていた艦攻は、今では三座であることを活かした“哨戒機”、或いは小型爆弾を抱えこんた“対地爆撃機”という、かつては副次的としか考えていなかった任務を主任務とする羽目になっていたのである。何しろ商船から改装された6隻の空母(“大鷹”“雲鷹”“冲鷹”“神鷹”“瑞鷹”“祥鷹”)など、魚雷調整所に“風の魔石”を設置した為に魚雷調整は不能となり、魚雷及び50番以上の大型爆弾を全廃(搭載定数から削除)し必要に応じて搭載する、という有様だ。
 流石に他の空母は未だ従来(転移前)の態勢ではあるが、それもいつまで続くか判らない――そう艦攻乗りの間では囁かれていた。

9 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:15:29 ID:hb56jpUg0
「まあ一騎駆けの騎馬武者が、槍の代わりに竹槍構えて土人相手に突撃、だ。涙が出てくるのも無理はないがね?」

「言うなや」
 
 二人は一斉に溜息を吐いた。

 そんな二人の会話を、最後尾の後方機銃手は欠伸をしながら聞いていた。
 緊張感は無い。迎撃に上がった13騎のワイバーンは26機の零戦に阻止されているため、自分達を阻むものはいない、と安心しきっていたのだ。
(勿論、『まだ残機がいる』などとは露程も思っていない。むしろ13機も出てきて驚いているくらいだ)

 ――そんな時である。森の中からワイバーンが垂直に上昇してきたのは。

「!?」

 後方機銃手は、我が目を疑った。
 ……おいおい、俺は夢でも見ているのか? コイツ、垂直に離陸しやがったぞ!?
 信じられなかった。“航空機”が『垂直に離陸する』など有り得ない。そうじゃなきゃあ、今まで滑走路を攻撃してきた意味がないではないか!?
 
 彼は……いや、彼を含めた“帝國”軍の大半は、ワイバーンのことを頭の中でしか理解していなかった。
 その危険性を教えられつつも、短いとはいえ滑走路を持った“飛行場”で運用されていたことから、航空機と同じ様に考えていたのである。
 従来の思考から、固定観念から抜けだせていなかったのだ。

「! 後方より敵……」

10 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:16:00 ID:hb56jpUg0
 ……そのせいで、警告を発するのが遅れた。
 後方機銃手が我に返り、慌てて声を上げると同時に、三番機は撃墜された。





 4人の中隊長達は出撃の機会を窺っていた。
 彼等は、頭上を通過する攻撃隊(九七艦攻)が空戦能力を持たないことなど知らない。
 それ故、艦攻隊が通過するのを息を潜めてひたすら待っていたのである。

「ダントン…… 何故、連携して戦わなかった?」

 ワイバーンの目を通して空戦を眺めていたガリ少佐は、人知れず呟いた。

 彼見るところ、敵は全く統制がとれておらず、カラクリ飛竜の速度と数をかさに戦っているだけだ。
 が、各中隊は孤立し、倍の敵に四方八方されて防戦一方……このままではジリ貧である。

 ――せめて各中隊が相互に連携しあっていれば、活路を開く事も不可能では無かったろうに!

 そう考えると口惜しい。
 そうすれば数と速度の差を大分埋めることが出来ただろう。
 無論、不利なことに代わりは無いが、少なくとも敵により多くの出血を強いれたに違いない。ましてや自分達が参加していれば、全滅すら――
 ……そこまで考え、愕然とする。俺は今、一体何を考えていた? 全滅だって?

11 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:16:40 ID:hb56jpUg0
 そう、彼の理性は、この空戦の結末を『ロッシェル軍の全滅で終わる』と予測していたのだ。
 そしてその予測を肯定するかの様に、部下達は徐々に傷つき、墜とされていく。
 二対一だった戦力比は、遂に三対一にまで開いた。戦いは既に峠を越えたのだ。
 後は全滅へと坂道を転げ落ちる様なものだった。 ……ガリ少佐は、その光景を呆然と眺めていた。

「少佐殿! 敵が通過しました!」

 竜卒の声に、ようやくガリ少佐は我に返る。
 気がつくと、敵の攻撃隊は既に自分の頭上を既に通過していた。
 ……そして、無防備に背後を晒している。

「よし! 出撃する!」

 離陸するのは、今をおいて他は無い。
 ガリ少佐は慌ててワイバーンの羽を広げる。

「御武運を!」

 竜卒達は敬礼し、それを見送った。



 多少負担をかけることになるが止むを得ない、とばかりにガリ少佐は大急ぎで離陸する。
 この瞬間は着陸時と並び、最も無防備な瞬間だ。ましてや敵前でのこと、無事離陸を終えて安定すると、ガリ少佐は思わず安堵の溜息を吐く。
 ……そして大きく息を吸い込むと、無防備な敵の背後目掛けて襲い掛かった。

12 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:19:05 ID:hb56jpUg0
 ――まず1騎。

 背後からの一連射で、そのカラクリ飛竜は呆気なく墜ちる。
 それに前後して他の中隊長騎も離陸、敵はたちまち大混乱に陥った。
 爆弾を投棄し、必死で逃げようとするも、距離が近いこともありたちまち撃ち落されてしまう。
 たちまちのうちに1個小隊が全滅した。

『よう! 相変わらず大した腕だな、ガリ!』

 ガリ少佐が最後の1騎を撃墜した直後、ペンダントに他の中隊長から連絡が入ってきた。
 他の騎もそれぞれ敵を墜としたらしく、最早周囲に敵影は無い。
 彼等はガリ少佐の周囲に集合、彼を中心に陣を組む。

「ああ、済まんな…… 獲物を独り占めしてしまった」

 面目無さそうにガリ少佐は頭を掻いた。
 てっきり以前戦った敵と同様の性能だと思い、態勢を立て直されない内に、と大急ぎで撃墜したのだが……

 ――速度はワイバーンと大差ない上に、加速も悪い。空戦できる様な騎竜じゃあないな、爆撃に特化したタイプか?

 が、返ってきたのは笑い声。

『気にするなよ、早い者勝ちさ』

『とはいえこいつら、向こうで部下達と戦っているヤツとはタイプが違う様だな? 脆すぎる』

13 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:21:39 ID:hb56jpUg0
「ああ、多分“爆撃型”だろう」

 その疑問に、ガリ少佐は自分の推測を披露した。

『なるほど、連中は空戦任務と爆撃任務を分けているのか。 ……贅沢、と言うべきか、無駄な事を、と言うべきか』

 どこか呆れた様な溜息が、ペンダントから洩れ聞こえる。
 ワイバーンは空戦、爆撃、偵察と何でもこなすのだから、まあ当然の思いだろう。(*1)

『で、どうする? 見たところ、かなり部下達の旗色は悪い様だが?』

 空戦は既に終盤となっていた。
 14騎いた筈の部下達は半分を割り、対する敵は2〜3騎欠けた程度。
 二対一だった戦力比は三対一を越え、四対一に達そうとしている。
 自分達が到着する頃には、一体何騎残っていることやら……

 が、その前に関門が一つ。

「考える余地は無さそうだが?」

 ガリ少佐は軽く肩を竦めた。
 こちらに気付いたらしく、敵の一部が分派、こちらに向かって来る。
 その数、10。 ……が、更に増えるであろうことは間違いなかった。
 両者は向かいあい、その距離は徐々に縮んでいく。

『部下達は6……いや、今堕とされたから5か…… もう、余力は無いだろうな』

 ……要するに、自分達4騎だけで20騎を越える敵と戦わなければならない、ということだ。

14 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:22:36 ID:hb56jpUg0
「ま、出来るところまでやってみるさ」

 ガリ少佐が笑った。
 敵は、直ぐそこまで来ていた。



 第一次クノス島上空航空戦

 参加戦力
 “帝國”軍 :零戦26機、九七艦攻27機
 ロッシェル軍:ワイバーン17騎

 損害
 “帝國”軍 :零戦9機(うち2機は帰還後廃棄)、九七艦攻6機。他、被弾機複数。
 ロッシェル軍:ワイバーン17騎。他、地上施設及び人員被害多数。


 あれ程の艦砲射撃を受けながら多数の航空戦力が健在だったこと、
 数的優勢にも関わらず多くの損害を受けたことに、“帝國”軍は驚愕した。





*1 現在では、『ワイバーンは“襲撃機”に過ぎない』という説が主流である。

15 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/23(木) 13:23:07 ID:hb56jpUg0
 投下終了です。
 両軍の損害比率は最後まで悩みました。
 機体性能やランチェスターの法則を大分無視していますが、そこは色々な要因が重なった、ということで。
(詳細は次回……かな?)

16 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 15:44:52 ID:yuKC.U2k0
ロッシェル空軍ツヨス・・・・
彼らの抵抗がここまで激しいとなると、帝国軍が投入する
戦力の質も量も種類も前回とは変わってくるでしょうし、
(てか、すでに艦砲射撃までやってるし)目が離せないです。

SS投下お疲れさまでした

17 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 16:30:39 ID:yNCdisfw0
投下乙です。
旧版通りなら、ロッシェルよりもレムリアの方がワイバーンロードの質は良いんですよね?

帝國、この先大丈夫なんだろうか。

18 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 17:41:10 ID:bJFcWGuQ0
投下乙です。
零戦設計者の堀越さん この結果見て頭痛めているだろうなぁ
もう欧米の技術手に入らないし…

19 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 18:32:34 ID:IJESEFOQ0
>帝國、この先大丈夫なんだろうか。

旧版どおり昭和18年の半ば頃にグラナダ戦役起きたら敗北決定ですね。

ワイバーンの底上げもさることながら(ロッシェル飛竜軍の編成を見る限り)
初っ端からワイバーン・ロードの統廃合計画をやられてるのが痛いです。

帝國資料館で見ればわかりますが件の計画は帝國にとってメチャクチャ脅威です。

20 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/08/23(木) 19:44:35 ID:HYHVNSac0
くろべえ氏投下お疲れ様です。

う〜む、帝國軍が意外に損害大きすぎますね。ロッシェル側のワイバーンを全滅させ、
地上施設に大損害を与えた事で勝利は確定でしょうが、純粋に航空戦のみでは喪失数
がほぼ互角。

こりゃ帝國軍首脳部や、堀越さんが頭を抱えそうですな・・・・・

21 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 20:53:00 ID:41s7HC6A0
くろべえさん投下乙
今回は一次攻撃隊だけで全滅させれましたが、この損害は確かに政治的に拙く八航戦を錬度不十分と誤
魔化す訳で以前の書いてあった評価が流れていた理由ですか。
東條閣下は史実でも、戦車イラネ、歩兵突撃と戦闘機だけで良いというお方でしたから、この損害で益
益四式重戦車は幻の戦車になりそうですね(戦闘機をもっと作れ戦車勿体無い)。
今回は7.7ミリ二丁が主力で意外とロッシェル側の戦死が少なくなっていて余裕を持たれているかも。
今回の戦訓を正しく評価出来ずにいると、作戦参謀や情報参謀の人事抗争や、格闘戦派と一撃離脱派の
対立に終って前線の苦労が増えたり、角田閣下の軍令部殴りこみフラグが発生するかも。

>キルレシオ
今回の戦果(損害?)は対ワイバーン戦ですよね、次のロード戦になればどれ程の被害になるか(汗)

>竜騎士、戦士
飛行時間5千超、ほとんどジンギスカン騎馬民族と西洋騎士の騎馬戦能力の差みたいですね。


>隼二型
ホ103、二丁。対12.7ミリ防弾対策済。零戦二二型より実は世間の評価と違い役立つかも。

22 名前:名無し三頭兵@F世界:2007/08/23(木) 21:45:48 ID:n9kE.Ztw0
くろべえさん投下乙です。
ガリ少佐えろ強いですね〜
20対4で6機の零戦がお釈迦とは・・・
ランチェスターの二乗則だと戦力比は単純計算で400対16なのに・・・
坂井三郎氏あたりとやってもためはれそうな腕前ですな。
ワイバーンロードが出てきた日にはどうなるやら。

個人的には陸軍の鍾馗が現行ではもっとも有効戦力になりそうな気がします。
海軍は・・・
紫電改まで零戦一本やり?

23 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 22:09:05 ID:pLNaQ2Sw0
投下乙です。
うーん空では正面から戦いたく無い状態ですね
油と爆弾が有れば高々度爆撃戦術で相手にしない等の方法が有効そうですが
地盤が固まって来るまでは国力的に無理ですし・・・

まあ逆に考えれば、帝國の戦術思想が進歩するとか
この苦境が帝國の技術開発を加速させる・・・かもしれない、とか
良い面も有るかもしれない、有ると良いな・・・
ともかくこの先の帝國は苦労しそうですね

24 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 22:09:41 ID:55XpGFAo0
アルフェイム世界は鉄の生産に反射炉を使用しているようですがこれ
はやはり技術的な制約からなんでしょうか?
確かに高炉に比べるとコークスを作る必要がない分技術的なハードル
は低いですが高温に耐えられる耐火煉瓦の製造が必須ですね。
構造材の煉瓦その物の耐久性も高い物が求められるので楽な道のようで
本格的な大量生産に際してはそれはそれで問題が出そうです。

高炉だと生産性が高いですがコークスが必須ですしスラグ生成のための
石灰石が大量に要りますので生産効率を一定にするためには大量の資源
確保と効率的な運用が必須なので技術的制約以上に「社会的な」インフラ
整備と政治判断が必要ですね。
コークス製造1つとっても冶金学の知識が必要ですのでこっちをどうにか
するのもまた難しいですね(そもそも転炉が無いと均一な品質を持つ鋼鉄
が出来ない)。

そういえばこの「帝國」世界にも井深大さんと盛田昭夫さんはいるんで
しょうか。あの二人がアルフェイムの技術に触れ何かインスピレーション
を得るという可能性もありますよね?
もしかしたら史実より早くトランジスタの開発に成功したりして。
無線技術やレーダー技術は電子工学の発展なくしてはありえませんから。

25 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 22:33:02 ID:rN4iR8xY0
戦争には相手がいるもの、敵の弱点を衝くのが兵法。
米軍機:頑丈、優速、でも重い、足が短い。
史実では身軽さと航続距離を最大限に活用しました。
ワイバーン:敏捷、でも劣速、足が短い。
速力と航続距離を主に活用するでしょう。
史実の対米戦用とは別の機体が開発されるでしょ。

26 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/23(木) 22:54:09 ID:55XpGFAo0
「帝國」本土に来る「外国人」は少ないだろうけどそういった人たちが
例えば百貨店のエスカレータとか身近な所では百貨店の食堂とかそういった
本当の「異世界」の文化や技術に触れた感想なども見てみたいものです。
かつて遣米使節団が米国に行ったときに受けたようなカルチャーショック
を受けるのでしょうか(一部のドワーフはもう受けてますけど)。

27 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 03:05:02 ID:sh1sVXNc0
帝國が誇るのは生産・軍事系であって文化面だと
レムリア主要都市ほどのインパクトは無いかと。
それより、平民がほぼ全員読み書き計算が出来て、平民子女も
教育を国が行っていることとか、たいして裕福でなくてもラジオが
一家に一台あるとかの方がショックかも。

28 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 03:20:48 ID:55XpGFAo0
>レムリア主要都市ほどのインパクトは無いかと。

んん?でもF世界にエスカレータはないでしょうし何より大衆向けの大規模
小売店舗というものは十分にインパクトのある物だとは思いますよ。
少なくとも地方都市にまでそういった施設があると言う事が「帝國」の
潜在的な力が見れるようにも思えます。
元々百貨店は上流階級のためのものでしたが1900年代のそれはある程度
余裕のある一般市民が誰でも利用できる施設という意味ですので平民
に力がある(帝國では必ずしもそうであるとは言えないでしょうが)
という証明になると思います。
アルフェイムの多くの国の平民がどの程度の力があるかは定かではない
ですが農民が土地に縛られている以上は一定の自由が無いわけですから
それだけでも驚きかと。
文化レベル=国の素晴らしさではないと思います。

関東の方だとイメージが湧かないかもしれませんが大阪だと阪急百貨店
やそごう、阪神百貨店(昭和8年の開業時は阪神マート)は戦前から営業
してます。

29 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/24(金) 09:41:55 ID:hb56jpUg0
>>16
 16様、有難うございます。

>彼らの抵抗がここまで激しいとなると、帝国軍が投入する
>戦力の質も量も種類も前回とは変わってくるでしょう
 増強するとなると機動部隊しかないでしょうね。
 現状では陸上航空隊の大規模展開は不可能ですから……
 あと、八航戦とピ空が何処まで粘れるかが問題ですね。(援軍到着までタイムラグがあるし)
 この様な損害を出し続ければ、あと二〜三戦で消滅してしまいます。
 今回の戦闘をどう総括するか、そして何時援軍の要請を行うかが鍵でしょう。

>目が離せないです。
 有難うございます。

>>17
 17様、有難うございます。

>旧版通りなら、ロッシェルよりもレムリアの方がワイバーンロードの質は良いんですよね?
 はい。間章2-1で書いたとおり、旧版では両者の間には大きな差がありました。

>帝國、この先大丈夫なんだろうか。
 ご安心を、HPに帝國陸海軍の保有戦力が記載されております。
 どうですか、この大戦力!
 ……輸送や兵站の問題から、この内どの程度派遣できるかは不明ですケドね。
(まあどの道充足率の関係上、内地部隊の大半が動けなかったりする訳ですが)

30 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/24(金) 09:43:18 ID:hb56jpUg0
>>18
 18様、有難うございます。

>零戦設計者の堀越さん この結果見て頭痛めているだろうなぁ
 更に頭痛のする未来が……
 この後、帝國は五二型を採用することになる訳ですが、実はこれ、こっちの世界ではカレドニア軍の要請で開発していた機体なのです。
 以前ご説明した通り、彼等は少数生産に終わった三二型を供与された訳ですが、更に性能を向上(主に速度と生残性に関して)した機体を要求していたのですね。
 これで完成したのが五二型です。(性能は史実通り)
 帝國はこれを採用、これをべースに更に性能を向上させた五二型甲を開発する訳です。
 ……なんか英国のチャレンジャー戦車みたいですね。

 で、堀越さんはこの件に関しては蚊帳の外、原設計や設計思想を無視した魔改造振りにご立腹です。
 一説ではこの件が原因で烈風に過度の旋回性を追求、その完成を大幅に遅らせた……なんて話も。

>>19
>初っ端からワイバーン・ロードの統廃合計画をやられてるのが痛いです。
 これが一番の改定部分です。
 これだけでも豪い違いますからねえ。

>>20
 ヨークタウン様、有難うございます。

>帝國軍が意外に損害大きすぎますね。
>純粋に航空戦のみでは喪失数がほぼ互角。
 この辺の総括は次回か次々回(どのシーンを先にするかで……)でやりますが、SS中で書いた他にも、帝國軍は幾つかのミスをしています。
 一つは『一撃離脱の不徹底』。敵の守りに業を煮やして格闘戦を挑み、返り討ちに遭った機が複数います。残念なことに皆、一定以上の技量水準にある者達ですね。
 そしてもう一つは『中隊長騎集団に五月雨式に挑んだ事』。先頭集団は1〜2機対4騎……といった具合に比率が逆転していたことです。

31 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/24(金) 09:44:49 ID:hb56jpUg0
>>21
 21様、有難うございます。

>今回は一次攻撃隊だけで全滅させれましたが、この損害は確かに政治的に拙く八航戦を錬度不十分と誤
>魔化す訳で以前の書いてあった評価が流れていた理由ですか。
 帝國軍の公式戦史にも「練度不十分」と書いてありますからねえ。

>東條閣下は史実でも、戦車イラネ、歩兵突撃と戦闘機だけで良いというお方でしたから、この損害で益
>益四式重戦車は幻の戦車になりそうですね(戦闘機をもっと作れ戦車勿体無い)。
 くろべえもチハが零戦の倍、と聞いてぶっ飛んだ覚えがあります(笑)
 当時の常識では戦車の方が高いのは当たり前、とはいえチハに倍はねえ……

>キルレシオ
>今回の戦果(損害?)は対ワイバーン戦ですよね、次のロード戦になればどれ程の被害になるか(汗)
 このままでいけば最悪です。
 史実の日米戦、その初期の零戦無敵神話を逆にやられるでしょう。(無敵、と言ってもやはり消耗していく訳ですが)
 至急、戦訓を総括せねばなりません。

>>竜騎士、戦士
>飛行時間5千超、ほとんどジンギスカン騎馬民族と西洋騎士の騎馬戦能力の差みたいですね。
 全員がテストパイロットか熟練の古参教官みたいなもんですからねえ。

>>隼二型
>ホ103、二丁。対12.7ミリ防弾対策済。零戦二二型より実は世間の評価と違い役立つかも。
 ですね。でもその前に飛行場用地を制圧せねば……

32 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/24(金) 09:45:46 ID:hb56jpUg0
>>22
 22様、有難うございます。

>20対4で6機の零戦がお釈迦とは・・・
 あ、いえ、中隊長騎だけで全部落とした訳ではありません。

>個人的には陸軍の鍾馗が現行ではもっとも有効戦力になりそうな気がします。
 鍾馗は本土防空戦隊に集中配備されてますからねえ……
 でも最近追加配備された四七戦隊なら……ああ、でもまだ編成途上だ。半個戦隊しかない。

>海軍は・・・
>紫電改まで零戦一本やり?
 一応、紫電と雷電がテスト部隊に配備されてますが……どうだろ?

>>23
 23様、有難うございます。

>うーん空では正面から戦いたく無い状態ですね
 ですね。でも空でこれは致命的だなあ。

>まあ逆に考えれば、帝國の戦術思想が進歩するとか
>この苦境が帝國の技術開発を加速させる・・・かもしれない、とか
>良い面も有るかもしれない、有ると良いな・・・
 確かに敵の連携戦闘は良い参考になるかもしれませんねえ。
 あと軽戦志向から重戦志向になるかも。

>>24
>アルフェイム世界は鉄の生産に反射炉を使用しているようですがこれ
>はやはり技術的な制約からなんでしょうか?
 そうです。鉄生産における石炭利用が広まっていない事から、次の段階に進むことが出来ず足踏み状態です。
(アイデアとしては存在するのですが……)

 コークスそのものは史実でも17世紀初頭には造られていますので、この世界にもある可能性は高いでしょうが……
 蒸気機関が無いことには宝の持ち腐れですねえ。

33 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/24(金) 09:46:42 ID:hb56jpUg0
>>25
>速力と航続距離を主に活用するでしょう。
 正直、それを武器にするしかないでしょうね。
 速度差を活かした一撃離脱。
 航続距離を活かしたアウトレンジ。
(敵は拠点、後方連絡路を脅かされるが帝國はその心配は無い)
 そうやって敵を消耗させていくのが一番堅実かなあ。政治と帝國軍の体質が許せば。

>>26〜28
>「帝國」本土に来る「外国人」は少ないだろうけどそういった人たちが
>例えば百貨店のエスカレータとか身近な所では百貨店の食堂とかそういった
>本当の「異世界」の文化や技術に触れた感想なども見てみたいものです。
 本編では大分先でしょうねえ。カナ姫様じゃあ故郷が田舎過ぎるし。
 ……いっそ黒部男爵で子供達(とシロ)連れてった方が良かったかなあ?
(あ、彼女達のほうがもっと田舎か)

>帝國が誇るのは生産・軍事系であって文化面だと
>レムリア主要都市ほどのインパクトは無いかと。
 この辺りでは帝國は大きく見劣りしますからねえ。
 旧版では大慌てで大開発行いましたが、改訂版では???

>関東の方だとイメージが湧かないかもしれませんが大阪だと阪急百貨店
>やそごう、阪神百貨店(昭和8年の開業時は阪神マート)は戦前から営業
>してます。
 そういえば、戦前は阪神工業地帯の方が生産力も上だったんですよね。
 今は一極集中し過ぎてるからなあ。

34 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 10:26:19 ID:RWRl2OrU0
話の流れをぶった切ってすみませんが
今WLの鹿島を改造してくろべえさんのHPにあった御蔵型海防艦を作っています。
あの絵ではよくわからなかったので皆さんに聞いてみたいのですが、
25mm単装機銃はどこに設置すればいいのでしょうか?
また三式投射機と爆雷投下軌条の間にあるものはいったい何でしょうか?
わかる方がいたら教えてください。

35 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 11:05:12 ID:55XpGFAo0
>そういえば、戦前は阪神工業地帯の方が生産力も上だったんですよね。

戦前はそうでしたね。
この世界では本土空襲という可能性は低い(技術的な制約なので起こる
可能性は十分ある)でしょうから工業地帯を分散する必要性は必ずしも
高くは無いのですが既存の施設の有効利用が図れると言う点では
阪神工業地帯の重要度は高いかも。

文化面では帝劇もありますねぇ。
遊園地なんかの商業施設も目を引くでしょうただ、史実ではこの時期
浅草花やしきは戦時下において徐々に規模を縮小させていた頃でした
ので「転移」によってその運命がどう変わっているのかについては興味
深いです(戦前浅草花やしきは動物園も併設していた)。

そういやアルフェイムでは温泉は少ないのでしょうか?
温泉があるなら地熱もあるので地熱を利用しての発電で電気を作り
その電気を地元に還元するという事も出来るかも(電気というのは文明
の力を宣伝するにはうってつけ)。

国策としては映画産業に力を入れればいい宣伝になりますし、文化面で
の影響力は大きいですよね。
現代のハリウッド映画のような存在であり続けられれば中長期的には
アルフェイム世界に与える影響は大きいと思います。
1960年代の日本で米国のファミリードラマが与えた影響のように。

36 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 23:12:21 ID:PrNDtOqYO
地熱がないわけないだろ
地面の下はスカスカになってて地底人でもいるのか?

37 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 23:17:29 ID:0thQd6M60
地熱発電所を作るよりも、普通に石油石炭を持って行って発電した
方が安上がりなんじゃ・・・

化石燃料を節約したいなら、せめて風力とか水力とか

38 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 23:39:14 ID:QAQuroWw0
地熱って現実でも結局主流になってないしね。
まあ水力が無難だろう。昭和初期の日本の電力供給は水力が主力だったし。
途上国のインフラ整備はまず水力発電を整備して、足りなくなったら火力や原子力を使うってのが
普通の流れだと思う。

39 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/24(金) 23:45:31 ID:pLNaQ2Sw0
>>36
帰還ifエンドで地底人いなかったっけ?色々出てたから思い出せないが

国力がそこそこのレベルに達するまでは史実どおりの方が効率いいでしょうね
技術開発・設備投資他のインフラ系予算も不足気味でしょうし
エコっぽいエネルギー源はなんとなく採算性悪そう、経済発展後にならないと難しいのでは?
産業にやさしい安価なエネルギー源を早く確保したいですねえ・・・

書いてたら、獣人が爆発的に増えて人力発電するとかいう電波がきたw
必死でチャリ漕いで発電する沢山の獣人、カワイイかも

40 名前:名無し三等兵@F世界:2007/08/25(土) 00:32:04 ID:dDKWsT0E0
>>34
基本的には、バランスよく配置できれば問題ないと思う。
対空火器密度が特に低い区域を作らないように。


発電は、当時の技術だと、水力か火力ですねえ。
石炭なら現地調達も出来る可能性がありますよね。
というか、出来ないと、石炭炊きの蒸気機関(要は蒸気機関車)が使えない。

41 名前:ここまで読んだ ◆zJ6rFHbX8Q:2007/08/25(土) 00:59:07 ID:XA/lA57k0
発電所つくるにはもうちょい時間いるでしょ

帝國の工業製品を輸出できて買えるくらいの市場ができないと
宝の持ち腐れになってしまいますしね

大きめの基地なんかの発電設備は艦船用のを持ってきているらしいですし
特に差し迫った問題でも無さそうですしね

42 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 03:49:52 ID:PrNDtOqYO
>>39
確認してみたら地底族とやらの表記を発見して欝くなった…

43 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 10:26:07 ID:55XpGFAo0
>地熱発電
日本ではあんまりメジャーじゃないですけどフィリピンなんかは国内の
電力供給の四分の一を地熱使ってます。
水力もいいのですが風力は24時間365日安定してエネルギーを生み出せない
ので効率が悪いです。(地熱は)施設建てるのにコストがかかるのがデメリ
ットですが熱源がタダなので長期的な運用コストは安くなります。
また地熱利用は温水を手軽に得られますから養殖業などにも使えますヨ。
小規模の水力発電や地熱発電使ってレーダー基地や大陸の基地を維持する
のも考えられそうですけど。
発電で浮いた油で戦車や航空機を運用〜というのはいかにも日本人らしく
ていい気がします(ガソリン一滴は血の一滴)。

所でアルフェイム世界の列強諸国は「私掠船」を運用しているのですかね?
現実世界では1907年のハーグ平和会議で私掠船は事実上禁止になってますが
もし積極的に運用しているとなると帝國も対策を考えないと駄目かも
しれません。
・・・・まあ海賊対策だと仮装巡洋艦を使ったり護送船団を使うのがベスト
なんでしょうけど。
制海権とっている領域ならともかくシーレーン防衛が難しい海域ではゲリラ
戦法てきな私掠船はちょっとやっかいかも。
根拠地潰せばいいのですが国家がバックにいるとわからんなー。

44 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 11:13:36 ID:6faj7sN20
>43
なんで偉そうに長文語りする奴ほど設定を把握していないんだか、その世界の人間は遠洋魚漁なんてしない。

45 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 11:26:10 ID:0thQd6M60
フィリピンは環太平洋造山帯の国ですから・・・
ちなみに、同じ火山帯の島国である日本でなぜ地熱発電が
盛んでないかというと、「景観保護」の問題があるからです。
地熱=火山=温泉=芸者サーンヽ(゜∀゜)丿
というわけで。デッカイ発電所なんかあると無粋なわけです。

けど外地のロッシェルとかレムリアとかでなら「無粋」どころか
新たな観光資源にもなり得るでしょうから、規制とかを気にする
必要はなさそうですね。

温泉へと観光旅行に来た貴族の娘さん達の眼前に聳え立つ帝国謹製巨大発電所
というのも絵になる光景かもしれません。


>私掠船
旧版では護衛艦が足りなくて困ってるとか書かれていたような・・・?

46 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 12:18:12 ID:lM6TQlLw0
その辺の概念が発展するのは戦後もかなり時代が進んでからじゃなかった?
ましてや石油危機で燃料問題解決が国是となる現状ですよ

このあたりは結構アレなんだけどね
現代日本の常識と、その当事の常識はかなり違うし
たとえば、地球温暖化なんてのが叫ばれたのは80年代から
それ以前、60年代なんてむしろ寒冷化が問題視されていたりする
なのに火葬戦記とかで過去に戻った人が温暖化対策を推進するとか

47 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:27:27 ID:Hd5cQ7n60
>>34
>25mm単装機銃はどこに設置すればいいのでしょうか?
 >>40様の仰る様に、前後左右バランスよく配置すれば良いでしょう。
 単装ならば大概の場所に置けますし。

>また三式投射機と爆雷投下軌条の間にあるものはいったい何でしょうか?
 何だろう?

>>35
>文化面では帝劇もありますねぇ。
 統制が続いているとは言えある程度規制も緩み、昭和10〜12年頃?の空気でしょうかねえ?
 戦争は続けどまだ余裕が……といった感じでしょうか。好景気で就職口あるし。

>そういやアルフェイムでは温泉は少ないのでしょうか?
 沢山ありますよ。

>国策としては映画産業に力を入れればいい宣伝になりますし、文化面で
の影響力は大きいですよね。
 旧版ですが外伝1にあります様に、帝國は結構こっち方面に力入れてます。
 大陸将兵に対する娯楽提供の意味合いもありますし。

>>42
>確認してみたら地底族とやらの表記を発見して欝くなった…
 ? そんなこと書きましたっけ……ああ、ジャンクの旧版4話ですか。
 これ、半分以上でっち上げ(勢い)て書いたからなあ……
 流石に地底族まではいません。モグラみたいに地下洞窟を住処にするのはいるかもしれませんが。

48 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:28:33 ID:Hd5cQ7n60
>>43
>小規模の水力発電や地熱発電使ってレーダー基地や大陸の基地を維持する
のも考えられそうですけど。
 当時の技術力で実用レベルの地熱発電できるか判らないので何ともいえませんが、水力発電なんかはありかもしれませんね。
 ……確か旧国鉄も持ってて、戦時中それを動力源として運行を続けたとか???

>所でアルフェイム世界の列強諸国は「私掠船」を運用しているのですかね?
 町村や領主、国家丸ごと海賊化……なんてことはありますが、英国風のはありませんねえ。(少なくとも一般的ではない)
 まあ、戦争となったら遠慮なくやるでしょうけど。

>>44
>温泉へと観光旅行に来た貴族の娘さん達の眼前に聳え立つ帝国謹製巨大発電所
>というのも絵になる光景かもしれません。
 かえって観光資源になったりして(笑)

>>私掠船
>旧版では護衛艦が足りなくて困ってるとか書かれていたような・・・?
 海賊や空賊は出るし、遭難はするし、挙句の果てには町村や領主、国家丸ごと海賊化……なんてことも。

49 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:29:10 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 改訂版

 目が覚めると、粗末な天井が目に入った。

 ――俺は、まだ生きているのか?

 手足を動かし、五体満足であることを確認する。
 ……正直、信じられなかった。
 あれ程の激戦を、無事生き残れたとは。

 脳裏にあの時の記憶が蘇る。

 先ず、突出し過ぎた先頭の敵騎を連携して撃墜。
 その後、到着した敵騎数騎と互角以上に渡り合い、更に2騎を撃墜破。
 ……が、そこまでだった。
 敵の数は減るどころか徐々に増え続け、瞬く間に10騎を越え、20騎近くに達した。
 そのどれもがワイバーン・ロードすら上回るであろう高速で次々と襲い掛かってくる。
 やがて隊形すら維持するのが困難となり、各騎孤立した状態となってしまう。
 それでも始めは4〜5騎だけだったが、誰かが堕とされたのか、2騎3騎と増えていく。こうなると反撃など不可能で、避けるだけで精一杯だった。
 最終的には、10騎を越える敵と渡り合った……と思う。
 無我夢中で騎を操る内に激痛を感じ、目の前が真っ暗になり、気がついたらここにいた、という訳だ。

 ――皆は無事だろうか、俺の部下達は……

50 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:29:50 ID:Hd5cQ7n60
「少佐殿、気がつかれましたか?」

 声をかけられ、始めて自分の他にも人がいたことに気がついた。
 軍医だ。その脇には療兵(*1)が控えている。
 恐らく自分が目を覚ますまで(そして落ち着くまで)、待っていたのだろう。
 軽く自分を診察した後、軍医は療兵に目配し、それを受けた療兵は敬礼して退室する。

「……ここは?」

「臨時に少佐殿の治療用とした天幕です。 ……隙間風が吹いておりますが、お許しを。何分、幾つかの天幕を応急的に繋ぎ合わせたものですので」

「……皆は?」

 その問いに、軍医は目を伏せ、申し訳無さそうに答えた。

「……残念ながら、少佐殿お一人です」

「そうか……」

 半ば以上想像していた通り……だが聞きたくは無かった答えに、軽く目を瞑る。
 死んでいった同僚達、部下達……いや、飛竜騎士全員の顔が浮かんでは消えた。

 ――あいつは今度結婚するのだったな…… ああ、あいつはまだ幼い子供が……

51 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:30:20 ID:Hd5cQ7n60
 飛竜騎士の世界は狭い。その誰ものことも、詳細に思い出すことが出来る。
 自分は生き残った者として、彼等の死を伝えねばならなかった。
 ……それが最後まで傍で戦った者の権利であり、義務なのだから。

 ――尤も、このまま生き残れれば、の話だがな。

 そこまで考え、苦笑する。
 ここまでやった以上、敵が上陸してくるであろうことは確実だ。
 自分は唯一健在な飛竜騎士として、それを迎え撃たねばならない。
 今回は生き残れたが、次を生き残れるかどうかはわからなかった。

「……私は、どの位寝ていた?」

「およそ3〜4時間、と言った所でしょう。外傷も殆ど無い、お見事な墜落でした」

 軍医は、心底感心したかの様に答えた。

 彼の愛騎は、複数の敵騎からの攻撃(機銃弾)を受けた。
 その衝撃たるや凄まじく、その断末魔は幾重もの“障壁”を突き破り、彼の精神を直撃したことだろう。
 ワイバーンの苦痛を、恐怖を(幾分軽減してあるとはいえ)受けたのである。常人ならば発狂……即死しても不思議ではない。
 ……が、彼は無意識ながらも生命力を失いつつある愛騎から最後の魔力を振り絞り、墜落時の衝撃を最小限としたのである。
 何と言う精神力、何と言う技量であろうか!

「……有難う。が、結局何も出来なかったよ」

「――いや、そんなことはないよ、少佐」

52 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:30:54 ID:Hd5cQ7n60
 彼の自嘲を引き継ぐような声と共に、一人の将校が入ってきた。先任副連隊長だ。
(先程退室した療兵が知らせたのだろう)

「失礼するよ」

「最先任殿!」

 慌てて身を正そうとするのを軽く制し、先任副連隊長は話を続ける。

「君の戦いぶりは決して無駄では無い。確かに第13連隊は空中戦力こそ喪失したが、戦意までは失っていない
 ……全て君のお蔭だよ、少佐」

 そう言うと、天幕を大きくを開け、外を見せた。
 ……其処には、竜卒達が整列していた。

「先程の空戦、お見事でした! “守護騎士”殿!」

 その声と共に、彼等は一斉に敬礼する。

「……私が、守護騎士?」

 思わず、訝しげな声を上げた。
 彼とて10年近く第一線にいた身、全く実戦経験が、撃墜が無い、ということはない。
 が、大半が空賊・海賊討伐か魔獣狩り程度……後はせいぜい対レムリア前線での示威行動で、撃墜も飛竜とは名ばかりの翼竜や下級の飛行型魔獣に過ぎなかった。
 この程度では1騎撃墜相当とすら見做されないだろう、ましてや――

53 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:31:25 ID:Hd5cQ7n60
 が、先任副連隊長は軽く微笑んで言った。

「そうだ。君は先の空戦で単独で3騎、共同で2騎を撃墜、その後10騎を越える敵と単騎互角に渡り合い、最後には自分を撃った相手と刺し違えたではないか。
 初日で1騎の敵を撃墜したことと合わせて、単独5騎に共同2騎――文句なしの銀剣付守護騎士賞だ。
 おめでとう、オーベール・ガリ少佐。そして有難う、君は我が連隊に“有終の美”を与えてくれた。
 ……これで後世、『全く為す術もなく全滅した無能者集団』と嘲笑されずに済む」

 その言葉に、彼は先任副連隊長の“覚悟”を見た。

「微力ながらお共します」

「何を言うのかね、少佐。それこそ後世の笑いものだよ。 ……『あたら守護騎士を、陸上での戦いで殺した』と」

「! しかし、自分がいなければ、竜は――」

 第13連隊には健常な竜(ワイバーン)こそもういないが、負傷した竜ならいる。
 飛べないまでも、動く事は……ブレスを吐くことは出来る竜が。
 これを戦竜として運用すれば、上陸してきた敵に一矢報いれるだろう。
 ……が、彼らを操れるのは飛竜騎士のみ。そして健常な飛竜騎士は最早――

「おいおい、私だって飛竜騎士だよ? ……第一線から退いて10年、竜に乗らなくなって早5年以上の老兵だが、ね?
 私達副連隊長二人に連隊長殿で3人、竜は3騎。君に乗せる竜は無い」

54 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:32:04 ID:Hd5cQ7n60
「……そういえば、連隊長殿は?」

 この場に連隊長がいないことは、不自然である。それ故の疑問だ。
 が、その言葉を聞いた途端、先任副連隊長は皮肉っぽく哂った。

「さてね? 何やらお偉いさんと通信中さ」

「…………」

 その言葉からは、彼が……いや、“彼ら”が連隊長を最早あてにしていないことが読み取れた。

「まあ君が気にすることじゃあ無い、そんなことより急いでここを発ちたまえ。 ……敵が来る前に」

「しかし……」

「これは“命令”だよ、“少佐”。君は、先の“帝國”軍との交戦記録を届けるのだ。これは君の勇戦を伝えると共に、貴重な情報を本国を提供するだろう」

「…………」

「上官に、同じことを二度言わせる気かね?」

「……かしこまりました」

 差し出した記録結晶を受け取り、彼は……ガリ少佐は敬礼した。
 それに応じ、答礼する先任副連隊長。

「よろしい。 ……では、縁があったらまた会おう」

「はい」

 それが社交辞令に過ぎぬことは、痛いほど理解していた。

55 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:32:35 ID:Hd5cQ7n60
 先任副連隊長に肩を借り、思い体を押して外に出る。
 と、かつて滑走路だった場所、そこに1頭の小型飛竜が鎮座していた。
(先任副連隊長の話では、ワイバーンで脅して駅から徴用してきたそうだ)

 滑走路も一部埋められている。竜の徴用も、これも、全て自分一人だけの為に行われたものだった。
 そして今、連隊の生き残りほぼ全員が自分を見送ろうとしている。

 そう考えると、何とも堪らなかった。自分とは、守護騎士とは、それ程の価値があるものだろうか?
 ……いや、そうではあるまい。それ以上に彼等には守るべき“何か”があったのだ。

「私の相棒は“用”があって見送れないが、『よろしく伝えてくれ』とのことだそうだよ」

 恐らく連隊長を抑えているのだろうな――なんとなく、そう感じた。
 ……がそれ以上のことは互いに触れなかった。連隊長の、ひいては連隊の名誉を守る為に。

「さあ、行き給え」

「では…… 言って参ります!」

 言葉とは裏腹に、ガリ少佐は後ろ髪を引かれる思いで島を後にした。


 “帝國”軍が上陸したのは、それから二時間ほど後のことだった。



*1 ――療兵――
 “帝國”の衛生兵とは異なり、治療は行わない。仕事は軍医及び軍医助手の雑用。
  身分は兵卒相当。(ちなみに軍医は准士官、軍医助手は下士官相当)

56 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/25(土) 12:34:03 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 まあそんな訳でして、空戦で生き残ったのは17名中1名(ロッシェル軍)です。

57 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 15:40:13 ID:55XpGFAo0
>56
くろべえさん乙です。

>48
途上国でもそうですけど治水対策も兼ねての水力発電所はイイ手かも。
水没する村落が無いのならベストですが。小規模な物で水力活用だと
水車発電ですね(山小屋や僻地によくある)。

58 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 18:27:10 ID:H7UPpYmU0
くろべえさん乙です。

守護騎士カッコイイです。ていうか敵飛竜隊が全体的に。
ロッシェル空軍になんだか美味しい役を取られてる気がして
悔しいやら焦れったいやら・・・・w
この胸の閉塞感をぶっ飛ばすような快勝をいつの日か
(戦争末期?)帝国軍に挙げていただきたいものです。

59 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 18:40:45 ID:KZ73RwSU0
つまり、連隊長が逃げ出さない様に抑えていたのですかな?<副連隊長

60 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 18:55:07 ID:bJK14DLc0
ロッシェルでこの苦戦ぶりではレムリアなど夢のまた夢なのでわ・・・。
幸い資源地帯は確保しているようですし、このまま帝國側の損害が減らないようならば大内海に篭ってしまいそうですね。

61 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 19:29:02 ID:IJESEFOQ0
>旧版では護衛艦が足りなくて困ってるとか書かれていたような・・・?

外洋にはいなくても沿岸にはうじゃうじゃいるそうです>海賊
普段は漁師や運送業者をやってるが、獲物がくれば漁船や商船に海賊旗を掲げて襲撃。
帝國はあちらこちらに中小文明圏を領有するので、守るべき沿岸部が非常に多く沿岸海賊といえど駆除にはそれなりの数がいります。

62 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 20:22:41 ID:OjhvqLuk0
>59
ガリを逃がす為だと思うよ、残って戦えと言うだろうから。

63 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 21:40:08 ID:gqmrJLXo0
くろべえ氏投下乙です。
ガリ少佐、彼が旧版で後日レムリア製ワイバーン・ロードの評定を行っていた
数少ない生き残りの“エース”なんでしょうか。
新版で差が縮まったとはいえ未だ性能面で圧倒的な劣位にある中での十機撃墜、
ガリ少佐がこの栄誉にあずかる人であってほしい願望が。

読み返していて思ったんですが、列強の中で唯一、帝國に対し我関せずの清華、
もしかして清華の国にはシュベリン前王と同じくして転移した“帝國人“がいたのでは?
・・・とか思ったんですが、それだと早期の対決を迫るはずですよね。
帝國を相手に時間稼ぎは自殺行為である、と事前に知っているはずなのですから。

とはいえ、残す列強のどれかに既に帝國人が転移していたら、というのも
ちょっと妄想をくすぐられる題材かな?とも思ったり。
その帝國人が存命であれば、どういった形の板挟みに遭うのかなど考えると。

64 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/25(土) 22:38:30 ID:41s7HC6A0
くろべえさん投下乙
ガリ少佐、これで飛竜科付主計科候補生を連れての脱出でしたら、どこぞの蒼髪の王族ですか。に為りますが冗談抜きであの記憶結晶はやばいような気がします。
単なる音声データなら史実の中国軍やフライングタイガースの日本機の評価のように信用されないが、画像データ込みでしたらダークエルフの全力で奪回、又は破壊する必要あるかも。
なにしろ、帝國の長所と、弱点が丁寧に調べれば見付りそうで真珠湾で、零戦が無傷で手に入れた様な物と思われますから。
あの精神状態の連隊長殿なら全滅迄戦えと、かえって帝國軍から評価されたりして。
それとも身代金交渉で帝國は全員平民と聞き、やる気を無くして正気に戻るかな?

65 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 06:54:49 ID:DSDE0EFE0
>>63
距離の問題です。
F世界の常識では大陸と海を挟み端にある清華へ
帝国軍が戦争可能な規模で派遣されることなどあり得ませんから(実際無理)、
寧ろ清華は混乱につけ込み他近隣列強に食指を伸ばすのが自然です。

自己展開予測を披露して展開を縛るものではないですよ。

66 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 09:43:30 ID:IJESEFOQ0
>画像データ込みでしたらダークエルフの全力で奪回、又は破壊する必要あるかも。

最近のくろべえ氏の傾向からしたらそっちの方になる感じがします。

67 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/26(日) 10:15:45 ID:Hd5cQ7n60
>>57
 57様、有難うございます。

>治水対策も兼ねての水力発電所はイイ手かも。
 ですねえ。安定してきたら小さな水力発電所造って、余った電力を周辺有力者宅に引いて帝國漬けにするとか……

>>58
 58様、有難うございます。

>ロッシェル空軍になんだか美味しい役を取られてる気がして
>悔しいやら焦れったいやら・・・・w
 敗者の美です(笑)
 ……いえ、大局的に見ればロッシェル軍は事実上完敗ですから。
 唯一健闘している航空戦も、飛竜騎士の死者と死傷率(ついでに年間育成数)を考えれば「終わりの始まり」でしかないでしょう。

>>59
 多分、>>62様が正解でしょうね。

>>60
>ロッシェルでこの苦戦ぶりではレムリアなど夢のまた夢なのでわ・・・。
 戦争は相手がいますからねえ……
 けど上で書いた通り、客観的に見れば大勝ですよ。
 僅か12個しかない実戦飛行隊を失ったことだけでも、ロッシェルの受けたダメージは相当なものでしょう。

68 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/26(日) 10:19:26 ID:Hd5cQ7n60
>>61
>帝國はあちらこちらに中小文明圏を領有するので、守るべき沿岸部が非常に多く沿岸海賊といえど駆除にはそれなりの数がいります。
 そんな訳で、どうしても量産のきく木造漁船型の特務艇が主力になっちゃうんですよねえ。
 で、こいつらを複数型、多数建造していると結構馬鹿にならない予算となり、他分野を圧迫します。
 陸軍より航空戦力が少ないのも、そーいう訳です。海軍は(軍艦ではない)フネ、陸軍は航空機に予算を振り向けたのですよ。

 一方、本格的な艦艇の方は順調に高級化?してます。
 二八号型駆潜艇の後継なんか史実の丙型海防艦モドキですし。

 案としては、こんな感じかな?

 <二等海防艦要目>(計画時)
 基準排水量:745t
 最高速力 :16.5kt
 機関   :23号乙型ディーゼルエンジン2基2軸 (1,900馬力)
 航続距離 :14ノットで6,500海里。
 攻撃兵装 :45口径12センチ高角砲単装2基、25mm三連装機銃2基、三式爆雷投射機12基、爆雷投下軌条1基、九五式爆雷120個。
 索敵兵装 :二二号電探、九三式水中聴音機、九三式水中探信儀。

 まんま史実の丙型海防艦ですね。ただし上はあくまで『計画上のフル装備』の場合です。
 あくまで『これだけの装備を載せられる余裕がありますよ』という意味ですね。
 ですから量産に当たっては以下の様にスペック(装備)が落とされています。

69 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/26(日) 10:20:08 ID:Hd5cQ7n60
 <二等海防艦要目>
 基準排水量:700t
 最高速力 :16.5kt
 機関   :23号乙型ディーゼルエンジン2基2軸 (1,900馬力)
 航続距離 :14ノットで5,000海里。
 攻撃兵装 :45口径12センチ高角砲単装1基、25mm三連装機銃3基、三式爆雷投射機12基、爆雷投下軌条1基、九五式/三式爆雷60個。
 索敵兵装 :二二号電探、九三式水中聴音機、九三式水中探信儀。

 元の世界での運用(対米戦)をも想定した重兵装を、主に砲/対潜兵装を半減することにより軽減しています。
 計画の様に、太平洋で護衛戦やるのではなく、あくまで方面艦隊用の艦ですから。
 ……三式爆雷や三式爆雷投射機が出来たのは、まあ対真竜対策で戦訓が得られたから、ということにしておいて下さい。
 でも水中聴音機と水中探信儀は相変わらず九三式……史実の四式聴音機と三式探信儀は両方とも四式となる?それとも五式以降か?
 
>>64
 64様、有難うございます。

>冗談抜きであの記憶結晶はやばいような気がします。
 機体手に入れても連中、多分動かせないでしょうから、得られる情報としては最良に近いでしょうねえ。
 まあ帝國が戦訓を得れば、向こうも得る、ということでしょう。

>あの精神状態の連隊長殿なら全滅迄戦えと、かえって帝國軍から評価されたりして。
 飛べない、とはいえ3騎のワイバーンは強敵ですねえ。
 装甲車か下手な軽戦車級の戦力だ。(ケガして出力も落ちてるとはいえ、一号戦車並はある?)

70 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 10:50:41 ID:55XpGFAo0
>ワイバーン
なりふり構わない戦法なら神経ガスを使うと言う方法もありますね。
吸気式ならホスゲンか。

今ふと思ったのですがこの世界にも疫病はあるでしょうから帝國の
公衆衛生技術はかなり有用ですよね。
蚊を媒介して広まる伝染病なら蚊取り線香はとても便利な帝國の輸出品
として使えそうです。
除虫菊の粉は蚤取粉として蚊取り線香以前にもありましたけどあれを線香
にして渦巻き型にしたのは日本人ですからね。

71 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 10:57:56 ID:pLNaQ2Sw0
>70
予防接種が帝國勢力圏全域に行き渡る時代が来たら、生物兵器がかなり使い勝手の良い代物になりそうですな

72 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 11:36:59 ID:8Q2p49Zw0
投下乙です。

良かった。ガリ少佐、生きててくれたのか。
旧版でレムリアのワイバーンに乗って性能比較してたロッシェルの生き残り竜騎士って
このガリ少佐だったのかもしれませんね。

73 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 11:39:46 ID:55XpGFAo0
>71
こちら側にしかない病気でかつ「アルフェイム」にはない病気が分かれば
それを逆手にとって生物兵器としては使えますよね(スペイン風邪は・・・
まだ抗体が十分ではないか)。
かつて旧世界の白人達が新世界に進出した際に南米の住民達を滅亡寸前
に追いやったのと同じパターンですね。

>67
電気にしたって帝國勢力圏内で実用になる程度に普及すれば非常にいい
宣伝と依存効果が得られますよね。
人間一度便利な物に慣れるとなかなか抜け出せない物ですからガス灯や
ろうそくの明かりよりもはるかに明るい電球を使った照明に慣れれば
引き込まれる人は出てくるかもしれません。
帝國の息がかかっている高級レストランなんかは電球の照明を多用して
たりして。

74 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 15:15:08 ID:NyO4XBc20
それを言い出したら現地にも帝国側が知らん風土病くらいあるだろう
病気は片方だけに都合のいいものではありえない

下手をすれば宇宙戦争の火星人のようになりかねん

75 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 16:14:45 ID:55XpGFAo0
>74
そこでダークエルフに病原体を運ばせて彼らに抗体を研究させるのですよ。
まあそれは冗談ですが生物兵器に関しては本当の意味で最後の手段にして
おかないと確かにエライ事になりますね。
防疫体制に関して言えば大陸と直接接していない分まだマシですけど。

燃料気化爆弾を開発できれば低速で移動する歩兵主体の軍隊には脅威に
なるでしょう(貧者の核兵器とも言われますし)。
帝國(日本人単独)だと開発に何年かかるか・・・・ダークエルフに技術
を教えて彼らにも一枚かませて開発を進めれば実用化も進むかもしれ
ませんね。

76 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 19:10:00 ID:PrNDtOqYO
BLEVEは1966年の事故が元なのに誰の頭ん中で豆電球光んだよ

77 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 19:32:51 ID:IJESEFOQ0
>僅か12個しかない実戦飛行隊

アレ12個連隊?
ロッシェル王国飛竜軍の飛竜集団(飛竜騎士団)は5個で
それぞれワイバーン2個連隊とワイバーンロード1個連隊の計3個連隊なので
5×3の15個連隊では。

78 名前:陸士長:2007/08/26(日) 21:06:22 ID:AjBrtEQE0
投下乙です。
存外に苦戦してますね。
結果だけを見ればくろべえさんの言う通り大勝ですが、今後もこの調子だと問題ありまくりな。
アメリカ並と贅沢は言いませんが、もう少し危機感を持って組織のグレートアップを図った方が良いかと。
太平洋戦争の敗因の半分は、組織としての国家の有り様が、日本は旧弊しアメリカは進歩してた為と捉えてますので。

79 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/26(日) 22:34:54 ID:IJESEFOQ0
>結果だけを見ればくろべえさんの言う通り大勝ですが、今後もこの調子だと問題ありまくりな。

レムリア戦、果てはエルフ・列強を含めた反帝國陣営との戦争が数年以内に立て続けに起こるなら・・・・はっきり言って帝國にとって最悪の結果がもたらされることでしょう。
ホンマに。

80 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/27(月) 06:15:01 ID:Y7BcrTNE0
話は変わりますが、黒部男爵がダブリンで子供をこさえた頃に、
帝國に長期・中期滞在していた邦国の要人(貴族・若手・独身)が
帝國の女性(平民・商家のお嬢・美人)と良い仲になって
邦(自領)につれて帰ることとかありますかね?
明治・大正時代に欧州の貴族がつれて帰って夫人にしたこともあったような。

でもって、平民とはいえ譜代臣民で富裕な商家の娘だったら・・・
邦の親類縁者も反対しにくいのでは?
帝國貴族や軍高官との付き合いも実家ではあるでしょうし。

くろべえさん どーですかね?

81 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 12:59:20 ID:Hd5cQ7n60
>>70
>今ふと思ったのですがこの世界にも疫病はあるでしょうから帝國の
>公衆衛生技術はかなり有用ですよね。
 ですね。ただ現地の風習と衝突する可能性もありますので、余り積極的ではありません。
 せいぜい駐屯地周辺と立ち寄る歓楽地(らしきもの)位のものでしょう。

>>72
 72様、有難うございます。

>良かった。ガリ少佐、生きててくれたのか。
 やはり搭乗回数の多い人を殺すのは難しいです。
 帝國軍と当初から戦っている人がいないと、書く方も大変ですから(笑)

>>73
 旨い食事と嗜好品、便利な道具で骨抜きにするのですよ。
 ある意味、麻薬みたいなものですか。

>>75
>防疫体制に関して言えば大陸と直接接していない分まだマシですけど。
 でも、数百万の帝國人がいるんですよねえ。
 船の出入りも激しいからなあ〜

>>77
>アレ12個連隊?
 1個騎士団は養成課程を卒業した騎士を本格的に訓練する役目を負っています。

82 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:00:38 ID:Hd5cQ7n60
>>78
 陸士長様、有難うございます。

>結果だけを見ればくろべえさんの言う通り大勝ですが、今後もこの調子だと問題ありまくりな。
 全軍的な戦術の転換と新型機の採用(せめて五二型)が必須ですね。
 そして何より敵を圧倒する戦力を投入し、対応する時間を与えない、これに限ります。
 ……あれ? これって当たり前のことじゃあ???

>アメリカ並と贅沢は言いませんが、もう少し危機感を持って組織のグレートアップを図った方が良いかと。
 これでもマシになったのだけれどなあ(苦笑)

>>79
>レムリア戦
 現状戦力では返り討ちでしょうね……
 ロッシェル戦である程度こっちのことも理解したでしょうし。

>>80
>くろべえさん どーですかね?
 ケースバイケース……でしょうかねえ?
 とはいえ、少なくともそれなりの貴族ともなれば、たとえ小国のそれでも平民を正妻に迎えるのは難しいでしょう。
 高位の側室、がせいぜいじゃあないかなあ? せめて士族なら……

>でもって、平民とはいえ譜代臣民で富裕な商家の娘だったら・・・
 下級貴族ならなんとか。(身分が上がるほど、お金の問題じゃあなくなるのですよ)

83 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:01:49 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 改訂版

 クノス島沖に現れた“帝國”艦隊は、万端とも言える態勢で上陸作戦を開始した。
 その序列は以下の通り。

  クノス島攻略部隊(司令官 角田覚治少将)
   機動部隊:空母“神鷹”“瑞鷹”“祥鷹”
   支援部隊:駆逐艦“水無月”“文月”“皐月”
   上陸部隊:輸送船“新夕張丸”(陸軍歩兵第二八聯隊第一大隊乗船)
   警戒部隊:駆逐艦“長月”
   補給部隊:油槽船“黒潮丸”
   航空支援:ピグニス航空隊

 支援部隊は支援射撃を行うべく、海岸ギリギリまで近寄り待機し、
 機動部隊はその沖合いで艦隊及び上陸部隊の頭上を守るべく、常に中隊規模の直援機を上げている。
 補給部隊は機動部隊よりも更に後方で待機し、
 警戒部隊は大陸からの敵援軍に備え、攻略部隊主力の北北西(大陸側)15〜20海里の海域に進出、対空・対水上警戒を行っている。
 更に後方のピグニス島では、ピグニス航空隊が即応状態で待機中だった。
 この様に海空から厳重に守られながら、上陸部隊は上陸を開始したのである。



 さて、ここで肝心の陸戦部隊を見てみよう。
 上陸するは陸軍歩兵第二八聯隊第一大隊1100余名。
 同聯隊は、転移以来常に第一線にあった言わば“緊急展開部隊”である。
 その編制は以下の通り(*ただし下記の人員、重火器数は定数)。

84 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:02:45 ID:Hd5cQ7n60
  歩兵聯隊(4500名)
    ┣━聯隊本部(180名)
    ┣━通信中隊(130名)
    ┣━歩兵大隊(1130名)×3:各九二式重機関銃2挺。
    ┃  ┣━大隊本部(180名)
    ┃  ┣━歩兵中隊(220名)×3
    ┃  ┃  ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃  ┣━歩兵小隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃  ┃  ┣━軽機分隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┗━擲弾筒分隊
    ┃  ┃  ┗━機関銃小隊
    ┃  ┃     ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃     ┣━機関銃分隊×2
    ┃  ┃     ┗━弾薬分隊
    ┃  ┣━機関銃中隊(160名):九七式自動砲2門、九二式重機関銃6挺。
    ┃  ┃  ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃  ┣━機関銃小隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃  ┃  ┣━機関銃分隊×2
    ┃  ┃  ┃  ┗━弾薬分隊
    ┃  ┃  ┗━自動砲小隊
    ┃  ┃     ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃     ┣━自動砲分隊×2
    ┃  ┃     ┗━弾薬分隊
    ┃  ┗━大隊歩兵砲中隊(130名):九二式歩兵砲4門
    ┃     ┣━中隊指揮班
    ┃     ┣━火工分隊
    ┃     ┗━歩兵砲小隊×2
    ┃        ┣━小隊指揮班
    ┃        ┣━歩兵砲分隊×2
    ┃        ┗━弾薬分隊
    ┣━聯隊歩兵砲隊(400名):四一式山砲8門。
    ┃  ┣━隊本部
    ┃  ┣━山砲中隊×2
    ┃  ┃   ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃   ┣━火工分隊
    ┃  ┃   ┣━山砲小隊×2
    ┃  ┃   ┃   ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃   ┃   ┗━聯隊砲分隊×2
    ┃  ┃   ┗━弾薬小隊
    ┃  ┃       ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃       ┗━弾薬分隊×5
    ┃  ┗━段列
    ┗━聯隊速射砲隊(400名):九四式速射砲8門。
       ┣━隊本部
       ┣━速射砲中隊×2
       ┃  ┣━中隊指揮班
       ┃  ┣━火工分隊
       ┃  ┗━速射砲小隊×2
       ┃      ┣━小隊指揮班
       ┃      ┣━速射砲分隊×2
       ┃      ┃   ┣━指揮班
       ┃      ┃   ┣━戦砲班
       ┃      ┃   ┗━弾薬班
       ┃      ┗━弾薬分隊
       ┗━段列

85 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:03:28 ID:Hd5cQ7n60
 保有する重火器は四一式山砲8門、九四式速射砲8門、九二式歩兵砲12門、九七式自動砲6門、九二式重機関銃36挺。
 歩兵中隊が12個から9個に減少――ただし減少した3個中隊分の軽機や擲弾筒は防御用として大隊本部や各砲隊に配備されている――したことにより白兵戦力こそ若干低下したものの、重機や砲といった重火器はほぼ倍増している。その人員といい装備といい、もはや“旅団”と言っても良い規模で、従来の歩兵聯隊と比較して軽く五割増し以上の戦闘力である。
 これこそが転移後に行われた大軍縮、その代償だった。

 転移直後に行われた大軍縮により、歩兵聯隊は180個超から51個に、歩兵大隊(独立大隊も含む)は700個超から300個以下へと激減した。
 が、これにより大量の余剰兵器が発生、旧式兵器ですら満足に行き渡らなかった様な状況が一変したこともまた事実だった。
 各部隊は軒並み最新型……と言わぬまでも第一線の装備で定数を満たし、それでも尚多数の装備が余ったのだ。
 陸軍はその余剰装備を流用し、部隊の近代化に着手した。 ……所謂、“昭和一七年型編制”である。
 そして上記の編制こそが、“昭和一七年型歩兵聯隊”だった。
 ……皮肉なことだがこの大軍縮こそが、結果として歩兵の火力密度を高めることとなったのである。 



 「上陸、開始!」

 聯隊長の号令一下、大隊は母船から降ろされた大発やボートで次々と海岸へと向かう。
 ……大隊長ではない、聯隊長だ。

86 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:03:58 ID:Hd5cQ7n60
 同大隊は、実は聯隊長が直卒している。
 と言うのも、大隊首脳部がとある事情により、全員病院送りになったからだった。
 原因は“食中毒”。 ……笑うことなかれ。この“食中毒”こそ、“帝國”軍将兵を最も死傷させている“敵”の一つなのだから。

 当たり前のことだが、この世界“アルフェイム”は元の世界と何の関係も無い。(多分)
 故に、全く見たことも聞いたことも無い様な動植物で溢れているし、一見元の世界と似た動植物でも全く同じ筈が無い(多分)。
 ……何が言いたいかといえば、『食用に適するかどうか、いちいち調べなければならない』ということだ。
 多くは語らぬが、大隊首脳部が“食中毒”後送されたのもそういった理由からだった。

 まあそんな訳で大隊を指揮する面々が不在となり、敢闘精神に溢れる聯隊長自ら指揮を採ることとなったのである。
(聯隊長の意気込みは相当なもので、僅かな供回りのみを連れ輸送機を乗り継ぎ合流。“新夕張丸”に乗り込んだ)

 なお同大隊は、聯隊長の名をとって“一木支隊”と呼称されていた。(*1)

*1『なお同大隊は、聯隊長の名をとって“一木支隊”と呼称された。』
 正確には聯隊全体を指すべきだが、以下の点から第一大隊のみを指す場合が多い。
 ・他の部隊が広範囲に分散しており、聯隊長の指揮下にあるのが同大隊しかないこと。
 ・上と重複するが、海軍指揮下となっているのが、現在同大隊しかないこと。

87 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:04:30 ID:Hd5cQ7n60
 全くの無抵抗で、“帝國”軍は上陸を完了した。
 敵を水際で叩くことはこの世界でも常識だったが、ロッシェル軍はみすみすそれを許したのだ。
 ……いや、許したのではない、許さざるを得なかったのだ。
 そのことは、当時のロッシェル軍の陣容を見れば明白だった。

  クノス島駐留軍(180名以下):統合指揮官、第13飛竜連隊長ギスラン・クロケット大佐
    第13飛竜連隊残余
    クノス島防備隊残余
    クノス島工兵分遣隊
    クノス島輜重分遣隊
    クノス島工廠分遣隊
    クノス島竜廠分遣隊
    クノス島施療分遣隊
    クノス島通信分遣隊
    クノス島州兵中隊残余

 ――以上が“帝國”軍上陸直前のロッシェル軍の序列である。
 一見しただけでお判り頂けるだろうが、まともな陸戦部隊が存在しない。
 第13飛竜連隊は(空中戦力を失ったとはいえ)航空部隊であるし、防備隊は基地部隊だ。
 唯一それらしく見える州兵中隊も、治安維持用の“武装警察”に過ぎない。
 各分遣隊(総員80名以下)に至っては中少尉を長とする10〜20名の基幹要員で、そもそも戦闘部隊ですらなかった。
 ……それ故、ロッシェル軍は水際での抵抗を諦め、島の内部に潜んだのだった。

88 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:05:36 ID:Hd5cQ7n60
 が、この時点で多くの脱走者が続出。“帝國”軍との交戦を待たずしてロッシェル軍はその戦力の1/3以上を失っていた。
 ……それはそうだろう。脱走者は防備隊と州兵に集中しているが、そもそも彼等は地元の北クローゼ出身者で占められている上に年季奉公――それも税を払えないため止む無く――の平民だ。これ程の状況で戦う義理は無い。(それ以外に逃げた者達も多くが職人等の軍属で、本来戦うことのない者達だった)

 何れにせよロッシェル軍は、100名程にまで痩せ細っていた。
 対する“帝國”軍は海空からの支援を受ける1000超、戦う前から勝敗は見えていた。

 それにも関わらず、彼等は抵抗を選んだのである。

89 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/27(月) 13:06:07 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 今回は両軍の状況だったけど、SSになってないなあ。

90 名前:34:2007/08/27(月) 17:48:43 ID:RWRl2OrU0
40様、くろべえ様ありがとうございました。
明日には完成する予定です。

完成したらデジカメで撮影してくろべえ様のHPに投稿してもよいでしょうか?

91 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/27(月) 19:37:42 ID:rN4iR8xY0
餓島で初めて米正規師団と交戦、軍旗を焼いて自決した人ですね。
帝國で初めて正規の戦竜と交戦、その後はお約束でしょう。

92 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/27(月) 19:50:18 ID:8RNT3GbA0
せめて創作の中だけでも一木支隊に栄光を…

93 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/27(月) 19:55:58 ID:PrNDtOqYO
飛ばされる前の黒田さんがいたとこか

94 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/08/28(火) 19:14:05 ID:Hd5cQ7n60
 HPにロッシェル王国軍の編制表を載せときましたので、よろしければどうぞ御覧になって下さい。

>>90
>完成したらデジカメで撮影してくろべえ様のHPに投稿してもよいでしょうか?
 歓迎しますよ。お待ちしています。

>>91〜93
>一木支隊
 史実より多少強化されてます。
 とりあえずはこの島を落とすことが任務ですが……

>戦竜と交戦
 戦竜ではありませんが、手負いのワイバーン狩りです(笑)

>飛ばされる前の黒田さんがいたとこか
 現在、彼のいたポストは陸士出の少尉ドノが座っております。
 自分にも他人にも厳しいお方だそうです。
 対する黒部さんは、ケネットで自堕落な生活を……

95 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/28(火) 21:44:47 ID:PrNDtOqYO
あ、黒部だった
本編初登場を期待してたんだが、既に飛ばされてるのか…

96 名前:陸士長:2007/08/28(火) 23:12:28 ID:4aQKNtow0
この部隊で戦竜と戦うとなると、東部戦線で軽戦車と対戦車兵器で戦う歩兵な感じになりますね。
機動力と突破力では戦竜が上でしょうけど、日本兵側も重火器や砲を装備しているので撃破可能と。
後は、どちらが柔軟に相手の戦力を理解するかってトコでしょうか。

まぁ、守備隊側に戦竜が居れば脱走兵も少しは減っていたでしょうね。
相手の数が多くても、この世界では歩兵1人の火力や戦力なんてたかがしれてるでしょうし。
だからこそ戦竜は歩兵にとって死に神なんでしょうが。
その辺、装備次第では戦車も撃破出来る現実世界WW1以降の歩兵装備って革新的ですね。

97 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 00:27:22 ID:/2CT.lw60
そもそも乗り手が丸出しの竜は強いんですか?
「帝国男子たるもの敵進行方向の真正面以外で戦ってはならない」とかの有り難いお言葉あったかな?
初っぱなから銃剣突撃するとかするんですかね。

98 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 02:20:20 ID:GI4HTs6o0
>>97
そこで魔法ですよ。

99 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 03:08:02 ID:Z7RsDRes0
>>97

つ 防御結界

見えないだけでちゃんと装甲があるのです

100 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 13:25:44 ID:awW6R4Oc0
土塁やら壕などを張り巡らせた近代的な野戦防御陣地がF世界に与える影響は大きいだろうなぁ。

101 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 15:51:46 ID:3ABRIGlA0
塹壕を思いついたのが、一次大戦だったからね。

102 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 16:38:14 ID:wajGzsm.0
塹壕を効率的に抜こうとしたのが浸透突破
肉弾ともいうが要塞や市街地、塹壕などの方が効果発揮するんだよね
12人ぐらいで分隊作って隊長の指示で弱い箇所に攻撃しかけるってやつだし

103 名前:34:2007/08/29(水) 16:44:22 ID:rO2AynXc0
御蔵型が完成したのでの写真を送りました。
写真に撮ると思っていたよりも塗装が雑だったり細かいミスが見えたりして少しヘコんでいます。

104 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 21:21:40 ID:h8.syAIA0
>>98>>99
戦竜にもマッジクバリア付いてましたっけ?

次回のSS中で出演が予告されたワイバーンロードにはマジックバリア付いてますけど。

105 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 22:09:24 ID:3ABRIGlA0
・・・しかし、このペースではレムリア平定までどれ程かかることか
そして、黒部男爵とサーナさんと双子が再会できる日は!

106 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/29(水) 22:41:06 ID:GI4HTs6o0
>>104
つ 帝國資料館

旧版では、戦竜にも防護結界は付いていますよ。

107 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/30(木) 00:41:23 ID:h8.syAIA0
>>106
バリア付きだったか、ありがと。
ブレスを吐く描写は記憶にあったんですが、バリアの方はさっぱり覚えてなかった。
どこで読んだかもうおばえてないな、又読み返してみるか。

108 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/30(木) 08:53:03 ID:bJFcWGuQ0
>>100

騎士たるものが穴倉に隠れて敵を窺うような姑息な真似ができるか!と
時代錯誤な事を言って…はいないか

中央世界の国軍なら一応WW1近くにまで発展して魔道砲とかいう重砲も
旧版より底上げされ予定らしいし

109 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/30(木) 09:58:51 ID:55XpGFAo0
>塹壕
初めて塹壕戦術が出てきたのは南北戦争ですね。
小銃の弾幕射撃の射程と密度が上がったので取られ始めたわけで本格的な
大規模運用は第一次世界大戦ですケド。
アルフェイム世界では近代的な防御陣地として帝國の永久陣地などが普及
するかも。

>魔道砲とかいう重砲も
魔道砲の半数必中界ってどんなもんなんでしょう?
WW2初頭の重砲の半数必中界と同等レベルの物なのか、たとえ同等で
あったとしても威力がどれだけ減衰するのかにもよるのではないで
しょうか。
後は直轄領における要塞構築とか(旅順みたいですが)も帝國がどんな風に
築城しているのかを密かに観察する列強駐在武官とかがいるかもしれま
せん。
現代戦では要塞はゲリラ戦支援や防護くらいにしか使えなくなってますが
核兵器や燃料気化爆弾が出てこないアルフェイムなら十分すぎるほどの
脅威になりそーですね。

110 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/31(金) 16:36:17 ID:bJFcWGuQ0
今日は楽しい夏休み最終日♪ってな事で

本当に人いないね

111 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/31(金) 16:51:49 ID:njlPJyHw0
明日明後日は土日だぞ

112 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/31(金) 17:50:25 ID:bJFcWGuQ0
だからといってあと二日あると余裕こいていると
月曜日の朝に泣くわけだなw

それはともかく
最近二次創作の作家さんも減ったな
どこか別スレで書いてる?

113 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/08/31(金) 17:53:51 ID:X9DoCVGA0
コミケで燃え尽きて充電中では?

114 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/01(土) 10:31:55 ID:MtzrBVO20
一週間前のコメントにレス

>>48
国内における地熱発電は1925年に大分・別府温泉で1.12Kwの発電に成功したのが始まりだ
そうな。もっとも実用化は戦後になりましたが。日本で地熱発電の事例があまり無いのは、
適地が国立・国定公園だったり温泉観光地だったりするからだそうです。帝國ならあえて遠慮
することもないかと。

旧国鉄信濃川水力発電所はJR東日本に引き継がれ、現在も稼働中です。JR東日本は同様に
旧国鉄から継承した川崎火力発電所と合わせ、首都圏のJR使用電力の9割を生産し、さらに
東海道新幹線へも供給しています。もし東京電力がダウンした場合でもJRは多少の間引き
ダイヤで運行できるようです。

115 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/01(土) 12:05:03 ID:55XpGFAo0
>水力発電
電気っていうのは明治時代、文明開化の象徴としても扱われたので
近代化や文明化の帝國側の象徴としてはうってつけかと。
実際「電気ブラン」てえな名前のお酒もありますしな(飲んだ事は無い)。
あのお酒は確かブランデーベースなのでごっつう度数が高かった覚え
があります40度くらいだっけ(阪神百貨店で見た時は度数によって2種類
あったよーな)?

お酒にしても度数の高いお酒を大量に作るには蒸留技術が発達していない
と駄目ですし発酵酒の場合は効率の良い発酵菌種を作っていかないといけ
ませんからこの点でも帝國の科学技術は有用でしょう。

116 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/01(土) 23:40:50 ID:oVuuhHNoO
そういや帝國の嗜好品は早い時期からメディチ家を通じて列強に輸出してましたっけ?

117 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 08:29:52 ID:55XpGFAo0
>メディチ家
年表を見る限りではそうですね〜。
珍しい物を買い取って〜という文があるので帝國の民芸品とかを輸出
していたのかもしれないですね。
漆器とか売れそうなんですが朱塗りの椀なんてエキゾチックに見える
かも他には高度なガラス工芸品もよいかもですよ(複雑なカットガラス等)。

118 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 10:16:29 ID:VtHR586k0
>メディチ家
ガラス工芸品と共にやはり化粧品でしょうか、「仁」でもありましたが魔法、錬金術で弄って無い限り紅や白粉が鉛製品で危険極まりないから帝國製が鉛フリーになればヒットするかも。
最も当時の帝國製の成分は不勉強で判らず鉛入りなら駄目ですが。

119 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 10:31:37 ID:sTS7uK0c0
日本では1934年(昭和9年)に鉛を使用した白粉の製造が禁止された

120 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 12:14:16 ID:55XpGFAo0
後は絵の具なんかも意外な点では好評かも。
先日神戸市立博物館でやっていた「西洋の蒼」という展覧会を見てた
んですが合成顔料の開発ちゅうのは帝國の科学技術を見せ付ける上で
もインパクトはあるかも。
風景画の中には自然界に存在する色調を忠実に表現しようという試み
で書かれるものもあるので芸術家の中には何がなんでも手に入れたい
という人はいると思います。

アルフェイム世界の絵の具がどのようなものかは知らないですが水性
絵の具やテンペラ中心のものしか普及していないなら画家の中には帝國
謹製の絵の具に圧倒されると思いますよ。
水性絵の具にしてもガッシュなんかは産業革命以前は透明度が良くない
絵の具しかなかったそうなので従軍画家が使っている絵の具を見て驚愕
したりとかありそうですね。

121 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 22:33:29 ID:syBUYb2Y0
漏れとしては、当時の高層建築(浅草の十二階とか)を、
帝國総督府が開府される都市に造る方が・・・と考えます。
で、立派で頑丈なのを造って、邦国人や帝國臣民であるダークエルフや
獣人たちが「自分たちは摩天楼で働いているのだ!」と。

中世レベル世界での超高層建築(実用)
インパクトあるでしょうな

122 名前:ここまで読んだ ◆zJ6rFHbX8Q:2007/09/02(日) 23:17:06 ID:XA/lA57k0
|∀゚) 誰も居ない…投下するなら今のうち
|⊂

123 名前:ここまで読んだ ◆zJ6rFHbX8Q:2007/09/02(日) 23:17:39 ID:XA/lA57k0
静かな月

帝國
異世界から来た彼等はこの世界においては、異邦者であるがゆえに
その諜報活動などはダークエルフ一族が一手に請け負っていた。

帝國は彼らに情報省という新しい組織をも与えた。
日本人職員も勿論いたが、そのトップはダークエルフの王太子であり、
事実上ダークエルフの組織であった。

しかし、本当に帝國本来の諜報機関は無くなったのだろうか?

表向きかつての諜報機関に属していた者はその多くが情報省に転属扱いとなり
組織改変により消えたかのように見える。

だが、本当の暗部はその役割を忘れていなかった。
東部33部隊、満鉄調査部、南方資源調査局など様々な組織の中でも
特に無法な活動だけを与えられていた者たちは、
いまだ闇の中で爪を研ぎ澄ませ目を凝らしていた。

帝國に仇なす者は何者であろうと確実に取り除く為に…


高級クラブの帰り道、男は初老の従者を連れ立って歩いていた。
「この寒さも酔い覚ましにはちょうど良い」

「無用心でございますよ、若」

「若はやめろ、弦太 それに周りをお前達が固めているのに誰が狙える?」

「用心には用心を重ねるべきです。」

「ククッそれよりだ。跳ね駒どもの件、進んでいるか?」

「細部まではまだですが、財界内部では大方の者の足跡を捉えました。」

「そうか……今は別件だが、松島事件が切っ掛けになってようやくお偉方も重い腰を上げてくれるそうだ。
 お前達の中から派遣する必要が出てきた」

「ようやくですな」

「正面きっての戦争に我等は必要ないさ、その程度の仕事は黒耳どもに任せておけば良い。
 新聞にのるような事件も我等には関係ない。そっちは憲兵が行えば良い。
 我等は人には言えぬ膿や毒を切りだし取り除くそれだけだ。用意しておけ」

「「「了」」」

路地裏の暗がり、側溝のどぶの中、電柱の影、およそ人の隠れられる隙間などないように見える方向から幾つもの答えが返ってくる。

冷たい夜気の中に白々と浮かび上がる上弦の月を見上げながら男は呟いた。
「忘れるな、何人無辜の者を殺そうと、そしてお前達が何人死のうと、
 それが御国の為なら是である事を…我等人に非ず護国の道具である事を」

この国特有の狂気の結晶、正史では決して語られない者達もまた動き出そうとしていた。

より深い闇を煮詰めたその集団は、
その役割に似つかわしくない艶やかな名で呼ばれる。

『月光』と……

124 名前:ここまで読んだ ◆zJ6rFHbX8Q:2007/09/02(日) 23:19:16 ID:XA/lA57k0
てなもんで、山田風太郎先生風味な

忍者部隊月光なんていう電波がふっと頭によぎってしまいましたw

125 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/02(日) 23:36:39 ID:lUmeIgxc0
投下乙
そのうち諸外国が日本といえば「ニンジャ」というようにあっちでも「忍者」という単語が有名になる様子が頭を(ry

126 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 10:03:08 ID:bJFcWGuQ0
投下乙
山田風太郎ってバジリスクの原作者かw
忍術対魔術合戦でも起きそうだなww

127 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 12:02:55 ID:55XpGFAo0
>高層建築
租界のあった上海なんかには1910〜40年ごろまでにかけて上海海関なんか
がありましたから直轄地や同盟国内にも建築してみたら宣伝になります
ねえ(帝國の寄贈で作られた○○とか)。

128 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 19:14:22 ID:XCyhDccc0
辺境の小邦国から出てきた邦国貴族とか士族とかが、口をあけて
仰ぎ見ているのが当たり前の光景になるわけですな。<高層建築
そして、要人や成功者が最上階に事務所を置くのがステータスに・・・・

でも、最高で20階くらいなんだろうけどね

129 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 19:46:21 ID:jSRNAJx60
       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
    /  `´  \
     ('A`)
     ノヽノヽ
       くく

そうだ!「月光」に十三試陸戦を配備しよう!

130 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 20:15:05 ID:oVuuhHNoO
後に噂だけが先行し、セーラームーンの人気もあいまって、
十三試陸戦に乗り、セーラームーンのコスプレをした
ムサイ男達というキャラが形成されていくに至った……
という電波を受信してしまったorz

131 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 20:40:32 ID:55XpGFAo0
>最高で20階くらい
いや、20階建てでも十分高層ビルの部類ですよ当時としては。
日本では、関東大震災を教訓として建物の高さは百尺(約31m)
に制限されてたので改訂版に帝都大改造が無いのであれば大体
10階建てくらいまでしか国内では建てられないハズです。

戦後建築基準法が改正されて霞ヶ関ビル(地上高147m)が出来てから
大分変わっただけなので戦前で20階建ての実用的(ここ重要)な建築物
なら十分価値があると思います。
チェーン店のごとく邦国内に帝國国内の有名百貨店とか小売店が進出
したら物流の考え方を商業モデルにしようと考えるアルフェイム商人
が出たりして。

132 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 21:02:27 ID:yQ.yKGeM0
>チェーン店のごとく邦国内に帝國国内の有名百貨店とか小売店が進出

いや、やっぱり「帝國の支配と権勢の象徴」だから、総督府の官僚機構とか
帝國陸海軍の事務部門とか、財閥のオフィスや帝國貴族(譜代・外様)の
「拠点」とか・・・・
で、それらと別のフロアにあるオフィスで働くホワイトカラー(エリート)が
時代の最先端として憧れの的に!
正面フロアの受付嬢とかも、ダークエルフや獣人の美人で、最上階に
上がるのに、さぞかし階段がきついだろうと考えていたら、エレベーターと
言うものがあって・・・・

現地人が始めて高層ビルを見たり入ったりするだけで、一本話が作れますな。

133 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 21:10:38 ID:55XpGFAo0
>受付嬢
受付嬢を出すなら百貨店のエレベーターガールもアリだと思うのですよ。
最近の百貨店のエレベーターは自動化が進んでいてエレベーターガール
がいない所も珍しくは無いですが、ふらりと立ち寄った百貨店に彼女ら
がいるとなんか嬉しいと感じてしまうのはアレですかね(苦笑)。

受付で内線電話を使ってアポイトメントの確認をする・・・というシチュ
エーションもいいですね。

134 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 22:06:00 ID:sAtYJwjE0
そして、エレベーターガール達が身に纏う
洗練された帝國製ファッションに彩られた衣装を目にした海外の貴婦人方が
こぞって同じようなデザインを求めたりするわけですね。

135 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 22:42:14 ID:yQ.yKGeM0
貴婦人は違うでしょう。
それより、爵位を持たない上流階級(領地を持たない)とか、裕福な商家の若い娘とかが
最先端の職業婦人として憧れると思う。
容姿も能力も立ち振る舞いも厳選されているだろうから、良い縁談が殺到するだろうし。

帝國総督府ビルヂングの受付嬢と言ったら、それこそ帝國貴族様の次男三男の夫人にも
なれると、おばあちゃんがお前ぐらいの頃は、若い娘たちの憧れの職でねぇ・・・

等と、一時代を映す職業になるかも!

136 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/03(月) 22:45:58 ID:bMnlI5ig0
>125
(ノ∀`)
ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1026321.html

137 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 06:21:35 ID:lUmeIgxc0
>>136
スレでも言ってる奴いるが堂々と忍者コスで行動する忍者が何処にいるんだよwww

138 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 08:34:07 ID:55XpGFAo0
>>136
史実でも草と呼ばれていた忍者は一般ピープルの姿格好してたわけだから
わざわざ正体ばらしてまで出向くとは自己主張の強い忍者もいたもんだな。

139 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 11:25:31 ID:lKa/s3jg0
>>130
こち亀に似たような二人組みのコスプレおまわりさんがいた。
しかも夜間戦闘機「月光」乗り回したシーンも・・・

140 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 11:39:52 ID:FR/aNtGM0
草は諜報部門のスパイ。
忍者は工作部門の特殊部隊。
そう、忍者コスは特殊部隊の格好だったのだよ。
たぶん、きっと。

141 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 16:32:48 ID:5uhJNofA0
>>130
ムーンライト刑事かよwww

142 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 19:55:01 ID:KWBoX7960
>>135
実は総督府のエレベーターガールたちは
身分を偽って総督府に潜り込もうとする列強の諜報員を
密室で隠密履に排除するために特殊な訓練を受けたニンジャ達だったんだよ!
以来ニンジャといえばエレベーターガール姿というのが後の風潮に…。

143 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 20:04:39 ID:SmNt80W60
>>136
噴いたw
殴りこんだ忍者は高槻巌かよ。
少林寺、あの無敵NINJAに何か目を付けられることでもしてたんだろうかww

144 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:52:44 ID:Hd5cQ7n60
 皆様、お久し振りです。
 夏休みも終わりですね。宿題は終わったでしょうか? レポートは書けたでしょうか?
 ……試験対策、終わりましたか?

>>96
>機動力と突破力では戦竜が上でしょうけど、日本兵側も重火器や砲を装備しているので撃破可能と。
 中隊レベルではお手上げ、という訳であります。
 ……まあ重機2挺あるから連射で仕留められるだろうけど、阻止できる数は知れてますからねえ。

>>97〜99
 戦竜についての詳細は何れ……

>>100〜102
 一応この世界にも野戦築城はありますが、近代的なそれとは比べ物にならないでしょうからねえ。

>>103
>御蔵型が完成したのでの写真を送りました。
 34様、有難うございます。
 けど、メールは届いておりません。お手数ですがもう一度お送り願えないでしょうか?

>>105
>そして、黒部男爵とサーナさんと双子が再会できる日は!
 シロも入れてあげて下さい。あれでもお年頃?の♀なのですから。

>>108、109
>魔道砲
 威力は兎も角、駐退機と復座機がありませんからねえ。
 観測手段も……ああ、これは帝國も他人のこといえないや。一部の重砲除いて直接照準が大半だしなあ。

145 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:55:12 ID:Hd5cQ7n60
>>114
 114様、有難うございます。

>発電
 大陸では未だ自家発電ですが、そろそろ発電所を造る必要があるでしょうね。
 ……やはり火力発電かな? 石炭なら何処でも採れるし。
 水力発電もいいけど、火力発電所の方が造るの早そうだからなあ。

>>115
>酒
 一部高級酒なんかは輸出してるみたいです。

>>116〜119
>そういや帝國の嗜好品は早い時期からメディチ家を通じて列強に輸出してましたっけ?
 旧版では化粧品を始めとする女性用ブランド品、医療サービス、絹、ガラス、菓子や缶詰、文房具や石鹸なんかが輸出されていました。
(詳しくは旧版短編をご参照下さい)

>>120
>絵の具
 ああ、これは盲点でした。確かに売れるでしょうねえ。
 ……逆に写真は売れないかも。魔法で再現できるし。(立体映像すら可)
 あ〜、でも庶民相手には商売になるかな? 魔法よりよほど安価だから。

>>121
 確かに帝國式の城として、総督府官庁にはもってこいですねえ。
 ……しかも周囲は全て平屋建て。
 最上階から“城下町”を見下ろす総督ドノが、「人がゴミのようだ!」とか言ったり言わなかったりして。

>>122
 ここまで読んだ様、投稿乙です。

 やはり拳銃は最後の武器でありますか?

146 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:56:05 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』前編

 清華。

 中央世界から遠く離れた極東の地に存在する彼の国は、でありながら列強(*1)として君臨する唯一の国家だった。
 ……これは前代未聞のことである。

 アルフェイムでは小内海こそが世界の中心であり、その沿岸地域――即ち中央世界――に存在する国、住まう者のみが“文明国”“文明人”とされている。
 その他は全て辺境であり、夷狄戎蛮の棲まう地である。ましてや遠い東の果て極東など、蛮族とはいえもはや人の住む地ではない。その様な辺境中の辺境の国家に“列強”の称号を与えるなど、“常識”では考えられなかった。

 更にある。

 清華人は米を喰らう。
 無論麦や肉も食すが、米も喰らう。

 ――なんと野蛮なことよ。

 まるで小さな蟲を無数に盛ったかの様な椀を、それを食すのを見て、中央世界の“文明人”達は哂ったことだろう。
 さすが東夷共にすら“東夷”と呼ばれるだけのことはある、と。
 ……そして哂うと同時に、反感も覚えた筈だ。

 ――なんと生意気なことよ。

 他の蛮族共の様に中央世界の風を真似るのでなければ、恥じて自国の風を隠すのでもない。
 かといって気負っている様子も見せずに平然と自国の風を見せ付けるその態度は、“文明人”達を甚く刺激した。
 こいつ等は自分達を……ひいてはこの中央世界を“世界の中心”と見做していないのではないか――そう疑念を抱かせる程に。

147 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:56:49 ID:Hd5cQ7n60
 が、それでも尚、中央世界は清華を列強として認めた。
 如何な極東の果てとはいえ、3億とも4億とも言われる人口を誇る超巨大国家である。無視し続けるなど土台不可能な話だった。
 加えて清華は東方辺境領域に多大な影響力を有しており、巨大な経済圏を独自に築いている。経済的な観点からも国交は不可欠だ。
 ……認めざるを得なかったのだ。
 それ故、列強諸国は渋々とこの“東夷の大親分”を迎え入れたのである。

 清華が列強となれたのは、まあその様な理由からだ。

 尤も、列強諸国はあくまで“客人”として清華を向迎え入れたのであって、仲間として共に中央世界での権益を分かち合う気は更々無い。
 彼等が認めたのは、清華を外交上対等に扱うこと、東方辺境領域――自分達の手が及ば(べ)ない場所――における清華の権益を認めること、という現状追認的なものに過ぎなかった。
 そして権益分配等の実質的な話し合いでは、清華は常に蚊帳の外に置かれていたのである。
(対する清華もこれを受け入れた。彼等からすれば遠い中央世界での権益など画餅同然であり、対等な外交・交易関係を結べばそれで十分だったからだ)

 この様に、清華は列強諸国の中で浮いた(孤立した)存在、と言えた。



 話を本題に移そう。
 清華は世界最大の国家である。
 人口30,000万人余。が、これすらも平民のみの数字であり、他の階層は算入されていないのだ。
 およそ100万人の王侯貴族、1000万人の士族、300〜400万人の聖職者……そして500万とも600万とも言われる賤民をも含めれば、32,000〜33,000万人にも達するだろう。
 ……これはアルフェイム人口の1/6、他の大文明圏の3倍に近い数字であった。

148 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:57:24 ID:Hd5cQ7n60
 単独でこれ程の巨大文明圏に成長できたのには、理由がある。
 後に“帝國”の研究によって明らかになるのだが、実は清華は……と言うよりもこの文明圏(*2)は『二つの大文明圏とその周辺の中小文明圏が統合』して生まれた“巨大文明圏”なのだ。(北部は麦を主食とし、南部は米を主食とする理由もこれで説明がつく)
 他の地域とは異なり文明圏間の距離が近接していた上、大河が多いために陸輸だけでなく海運も可能だった点を“帝國”の研究者は指摘しているが、何れにせよこれだけの領域を統一した清華開祖は間違いなく世界屈指の“英雄”と言えるだろう。

 ……が、これだけの領域である。全国を完全な統制の元に置く事は不可能……と言わないまでも非常に困難である。
 それ故、清華開祖は郡国制を採用し、特に辺境には実子に大領を与えて配した。秦・蜀・楚・呉・越・斉・燕・趙・魏・韓の“清華十王国”である。
 他にも多数の諸侯・貴族を各地に配し、その地域の要とした。
 彼等は俗に『十王爵、一千諸侯、三千卿、七万大夫』と称される清華の譜代直参貴族(*3)であり、その詳細は以下の通り――

  王爵 1000万石前後の国(州)守
  公爵 20〜50万石前後の郡守或いは郡守格(最低基準10万石以上)
  侯爵 2〜5万石の県守或いは県守格 (最低基準1万石以上)
  伯爵 2〜5万石の領主或いは領主格 (最低基準1万石以上)
  卿爵 3000〜1万石の領主或いは領主格
  上大夫 500〜3000石の領主或いは領主格
  下大夫 500石未満の領主或いは領主格

  *“王侯”とは王・公・侯・伯、“諸侯”とは公・侯・伯、“王侯貴族”とは王・公・侯・伯・大夫を指す。

149 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:57:57 ID:Hd5cQ7n60
 こうして見ると、貴族とは『領地を有する(と見做される)者』だということが判る。如何な大禄――この場合多くは一代限りだが――を得ようと、領主でなければ士に過ぎぬのだ。
 貴族とは、領地を治めて地域の安定を図ると共に、一朝事ある時は兵を率いて駆け参じる藩屏であり、
 士は、その文武でもって主君に使える官である、という訳だ。
 ……尤も現在では軍事権まで有している完全な“領主”は王のみであり、公侯は統治権のみ、伯以下に至っては徴税権を有するだけの存在に過ぎないが。
(ちなみに上で“石”――清華の1石は約210L――という単位が使われているが、これはかつて江戸期以前の“帝國”の様な租税形態を用いてきた時の名残であり、最早完全に形骸化している。『1石=領民1人』と考えた方が早いだろう)

 そんな数多の直参貴族の中に、一人の元“帝國”人がいた。陶侯、朱祐である。


*1 ――列強――
 大文明圏における最強国家に与えられる尊称。世界有数の国力を有し、周囲の文明圏のみならず遠方の文明圏にまで多大な影響力を有する――ここまでは“帝國”における定義と同じだが、大きく異なる点が幾つか挙げられる。

@海外領土を殆ど――或いは全く――保有していない。
 アルフェイムでは空軍(ワイバーン)の力が陸海軍を圧倒しており、海上からの戦力投射は自殺行為と同義語にまでなっている。例え小規模文明圏が相手でも腰を据えて、それでもかなりの損害を覚悟せねばならぬだろう。陸続きの周辺文明圏の場合においても同様で、大概距離が離れているため困難な遠征となる場合が多い。
 ……要するに、他文明圏の侵略などこの世界では――ことに中央世界においては――とても割に合う行為ではない、ということだ。

150 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 20:58:35 ID:Hd5cQ7n60
A多文明圏間の相互補完関係。
 @で挙げた様に、海外への軍事力投射は非常に困難である。それでも列強諸国が多大な影響力を及ぼせる理由は、その経済力と魔法技術力で各文明圏の有力国を取り込み、同盟国としているからだ。
 彼等同盟国が列強の軍事力を代行し、その文明圏における列強のシーレーンや権益を守る。その代わりに列強のシーレーン網を利用して交易出来るし、(退役した中古とはいえ)ワイバーン・ロード等の強力な魔法兵器を優先的に購入することも出来る。戦時には援助だって受けられるだろう。文明圏内で非常に優位な立場に立つことが可能なのだ。
 この様な列強を盟主とする有志連合の“相互補完関係”、そして列強間の“談合”こそが、この世界における標準的な国際関係なのである。(それ故、外交というものが非常に重視されている)

*2 ――文明圏――
 アルフェイムは地球の表面積のおよそ3倍であり、その陸地面積も2倍を越える。加えて大陸奥地や辺地には魔獣が存在するため、人類は大陸海岸沿いにまるで海に浮かぶ小島の様に点々と散らばった生活圏を形成している。これが“文明圏”だ。
 その規模は様々であり、“大文明圏”ならばその人口は10,000万人前後に達するが、他の“中小文明圏”ならば中央世界でもせいぜい1,000万人前後に過ぎず、2000万を越えることは無い。それ以外の所謂“辺境”ともなれば100万人前後だろう。
(なお余談ではあるが、世界人口200,000万人のうち、およそ半数が中央世界で暮らしている)

*3 ――譜代直参貴族――
 この場合の“譜代”とは『代々の臣』ではなく『子孫に爵位を相続可能な』という意。(ちなみに『代々の臣』は“重代の臣”と呼ぶ)
 故に、譜代でなければその地位は一代限りである。

151 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/04(火) 21:00:11 ID:Hd5cQ7n60
 投下終了。
 とりあえず清華初登場です。

152 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/04(火) 23:04:46 ID:55XpGFAo0
>151
くろべえさん乙です。
清華かぁ我々の世界の中華民国(シナ)とは違いますからなぁ。
以外と「影の政府」のように潜在的な存在感をちらつかせる辺り
したたかですね。
後、清華がその人口を維持できるのは多分米を主食にしている人口
が多いからかもしれませんね。
単位面積当たりの収穫量では米は優れていますから。

153 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 00:13:55 ID:oVuuhHNoO
投下乙です。

清華TUEEー!!
史実の中華とどことなく似てて想像力が刺激されます。
というか列強諸国は米を蟲と・・・そんなに小麦が好きかぁ!!
でもこの世界の米って原種に近くて美味しくないんですよね?
もしかしたら清華は品種改良してるかもしれないけど、
中央世界は偏見が強くて食ってないとか。
ヨークタウンさんの話でカレーライスが登場しましたけど、
これじゃあカレーライスはこの世界では不評かも。

154 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 02:35:00 ID:/vLJHLkg0
投下乙。
米は15〜17世紀ごろにアラブから西欧へと伝わって、最初は貴重品っぽく薬局で売ってたらしいです
この世界だと、リゾットとかあるんでしょうかねぇ……

155 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 10:48:23 ID:IJESEFOQ0
>>63

可能性は0でしょうが清華開祖が日本人(旧幕臣)だったらいいかも。

建国から時が経つにつれ自分たちがどこの出身か忘れた清華王族。
帝國転移から数年たったある日、極秘裏に入手した帝國の書物を読んでいた王はふと気付いた
「あれ?これと同じもの、宝物庫のどっかに見た気が」
で宝物庫から遺留品を引っ張り出し解斥、次々と明るみに出る驚愕の真実、
果たして王の決断は?
そしてアルフェイム世界を巻き込んでの新政府軍VS幕軍の因縁の戦いは勃発するか?


なわけないか

156 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 10:48:23 ID:IJESEFOQ0
>>63

可能性は0でしょうが清華開祖が日本人(旧幕臣)だったらいいかも。

建国から時が経つにつれ自分たちがどこの出身か忘れた清華王族。
帝國転移から数年たったある日、極秘裏に入手した帝國の書物を読んでいた王はふと気付いた
「あれ?これと同じもの、宝物庫のどっかに見た気が」
で宝物庫から遺留品を引っ張り出し解斥、次々と明るみに出る驚愕の真実、
果たして王の決断は?
そしてアルフェイム世界を巻き込んでの新政府軍VS幕軍の因縁の戦いは勃発するか?


なわけないか

157 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 10:49:48 ID:IJESEFOQ0
あっ、いつのまに2重投稿・・・

158 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 12:39:44 ID:oVuuhHNoO
元帝國人が清華の貴族として暮らしてるということは、
清華人は黒眼・黒髪・黄色人種な雰囲気?

159 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 16:10:11 ID:ZdnTWnF20
獣人がどのような迫害を受けているのとか、エルフがどう思われているかとか
気になりますね

160 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:22:39 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』中編

 さて、朱祐である。
 残念ながら彼の“帝國”名は現在に伝わっていない。一応、“鈴木太郎”という名が伝わってはいるものの如何にも偽名臭く、生地は“相模国”という出鱈目ぶりだ。こうして見ると、“大正元年”という生年月日も怪しいものだった。
 ……恐らく清華に骨を埋める覚悟で全てを捨て去ったのだろう。幾人かの名が挙げられているが、現在に至るまで確証は無い。
 この様な態度から常にシュヴェリン王国のアキレアス大王(*4)と比較され、売国奴呼ばわりされる場合が多い。
 が、それは余りに言い過ぎというものだろう。彼は彼なりに精一杯生きたのだから

 とはいえ、このまま正体不明では話にならない。
 故に最も有力な説を採用し、それを朱祐の正体としようと思う。転移時に少壮気鋭の大蔵官僚だった某氏のことだ。
 氏は転移直後に消息を絶ち、その後死亡宣告を受けているが、その様々な特徴が朱祐と重なっている。何より朱祐が財務官僚として頭角を現したことからも、氏が朱祐だった可能性が高い。
 ……が、上に挙げた通り確証は無い。それ故、読者諸兄に重ねて申し上げておく。
 これはあくまで筆者の独断である、と。

 何れにせよ、朱祐は外国人の身でありながら一代にして陶県5万石を領する諸侯(陶侯)にまで上り詰めた事だけは事実だ。
 文字通り徒手空拳で一国一城の主にまで登りつめたのだ。その点、紛れも無く彼は“偉人の一人”だった。

161 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:24:03 ID:Hd5cQ7n60
*4 ――アキレアス大王――
 シュヴェリン王国中興の祖でカナ・メクレンブルク・シュヴェリンの祖父。(詳細は外伝1を参照)



――――清華、金陵。

 金陵は清華の都である。
 その人口は公称300万、実数でも200万を越える世界最大の都市だ。
 これ程の規模でありながら、その四方は高く厚い城壁で囲まれており、街並みは整然と区画されている。
 更に驚くべきことは、内陸の都市でありながら都市内港を持っていることだろう。わざわざ遠方から運河を開通させた、と聞いてはただただ驚嘆する他ない。

 『一体、如何程の国力か!』

 それがこの地を初めて訪れた者――その誰もが等しく抱く思いだった。
 正に世界最大の国家たる清華の首都に相応しい都市、と言えるだろう。

 朱祐もそう感じた者の一人だった。
 初めて金陵を訪れた時、その荘厳さに圧倒されたものだ。
 “帝國”で生まれ育ちながら、なおそう感じたのである。


 大通りを竜車と騎竜の一団が進んでいた。
 20騎程の騎竜は皆、剣と騎槍・騎銃で武装している。
 金陵では良く見る光景、諸侯行列だ。
 その中央の一際豪華な竜車、その中で朱祐は溜息を吐いた。

162 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:24:36 ID:Hd5cQ7n60
 ――俺も老いたものよ。

 陶城から金陵まで竜車で僅か一日。
 が、年老いた身にはそれすらも辛い。急ぎの旅なら尚更だ。
 老いというものを嫌でも実感させられ、朱祐の気分は重くなった。

 ――考えてみれば俺ももう75……いつ死んでも不思議ではない年だ。

 そんな当たり前のことに気付き、驚愕する。本来ならばとうに隠居して不思議で無い……いや、すべき歳だ。
 が、流石に金陵の職は辞したとはいえ、彼は未だ陶侯だった。結婚したのが遅く、子供達は皆まだ若いためだ。(彼等は今しばらくは金陵で官僚として仕え、経験と顔を繋ぐ必要があった)
 加えて朱祐が陶侯となって10年、ようやく陶県の経営は軌道に乗ったばかりである。まだまだ若い子供達には任せられない。
 故に、朱祐は老骨に鞭打って領内の経営に没頭していたのである。

 ――孫も生まれたことだし、まだまだだ。もう数年は頑張らねば。

 自分に老いを感じている暇などない。
 朱祐は決意を新たにし、気合を入れた。



――――金陵、首城。

 金陵は――というよりも清華の都市は皆、都市全体が城の様なものである。
 よって首城とは官衙等の公的な区画を指し、正確には城ではないのだが、まあ実質的には“城の中にある城”といった存在だ。
 現在、朱祐は其処にいた。

163 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:25:20 ID:Hd5cQ7n60
 『至急参内せよ』との命により参内したのではあるが、通された場所は謁見の間ではなく“奥”――皇帝の私的居住区――だった。
 訝しみながらも朱祐は立礼する。

「ただいま参内致しました」

「うむ、大儀であった」

 皇帝は軽く頷いた。

 アルフェイムにおける皇帝とは、(皇帝位を与えた)神の“地上における代理人”である。
 “帝國”風に考えれば『皇帝とあると同時に教皇』とでもいった存在で、人の身でありながら王位を与えることが出来る唯一の存在であるばかりか、聖職者の任命除名すらも独占する正に絶対者だ。
 ……それ故に中央世界ではまともな存在とは見做されず、清華を野蛮と見る材料の一つとなっていたのではあるが。

「実は朱祐に見て貰いたいものがあってな」

 そう言うと、皇帝は控えていた側近の一人に目を配らせた。

「陶侯、これを御覧下さい」

「? ……! こ、これは!?」

 は手に取ったものを見て、目を剥いた。
 ……それは、紛れも無く“帝國”の新聞だった。
 そして何より、その日付に目を奪われる。

164 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:25:56 ID:Hd5cQ7n60
 『昭和一七年七月七日』

 自分がこの世界にきてから半年以上未来のものだ。
 震える手付きで紙面を広げる。
 懐かしさの余り、涙が滲み出てくるのを止められない。
 が、そこで疑問が沸いてきた。

 ――何故、これが此処にある!?

「これは我が国の交易商人が、大内海沿岸で手に入れたものです」

 新聞を渡した側近が、朱祐の疑問を察して答えた。
 ……無論、ただの商人ではないだろう。おそらく間諜も兼ねているに違いない。

「……朱祐、済まなかったな。朕はお前で試す様な真似をしてしまった、許せ」

 涙を浮かべて新聞を握り締める朱祐を見、皇帝が済まなそうに言った。
 そして側近を促し、事情を説明させる。


 ここ数ヶ月前から気になる報告が届いていた。
 何でも大内海で暴れまわっている国がある、と。
 その国は恐ろしい程のペースで大内海沿岸を統一しつつある、と。
 ――ここまでならば清華にとっては関係の無い話だ。
 それ故に、直接の担当者を始めとした官僚達は、さしたる感慨もなくその報告書を書庫の奥に放り込んだ。

165 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:26:27 ID:Hd5cQ7n60
 ……このままいけば、書庫の奥で朽ち果てる運命だっただろう。
 が、偶々ある高官が調べもののため自ら書庫を訪れ、新しく入ったという報告書を何気無く開き、やはり偶々気になる単語が一つ……一つだけその目に飛び込んだことからその運命は一転した。

 『その国の名を、“帝國”という』

 ――よもや、これは陶侯様の故国のことではないか!?

 高官は驚愕した。彼は以前秘書をしていただけあり、朱祐のことは良く知っている。
 彼は慌てて皇帝に上奏した。

 内密に再調査を行った所、驚くべきことが次々と明らかになった。
 何しろ、常識では考えられないことのオンパレードだ。調べれば調べるほど“帝國”の異質さが浮かび上がってくる。
 これは“この世”の国ではない――そう上層部が結論を下すのに、さしたる時間を必要としなかった。
 そして引き続き調査を続行させると共に、あらためて確認の為に朱祐を呼んだ、という訳だ。

 ……ここで補足しておく必要があるだろう。
 清華の幸運は『朱祐がいた』ということだ。
 彼は清華の高官であり、その身の上は首脳部の誰もが知っていた。半信半疑ではあるものの、端から否定してはいなかったのだ。
 だからこそ先入観を排し、その報告の重大性を『理解できた』のである。
(逆に言えば、その詳細を知っているのは一部の高位高官のみであり、であるが故に報告書を最初に読んだ担当者達は無視したのである)

166 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:27:18 ID:Hd5cQ7n60
 朱祐は上の話を呆然と聞き、やっと一言搾り出した。

「……そうですか」

「ああ、悪いがこれから朱祐にも働いてもらうことになる。 ……が、今日の所はもう下がれ。下がってゆっくり休め」

 朱祐の様子を見、皇帝は予定を切り上げることを決めた。
 ……これから彼に課される役割が、彼にとって辛いものになるであろうことを承知しているが故の心遣いだった。



「あの日も、こんな雲一つない晴天だったか……」

 首城からの帰り道、金陵の屋敷へと向かう竜車の中、朱祐は呟いた。
 ……が、その心中は外の天気とは正反対だった。

 ――あれから40年……40年だ。何故、今更……

 知らず知らずの内に両の拳が握り締められる。
 かつてあれ程帰る事を切望した祖国が、この世界にある。
 何度泣いたことだろう、何度叫んだことだろう。 ……が、帰ることはできない、出来る筈が無い。
 長きに渡り戸部尚書として清華の財政と地方行政を一手に司ってきた自分が、今更帰れる筈も無いだろう。自分は清華を知り過ぎたのだ。
 加えて彼には子も孫もいる。半分“帝國”の血を引くとはいえ、皆清華で生まれ育った清華人だ。あの子達を見捨てろ、と? 400の家臣とその家族を、5万の領民達を見捨てろ、と?
 ……そして清華自身にも恩がある。一外国人に過ぎなかった自分を受け入れ、諸侯にまでしてくれた、という大恩が。

167 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/05(水) 17:28:21 ID:Hd5cQ7n60
 ――俺はどうすれば良い?

 朱祐は頭を抱え、蹲る。
 これから清華が自分に求めることなど判りきっていた。
 知っている全てを、思いつく全てを話せ、ということだ。
 今までの様に、一人の“帝國”人として故郷のことを語るのではなく、元大蔵省官僚として語らねばならぬのだ。
 ……それは“売国”以外の何者でもなかった。

 彼は、決断を迫られていたのだ。







 SS投下終了。
 申し訳ありません、レスのお返しは後日あらためて……

168 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 18:10:37 ID:IJESEFOQ0
> ……まあ重機2挺あるから連射で仕留められるだろうけど、阻止できる数は知れてますからねえ。

あの世界では歩兵中隊が戦竜を仕留めるということ自体驚愕に値するんじゃないでしょうか?
彼らが知る歩兵中隊の装備は槍や弓、運がよくて火縄銃ですから。

169 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 19:50:28 ID:aE.ogAMI0
投下乙であります。

>アキレアス大王
本名は麻生アキラ→アキラアソウ→アキレアスとかそんな感じでしょうか?
鈴木アキレアスとかだったら凄いですがw

170 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 21:27:40 ID:MtzrBVO20
シュベリンのカナ姫様のおじい様に続く、はぐれ帝國人でございますか。
清華の行政機構が中国に似ているのはこれが原因だったというわけですね。

清華に帝國人の高官がいる事を、帝國が知ったらどうなるかも興味あるなぁ。

171 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/05(水) 23:02:38 ID:oVuuhHNoO
投下乙です。

鈴木太郎(仮名)さんはとんだ災難に見舞われましたね。
帝國は、まさかはぐれ帝國人が生きてこの世界にいることなんて予想もしてないでしょうな。
それにしても清華がすさまじく文明的で恩情があるように感じる。
もしや皇帝は王道政治を実践してる?
それと今まで『清華王国』だったけど、
皇帝がいるから『帝国』、もしくは『連合王国』ですかね?

172 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 08:02:45 ID:55XpGFAo0
>清華
絶対王政だと王(皇帝)の権力が強くなりすぎるので代替わりするたびに
政策がかわりそうな気も。
あと『清華王国』というのは他の列強諸国が自分達の制度に照らし合わ
せた場合での呼び名(通称)であって『清華』の中の人は『帝国』と呼んで
いるのかもしれませんよ。
現実世界でも多くの日本人は「イギリス」と呼んでますが実際はグレート
ブリテンおよび北部アイルランド連合王国が正式名称ですから。
広範囲を支配している帝国であるがゆえに呼び名がいくつかあるという
物かもしれません(まあ、所詮は憶測ですが)。

173 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 08:06:53 ID:lUTVZZZ.0
>>170
>>清華の行政機構が中国に似ているのはこれが原因だったというわけですね

んなわけないじゃんw

174 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 08:23:44 ID:MtzrBVO20
>>173
表現が悪かった、確かに中国じゃおかしいな・・・・。

175 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 08:33:23 ID:MsAR/znU0
>>174

いや…そうじゃないと思う

フランケルのようなド田舎ならともかく
強大な国力と積み重ねた文化をもつ清華が
たった一人の異世界人の実質2,30年の行動の結果で変わるわけが無い
そういう意味だろ

176 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 09:44:06 ID:55XpGFAo0
>行政
以前の政治機構が異世界人が持ちこんだ政治体制よりも施政者にとって
劣っている(何を持って劣っていると判断するかは別として)場合は採用
されるかもしれないけれど施政者が代替わりしてしまうとそういった試み
も消えてしまいそうですね。

国民に主権があり直接もしくは間接民主制を取っているような国であれば
違うかもしれないですけど。
王権が強かったり封建的な国家だとそういう制度って長続きしなさそう
なんですけどね。

177 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 09:58:45 ID:pLNaQ2Sw0
中華思想的な物が清華にも有るなら余所者に大した事は出来そうも無い、が
しかし中華的な清華なら、権力者のお気に入りにになれば割と好き放題出来そうでも有る。
かの国に表れた強力な独裁者が成しえた事を思うと、何でも有りではなかろうか?
とはいえ皇帝の後ろ盾で色々やったなら、皇帝が崩御した途端>172の意見に有るように元の仕組みに戻りそうでは有りますな。

まあそもそも帝國人の影響で変化したというより元々中国的行政機構だった、とする方が自然とは思いますが

しかし義理と人情に弱い帝國人が陥る状況としては最悪ですねえ、元大蔵官僚哀れ

178 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/06(木) 10:05:00 ID:Hd5cQ7n60
>>152
 152様、有難うございます。

>清華
 史実の中華をも上回る大帝国です。匹敵するとすれば元かな……
 正直、魔法文明による高速通信網と飛竜戦力の存在抜きには有り得ない存在ですねえ。

 ……実は清華十王国、当初は古代日本の国名を流用しようとしました。
 陸・羽・越・野・総・備・筑・豊・肥……う〜ん、駄目だこりゃってことでボツになりましたが(笑)
 しかし清華の各王国にしろレムリアやロッシェルの各都市にしろ、皆実在しているもののパクリだからなあ〜〜
 もう少し名前考える才能が欲しいですよ。

>後、清華がその人口を維持できるのは多分米を主食にしている人口
>が多いからかもしれませんね。
 多分そうでしょうね。とはいえ、江戸時代の日本とは異なり肉や獣乳、小麦も食します。節操がないです。

>>153
 153様、有難うございます。

>清華TUEEー!!
 取り巻きの十王国ですら、人口1000万人前後とロッシェルの数割り増しですからねえ。

>でもこの世界の米って原種に近くて美味しくないんですよね?
>もしかしたら清華は品種改良してるかもしれないけど、
 あ、それはシュヴェリンの場合です。何せ無理矢理稲作にもって行きましたから、品種改良の時間も技術もありません。
 清華の場合は清華以前から連綿と続く、数千年の稲作の歴史がありますから大丈夫です。

>これじゃあカレーライスはこの世界では不評かも。
 そういえば少し前の軍事研究に、『各国の士官が海自提供の食事をとった際、欧米系の士官がシラスを虫と勘違いして大騒ぎ、幾ら説明しても納得せず、結局手をつけなかった』――なんて話が載ってましたね。
 現代ですらこれなのですから、中々難しいものがあるでしょうねえ。

179 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/06(木) 10:05:56 ID:Hd5cQ7n60
>>154
 154様、有難うございます。

>この世界だと、リゾットとかあるんでしょうかねぇ……
 ないでしょう(きっぱり)
 米を食べる際は、多分餅の様に原型を留めなくさせるかと。

>>155
>可能性は0でしょうが清華開祖が日本人(旧幕臣)だったらいいかも。
 断言は出来ませんが(なにぶん昔のことなので)、多分違うかと。
 現在の楚地方の生まれらしいです。

>>158
>元帝國人が清華の貴族として暮らしてるということは、
>清華人は黒眼・黒髪・黄色人種な雰囲気?
 多数派はそうですが、なにぶん支配地域が広いので、様々な人種がおります。
 あと同じ黒眼・黒髪・黄色人種風でも、大陸人だけあって帝國人よりも恰幅が良いです。

>>159
>獣人がどのような迫害を受けているのとか、エルフがどう思われているかとか
気になりますね

@エルフ
 やはりダークエルフは迫害されています。
 けどこれは中央世界の場合とニュアンスが若干異なり、『自分達の統制化にない情報組織は邪魔』だからです。(無論、差別されてもいますが)
 ですから、自分達専属の忍となるならば保護する、と打診したことも一度や二度ではありません。
 ……尤も、あくまで賤民(奴婢)待遇であり、帝國のそれとは比べ物になりませんが。

 エルフに対しても実に冷やかで、上の打診を知ったエルフの代表が抗議した際、『白かろうが黒かろうが、鼠を獲るのは良い猫だ』と言い放ったことは有名です。

180 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/06(木) 10:06:55 ID:Hd5cQ7n60
A獣人
 清華の全人口のうち、2%が賤民です。
 この半分が元流民です。彼等は限定された場所に住み、賤業に就いています。他の生き方は許されません。
 ……とはいえ定住が許されている上、生活は保証(何せ賤業とはいえ必要不可欠な職を専売特許)されてるのですよね。中央世界の流民とどっちがマシだろう?

 残り半分がかつて清華に最後まで抵抗した人々の子孫です。
 彼等の場合、上の元流民達と待遇が大きく異なり奴隷同然です。
 公的な農園や鉱山で重労働(元流民達とは比較にならない)を強制される上、公共事業時には真っ先に借りだされ危険な作業に従事します。
 獣人はこのカテゴリー、その最下層に入ります。彼等は清華に最後まで抵抗した訳ではありませんが、その戦闘能力の高さと人口(全人口の0.1%の30万超)から危険視され、賤民となりました。
 地下鉱山や山道開発等、最も危険でキツイ作業に投入されるという悲惨さです。
(とはいえ、早くから恭順していたダルカ族は忍としてそれなりに優遇されていますが……)

 ちなみにロンさんの父上は、そんな獣人部落の一つを治める族長でした。
 そんな訳で多少の教育受けることが出来、また外の情報もある程度耳に入っていました。
 ……だからダークエルフが訪れて扇動した時、決意したのです。
 座して死を待つよりやってみよう、と。
 こうして暴動&エクソダスが始まった訳です。
 長く辛い旅の末に仲間の九割を失い、ようやく帝國軍に保護された後、ロンさんは握り飯と豚汁を振舞われました。(いや……飢えた状態では危険なのですが、まあそれはそれ)
 ……それが、ロンさんが生まれて初めて口にした“料理”だったのですよ。

 だからロンさんは清華料理を作らないのではなく、作れないのです。だって、薄い粥しか知らなかったのですから。(まあ知ってても作るのは『死んでもごめん』でしょうが)

181 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/06(木) 10:07:37 ID:Hd5cQ7n60
>>168
>あの世界では歩兵中隊が戦竜を仕留めるということ自体驚愕に値するんじゃないでしょうか?
 でしょうね。歩兵で戦竜を阻止するなど、アルフェイムの常識では“不可能”ですから。
(だから貴族士族の地位低下が起こらなかった)

>>169
 169様、有難うございます。

>本名は麻生アキラ→アキラアソウ→アキレアスとかそんな感じでしょうか?
 あ〜、そこまで考えてません(笑)

>>170
>シュベリンのカナ姫様のおじい様に続く、はぐれ帝國人でございますか。
 です。この二人は才能があった為に表舞台に登場しましたが、きっとこの何倍ものはぐれ帝國人が存在したことでしょう。

>>171
>それにしても清華がすさまじく文明的で恩情があるように感じる。
 彼は寵臣でしたからねえ。上でも書きましたが、結構清華はやることエグイです。
 で、寵臣になれた理由は後編で……

>それと今まで『清華王国』だったけど、
>皇帝がいるから『帝国』、もしくは『連合王国』ですかね?
 区別する意味で、連合王国の方がいいでしょうかねえ。
 で、皇帝も「〜皇」という、とか。

182 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/06(木) 10:10:35 ID:Hd5cQ7n60
>>172
>絶対王政だと王(皇帝)の権力が強くなりすぎるので代替わりするたびに
>政策がかわりそうな気も。
 鈴木太郎(仮名)さんが10年前にとっとと職を辞したのも、「前皇が死んだから」ですからねえ。

>範囲を支配している帝国であるがゆえに呼び名がいくつかある
 正式な呼び名は“清華”です。けど、この辺は曖昧で結構皆好き勝手に呼んでいます。

>>176
>以前の政治機構が異世界人が持ちこんだ政治体制よりも施政者にとって
>劣っている(何を持って劣っていると判断するかは別として)場合は採用
>されるかもしれないけれど施政者が代替わりしてしまうとそういった試み
>も消えてしまいそうですね。
 絶対王政は、官僚がしっかりしてないとどうしようもないですからねえ。

>>177
 行政機構なんかは変わってません。
 早い話がGDPが大幅に増え、それに比例して税収が増えたのですよ。

183 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 11:02:41 ID:55XpGFAo0
>>180
くろべえさん回答ありがとうございます。

>握り飯と豚汁
飢餓状態ではコイツは危険ですね確かに(苦笑)。
衰弱した難民の胃腸にはあまり良くない食べ物ですね。
体力を消耗しきっている状態における食事については「流れる星は生きて
いる」という本にも書いてありましたがまずまともに胃腸が受け付けない
でしょう。
海上自衛隊の護衛艦でも漂流者を救助した際に与える食事についての
マニュアルがあるくらいですから帝國軍にもそういったものがうりそうな
もんなんですが末端までにはそういった指示が行き渡って無いのかな?
まあ軍隊でも医者(医官)はいるので大丈夫だと判断されたのかな。

現代の難民用(だけじゃないけど)の食事として真っ先に思いつくのは
ノルウェーのコンパクトAS社が出している「BP-5」かなぁ。
一度とあるNPO団体の事務所に行った際に試食させてもらった事があり
ますがものすごく薄い塩味のカンパンみたいなもんでした。
不味くは無い(あくまで主観です)ですが美味しい物では決して無かったです
健康な人には物足りない味でしたが胃腸が弱っている状態ではああいう
味のものでないと受け付けられないのでしょう。
そう考えると獣人はやっぱりタフなんだなぁと。

184 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 11:18:39 ID:55XpGFAo0
アルフェイムでの武術系統から見て帝國の柔道や剣道、空手道、合気道
なんかはどういう風に見えているのでしょうかね。
鎧で身を守り砲火力が主体の戦場では目立ちませんけど武器を持たない
状態でも武器を持っている相手と渡り合う技術を一般人でも会得している
というのはそれはそれで1つの驚きかもしれませんが。
中世から近世の欧州だと一般人でも武装しているケースが少なくない
ですけど。

185 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 19:14:05 ID:rN4iR8xY0
中華では中華文化が文明人で他は全て野蛮人。
中華文化に精通していれば人種は何でも(白人でも)OK。
今でも民族、言語がバラバラなので漢字を使用している人は皆中国人。
(韓国とベトナムは戦後漢字を廃止、日本は中国の辺境の一つです)
中華では異国人が登用され高官になる事は別に珍しくありませんでした。

186 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 20:27:53 ID:lUTVZZZ.0
昔の日本の遣唐使だか遣隋使だったかも、皇帝に気に入られて寵臣になったりしてたよね

187 名前:名無し三頭兵@F世界:2007/09/06(木) 21:54:57 ID:n9kE.Ztw0
鈴木太郎(仮)さん哀れです・・・
四十年たってはもはや清華に骨を埋める気だったでしょうに。
75で孫がようやく生まれたということはかなりの晩婚だったのでしょう。
もしかしたら帝國本土に妻や子がいて結婚する気にならなかったのでしょうかね?
そうなったらえらいややこしい事に・・・

それにしても清華はさすがに超大国ですな。
王爵領が中堅文明圏の大国に匹敵するかそれを上回るのだから、
清華全体でどれだけの力を持つのでしょうか。
きっとこの物語のラスボスは清華だと予想してしまいます。

188 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 22:32:38 ID:IJESEFOQ0
>きっとこの物語のラスボスは清華だと予想してしまいます。

稲葉世界では月王国ですね。
というか本編でもラスボスは月王国かもしれませんね。

>>180で本編と転移男のキャラを一緒にしてあたりがあやしい。




もっとも今の本編を見てるとラスボスが月王国だろうが清華だろうがエルフだろうが不滅なる者だろうがそこまでたどりつく前に帝國消えてそうな

189 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 22:54:06 ID:IJESEFOQ0
>>シュベリンのカナ姫様のおじい様に続く、はぐれ帝國人でございますか。
>です。この二人は才能があった為に表舞台に登場しましたが、きっとこの何倍ものはぐれ帝國人が存在したことでしょう。

こうなると逆を見てみたいですねえ。
帝國が元いた世界に転移してしまったアルフェイム世界の人間(エルフでもドワーフでも可)の悲喜こもごも。


そういえば「等価交換の原則」というのがありますから
帝國が元いた世界とアルフェイム世界の帳尻合わせのため
列強の1つが帝國が元いた世界に転移してしまうのもいいかも。

190 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 22:57:22 ID:IJESEFOQ0
訂正

転移してしまうのも→転移しその後の悲喜こもごもの話も

191 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/06(木) 23:45:31 ID:4FAy6iPI0
更なる外伝の(しかも完全な新規の)リクエストは個人的には歓迎できないな。
本編が一向に進まなくなる。

等価交換の原則ってぐぐったら鋼の錬金術師なる漫画が出てきたが?
余所の漫画の法則を適用させる気なのか?

192 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 00:15:00 ID:83/wJNuE0
>>191
いや、それは逆。
それは漫画の設定ではなく、元々西洋の魔術だの錬金術だのでは当たり前の常識としてある原則ですよ、等価交換って。
鋼の錬金術師はそれを拝借してきたんです。

193 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 00:51:52 ID:5J/wy9HY0
清華と直接関わるのは、早くて半世紀後くらいかと
で、孫の世代が苦労する(帝國貴族体制は邦国王族を含めて完成かな)とか。
列強全てを勢力下において、社会体制と法整備を進めて・・・・となると
百年くらいでは間に合わないから、ガチンコはひ孫の世代ですかな

194 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 01:14:16 ID:QAQuroWw0
>>192
現代科学風にいうと保存則かな?
某漫画の「等価」はずいぶん適当ですが・・・
質量とか、エネルギーみたいな物理量が保存するならともかく
人間が主観的に定めた価値が保存するなんて、ナンセンスですよ。
いや、ファンタジーと言うものはナンセンスだからこそ成り立つ
のかもしれませんが。

195 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 05:08:33 ID:PrNDtOqYO
どの辺りが原則なのか理解に苦しむ
決まり事があって初めて則が付くのに

196 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 05:19:16 ID:SRTE3zjw0
>>195
つまり西洋魔術や錬金術の辺りに於いて、ですよ。
仰るとおりに西洋魔術や錬金術での決まり事として、等価交換が原則になっているわけですがなにかおかしなところでも?

197 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 06:16:09 ID:55XpGFAo0
>清華
元の世界の3倍広いという設定の元だと移動にも時間がかかりますから
ねぇ。
飛び石伝いに基地を作っていき戦略爆撃をしても効果薄そう。
下手に戦争吹っ掛けるより帝國の経済を向上させた上での貿易戦争といった
向きになりそうですよね。
清華に海外領土や植民地あるなら通商破壊作戦が使えるのですが。

198 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 07:00:52 ID:pwr7OnF60
まあ、魔術とかそんなの抜きにしても
日本列島とその近海、そして海洋生物丸ごとがアルフェイム内海のど真ん中に転移してきたんだから
もともとアルフェイム世界のその場所にあったものが、変わりに地球世界に行ってても変じゃないとは思う。

ってか、それだけの質量が穴埋めなしに唐突に消失したら、
朝鮮半島や中国の日本海側沿岸部は、急激な海流変動とかのせいで大ダメージを受けるんじゃないかな。

199 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 08:15:12 ID:oVuuhHNoO
原則とか必要か?
転移の中の人の気まぐれで良いじゃないか。

200 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 09:04:38 ID:55XpGFAo0
実際の所清華程の規模の国家なら他の列強とは一線を隔した商業政策
とってそうですね。
政治体制が絶対王政的で広大な一定の地域全体を治めているなら重商主義
が取られているかもしれませんね。

201 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 10:11:37 ID:l5IF3FBw0
>>195
異世界の我々の世界の錬金術の法則という今では一般に認知されていないモノを当てはめようとする事自体、
無理が有りすぎると思うよ?

戦竜やワイバーンの燃費というかエネルギー効率からしても、我々の世界での等価に全然なってないんだけどな…。
世界が違えば、等価の基準も違うし。
もし等価交換というならその基準は何かということになるから成立しないだろう…。
人口だと文明圏一つと交換になるが、土地の面積だとそれこそ辺境の小さな諸島群で済むわけだしな。
そしてその二つの価値の差はあまりにも大きい。
人口を基準に交換したら、地球の巨大な大陸が出現することになる。
無茶だろ…。
土地の面積で考えたら、地球側にあまりにも、あまりにも損な取引だろう。
やっぱり、無茶苦茶だろう。

おかしな事がありますか?に対して有りますと応えてみました。

202 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 10:16:47 ID:l5IF3FBw0
乱雑に書きすぎて、文章がおかしい…ごめん。

>>195
異世界の我々の世界の錬金術の法則という今では一般に認知されていないモノを当てはめようとする事自体、無理が有りすぎると思うよ?
世界が違えば、等価の基準も違うし。
戦竜やワイバーンの燃費というかエネルギー効率からしても、我々の世界での等価に全然なってないからその時点で等価の基準が違うらしいのがわかるかと。

もし等価交換の原則を適用してみました、というならその基準は何だったのかということになるけど…。
人口だと文明圏一つと交換になるが、土地の面積だとそれこそ辺境の小さな諸島群で済むわけだしなぁ。
そしてその二つの価値の差はあまりにも大きいと思う。
人口を基準に交換したら、地球上に突然巨大な大陸が突然出現することになる。
無茶だろ…。
土地の面積で考えたら、地球側にあまりにも、あまりにも損な取引だろうし。
やっぱり、無茶苦茶だろうなぁと。

「おかしな事がありますか?」に対して「有ると思います」と思い応えてみました。

203 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:30:41 ID:Hd5cQ7n60
>>183
>まあ軍隊でも医者(医官)はいるので大丈夫だと判断されたのかな。
 多分薄いお粥を食べて数日後、ようやく許可が下りたのでしょう。
 或いは無理矢理奪ったか(笑)

>そう考えると獣人はやっぱりタフなんだなぁと。
 野獣みたいなものですからねえ。(生活環境も)

>>184
>アルフェイムでの武術系統から見て帝國の柔道や剣道、空手道、合気道
>なんかはどういう風に見えているのでしょうかね。
 その数に驚くかも。アルフェイムにも体術はありますが、帝國ほど豊富じゃあないですから。

>>185〜186
 そんな訳で、後編のその1です。

>>187
>もしかしたら帝國本土に妻や子がいて結婚する気にならなかったのでしょうかね?
 います。だからこそ余計に正体を隠したのでしょう。

>王爵領が中堅文明圏の大国に匹敵するかそれを上回るのだから、
 それどころか最大級の中小文明圏まるごと以上、大文明圏の大国にも匹敵します。

>>188
>もっとも今の本編を見てるとラスボスが月王国だろうが清華だろうがエルフだろうが不滅なる者だろうがそこまでたどりつく前に帝國消えてそうな
 あ〜、そこら辺は本編でどうにかなる……かな?

204 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 12:30:50 ID:55XpGFAo0
>>196
なんとなくだが自分の思いついた脳内法則を無理矢理押し付けてやり込め
させたいように見えるぞその書き方だと。
そもそも近代科学以前の多分にオカルトの混じった法則持ち込まれても
なあ。
錬金術が近代科学の礎を築き科学の発展に多少は貢献しているのは認めるが
それとごっちゃにするのはなぁ。
リクエストとか感想以前の問題に見えるし、そんなに設定作りたいなら自分
で書いてくださいとしか私からは言えないなぁ。
そもそも保存則はそういうもんじゃなかった気が(保存則言うても色々やし)
保存則 - Wikipedia
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AD%98%E5%89%87

205 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:33:14 ID:Hd5cQ7n60
>>189
>帝國が元いた世界に転移してしまったアルフェイム世界の人間(エルフでもドワーフでも可)の悲喜こもごも。
 それは悲惨すぎかと。

>列強の1つが帝國が元いた世界に転移してしまうのもいいかも。
 マナがないから、ハンデありすぎですよ。
 帝國の後釜だと米ソと隣り合わせですし。

>>193
>清華と直接関わるのは、早くて半世紀後くらいかと
 とりあえず、遠すぎますからねえ。
 本当なら、もう大内海だけでもおなかいっぱいですよ。

>>200
>政治体制が絶対王政的で広大な一定の地域全体を治めているなら重商主義
>が取られているかもしれませんね。
 史実の中華とは異なり、儒教が無いから商業も賤じゃあないですからねえ。

206 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:34:04 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』後編その1
 朱祐の瞼に、40年以上前の光景が浮かび上がった。

 …………

 …………

 …………

 気がつくと、彼は草原で仰向けに倒れていた。

「……ここは何処だ?」

 軽く首を傾げる。
 つい先程まで、自分は省内で仕事をしていた筈だ。
 ……ならば、これは夢なのだろうか?

  グ〜〜

 が、腹が自己主張し、その考えを否定した。

 ――そういえば、夜食抜きで残業をしていたか。

 そこで、気付いた。
 まだ夜が明けたばかりの筈なのに、あんなに太陽が高いことに。
 ……が、だからといってどうなる物でもない。

  グ〜〜!

 腹が先程以上に自己主張をした以外、状況は何も変わらなかった。

207 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:34:34 ID:Hd5cQ7n60
「腹がへっては戦はできぬ。戦が出来ぬのだから仕方が無い……」

 そう呟くと、彼は目を瞑った。

 結局彼が選択した行動は、『このまま無駄な体力を使わぬ様、ここでじっとしている』という酷く消極的なものだった。
 ……このままいけば、彼は行き倒れていたことだろう。確実に。
 が、幸か不幸か“このまま”行き倒れることはなかった。
 それから間もなくして武装した男達に捕らえられ、牢に放り込まれたからである。


――――それから数日後、彼は未だ牢の中にいた。

 何でも、自分は貴族の狩場に無断侵入したらしい。
 戸籍を答えられない(でたらめ)こと、奇妙な服装をしている?ことから、“逃げ出した賤民”という疑いもかけられているらしかった。
 ……よく判らぬが、“帝國”士族……それも天下の大蔵官僚たる自分としては甚だ心外な話である。

 が、暗い牢の中、僅かな食事と水だけでは怒る気力も湧いてこない。相変わらず横たわり、独り呆けるのみだ。
 鞭で打たれた痛みに顔を顰め、僅かに体を動かすと、顔に微かな光が当たった。
 ……月の光だ。覆っていた雲が去り、闇を払ったのだろう。
 その柔らかな光は、どこかほっとさせる。
 彼は僅かに洩れる月光を眺め、そしてふと口ずさんだ。

208 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:35:05 ID:Hd5cQ7n60
  牀前看月光 牀前月光を看る
  疑是地上霜 疑うらくは是れ地上の霜かと
  擧頭望山月 頭を挙げて山月を望み
  低頭思故郷 頭を低れて故郷を思う

 李白の“静夜思”である。
 彼は同時代の“帝國”エリート層の例に漏れず豊かな教養を持ち、また特に漢詩を好んでいた。
 ……それ故の、何気無い呟きだった。

 が、それは思っても見ない効果をもたらした。

「“先生”、どうかその詩、今一度詠んでは頂けないでしょうか」

 見ると牢の前で獄卒が跪き、頭を下げていたのだ。



 獄卒頭は機嫌が悪かった。
 ……それはそうだろう。よりにもよって、卑しい賤民(まだ確定してはいないが)風情を自分の担当する牢の一つに入れる羽目になったのだから。

 ――ええい、汚らわしい! 後で床も壁も張り替えねばならぬではないか!

 怒り心頭である。その賤民を自ら鞭打ちせねば気が済まなかった。
 が、残念ながらここ数日忙しく、そんな暇はない。
 獄卒頭は歯軋りしつつも、部下の極卒共に『俺が手を下すまで余計な真似はするな』と厳命し、暫く放っておくことにした。
 ……それがまた、癪に障る。
 故に、ようやく暇が出来た今夜、獄卒頭は暗い笑みを浮かべて牢へと向かっている、という訳だ。

209 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:35:42 ID:Hd5cQ7n60
 深夜、己の足音しか聞こえない中、獄卒頭は一人牢へと急いぐ。

 “賤民”は、他の牢から離れた場所に、一人閉じ込められている。
 犯罪者とはいえ平民を、賤民と一緒にする訳にはいかないからだ。
 ……が、その配慮のために『本来ならば十人以上押し込む牢を一人独占する』というふざけた状況となったことも事実である。

「生意気な!」

 獄卒頭はそう吐き捨てると、鞭を持つ手を強める。牢まであと少しだ。
 ――と、何やら声が微かに聞こえてきた。
 深夜……それも隔離牢だからこそであろう。牢に近づくにつれて大きくなり、やがて獄卒頭の耳にも明確に聞き分けられる様になった。

 ――これは……詩? 馬鹿な! 賤民が詩を詠むだと!?

 野を這う獣が人語を話す様なもの、有り得なかった。
 ……が、そう断定しつつも、その耳はその“詩”の断片を必死で聞きとろうとしていた。

 頭を……挙げ……て…………山月……を望……み…………
 頭を…………低れて…………故郷…………を思う…………

 再び静寂が戻ると、獄卒頭は思わず手にしていた鞭を落とし、牢の前に跪いて乞うた。

「“先生”、どうかその詩、今一度詩っては頂けないでしょうか」

210 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:36:20 ID:Hd5cQ7n60
 20俵取の軽輩とはいえ、獄卒頭は官――即ち“士”だった。
 士、である。

  武なかりしは文は惰なり。
  文なかりしは武は蛮なり。

  故に――

  武なかりしは士に非ず。
  文なかりしは士に非ず。

 故に、士あらずば官に非ず。獄卒頭も一通りの武芸と学問を身に着けていた。
 それもただ身につけた、という訳では無い。真摯に学んだのである。
 故に、理解出来たのだ。
 断片のみとはいえ、その詩の美しさを。

 “先生”が自分の望みを聞き入れ、その全てを詠い終えた時、不覚にも獄卒頭は涙を浮かべていた。

 ――何と美しい詩か!

 自分風情にも判るその素晴しさに、獄卒頭は感激した。
 加えて韻を踏んだその詠みは、その意味を完全に理解している証拠だった。

 ――この方は断じて賤民などではない!

 そう獄卒頭は確信した。
 何せ、これ程の詩である。
 詠まれればたちまちの内に天下の評判になること間違いない。
 が、未だこの様な詩は聞いた事が無かった。
 ……ならばこの方が今作られ、詠まれたのだろう。そうに違いない。

211 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 12:37:36 ID:55XpGFAo0
>>203
くろべえさん回答有難うございます。

>武道
ということは帝國の直轄領や同盟国内を資源調査を兼ねて武者修行する
武道家な軍属もいるかもしれませんね。
徒手空拳で絡んできた酔っ払いを投げ飛ばす小柄な男なんてのは物凄い
超常的な力の持ち主のように見えるかも。

212 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/07(金) 12:38:07 ID:Hd5cQ7n60
 かほどの詩の誕生に立ち会えるとは、何たる名誉か!

「先生、この様な場所に押し込めた非礼をお許し下さい。必ずや獄卒長に先生の無実を訴えましょう」

 獄卒頭は再び頭を下げ、そう誓った。


 それは、運命が大きく変わる瞬間だった





 SS投下終了。
 後にこの誤解は解けますが、まあこれが全ての始まり、という訳です。

213 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 12:49:47 ID:oVuuhHNoO
リアルタイムで投下乙です

鈴木太郎(仮名)さん、漢詩に身を救われましたね。
その漢詩は自分も大好きです。
韻の概念があるってことは清華の主要言語は中国語に類似しているかもですね。

214 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 17:53:36 ID:XpD6KBxY0
投下乙です。

…鈴木太郎さん(仮)編集の中国名詩集とかが作られてて、それが元で帝國に彼の存在がばれたりしてw

215 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 17:57:16 ID:DNkS0rAo0
投下乙です。
どうやら正直に他人の作だと告げてるようですが、
李白や杜甫の詩を諳んじてて引用しまくれるのなら、あっというまに清華の詩聖になれるでしょうなぁw

216 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/07(金) 23:26:57 ID:2mnM/fak0
なんというカンニングペーパーwwww

217 名前:34:2007/09/07(金) 23:58:01 ID:4dj8i47g0
>>144
再度送信しました

218 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 00:21:37 ID:VtHR586k0
くろべえさん投下乙です
清華は、魔法、ワイバーンがあるとは云え卑怯ですな。
本来なら帝國の情報がトップに行くのにあの距離なら旧版ならレムリア併合と
同じ位の時に新聞が届くのでしょうが、既に情報が届き対策の検討が始まるとは。
鈴木太郎さん(仮)、自称作戦の神様の某参謀やヂンギスカン作戦を後方で指揮
した自称闘将の将軍さん達が正体なら軍部が弱体化して帝國の助けになったのに
好く言われる「無能な味方は……」になったと思われるが残念。

列強側も底上げだけでなく弱点を設定しないと、帝國の敗北がチラつきます。
清華も儒教、科挙、宦官等、実務軽視と内部腐敗の芽を作るとか、無敵艦隊の
イングランド侵攻時の実力では無く家柄で司令官を選出したような前近代制を
残す体質が無いとキツイと思われます。

ロンさん一族、帝國に救われた日を記念日にして一族集まって、終戦記念日の
すいとん料理の食事会ならぬ、豚汁会を行っていそう。

清華物語、せめてレスト島攻略戦が終了してからにして欲しかった。

219 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 02:09:57 ID:9XrNXHxs0
帝國敗北ですか・・・。
たしかに改訂版の列強は強いですしねw
帝國の文明圏進出は絶望的・・・とすると・・・宇宙を目指す・・・!?

220 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 02:46:16 ID:PrNDtOqYO
鈴木君は前帝の寵愛を受けて、朱さんっていう断絶した名家を継いだのかな?

>>213
いくらなんでも流石にピンインでは詠まないだろうから、書かなきゃ中国語は関係ないだろ







>>196
「Aという条件ならばBである」という証明出来る事実(万物に於ける決まり事)ではなく、「Aという条件ならばBになることにしておこう」という脳内ルールだろ
万物に於ける法則と限定された限定された時代の一部地域の者達だけの脳内ルールを同列で語るな
異世界との相関性が皆無だろ

221 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 09:43:34 ID:bMnlI5ig0
>220
その議論はいいかげんスレ違いだと思うがどうか

222 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 13:56:22 ID:55XpGFAo0
鉄道輸送の面でもそうですが近代戦は物資と人員を短時間にどれだけ
効率よく前線に送り込めるかでも変わってくるので大陸に出た後の進撃
速度は鉄道がある帝國には有利でしょうな。
その点日本国内の場合、旧来からの路線だと地形や用地確保の問題が
出てきてしまい線形もいびつになりますが大陸だと少なくとも用地確保
の問題は本土ほどは悪くないでしょうし。

223 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 16:07:08 ID:F26/9T3A0
戦記モノは戦力バランスが悩みどころだからねぇ・・・
個人的には旧版レムリア戦のようなジェノサイドが好みだけど、
あまりそればかりでもつまらない。
その点、ワイバーンの性能を上げて、下手すると零戦より高性能、という
設定にしたのはいい手だと思うんですけどね。
魔法生物と機械兵器では技術革新の速度がダンチ、ってことを考えれば尚更。

なにはともあれ短編乙です>くろべえさん

224 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/08(土) 20:26:26 ID:Hd5cQ7n60
>>213
 213様、有難うございます。

>その漢詩は自分も大好きです。
 静夜思はくろべえの大好きな詩の一つです。
 この詩を初めて聞い時、さぞかし獄卒頭は驚いたことでしょうね。
 ……しかし獄卒ですら詩に感動する程の文化人とは、流石は大清華。
 (まあ士だからこそ、でしょうが)

>>214
 214様、有難うございます。

>…鈴木太郎さん(仮)編集の中国名詩集とかが作られてて、それが元で帝國に彼の存在がばれたりしてw
 可能性はありますが、大分先の話でしょうねえ。
 ……というのも、当分小内海周辺でいっぱいいっぱい、『極東の清華なんかシラネ』でしょうから。

>>215
 215様、有難うございます。

>李白や杜甫の詩を諳んじてて引用しまくれるのなら、あっというまに清華の詩聖になれるでしょうなぁw
 いやあ、詩を即興で作れ、なんて言われては困りますし(笑)

>>217
>再度送信しました
 う〜ん、やはり送られていません。
 もしかしてアドレスを間違えておられるのではないでしょうか?
(くろべえのアドレスはHPのトップに書かれています)

225 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/08(土) 20:26:59 ID:Hd5cQ7n60
>>218
 218様、有難うございます。

>本来なら帝國の情報がトップに行くのにあの距離なら旧版ならレムリア併合と
>同じ位の時に新聞が届くのでしょうが、既に情報が届き対策の検討が始まるとは。
 本来ならば無視されていた筈の情報ですが、朱祐の存在故にその重要性に気付きました。幸運の産物です。

>列強側も底上げだけでなく弱点を設定しないと、帝國の敗北がチラつきます。
 確かに大分列強側に梃入れしましたが、それでも帝國の優位は動いていません。
 HPの戦力表にもあります様に、大軍縮後とはいえ帝國軍は強大であり、文句なしに最強です。
 そして何より、これを海外に大量投射可能、というこの世界では反則じみた能力を保有していますからね。
 あと軍事力も上に挙げた通り優越していますが、鉄道網や動力船を利用した交通網は圧倒的です。
 特に海上輸送網とそれを維持する強大な海軍力は、この世界における海上覇権を握ることも十分可能でしょう。
(現在は大内海の覇権でいっぱいいっぱいですが……)

>清華物語、せめてレスト島攻略戦が終了してからにして欲しかった。
 現在HP上で本編の修正掲載をおこなっており、それが終わるまで本編は中断状態となっております。
 申し訳ありませんが、もう少々お待ち下さい。

>>219
>たしかに改訂版の列強は強いですしねw
 旧版では少し弱すぎたかな、と思いまして。

226 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/08(土) 20:27:53 ID:Hd5cQ7n60
>>220
>鈴木君は前帝の寵愛を受けて、朱さんっていう断絶した名家を継いだのかな?
 継いだといいますか、名前だけ貰った様なもの(朱家の歴史を継いだ訳ではない)です。

>>222
>鉄道輸送
 大内海周辺で現在も敷設が行われております。
 ……ただし狭軌ですが。
 これにより資源輸送は飛躍的に増大しましたが、線路泥棒とか資源コソ泥(大分減ったけど)に手を焼いております。

>>223
 223様、有難うございます。

>戦記モノは戦力バランスが悩みどころだからねぇ・・・
 いやあ、心底同意します。
 初期戦力だけでなくそれを支える国力、維持している政治的・歴史的背景、技術力や生産力まで考えなきゃあいけませんから。
 運用編制まで考えると頭イタイ……

>魔法生物と機械兵器では技術革新の速度がダンチ、ってことを考えれば尚更。
 生産力考えると一層差がつきますからねえ。

227 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/08(土) 22:39:21 ID:2TNUKJcE0
敵が弱すぎると擬音の連続SSになりがちで文章で楽しませる話を書き辛いですからね。
バランス論形式の逆転に次ぐ逆転で話しを進めた方が書き易いことは確実ですから。

戦力バランスが崩れているにもかかわらず、各種話題(技術格差、常識の相違、開拓、戦略戦術等々)
を盛り込み文章を書き続けるのは大変ですからね。

228 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 14:06:34 ID:Y0JW9sr20
>>226
>  線路泥棒とか資源コソ泥(大分減ったけど)に手を焼いております。
そこで自分で線路敷設&回収するデンライナーを(マテ

229 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 17:38:52 ID:SM6D4vq.0
現実にもアメリカみたいなバランスブレイカーいるんだから
この世界でも帝國はアメリカみたいな立場でもいいと思うけどねw

230 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 22:08:49 ID:bka5WXOM0
>>229
それだと書きづらいですし、少年漫画の展開に燃える需要もあるから。

231 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 22:32:13 ID:55XpGFAo0
くろべえさん回答有難う御座います。
>>226
そこで装甲列車ですよ(ぉ)
旧式の物なら昭和7年に製作された臨時装甲列車みたいな軽装甲の物
であっても山賊程度の戦力なら蹴散らせますから。
まあ装甲列車の本編成ほど立派でなくても九一式広軌牽引車のような
装甲車の変形みたいなものでも十分な脅威だと思います。
また、装軌式の併用軌道車両としては九五式装甲軌道車も大変優れた
車両やと思います。

>帝國はアメリカみたいな
そういう役どころでもいいんじゃないですかねぇ。
(大義名分の一つとはいえ)ダークエルフや獣人の保護政策を積極的に
推し進めているならば強力なシーパワー国家として君臨してもバチは
当たらないでしょう。

232 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 23:17:15 ID:oVuuhHNoO
>>229
ジャンクを引き合いに出すのはどうかと思うけど、
稲葉世界で平成帝國は現実のアメリカ的なスタンスになっていますよね。
(戦略核原潜・戦術核弾頭による恐怖の均衡の世界秩序)

ただ、現時点での帝國では戦力投射や兵站の分野で
アメリカのようなパワーブレイカーになるには負担が大きいんじゃないか?

233 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/09(日) 23:54:12 ID:N/eAJa2w0
いいんじゃねー。多少帝国が強くたって。

でも帝國くらい強ければ妥協を許さない攻め方をするのが普通なんだけどな
どちらかというと私は妥協しまくりの帝國の政策の方が信じられないんだけど。

もうすこし100年後200年後を考えた政策をした方がいいよ。
植民地拡大政策が展開される、前夜祭みたいな時代なんだから。

叩くなら常に弱いところを叩かんと、馬鹿だから列強の恨みばかり買って、
勢力拡大にケチつけられてんのな。

こんな首相を抱く与党なら選挙が開催されしだい即時解体されるのは間違い無い。
軍閥の時よりたちが悪い。

234 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 00:24:34 ID:.ujgS4nw0
帝國は今のままでも十分バランスブレイカーじゃね?
列強側をこれ以上弱くして、俺つえ〜!やっても微妙な気が

>>233
煽るつもりは無いんだが、ちゃんと本編読んでる?

235 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 00:35:30 ID:PrNDtOqYO
妥協を許さない攻め方すると石油がなくなります

236 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 00:37:25 ID:av8prGUc0
シーソーゲームの展開が無くなっちゃいますから列強側が弱すぎるのも問題ですね。
やってやられてこそ創作バトルものの定番。

237 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 00:46:16 ID:55XpGFAo0
創作小説の場合話の筋はキャッチボールになるようにすればいいので
別に今のままの立場で良いと思うけどね。

話は変わるけれど同盟国や直轄領内(無論都市に限る)を走る路線バス
や路面電車なんかも出てくると生活描写が伝わってきて面白いかも。
アルフェイムだと個人所有の交通手段といえば竜くらいなもんだろう
から公共の乗り合いバスがあってそれがちゃんとダイヤ通りに毎日
やってくるとわかったら一種のカルチャーショックになるとは思うん
ですよ。

現実世界でもダイヤ通りに電車(列車)がキチっとやってくる国は少ない
ですから。

238 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 00:54:29 ID:N/eAJa2w0
>>235
じゃあ戦争すんなよの一言だろ。

国民からすればたまったもんじゃない。
資源が出てくるかも知れない膨大な土地をほうっておいて、
なんで対外戦争なんかしなけりゃならんのやと言う意見が一般的だと思うが。

ここにいる人達だって、隣にオーストラリアみたいなのがあって
しかも、そこを攻めても誰からも文句を言われないという状況で
イギリス攻めました。フランス攻めました。支那攻めました。
と言うようなことをされたらフザケンナと思うでしょ。

パワーバランスを整えたいなら未開の地なんて、はじめから設定で作らなければいい。
どこもかしこもどこかの国の勢力範囲にすればいい。
資源が欲しけりゃ交易するか、略奪するかの2択しかない状況でも無ければ
国民は納得せん。

239 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 01:21:41 ID:jwApXrFA0
うろ覚えだが、未開の地って内陸部で沿岸部に文明圏があるんでは?
つまり、沿岸部の文明圏に橋頭堡を築かなければ未開の地にもいけない。
それに、ダークエルフの情報を元に資源のありそうな場所から侵攻してなかったけ?

240 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 01:39:44 ID:p6OAMkII0
>>239
帝國なら文明圏を迂回して資源を取りに行く事も可能なんじゃないの?

241 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 01:46:32 ID:PrNDtOqYO
金貨と魔法技術

242 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 02:17:16 ID:eCimDFqc0
>>239
先進文明圏は小内海周辺に集中していて、大内海沿岸は辺境だったと思う。

列強が少々強くなっても大勢には影響ないというか、
帝國の最大の敵は貧乏ではないかと。

243 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 02:32:31 ID:.ujgS4nw0
>>240
出来るならとっくにやってると思うけどね
この世界は広大だし、資源と言ってもそのままポンとある訳じゃない
文明圏を迂回するって事は自力で開発もしなきゃならんだろうから、
人手もかかるし金もかかる、現実的な案じゃない

244 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 06:40:26 ID:oSTg/2Ro0
>>238
分かった。分かった。

いいから旧版本編読み返して来い。

245 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 07:16:45 ID:oVuuhHNoO
石油は当面の分は確保した。
だがこれ以上待てば経済発展著しい帝國は、
内需だけでは喰えなくなる。
ついでにレアメタルの類いの鉱山が
とうとう大内海で発見出来なかったので、
物資確保のために中央世界に進出しなければならなかった。
まぁ一番の理由は、購買力があるであろう中央世界各国を
帝國の自由経済圏に組み込むことかと。

246 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 07:52:18 ID:d1lkRsh.0
>>238
小学生の社会科から勉強しなおすべきだな

247 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 09:06:47 ID:55XpGFAo0
そういえば、帝國軍人は他所の人(外国人や非軍属)に同僚や自分を紹介
する際に名刺を出したりするんでしようかね。
簡易的には口頭で伝えるのでしょうが、いやそもそもアルフェイムに
名刺を出すという文化があるかないかも関わってくるか。

史実では旧軍の軍人さんの中には名刺を持っておられた方も多数いる
ようですが(名刺の形式によっては住所が書かれている場合も)。
ttp://www.geocities.jp/kyo_oomiya/newpage15.html

帝國の輸出品としては他に養殖真珠もいいんじゃないかと思います。
史実では御木本幸吉が世界で初めて完全な養殖真珠を作り出すまでは
天然物しかなかったわけですから(真珠に似せた物はありましたが)
それらより安く大量に真珠が出来るのであれば重要な輸出品になる
と思います。
ちなみに御木本幸吉は日本の十大発明家の一人としても紹介されてます。
十大発明家
ttp://www.jpo.go.jp/seido/rekishi/judai.htm

248 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 09:45:05 ID:IJESEFOQ0
>特に海上輸送網とそれを維持する強大な海軍力は、

石油という縛りのおかげで十分力を発揮してませんね(陸軍もですが)。
後まともな海図がないことも。



亀レス
>戦竜やワイバーンの燃費というかエネルギー効率からしても、

そう見えるだけでは?
というのも連中、空気中のマナを取り込みそれをエネルギーに変換するそうで。
その分を足せば他の生物と大差ないと思いますが。

だからといって竜系等が燃費がいいのは変わらないですけどね。
なぜなら空気中のマナはいくら使っても タ ダ だから。

249 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 10:24:49 ID:MsAR/znU0
>>247
言葉は通じても文字は別物だから
読めないぞw

現地語の名刺を用意しているなら別だが

250 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 11:19:25 ID:55XpGFAo0
>>249
そういえばそうでした。
まあ日本語の隣にアルフェイムの主要言語で併記させれば大丈夫
ですよね。

251 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 11:33:23 ID:IJESEFOQ0
>それでも帝國の優位は動いていません。
>HPの戦力表にもあります様に、大軍縮後とはいえ帝國軍は強大であり、文句なしに最強です。

果たして額面どおりそうなのでしょうか?
優位点を帳消しにしそうな点を2つばかり気付いたのであげときます。

1.外交能力の欠如
もう日本の宿命ですねこれは。

2.経済発展という名の縛り
いいことづくめと思われる経済発展。実は意外と帝國の行動を縛っています。
肝心な時(例:列強全部が一致団結して帝國打倒の多国籍軍を結成した時)に国家総動員がとれそうにありません。
石油をバカ食いするので自由に大部隊を動かせません。←これが当面の問題

252 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 11:43:06 ID:SM6D4vq.0
帝國くらい強大な国ならちょっとくらい外交能力欠如したって問題ないよな

253 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 12:15:34 ID:zh0LI88.0
平時の諜報が穴だらけだったりする、それが日本クオリティ。
情報得ても有効に使えないだけなんだけどね、だけっていうか・・・。

254 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 12:26:20 ID:55XpGFAo0
変な流れになってきているようですがもう色々グタグダと作者にいちゃもん
つけるのであればいちゃもんつけている人が帝國TEEEーな自己満足小説
書いてしまえばいいじゃないですか。
まあ、これは言い過ぎかもしれませんがここまで来れば荒らしとなんざ
変わりませんよ。

255 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 12:30:02 ID:3K4GslHU0
>>251
>肝心な時(例:列強全部が一致団結して帝國打倒の多国籍軍を結成した時)に国家総動員がとれそうにありません

訳判らん前提だ。
元々が緩やかな敵対関係っぽい列強全部が一致団結なんて、
それこそレムリア完全陥落段階にでもならない限り起こりえないでしょ。
旧版ちゃんと読んでる?
レムリアが落ちた時点で幾つかの列強はそれなりに協調をとろうとしてるけど、
全く未知の機械工業力を元にした帝國の正確な戦力調査ができないせいで、
自分たちの戦力を整える為にみすみす帝國にとってもっと価値のある「時間」を与えてしまっている。
つか、軍事統制下の第二次大戦突入寸前だった日本で、なんで国家総動員が出来ないなんて断言出来るんだ。
一番目の外交に関しても、旧版見る限り、最善とは言えないが、そこまで酷くはないだろうに。

256 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 12:35:53 ID:pNDvPEHg0
>>238
いわゆる蛮族の類にはそれこそ皆殺し級のえぐい手段で資源地帯を
確保してしていたと思しき描写が外伝であったので弱い敵はすでに叩いて
光栄のゲームで言う空白地をある程度抑えたから(それでも資源が足りない?)
ロッシェルとの戦争になったと解釈しているのですが…

257 名前:255:2007/09/10(月) 12:37:23 ID:3K4GslHU0
あと、石油に関しても、既にロッシェル開戦時点で、バレンバン地方を手にいれてるはず
精製、運搬にまでこぎ着けるのに時間は掛かるだろうけど、数年もすれば十分安定供給できるようになるはず。

258 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 14:11:25 ID:Mrq5av360
>>255
>>257

あなたも外伝ちゃんと読んでますか?
カナ姫様の細腕繁盛記07に書かれてますが、バレンバン地方の石油を安定供給するには約10年かかると技術者が試算しています
全てが完成するのに10年ではなく、ある程度の形にするのに10年です
しかもこれはバレンバン地方のみに注力した場合の試算であり、実際は利権争いで複数の資源地帯を並行開発しているためそれ以上かかるともね
とてもじゃないけど数年で安定供給は無理です

259 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 14:22:56 ID:PWpWcV7s0
それは娯楽施設や労働者の居住施設全てを敷設など含めた試算でしょ
既に表面に巨大な湖沼として涌きだしてる分を当座の使用目的として運用するなら、
ドラム缶に詰め込んでトラックで港に運び、タンカーに乗せて本土で石油に精製。
当座の軍事運用に使う程度ならばはこれで凌げると思うけどね。

っていうか、既に現時点で本土の石油貯蔵量がヤバイことになってるのに、
10年間も石油供給がまったく出来ない状況で戦争なんてできんでしょ。

260 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 14:29:59 ID:/.jZBwXg0
安定してるかどうかはともかく、最優先で石油の供給設備の工事するに決まってるじゃんかなぁ。
都市計画全部が整うという10年後までなにも送らないとでも思ってるのかねぇ。
運搬道路は祖父王が軍事運用目的の道路網をフランケル地方に張り巡らしてるから、
一から作る必要がある訳でもないだろうしな。

261 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 15:27:03 ID:4uvD3NPM0
ってか、あれだな。戦記小説としての戦略論と
現実政治での戦略論を混同してる気配がプンプンする>Mrq5av360
帝国が弱いと判断するなら、その弱点をどう作者さんが
料理して帝国の危機(および大逆転劇)を演出するか
でワクテカしておけばいいだろうに

262 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 15:34:00 ID:PrNDtOqYO
>>258
間章3第4話後編

263 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 16:44:29 ID:Mrq5av360
>>259

ある程度の形=娯楽・居住施設含めた完成形と捉えているようですね
私は最低限の目的を果たせるようになって初めて「ある程度の形」と形容できると捉えましたが
ってか、普通はそうなのではないでしょうか?
この場合は採掘施設+運搬施設+港湾施設の3つができ、石油採掘場としての体裁が整った状態でを言うのでは?
これらの施設が揃ってないと石油の安定供給なんて夢のまた夢
まぁ、上記は私の個人的な価値観によるものなので、くろべえさんに直接きかないとなんとも言えませんがね
それから、>>258のレスは>>257の「数年で安定供給できるようになる」とういう点に対する反論
「当座の軍事運用に使う程度」や「10年間も石油供給が全く出来ない」等、論点のすり替えをしないでいただきたい


>>260

確かに設備が整うまで何も送らないというわけではないですね
実際に「シャベルで掬い取る」と技師長がおっしゃってますし
同時に「人力では限界がある」とも・・・
しかし先に述べましたが>>258のレスは>>257の「数年で十分安定供給できる」というという部分に対する反論なので、貴方のレスも論点がずれています


>>261

どこをどう読めばそういう結論に辿りつくのか非常に興味深い
私が何時何処で「帝國が弱い」と書きました?
帝國弱いの話が出てきたのはこのスレの>>60あたりからかな?
残念ながら、Vol.16になってから書き込んだのは>>258が初めてなので、その話に私は加わってません
そして>>258には「外伝の内容と照らし合わせると、数年で安定供給は無理だろ?」という内容しか書いてないつもりだったのですが・・・
もしかして無意識のうちに縦読みか斜め読みでも入れてしまったか?


>>262

申し訳ない
それを見落としてました
自噴するという性質上、施設を二の次にしてもそれなりの量を供給できるようですね

264 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 16:56:51 ID:SmNt80W60
ID:Mrq5av360、顔真っ赤すぎて噴いたwwwww

265 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 17:11:20 ID:8RNT3GbA0
議論スレでどうぞ

266 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 17:27:44 ID:M8D4HrP60
この話題も「等価交換」言いだした奴と同じIDの奴が発端なんだよなw

変な奴に住み着かれたもんだ。

267 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 18:40:50 ID:EMprpyVA0
もともと石油資源が無くて苦労する帝国という制限でバランスをとろうという
パターンなのに、大量の石油がある地域を手に入れたあげく使えませんときたもんだ
石油資源の確保が国是になる状態で、説得力なんてあるわけが無いのに
それに固執しきってる状態では突っ込みが入るのは仕方ね〜よ

268 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 18:46:28 ID:EMprpyVA0
大陸で暴走が日常だった陸軍のお偉いさんが、自分たちで使う分を確保すべく
問答無用で、工作部隊を投入して基地を作り石油を掻っ攫うくらいは期待してたんだけどね

269 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 19:19:23 ID:N/eAJa2w0
石油が無きゃ無いで戦争しなければ何とかなるしね。
船はタービンがこの当時の基本だから釜を石炭に対応できるようにすれば
当面は何とかなる。これで輸送はなんとかなる。

国内の火力発電所もほとんどが石炭対応だから大丈夫。
この当時の主力動力は人・牛・馬だから、自動車の数も少ないし、代用は利く。

大体、戦争と言うのは何十年も用意して、その戦力を一度の戦いに消費するものだよ。
だから壮絶な無駄とまで言われるんだけど。
それを年間行事みたいに戦争しようとするから無理がでるわけで、
火葬戦記でもなけりゃそんな無茶はできないですね。

270 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 19:45:12 ID:ZZH8o.H20
>>269
よくお前はノコノコとレスが出来るな・・・
おまけにその主張が出来るのだとしたら、
しかも転移直後の混乱のなかで強行できるか?
全国津々浦々の石油機関を石炭対応とかナンセンスだとは思わないか?

>輸送はなんとかなる。
タンカー自体が貴重なのにそれをドック入りさせてまでやる馬鹿がどこにいる?

自らの主張をユーモアだと思っているならキツイ言葉で申し訳なかったが、
このスレの状態を悪化させた張本人がするべきユーモアではないな

271 名前:長崎県人:2007/09/10(月) 19:46:19 ID:2MxH4A12O
>>269さん


なんとかならないと思いますよ〜


缶の交換は中身総取り替え並の大仕事なんですから(故に付随の発電機のっけてパワーアップだ!とか海軍艦艇でそうそう出来ない・・・CICどうしようかで苦労したんでありんすよ)やるドックも新造も時間かかり増すし、現状の物を使って油探しながらやるしかやりようがありません


ついでに対米戦直前だった転移前からして、不意に帰ったときの為に貯めておこうとするのが当然でしょう。現実問題として


それから石炭が持つかどうかは落盤事故次第(下手に掘ると起きる最悪の事態)でしょうが、ついでに言うと木炭もやばいですな、駐日ドイツ大使館でスキヤキパーティやろうとしたら、肉よりも木炭が無くて中止寸前になってましたから


某桜花大戦のように蒸気機関が物凄く効率が良くなるなら、なんとかなるかもしれませんね。火葬ですけど、あれ

272 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 19:57:09 ID:39nJHaRc0
>>269
おまえはなんで堂々と書き込めるの?
ゆとりなの?

273 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 20:06:43 ID:PrNDtOqYO
ゆとり君の人気に嫉妬

274 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 20:14:08 ID:N/eAJa2w0
>>271
そうでしょうね。艦艇の主力艦の速度変更には石炭じゃ対応できないでしょうし、
船のどこかを切り出さないといけないから大仕事です。
ただ、戦後を見ていただければ分かりますけど、戦後直後の日本は男は鉱山夫
で石炭採掘をしてましたからね、エネルギー確保と言う点では石炭採掘が一番堅実な方法です。
>>270
輸送はなんとかなるとか書いてますけど、このころのタンカーとかは
石炭で動いていたと思いますよ。日本にとっても石油は貴重なんですよ
軍隊の輸送艦とかは別ですが商船に石炭が使えるほど日本は金持ちじゃありません。
石油が広く使われるようになったのは戦後に中東から石油が湯水のごとく
出てきてからです。イギリスとかアメリカでも石油で商船を動かしているのは
めずらしかったと思いますよ。
そんな高価な物を使っていたら商船は忽ち赤字になりますからね。国の経費で動かせる
軍艦とはちょっと違いますよね。

275 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 20:34:42 ID:KU8QS5YM0
不毛な議論・論争はそろそろ自重してくれ。

276 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 20:44:34 ID:aYdPl3/o0
>>276
船の動力ですけど、石炭か石油かってコスト安いほうを使ってたらしーですけどね。
んで、国内の炭鉱開発するのと露天掘りOKな油田じゃー油田がコスト安いんじゃないですかね。
まして帝國は好景気真っ只中で造船ラッシュ建築ラッシュなわけですし、わざわざ国内の炭鉱開発するとはおもえないです。
まーそれはそれとして、油田の開発って帝國がもっとも力入れるところだと思うんですけど、それでも10年とか余裕でかかっちゃうもんなんですかね?
単純に素人の疑問なんで叩くのは簡便デ・・・。

277 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 21:07:21 ID:55XpGFAo0
帝國の音楽ってねぇのはアルフェイムではどの程度需要があるんでしょう
かね?
演歌・・・というか戦前ですから歌謡曲ようななものはあるでしょうが
後はジャズなんかは需要がありそうですね。
イメージ先行ですが獣人の音楽としてロックが発明されるかもしれません。
クラシックに関しては下地があるかもしれないですので違和感なく
入りそうですけど。ピアノがこっちの世界でも発明されていれば
オーケストラでも大規模な物が組めそうです。

278 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 21:09:43 ID:bPXz9P7w0
>>274
商船でも畿内丸型(1930 年)あたりからディーゼルエンジン積んでたけど、商船もただ積荷を運べばいいってもんじゃなく
相場がからむ積荷や鮮度が問題になる食料品とか色々ある訳で、むしろ儲けを重視する民間船の方が……
つーか「思いますよ」とか思い込みで書き込むのやめてくんない? 


>このころのタンカーとかは石炭で動いていたと思いますよ。 
>イギリスとかアメリカでも石油で商船を動かしているのはめずらしかったと思いますよ。

279 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 21:19:25 ID:bPXz9P7w0
ごめん、ばいかる丸 (1921) 音戸丸 (1923)とか普通に1920年代から建造されてるわ>日本のディーゼル船
なんかおかしいと思った。

280 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/10(月) 23:42:47 ID:oVuuhHNoO
>>277
獣人達はこちらの黒人の人々になぞらえるなら、
どちらかと言えばブルース、またはジャズのようなイメージが俺にある
そして哀愁漂う日本歌謡とそれが融合した場合・・・
悪い、想像したものがカオス過ぎたorz

一般に狭義のエレキギターは1947年に発明だけど、
帝國世界では遅れるだろうなぁ〜

281 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 00:04:19 ID:iO9hxl.s0
長門は重油/石炭混焼だそーですね、新造時は。

>>280
青い山脈と戦隊もの混ぜるような謎反応おこしそうで。

282 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 01:11:33 ID:qigg1.Ks0
議論で80レス近く消費するなよな。
もう少し、紳士的になろうぜ。

283 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 01:48:37 ID:Pusv3SwY0
>>276
油田の開発って帝國がもっとも力入れるところだと思うんですけど、それでも10年とか余裕でかかっちゃうもんなんですかね?

当時、日本に石油事業の「上流技術」はほとんど存在していない。
いわゆる「開発、生産技術」だがノウハウがなく、また整備に必要な特殊鋼管など輸入しなければ手に入らないモノも多かった。
南方作戦に使った資材は「国内油田分の備蓄と、それでも足りない分は国内油田の稼働しているモノをばらして持っていってます」
しかも一から開発したのではなく、「ほぼ無傷で確保した蘭の油田」の再稼働のために使用しただけで。

ちなみにそこまでしたにも関わらず前年比40%の生産にとどまった。

1施設.設計(流用? 改造?)
2.鋼管、特殊ゴムなど試作及び量産
3.現地施設組み上げ
4.操業

と言う順番になるとすると2.で引っかかり、 3.で問題が出て、 1.に戻る を繰り返して時間を浪費すると思われ。
何せ「工業規格が無いから流用も出来ない」しな。
一周で済んだとして2年以上? そんなに上手くいく訳もなく、しかも分力してるから10年ってのはそれほど外してないんじゃないか?
一カ所カタチになれば一気に進むだろうけど。

そしてこれが完成しないとドラム缶輸送で
「タンカー1隻分の油を運ぶのにタンカー半分の石油を使う」様なことになるわけだ。

284 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 02:36:12 ID:q2m2yTUk0
まるで、現在のロシアみたいですな。
シームレス配管が絶対必要なのに、領土問題で平和条約も結べない
極東の某国企業しか造れない・・・・

285 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 03:33:24 ID:M8D4HrP60
>>283
ロッシェル占領後なら、荷駄用の竜が大量に手に入るだろうから、
時間は多少掛かっても港までの輸送のコストパフォーマンスは劇的に下がりそうだけどね。

286 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 07:23:59 ID:wa9X.orw0
>>283
その当時の日本ががんばってた地下からくみ上げる方式ならそれで正解なんだろうけど
現状このスレの前提の一つに 自噴してる石油 がある以上、
汲み上げるための特殊鋼管は必要ないのではなかろうか

問題となるのは輸送と精製だと思われる

287 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 14:14:08 ID:OFhZwItk0
くろべえ氏の話の帝國って、仮想(火葬)戦記のアメリカの立場だよね。
圧倒的な国力と技術力を持ってるけど、F世界を侮ってるという。
実際はアメリカと違ってキツキツカツカツなんだけど。

仮想戦記と同じで総合力が優れていても戦いに勝てるとは限らないから
帝國大丈夫かなぁ、と思うことはあったり。
アメリカと違って分析力や学習能力が滅茶苦茶高い訳じゃないから反撃に出れるのが随分先になりそうで、
我々がその状況を読めるのは果たして何時のことかとちょっと心配になったりw

288 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 15:22:31 ID:MsAR/znU0
帝國は工業国になっていない半農業国家だからねぇ

それでも単戦で中堅国家には勝てるだろうけれど
中央世界連合軍みたいなものを組織されて
全面戦争になったら転移時の状況じゃ勝ち目が無いわな

大内海の本土にまで敵が押し寄せるとは言わんけど
派遣軍が壊滅しまくりそうだ

289 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:42:01 ID:Hd5cQ7n60
>231
>そこで装甲列車ですよ(ぉ)
 いやあ、大部分は現地住民のコソ泥なんで。
 特に最近はものの価値が判ってきたらしく、帝國製品とか選んで盗んでいきます。
 ……蚊みたいなもので、おっぱらってもキリがありません。
 (まあ所詮は「多少蚊に吸われた」程度の被害なのですが)

>>237
>路面電車
 路面電車って電気が動力でしょうから、まず発電所を作ることから始めないといけません。これが大きな壁ですね。
 で、電力はまず帝國軍施設と工場、ついで役所、貴族邸宅……って感じで配分され、正直庶民の優先度は低いかと。

>>247
>養殖真珠
 いいですねえ。絹と並んで帝國の顔になれますよ。絹と真珠の国……美しい響きだ。

>>248
>石油という縛りのおかげで十分力を発揮してませんね(陸軍もですが)。
 そこで騎兵ですよ。未だ2個旅団の騎兵が現役(充足もまずまず)で維持されとります。
 自動車の大半を取り上げられて馬のみです、油いりません。コレ最強。
 ……現地まで運ぶフネと油があれば、ですが。

>後まともな海図がないことも。
 あと地図も(笑)

290 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:42:45 ID:Hd5cQ7n60
>>251
>外交能力の欠如
 標準装備です。外交能力豊かな帝國なんて帝國じゃあありませんから。

>経済発展という名の縛り
 上記部隊の大部分を占める平時編制部隊を充足できない、ということですね。

>>277
>帝國の音楽ってねぇのはアルフェイムではどの程度需要があるんでしょう
かね?
 現時点では邦国の貴族や直轄領の有力者が聞くくらいです。
 それ以下はもう少し余裕ができないと……

291 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:43:16 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』後編その2

 以後の遣り取りについて多くを語る必要はないだろう。
 獄卒頭は非礼を侘び、獄舎の一室を用意して以後彼を客人として遇した。
(開放されなかったのは彼が未だに身元不明であるためだ)

 獄に詩聖あり――その噂はたちまち近隣に広まった。

 彼の宿舎には噂を聞いた近隣の文化人が足繁く訪れ、教えを請う。
 彼もまた請われるまま幾編かの詩を詠み、またその全てが余りに素晴しかった為、その名声はますます広がっていった。
 ……そして、ついに噂は宮中にまで及んだ。



 ――是非会いたいものだ。

 朱祐――彼はこの時既に清華風に“朱祐”と名乗っていた――が詠んだとされる数編の詩に目を通した後、時の皇帝は溜息と共にそう呟いたという。
 当時は孝文帝の世である。文学を……ことに詩を愛し、自らもまた好んで詩を詠んだ帝にとってそれは当然の思いだった。
 が、その身は大清華の皇帝、如何な“詩聖”と言えども何処の馬の骨とも判らぬ輩と会うことは出来ない――そう主張する重臣達に、孝文帝は命じた。

 ――ならば、身分を与えよ。

 こうして朱祐は半抱入席(*1)とはいえ下大夫(*2)の身分を賜り、拝謁を許されたのである。
 ……が、拝謁の場で発言を許された彼は、とんでもない事実を告白した。
 何とこれ等の詩は全て自分が作ったものではない、というのだ。しかも自分はこの世界の人間ではなく、この詩もこの世界のものではない、という。

292 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:43:46 ID:Hd5cQ7n60
 もしもその告白が事実であるならば、皇帝を騙し、あまつさえ貴族の位階を不当に得たことになる。
 また告白が嘘であるならば、やはり皇帝の前で嘘偽りを言い、愚弄したことになる。

 ――八つ裂きにせよ。

 そう命じてもおかしくなかった。(事実、歴代の皇帝ならばそうしたことだろう)
 ……いや、それよりも前に周囲の廷臣達が騒ぎ出した。
 が、孝文帝は周囲とは異なる反応を示した。

 ――ならばそちは、異界の名詩を詠んだ、というのか?

 身を乗り出して尋ねる帝に、『御意、千編は諳んじえましょう』と朱祐は答える。
 それを聞き、帝は感嘆の溜息を吐いた。

 ――異界の名詩が一千編、か。

 帝にとり、それは夢の様な話だった。
 だから、『証拠に』と詩を詠もうとする朱祐を耳を塞ぎながら慌てて止め、命じた。

 ――これより朕の傍に侍し、一日に一編だけ詠むがいい。

 朱祐は封1000石の上大夫位と宮中の一室を与えられ、以後皇帝に近侍することとなった。

293 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:44:17 ID:Hd5cQ7n60


 月日は流れ、三ヵ月後。

「朱祐、朕は異界の存在を信じるぞ」

 いつもの様に朱祐の詩を聞いた後、帝は真剣な顔でそう宣言した。

 詩人にはそれぞれ個性(作風)というものがある。
 が、朱祐が詠む詩はまるで多数の詩人が詠んだかの様にバラバラで、統一された個性(作風)がない。
 ……にも関わらずどれも第一級だ、信じない訳にはゆくまい、と言う。

「いやはや、この世は不思議で満ちているものよ」

 帝は大笑し、ついで苦笑した。

「……なるほど、だから“朱祐”か」

「?」

「いやなに…… そちは知らぬだろうが、朱氏というのはもう数百年以上も前に滅びた名門氏族なのだ」

 朱氏とは現在の韓・魏・趙の三王国とその周辺領域を支配していた大国、晋王国の王族である。
 当時まだ新興国であった清華など及びもつかぬ国力と伝統を誇ったが、その歴史の古さゆえか内紛が多発、戦わずして自滅の道を歩んだ。

「それは……知りませんでした。名を変えましょうや?」

294 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:44:47 ID:Hd5cQ7n60
「もはや清華の世、滅んだ国のことなど気にする必要もあるまいよ。以後も朱氏姓を名乗れ、許す」

 恐れ入る朱祐を制し、帝は上機嫌で笑った。



 ……さて、この頃の朱祐は中々に多忙だった。
 というのも、一人皇帝にのみ侍していた訳ではないからだ。

 まず皇太后や皇后に、和歌を教授する役目がある。

 ――なんて美しい文字、優しい詩なのでしょう!

 皇帝同様に芸術を好む彼女達はすっかり和歌の虜になり、自ら歌会を催す程の熱の入れ様だった。
 清華のトップレディーが二人揃ってここまで熱中する以上、他の高貴な女性方も和歌を習得せざるを得ない。皆、必死になって学習する。
 ……が、帝國文字も和歌も知るのは朱祐一人のみ。彼女達二人への教授と歌会出席だけで済む筈がなく、目が回る忙しさだった。

 そして止めは太子への歴史講釈。
 太子は詩にはさしたる興味を示さなかったが、異世界の歴史に関しては別だった。
 特に近世から近代に至る歴史に関しては並々ならぬ関心を示し、根掘り葉掘り聞き出した。

 ――要するに我が国……いやこの世界は“産業革命”とやらの手前で足踏みしている、という訳だな。

 駆け足とはいえ一通りの流れを聞いた後、太子は溜息と共に呟いた。
 そして更に付け加えた。

295 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:45:17 ID:Hd5cQ7n60
 ――私の他には詳しく話さぬ方が良いだろうな、讒言の良い口実にされるぞ。

 事実であった。
 何処の馬の骨とも判らぬ者が皇帝一家の寵愛を受けていることを、疎ましく思う者は多い。
 朱祐は異世界などという有りもしない世界を持ち出し、陛下を始め皆様方を騙しております――といった類など日常茶飯事だ。
 ……尤も、皇帝は『ならば一層重く用いねばならぬな』と笑い、太子は『どうでも良いことよ』と切り捨てるだけだった。

 皇帝にしてみれば、今まで聞いた詩の全てが朱祐自身の作となるだけの話であり、最も需要である“詩の素晴しさ”に何ら変わりは無い。
 太子は太子で、朱祐の歴史講釈が真実だろうが架空のものだろうが“聞く価値がある話”であることに変わりない。
 ……いや、かえって朱祐の才が並々ならぬものであることになり、一層重んじる必要があるだろう。
 故に一言で退けられる、それだけの話に過ぎなかった。

 が、この歴史話はどうもまずい。特に革命の話など、下手に洩れた場合かばいきれない恐れもある。
 それ故の忠告だった。

 朱祐は太子の心遣いに感謝し、跪礼した。



 この様に皇帝一家から寵愛を受けていた朱祐であったが、政治に携わる様になったのは宮中に出仕してから五年後のことだ。
 ……意外な程遅いが、これは上で挙げた様に仕事で忙しかったため、そして未だこの世界の事情に不慣れだったためだ。
 が、孝文帝が太子を摂政としたのを機に、朱祐は政治に足を踏み入れた。

 朱祐、第二の官僚生活の始まりである。

296 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:45:50 ID:Hd5cQ7n60


*1 ――――半抱入席――――
 皇帝を始め王侯貴族の家臣は、その身分保証によって以下に大別される。

 譜代席は、その子々孫々に至るまでその身分(位階と禄)を保証された臣。
 抱入席は、その身一代に限りその身分(位階と禄)を保証された臣。

 半抱入席とは抱席の一種で、『一時的にその身分(位階と禄)を保証された臣』のこと。
 なおこの場合の『一時的』とは『出仕している期間』を指し、通常年単位である。
 抱席や譜代への登竜門、といった意味合いの身分であり、決して気軽に与えられる身分ではない。(ましてや皇帝直参の貴族位だ)

*2 ――――下大夫――――
 最下位の貴族で、江戸時代で言えば『中下級の旗本、或いは諸藩の上級武士』に相当する。
 なお、この時朱祐が賜った位階は『50石格の下大夫』である。
 ……ちなみに下大夫の禄は150石以上、最低でも100石が相場だ。
 士ですらおおよそ20〜40俵の“下士”、40〜60俵の“中士”、60俵以上の“上士”、100俵以上と下級の大夫にも匹敵する“大士”といった具合――格こそ違うものの“大夫以下の1石”と“士の1俵”は同収入――であることを考えれば、100石未満……ましてや50石など『最底辺の貴族』と言って良いだろう。

297 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/11(火) 15:46:20 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 次回でようやくラスト。

298 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 19:29:57 ID:bMnlI5ig0
投下乙です。
旧制中学校(だったかな?)やら士官学校の入試問題を本にしたものがあって
パラパラっとめくってみたことがありますが、当時のエリートって本当に教養が
あったんスねぇ。

……今からでも遅くはないな。ブンガクに触ってみるか

299 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 19:38:27 ID:NK2lzpxg0
騎馬隊よりも手間のかからない帝国陸軍の銀輪車部隊のほうが有利なのでは。
ただ、車体の強度が解らないからはっきりいえないけど。

300 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/09/11(火) 19:47:55 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。

大蔵官僚が転移して、詩人の先生、そして再び官僚生活の開始ですか。
まさに大逆転ですね。
しかし、死刑覚悟で詩の詳細を告白するとは。朱祐、なかなかに肝が据わってます。

301 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 19:55:12 ID:dinMWqvE0
投下乙です。
年代からすると、この太子が現在の清華皇帝でしょうか。
ずいぶん出来そうな人ですが、こういう人が地球の歴史の過程を知ってるってのは怖いですね。
帝國に対して過大評価も過小評価もせずに相対してきそうです。
もしかしたら蒸気機関あたりは研究を推し進めてるかも。
まぁ、これくらいのことがないと、転移男の時代にまで帝國相手に国を維持し続けるのは難しいかもしれませんが。

302 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 20:23:12 ID:oVuuhHNoO
投下乙です。

太子に地球の歴史を教えたのは、自分は元の世界に帰れないし
よもや故国がアルフェイムに転移するとは思ってなかったからでしょうね。

それにしても太子、やはり革命の危険性に気付きましたね。
そしてアルフェイム世界が産業革命の手前で足踏みしていることを。
産業革命がもたらす国力の増大と、それに伴う民衆の発言力の増加……
国を治めながらも王権にあるものには悩ましい限りですな。

303 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 21:37:26 ID:bPXz9P7w0
>>301
蒸気機関の理屈を知っていても、溶接技術が発達しないと高圧に耐えられる缶が造れないんだよね。
現実でも加圧型の蒸気機関が造れるようになったのは、ガスや電気が使えるようになった産業革命から。

まぁ魔法でなんとか出来るのかわからんけど。

304 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 21:55:44 ID:ZLERdAUk0
蒸気機関ができないと産業革命は無理

産業革命を成さないと帝国と対等の戦争ができない

一方的技術&戦力差はストーリー上許容できない

よって蒸気機関(または魔法類似品)は何とかなるので心配要りません

305 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 22:16:03 ID:zp70cZe20
ここで帝國の産業話してると、明治維新〜太平洋戦争と比べる戦後〜現代日本の
シャレにならんほどの発展度合い(産業技術面での)を再認識するね・・・。

306 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 22:52:35 ID:zp70cZe20
まぁでもアレですね。
日本だって欧米列強の圧倒的な力見せ付けられて革命まがいのことして近代化に踏み切ったわけで。
改訂版の帝國でそこまで列強に恐怖を植えつけられるかというと・・・厳しいんじゃないでしょうか?
せいぜい「お船が強くて飛行機もそこそこヤル」程度の認識だとおもいます。
帝國本国は大内海のど真ん中で実際に「近代工業」とやらに接する機会もないでしょうし。
そんな状況で、社会制度がひっくり返る「産業革命」なんかを列強が起こす可能性は低いかと。
官主導で技術開発するとしても、参考にできるのは帝國語で書いてある技術書くらいですし、そもそも官主導じゃ限界があるでしょうし。。。
(魔法でどーにかなる!といわれたら魔法マンセーと叫ぶしか。。。)
とりあえず旧版のレムリア併合くらいの事態にならなきゃ、自体は動かないと思いますけど、、、。

307 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 22:54:54 ID:bPXz9P7w0
>>304
本国の位置を知られてないとはいえ、広大な海を渡らなければならない&常に侵攻側。
ほとんど全世界が敵。手作業とはいえマジックミサイル(誘導弾)を造れる魔法技術等々
現状でも特に一方的戦力差ってわけでもないと思いますが。

いつまでも隠しておけるもんでもないし、実際に教科書等も流出してるようだけど、(恐らく)は
200年以上有る科学技術格差を無視して、安易にコピられるほうが萎えるでしょ。

308 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 23:56:23 ID:Pbg37KEs0
そもそも最初は列強との戦争での裏での帝国の綱渡り運営が主じゃないっけ
いや、改訂版も十分面白いけど、ヨークタウン氏みたいなあからさまな対等関係はもうお腹いっぱい

309 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/11(火) 23:59:27 ID:55XpGFAo0
自由主義経済と表現の自由(帝國側にこれがあるかは別として)といった
変化がない限り技術の応用というのは難しいですね。
参考書があるとはいえ、それをすぐコピーできるかといえば基礎工業力や
基礎科学力が必要ですかねー。

>レムリア併合
列強の保守派が動くような革命的な事が起きないと人間動かないかも。
この世界広いですから、自分らの支配地域や国境線まで来ないとそういった
危機感が出ないかもしれません。
国民国家かそれに近い政体なら話は違ってくるかもしれないですが。
むしろ共産主義をペストのように列強に振りまくという手法も考えられ
ますね、でもこれだと後で干渉戦争か。

310 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 02:18:40 ID:aSmTfhUw0
そもそもレムリアよりはるか遠くを隔てた列強諸国の上位階級にしてみれば
海を越えて攻めてくるのは何時になるのやら、な帝國よりも
産業革命を成し遂げられるような社会構造のほうが避けたい危機でしょうしね。

魔法でなんとかするさ!にしてもその魔法自体が徒弟制度メインの前時代的なもの、
という上手い縛りをくろべえ氏が作ってますし。
どのみち帝國はトチ狂って自滅しない限りは改訂版でもダントツのチート国家ではあるわけで。
そして、そのトチ狂って自滅するかしないかギリギリなのが帝國召喚の面白さなんでは?

311 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 02:33:24 ID:55XpGFAo0
>魔法
昔サイバーコミックで連載されてた「混コウ世界ボルドー」って小説
に魔法が万能ではないというくだりがあってご都合主義なんでも
ありというもんじゃあない設定に好感を覚えた事はありますね。

312 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 03:12:49 ID:axlQzoZM0
>>対等関係はもうお腹いっぱい
対等関係の描写の方が書きやすいことは明白です。(市販の少年漫画)
攻撃&反撃繰り返し描写が使えずアイデアに詰まり、書きづらくなり擬音だらけ、更新停止という結末を迎えるよりは良いと思う。

313 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 04:39:46 ID:BSbuSQCQ0
臣民皆教育制度や技術系学校・技官の拡充等で
少しづつ準備は始めてそうですね、この聡明な太子なら。
もちろん皇帝も公認で。

314 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 04:41:56 ID:BSbuSQCQ0
あ、あと
東インド会社や、黒いチューリップ、南海会社事件の顛末、
ポトシ銀山が近代資本主義の始まりである、ってのを知ってるのは大きいですね

315 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 06:25:26 ID:SRTE3zjw0
とはいえその辺りの話全てを、政治資料にできるレベルまで詳細を極めて記憶しているというのはさすがに無さそうで。
あくまで概要を知っている、と言う辺りのことではないかと――これでも充分ですが、それを元に全てに的確な対応をとるなどは不可能ではないかと。

場合によっては、記憶の穴で重大な欠陥を抱える演繹に至ることも大いにありそうですし。
半可通の恐ろしさは歴史を見るに枚挙にいとまがありませんし。

316 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 08:03:01 ID:8RNT3GbA0
あの時代の人なら普通に毛筆上手いはずだから皇帝から評価高そうだな

317 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 09:35:50 ID:Uc9y0/..0
しかも、朱祐氏、漢詩好きの大蔵官僚ってことは、バリバリの文系みたいだしなぁ。
どんなものかはおおまかに判ってても、細かい構造はさっぱりだろうし。

318 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 09:42:53 ID:55XpGFAo0
獣人への給与兵器にステンガンが使えればなぁ・・・。
国やら時期が異なるので無理なんですが並外れた安さと生産性の良さ
というメリットがあるので錬度が低い兵士に持たせると便利なんです
よね(使用弾薬の問題もある)。

残敵掃討向けですし獣人ならステンガン持って予備弾倉をいくつか
持たせた上で白兵戦用の武器を持っても苦にならないでしょうから。
射程が短いという欠点がありますが短機関銃は一発一発狙うことや
遠距離散布界射撃が目的の武器では無いですから。
(獣人の)体力的には軽機関銃が装備できますが弾薬供給能力と調達
コストで見るとどうなんでしょうね。
ステンガンの場合射程が短い(46m)のも欠点と言えば欠点ですがこれら
の武器を敵に鹵獲された場合でも対処がある程度可能な点ではそれ程
大きい問題ではないのかも。

319 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 10:59:05 ID:IOi0JOUM0
清華の皇帝陛下は手に入る情報を検討した結果、
帝國との友好を選択しましたとさ・・・というオチがあってもいいような

320 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 11:05:46 ID:55XpGFAo0
後は狙撃兵の有効運用も取られてそうですね。
アルフェイムの場合前近代的な軍隊が主流でしょうから指揮官先頭
の原則で部隊の指揮を取る騎士などが乱戦でも識別しやすいように
派手な格好をしている可能性があるのでそれを狙って遠距離から狙撃
を行い指揮官を殺傷する戦術が有効ですね。

前近代的な軍では指揮官が死亡した際の統制が乱れやすいですから
(この辺り国民国家では指揮官が死亡しても統制がまだ乱れにくい
です、ただしロシア帝国や英国などの例外はあり)。
元々眼が良いであろう狩猟タイプの獣人が狙撃兵になれば非常に強力な
ものになりそうです。
史実でも南方戦線で日本は狙撃兵を効果的に運用しガダルカナル島
撤退作戦時に足止め(捨て駒とも言いますが)に利用していますから。

321 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 11:10:12 ID:Uc9y0/..0
>>319
それだと帝國にとっても楽だろうけど、やっぱこの世界でも中華主義なんだろうなぁw>清華

322 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 11:59:50 ID:bJFcWGuQ0
>>320
個人差はあるが傾向として獣人は
興奮すると獣のように猛るから
狙撃手にこれほど向かない種族も珍しいと思うがね

繊細なセッティングの狙撃銃を緊張のあまり力を込めて
「曲げちゃいました」が続出するぞw

323 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 12:10:57 ID:55XpGFAo0
>>322
「軍」として機能するように教育すればいいだけでは?
一般的な狙撃が駄目であるなら重機関銃を使って長距離狙撃を
行うという方法もありますよ。
アルゼンチン軍はこの戦法で英国を一時的にですが圧倒していましたし。

324 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 12:18:36 ID:oVuuhHNoO
>>323
獣人の活躍を見たいなら、旧版本編の大特演の件を読めば?
彼ら、興奮し過ぎて何挺か“九七式自動砲”壊してますよ?

325 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 12:21:07 ID:oVuuhHNoO
ついでに言うなら狙撃に関しては外伝カナ姫のメクレンブルク戦の時を参考に

326 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 12:27:15 ID:55XpGFAo0
>>324
いや、読んだ上で書いてるのですが・・・まあいいですここでしょうもない
不毛な議論したくないですし。
他所様の土俵でうだうだ言いたくないですから。

327 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 13:02:24 ID:UbvONCSg0
>>323
そいつを相手するな。ID抽出して、今までどういう言動してるかよくみてみ。

328 名前:327:2007/09/12(水) 13:03:04 ID:UbvONCSg0
アンカー間違えた。>>324

329 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 17:26:43 ID:SM6D4vq.0
っていうか皆帝國対列強の外交が敵対関係だけと思い込んでない?
外交ってのはもっと複雑なもんだと思うんだが

330 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 17:43:13 ID:bJFcWGuQ0
欧州の外交で言えば
中世から近代にかけては王族の婚姻が
網の目のように結びついているから

国家対国家というより家対家なんだよな

アルフェイムの中央世界に属する国家群がそこまで緊密かどうかは
まだ語られていないけれど

顔なじみのドロドロした血縁外交にえんもゆかりもない全くのよそ者が
入ってこられても対処に困るだろ

帝國にしても帝國の実力列強にわからせない限り
列強は潜在的敵対勢力と考えておいた方が
軸がぶれないと思う

帝國の異質性に目を瞑っても
その国力を利用しようと近づく列強が出てきたら
要注意だけどなw

331 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 18:36:43 ID:55XpGFAo0
国家対立に勝ち残るために帝國と技術協定を結ぶという事っすか。
「敵の敵は(とりあえず)味方」という考えも結構恐ろしいですよね。

332 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 19:01:59 ID:BSbuSQCQ0
いまの精華だと、とりあえず帝国との対決を避け、
出来うる限り国力をあげ近代化する

ってのが最善策ですな

一応、帝国としてもそれが無難だとおもってるだろうし

333 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 19:07:52 ID:dg9V522g0
>>臣民皆教育制度や技術系学校・技官の拡充等で
>>少しづつ準備は始めてそうですね、この聡明な太子なら。

3億の人口で完全な農業国、、、で皆教育は無理でしょ。。。
そもそも子供=労働力だし、人口考えると教育費とか国庫の負担すごそうだし。。。
読み書きソロバンでさえ無理な気がする。

334 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 19:49:09 ID:dmDAm9320
>>323
本編を読んでれば分かりますが、帝國は獣人を兵士にしたいわけじゃありません。
教育水準もドン底の彼らを手間暇かけて兵士に育ててわざわざ戦争ゴッコやらせるよりは
一人でも多く人間重機としてドカチン仕事をやってもらいたいわけです。

「こんな装備だったら獣人も効果的に戦える」なんてのは
獣人の効果的運用とは真逆を行くものだと思ったほうがよいでしょう。
獣人に必要な装備はステンガンでも狙撃銃でもなく、ツルハシとスコップなのです。

335 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 21:24:19 ID:Y0JW9sr20
>>334
> 獣人に必要な装備はステンガンでも狙撃銃でもなく、ツルハシとスコップなのです。
つまり,シャベルこそ最強の武器というアレですな(え?

336 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 21:30:28 ID:PrNDtOqYO
>>334
気持ち良いくらいに一刀両断したなw

337 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 21:35:51 ID:Zg.Co81I0
議論スレを見てるようですな。ある意味皇軍スレの初期のころを見てるようだ…
あの頃はワイバーンのは飛べるのかや軍事行動の政治的意義ということをとても丁寧にそして理論的に
議論している方々がいてびっくりした記憶がありますが、あの方たちは今もこのスレを見てるのだろうか…


失礼ながらくろべえさんに質問をしたいのですが、アルフェイム世界では所謂理系の学問は
どれほどのレベルなのでしょうか?たとえば物理では我々の観点で言えば古典力学でとどまっているとか?
理由は、外伝のよもやま物語において憲兵大佐が科学技術流出の処罰として教科書を横流しした大佐を逮捕した時のセリフに、

>「例えば、この『元素周期表』! これは画期的な発見の一つだ!
> 今まで独立した存在だと考えられていた元素が、実は『全て一定の法則に支配されたもの』だという事実!
> ……これが魔道士共に知れたらどうなると思う! 奴等は錬金術師であり、学者でもあるのだぞ!?」

とあるので、化学?の分野は未開拓なのかなと思ったりするのですが、作品中に出てくる魔法は現代の
科学技術で行えることとほぼ同等(行える人間は限られているにしても)なのでその辺を疑問にもったからです。
最近書かれた短編に産業革命云々があったのでそのへんを知りたくなりました。

338 名前:337:2007/09/12(水) 21:38:56 ID:Zg.Co81I0
× あの頃はワイバーンのは飛べるのかや軍事行動の政治的意義ということをとても丁寧にそして理論的に
○ あの頃はワイバーンは飛べるのかや軍事行動の政治的意義ということをとても丁寧にそして理論的に
「ワイバーンのは」ってなんだ… 連投失礼しました。

339 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 22:18:32 ID:8RNT3GbA0
古典力学の初歩すら体系化されてないような

340 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 22:34:02 ID:55XpGFAo0
「ある魔術師の日記」だと万有引力の発見はこの魔術師が部分的にですが
発見してるみたいですね。
ただ学会では認められていないわけですからニュートン力学以前となると
アルフェイムは科学技術がちくはぐな進歩の仕方をしているのでしょうか。

341 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 22:50:37 ID:oVuuhHNoO
>>340
なんで他人の二次創作作品が出てくるんだ?
あれはくろべえさんの話じゃなかったはず。

342 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 23:00:23 ID:55XpGFAo0
>>341
アー、ということはくろべえさんの本編の方ではそもそもニュートン力学
云々という概念も無いという事なんですね。

343 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/12(水) 23:51:06 ID:mSiubQ.I0
先週から妙にうざい

344 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 00:18:38 ID:Zg.Co81I0
新版になってからは一つ一つの戦闘シーンや登場人物の描写をとても丁寧にかかれていて、それに伴う設定の追加なんかが皆さんの議論の
切欠となってしまっているのではないでしょうか?私の場合ですがそういった書き込みは読んでいるだけで楽しいですし。
もっとも、そのあたりを突き詰めていって作者さんの首を絞めちゃいかんだろうと思いますが。

旧版は帝國がというより作者であるくろべえさんがレムリアに飲み込まれてしまってたような気がするなあ

345 名前:名無し三等兵@F世界:2007/09/13(木) 00:31:16 ID:dDKWsT0E0
>>342
記述が無いからと言って、100%存在しないという事、ではないと思いますが。
まあ、ニュートン力学が存在するかは疑問ですけど。

>>337
>ある意味皇軍スレの初期のころを見てるようだ…
懐かしい。あの頃は書き込まずに見ているだけだった。

346 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 02:26:18 ID:dmDAm9320
>>335
スコップが元来持っている土木作業用品としての安価さと堅牢性に加えて、
砂利や土を相手に長年使い込んで研ぎ澄ませば刀剣をも凌駕する切れ味さえも有するのは
かの「わっぱ列伝爆造」でも語られた有名な話ですからね。
その切れ味が事実かどうかはともかくとして。

ザックザックと砂利をかいて研ぎ澄ますことを何の苦労ともせず
ガサツですぐに物をぶっ壊す獣人にこそ打って付けの装備と言えるでしょう。
その装備が戦闘でどう活きるかは帝國にとってはどうでもいいわけでw

347 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 03:21:01 ID:dmDAm9320
ニュートン力学含めこちらの世界の体系化された自然科学というのは
長年の試行錯誤の末に統一された概念を持つからこそ飛躍的な進歩をも生んでるわけで
おそらく帝國召喚世界での「リンゴって落ちるよな」の発見はそこには至らない、
ずっと昔からあるブラックボックスとしての魔法法則の範疇の外としては考えられてない気がします。

それを解き明かす努力こそされているものの、あまりに不可解であるために
(魔法以外の)全てに統一された法則があるだなんて考えられてもいないのではと。
解き明かせば飛躍的な進歩を生むはずの発見も、「魔法だからな」の一言で片付けられてしまう。
魔法が権威を持っていた世界ではそういう説明がまかり通ってしまっていたのではないかと。

帝國の持つ体系だった学問の漏洩が脅威なのは、実は多くのものには共通の法則がある、という
今まで気づかれていなかった側面に目を向けさせてしまうことにもあるんでしょう。
そしてそれは旧版のローレシアが足を踏み入れ始めた領域でもあったわけです。
そして、本来なら何百年も繰り返されるべき試行錯誤の最適解は帝國に既に存在しているわけです。

348 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 07:14:55 ID:oVuuhHNoO
蒸気機関の共同開発などでローレシアと清華が結ばれているのは、
ともに君主の力が絶大で、魔法の権益に縛られない政治体制を持つので、互いに利用しあえるからでしょうね。

349 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 08:53:30 ID:pNDvPEHg0
獣人がいればガ島で米軍上陸前に飛行場が完成したのだろうか

350 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 10:10:04 ID:BSbuSQCQ0
朱祐でも、帝国官僚レベルの教養があれば、一通りの理系知識はあるはずだから、
量子力学や化学、初級物理くらいまでは精華で体系化できるんじゃないのかね

それだけ有るだけでも偉い差だし、精華が帝国から何を持ってくればいいかも
ほとんど分かってるからなあ…
件の化学の教科書なんかもまさにそうだ

351 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 10:17:41 ID:I9Gn7h0w0
半世紀の間に、どれだけ記憶が劣化してるかが問題だよな。
知識や記憶ってのは使わないでおくとどんどん薄れていくし。
それに確か75歳の老人でしょ。帝國のことを伝えきる前にポックリ逝きそうw

352 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 10:44:57 ID:bPXz9P7w0
>>347
飛竜が人を乗せて何故飛べるかなんて、航空力学で説明しようが無いもんな。

353 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 11:25:30 ID:MsAR/znU0
>>350
可能性は低すぎる
官僚といっても大蔵省だからな

貸借対照表や為替の仕組み、銀行制度の確立など
清華国内金融市場の近代化のほうがまだ説得力ある

専門外の科学知識を発展させたというよりはな

というか
半可通な科学知識よりも専門の金融知識による
国庫の健全化をされたほうが帝國にはより脅威だけどな

354 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:26:34 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、SS投下します。
 レスのお返しは後日改めて……(ごめんなさい)

355 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:27:25 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』後編その3

 当初、朱祐は政治に極力関わらない様に心掛けていた。
 己が余所者である、ということを十二分に自覚していたからだ。
 が、彼とて男、出世欲はある。 ……いや、大蔵官僚を志したことからも判る様に、むしろ人並み以上の大志を抱いていた。
 故に最初は無意識の内に、途中からは意識的に、清華の政治体制を観察していた。

 清華の政治体制は、おおまかにいって古代中国と“帝國”の政治体制を合わせた様な体制だ。
 というのも、中国式の省の上に“帝國”式の太政官相当職が複数存在するのだ。彼等は太政官同様に司法・行政・立法を統べる清華の最高国家機関であり、皇帝の頭脳でもあった。彼等は――

  正一品 大丞相
  従一品 左丞相、右丞相
  正二品 内丞相、外丞相
  従二品 亜相
  正三品 黄門
  従三品 諌議

 ――という様な序列となっている。(無論、その全員が諸侯だ)
 ちなみに大丞相は1名(ただし非常設職)、左右内丞相は各1名、外丞相は2名、亜相は4名、黄門は8名、諌議は12名が定員で、おおよそ30名からなる。
 正式な会議にはこれに各機関の長官が加わるが、常に皇帝の傍に侍り政を行うのは彼等“堂上衆”のみだ。
 このような政治体制をとっているのは、貴族が政治を独占しているからだろう――そう朱祐は判断していた。

356 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:28:46 ID:Hd5cQ7n60
 ……しかしこうして見ると、清華は一見支那によく似た文化を持っているが、細部では大きく異なるまったくの“別物”だった。
 特に、支那の三大特徴である“科挙”“宦官”“儒教”が存在しないことは大きい。

 清華では貴族が政治を行い、士族がこれを実務面から支えている。それ故に科挙は存在しない、というのは判る。
 が、“宦官”“儒教”が存在しない、ということを知った時は朱祐も驚いた。

 ――やはり清華は支那ではない。

 あらためてそう考えざるを得なかった。
 が、同時に確信した。『これならやれる』と、『自分の腕を振るえる』と。

 清華はかなり実利的だ。それは『士とは文武両道たる者』『武だけでは芸人、文だけでは遊人』という考えからも伺える。
 ……まあ芸人や遊人でも、それを極めてしまえばまた話は別なのだが。
(この場合の武とは武芸に止まらず実用的な能力――算術でも職人の腕でも良い――のことを指す。文とは教養のこと)

 無論、封建制度を取り入れている以上完全に実利的な筈も無く、あくまで『想像以上に』といったレベルでしかない。『支那よりは遙かにマシ』といった程度のものだ。
 が、それでも朱祐は決断した。
 元大蔵官僚……それも同期で頭一つ抜きん出、『末は次官』と将来を嘱望されていた程の腕が疼いたのだ。

 こうして朱祐は太子の摂政就任と共に引き立てられ、官となったのである。

357 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:29:40 ID:Hd5cQ7n60
 『正四品下、戸部尚書』――それが朱祐に与えられた役職だった。



 戸部省は六部省(*1)の一つで、“帝國”で言えば大蔵省と民部省の職務を兼ねる大省である。尚書はその長官だから、大蔵省長官兼民部省長官と言ったところか。
 朱祐はかつて目指していた役職(大蔵省次官)を飛び越え、いきなり清華全土の民事・戸籍・租税を統べることとなったのである。

 ……結果として、朱祐は大成功を収めた。

 ・近代的な統計・分析法の導入、
 ・税制を一新すると共に酒・煙草の専売化、
 ・殖産政策による商工業の発展、

 といった堅実な手法に加え、

 ・国営銀行の設置と公認両替商の銀行化、
 ・清華初の大規模公共投資(*2)

 ――まで行い、国力と税収を増加させたのだ。

 未だ発展途上にあった清華経済にあって、大規模公共事業の効果は凄まじく、各地の経済状況は大幅に好転した。
 加えて幸運にもこの時期は豊作が続き、『倉庫には食料が満ち、金庫には金銀が満つ』と言われる程の税収だったという。(その金銀・食料は即座に次の公共事業に回されたが……)

 この功により、朱祐は『従三品 尚書令』に補された。

358 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:31:44 ID:Hd5cQ7n60
 尚書令とは非常設職の職であり、六部の長であると共に、諌議格として常時朝議に参加できる“堂上衆”の一人でもある。
 時に清華に漂流して10年、朱祐44歳のことだった。



 その後孝文帝が崩御し、太子が帝位に就く(孝景帝)と朱祐の改革はますます加速する。
 その最大の改革は逓信部の創設であろう。
 特に『駅竜と魔法通信網を大幅に増強、これを“民間の利用も可”とする』ことは、正に大改革と言っても良かった。
 無論、中央世界においては古くから行われていたことではある。が、朱祐はこれをより大規模に、より安価に行ったのである。
 ……当然、反発は大きかった。
 特に『各地の有力郷士に世襲官の地位を与えて郵便業務を代行させ、早期に全国に郵便網を整備する』『官通信網の開放』といった改革は大きな批判を浴びた。皇帝が強く後押しせねば、朱祐は失脚どころか命がなかっただろう。

 それだけ苦労しただけに、その成果は大きかった。
 今まで多額の維持費を必要としていた駅竜や魔法通信網が、数年後には大きな黒字をもたらすまでになったのだ。
 それだけではない。通信・郵便網の整備は商業の発展を促し、更なる税収をもたらしたのである。
 朱祐の面目は大いに上がった。

 また朱祐はその膨大な税収を利用し、貴族士族に対する慰撫策も行っている。

 当時、伯以下の貴族士族の収入は米に換算されており、これに相応する額を国から支給されていた。
 ちなみに米1石は銀10両と規定されている。10石ならば100両、そういう“約束”だ

359 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:32:54 ID:Hd5cQ7n60
 ……が、この約束は既に100年以上続いている。
 米自体の価値も当時よりも落ちている上、当時は米1石≒銀10両だった実勢が現在では米1石≒銀15両。下級貴族以下……特に士族の生活を直撃していた。
 朱祐はこの米1石=銀10両という約束を改め、米1石=銀15両と相場並みに押し上げた。

 帝の信頼は厚く、平民や下級貴族・士族からも慕われる(*3)。
 この時、正に朱祐は絶頂の中にいた。



 朱祐は実に幸運だった。
 官となった初期は、丁度経済が上げ調子だったために改革の功績が大幅に“上げ底”された。
 それ以降も、清華という国が生まれて初めて体験する“大規模公共投資”という名のカンフル剤の連発、官通信網の開放といった新たな産業の創出により、経済は急上昇していった。
 …・・・ああ、朱祐が官となって数十年、不作知らずだということも大きい。
 無論、数年サイクルで起きるある程度の不作はあったが、凶作や大凶作とは無縁な清華史上最も幸運な時代だったのだ。

 が、何時の世にも永遠は無い。
 単純だった経済は複雑化し、思い通りにはいかなくなってくる。
 公共投資も回と時を重ねる毎に効果は薄くなっていく。
 豊作の回数も減ってきた。
 ……そして、唯一最大の理解者であった孝景帝が崩御した。

 ――潮時だ。

 そう、朱祐は思ったに違いない。
 その身は既に『従一品左丞相・尚書令』と堂上衆筆頭であり、尚書令も兼任し実権を一手に握っていた。
 また、3万石の孟伯として諸侯の一員にも名を連ねている。
 ……後は落ちるだけだった。

360 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:33:26 ID:Hd5cQ7n60
 そう考え、朱祐は太子――まだ帝位に就いていない――に辞職を願い出た。

 ――臣、既に七十に届こうとし、もはやお役に立てそうもありません。太子が帝位に就かれるのを期に、後進に道を譲りたいと思います。

 太子は驚き、言った。

 ――先生、私を見捨てるのですか?

 太子は先帝の命により、一部の側近と共に朱祐の歴史講義を受けていた。それ故の“先生”である。
 太子は強く慰留したが朱祐は重ねて辞し、遂に辞職を認めさせた。

 先代先々代からの重臣である自分は、この血気盛んな若者……そしてその側近達にとって行く行く邪魔となるだろう。
 ……ましてや落ちる一方の身である、惨めな最後を送りたく無かったのだ。



 数日後、太子は朱祐を呼び出し、辞を低くして言った。

「先生のおかげで天下の万民が豊かとなり、国庫は満ち溢れております。 ……そのささやかなお礼として、丹陽郡を用意させて頂きました。
 どうか以後、丹陽公をお名乗り下さい」

 丹陽郡は60余万石。大変豊かな郡で、『実質的な収入は100万石を越える』とすら言われている程の大国だ。
 これだけの大領を丸々有すとなると、大諸侯(公癪のこと)の中でも屈指の存在となるだろう。
 ……が、朱祐は即座に辞退した。

361 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:34:25 ID:Hd5cQ7n60
「そこまで評価して下さることは身に余る光栄ですが、私には大領過ぎます」

「では、太原郡はいかがでしょう?」

 太原郡は20余万石。どちらかと言えば平凡な郡で、実質的には丹陽郡の二割程度の国力でしかない。
 ……即座に出たことから考えて、どうやらこちらが本命らしかった。(諸侯の反発を考えて、あえて丹陽郡を持ち出したのだろう)
 とはいえ太原公でも中堅レベルの大諸侯に相当する地位である上、そもそも大諸侯からして臣民としては最高位の身分だ。文句のつけようがない。

 が、やはり朱祐は辞退した。

「やはり私には大領過ぎます」

「……では太原郡の北半郡、北太原公はいかがでしょう?」

 戸惑いながらも太子は更なる代案を出した。
 太原郡の郡都は北部にある。郡都を中心とした10万石強を、ということだろう。公の最低基準は『10万石以上』だから、大諸侯としては最小規模だ。

 が、朱祐は一向に頷かない。

「建国以来の臣でもないのに、かつて公となった者はおりません。どうかご容赦を」

 ――と辞退する。
 ……とはいえ先程までの辞退とは異なり、含みを持たせている。要は『公爵位は受けない』と言っているのだ。
 流石に三度目の提案を拒否するのは非礼、それ故の含みだった。

362 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:38:10 ID:Hd5cQ7n60
 それを聞き、側近が進み出て進言した。

「殿下、左丞相殿に陶県を下賜されたら如何でしょうか?」

「おお! それは名案だ!」

 太子は膝を叩き、四度目の提案を行った。

 陶県は5万石。丹陽郡同様に豊かな地で『10万石に匹敵する』とすら言われている程の大県だ。
 5万石の県守なので侯爵ではあるが、実質的には先の北太原公と変わらない。(とはいえ収入は同じでも公と侯では格が違うが)
 加えて交通の要衝で、金陵まで『竜車で一日』という近さである。その様な地を賜るのは信頼されている証拠、名誉と言って良い。

 ……また陶県は、朱祐の細君の出身地でもある。
 細君は陶県の有力な一族、その本家の出身だ。統治も楽だろう。

「臣、謹んでお受けいたします」

 朱祐は深々と一礼した。
 ……四度目ともなれば如何なる提案も受け入れざるを得なかったが、陶県とは考えうる中で最上の領地だった。
(後に口添えしてくれた側近に、彼が多大な礼を行ったことは言うまでもないだろう)

 太子は帝位を継ぐと同時に朱祐の辞任を受け入れ、代わりに陶県と多数の支度金を与えた。

363 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:39:21 ID:Hd5cQ7n60
*1 ――――六部省――――
 吏部省・戸部省・礼部省・兵部省・刑部省・工部省のこと。行政の実務機関。

*2 ――――清華初の大規模公共投資――――
 従来、清華は労役によって公共事業を賄ってきた。

*3 ――――帝の信頼は厚く、平民や下級貴族・士族からも慕われる――――
 代わりに権力者の常として、多数の政敵に囲まれていた。特に保守的な一部大貴族からは嫌われ抜いていた。
 また、周辺国の民からも怨嗟の声を浴びていた。
 というのも、彼は従属する周辺国を植民地と認識し、徹底的に収奪したからである。







 投稿終了。
 この血気盛んな若者(太子)が、二代数十年に渡る賢政により著しくその国力を増大された清華を相続した訳です。
 多大な税収と財政黒字……さて、この若者はこれをどう使うでしょうか?

364 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/13(木) 12:40:19 ID:Hd5cQ7n60
 しまった、ラストじゃない!
 ……次回こそラストです。

365 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 13:50:23 ID:KwUIq7zQ0
これさ、帝国知識の導入による国力向上の効果を
ここまでまざまざと見せ付けられている状況って

明治維新時代の日本そのものなんですが

これでより進んだ帝国とけんかするようなアホなご都合主義が来たら萎える

366 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 13:54:41 ID:RkIYvQyU0
投下乙です。

現皇帝はなんだか国を傾けそうなフラグがバンバン立ってますねw

367 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 15:55:30 ID:WvuPwrzA0
しかし中国と言わず世界の歴史を見ると、そのアホなご都合主義が蔓延しておる

368 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 15:58:32 ID:MsAR/znU0
くろべえさん 投下乙
税制改革 公共事業 金融制度の近代化
最後に官吏の給料の底上げ

国の体力がみなぎっていますなw

馬鹿な放蕩三昧しないかぎり三代は安定した治世がおくれる状況で
なおかつ新興勢力に詳しい政治的中枢に近い人物を保有

帝國が知ったら警戒レベルが振り切れそうですが
幸いな事に最も遠い国ですからお互いが影響しあうにはまだ幾ばくかの
猶予があるということですかね

>>365
いずれはぶつかるだろうが今じゃないだろうね

ぶつかるとしたら中央世界を平定して
喧嘩するには相手に手が届くようになってからだろうね
現状で喧嘩するつもりならガルム大陸の西部のいまだ知られざる
列強を勢力下において西部沿岸に進出拠点作成
その上で未知の大海洋を踏破しなくちゃいかんから
とてもじゃないが現実的じゃないよ

まさか喜望峰経由の探検隊のように延々と大陸沿いに
星の裏側まで遠征するような事は今までのくろべえさんの
帝國の判断基準から考えてありえんだろ

369 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 16:19:23 ID:pNDvPEHg0
改訂前だとレムリア併合は想定外だったみたいだしどこまで戦線を広げる
つもりだったのか

370 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 17:40:56 ID:BSbuSQCQ0
しかし朱祐は暗君が暴政を敷いた国家の行く末を太子に歴史という形で教えてそうだから
案外大丈夫そうな気がする

371 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 17:53:16 ID:SM6D4vq.0
名君の後は暗君になるだろ

372 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 18:00:16 ID:zHtTBFcE0
目の上のタンコブだった朱祐が宮内から消えて、
大貴族たちがその影響力を消そうと躍起になると思う。
んで、皇帝にも散々朱祐の悪口を吹き込むだろうな。
当人からして、皇帝に疎まれるだろう事を予測してるし。

373 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 18:54:56 ID:bPXz9P7w0
実務を握ってる連中は朱祐のシンパだろうし、大貴族の全部が全部反朱祐ってわけでも
無いだろ。それに皇帝に悪口を吹き込むと言っても、子供の頃の先生というアドバンテージ
と業績残して本人居なくなってるからね〜。

愛妾でも送り込んで、夜な夜な朱祐が反乱を企んでますとでも吹き込むか、中華的に黄金
のパターンだがw むしろダークエルフが清華の国力削ぐのにそんな工作をやりそうだ。

374 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 19:14:35 ID:PR6lIfgI0
くろべえさん自身が

>代わりに権力者の常として、多数の政敵に囲まれていた。特に保守的な一部大貴族からは嫌われ抜いていた。

って書いてるじゃん。
一部大貴族が大の反朱祐、そして多数の貴族が反朱祐。ってことでしょ。
先代皇帝の個人的寵愛のみを元に、流民賤民の類が、結果的に国を富ましたとはいえ
国の実権握って好き放題し、既得権益にまで手を突っ込んでかき回したんだから
絶対に恨んでる連中は山ほどいるだろうよ。

375 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 19:16:42 ID:PR6lIfgI0
あと

>>子供の頃の先生というアドバンテージ

暴君ネロの家庭教師で、彼の初期の善政を支えた家庭教師のセネカはネロに殺されたけどな

376 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 19:50:31 ID:E6gvULiw0
まぁ実際、帝國の新聞を見せたときの皇帝の朱祐に対する口振りから
未だに朱祐のことを大事に思っているんじゃないか?

377 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 20:19:39 ID:uuWzVtDg0
ただ、どんなに大事に思っても大事にできるとは限らないのが
政治の辛いところ。そしてそこにドラマがある。
今後にwktk

遅くなりましたが、くろべえさん乙です

378 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/09/13(木) 20:29:23 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏投下お疲れ様です。
側近の提案に大きく助けられましたね。
しかし、才能のある者が妬まれるのはどこの世でも同じですな。

379 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 21:24:55 ID:QlJzB5mE0
ところで、金の使い道はやっぱり帝國の科学技術かねぇ。
帝國の直轄地から技術者大量拉致&教科書買取コンボで一気に近代化!
清華の大地にデトロイトをもしのぐ工業地帯が姿を現す!
列強に押し返され大内海に引きこもる帝國。
列強から相手にされていない帝國の価値を知る清華は、ついに帝國本土へ向け
軍事侵攻を開始した・・・!

とか!?

まぁ、帝國人は魔力を全く持たないということなので、帝國が征服されたら差別されて賤民扱いでしょうねw

380 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 22:33:01 ID:oVuuhHNoO
金だけありゃなんでも出来るわけじゃないんだぜ?

381 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 22:56:53 ID:PrNDtOqYO
一気に近代化したら内乱起きる

382 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/13(木) 23:55:13 ID:FJl21NZE0
お金が余ると無駄遣いしたくなっちゃうのが人間だしね・・・(´・ω・`)

383 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 00:55:44 ID:SRTE3zjw0
>>379
_
>帝國の直轄地から技術者大量拉致&教科書買取コンボで一気に近代化!
三億の図体はその程度で方向転換どころか跳躍レベルの変化を起こせません。
ナノマシン教育プラントと反物質精製炉、高次真空による相転移炉、それと大規模自動工業プラント持ち込むくらいでやっとでしょ。

>清華の大地にデトロイトをもしのぐ工業地帯が姿を現す!
働く人間の教育が間に合いません。
そもそも種にするのが帝國の科学技術なのにどうしてアメリカさんを超える物が作れますか。

>列強に押し返され大内海に引きこもる帝國。
清華一国が飛び抜けることがどうして列強の超大規模にして超高度な底上げになるのです?
列強を呑んだ帝國と清華の対峙ってのがありそうな形でしょうに――まあこれはそのままでも帝國の伸張限界とかで自然に落ち着く形っぽくもありますが。

>列強から相手にされていない帝國の価値を知る清華は、ついに帝國本土へ向け
>軍事侵攻を開始した・・・!
どのルートで?
その想定では間に、帝國をはねのけたらしい列強がひしめくルートを、帝國からのデッドコピーした技術で押しのけられるわけですか。

どうも煽りのようですが、それでもせめてもう少し文内でもロジックを通しては如何でしょうか。
あり得ない想定を重ねるのはさておくとしても。

384 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 01:10:19 ID:KG5Lg/7s0
清華の設定にはあまり興味がないな。ナイロスとか霧島那智の設定のようで。
加えて私の中でどんな国か例えがないんですよね。
ローレシア=帝政ロシアと無理に一付けられますけど発展した「清」はね。

385 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 02:26:22 ID:.ujgS4nw0
>>383
379の意図は知らんが、マジになりすぎじゃね?

一度成功のパターンを知ってるとそれに固執しがちだからなぁ
今のままだと帝國と会う頃には清華の財政は火の車かも

386 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 08:46:57 ID:yG1ZZBx60
>>383
(;^ω^)・・・

387 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 10:11:45 ID:wrAzjG/w0
これを見るといかに列強との技術の差が現れているかが判る
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%A3%E6%8A%80%E8%A1%93

388 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 10:40:17 ID:WvuPwrzA0
つーか帝国の生産力って欧米からの輸入機械に大いに依存してると思うのだが、
これに使用限界が来たら、昭和20年レベルとは言わないでもかなりのところまで落ちる罠

389 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 11:02:16 ID:55XpGFAo0
史実の大日本帝国以外で戦車の自力開発と大量生産に成功している
国って米英独仏ソくらいのもんでイタリアで互角かそれ以下
だったはず。
他はスウェーデンやチェコ(併合前後)のように自力で兵器開発と販売
をしている国ぐらいですよね。
ただ、日本だけが特に劣っていたというわけでもないですけど。

390 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/14(金) 11:33:10 ID:Hd5cQ7n60
>>298
 298様、有難うございます。

>当時のエリートって本当に教養があったんスねぇ。
 「お前大學出だから横文字(英語)話せるだろ?」って常識がスゴイですよ……

>>299
>騎馬隊よりも手間のかからない帝国陸軍の銀輪車部隊のほうが有利なのでは。
 騎馬より遙かに数が少ないですからねえ。
 道路整備されてない辺境じゃあ使えませんし……

>>300
 ヨークタウン様、有難うございます。

>しかし、死刑覚悟で詩の詳細を告白するとは。朱祐、なかなかに肝が据わってます。
 当時まだ状況をよく把握していなかった可能性もありますけどね(笑)

>>301
 301様、有難うございます。

>年代からすると、この太子が現在の清華皇帝でしょうか。
 いえ、本編時の皇帝はこの太子の子供です。

>ずいぶん出来そうな人ですが、こういう人が地球の歴史の過程を知ってるってのは怖いですね。
 少しは“帝國”のことを知ってる列強がいた方が良いかと思いまして。
 ……“帝國”のアドバンテージ大きすぎだし。

391 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 11:33:38 ID:hFT6xTEE0
>>388
さすがにその辺りはちゃんと自覚して、大型機械の自国生産にも力入れてるだろうけど、
現代日本と違って、どうしても発展は遅れるだろうねえ。

392 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/14(金) 11:33:42 ID:Hd5cQ7n60
>>302
 302様、有難うございます。

>よもや故国がアルフェイムに転移するとは思ってなかったからでしょうね。
 普通は国ごと神隠しに遭うなんて思わないでしょうからねえ。

>国を治めながらも王権にあるものには悩ましい限りですな。
 だからこそ、以前外伝で憲兵大佐が言ったように、“禁断の果実” “劇薬”なのですよ。
 魔法こそが王制を支えている、と言っても過言じゃあないですからねえ。

>>303
>蒸気機関
 朱祐の言に触発された孝景帝の命により、ある程度の研究が行われております。
 何せ数十年の期間がありましたから、初期の蒸気機関位なら存在します。
 ……とはいえ大々的に利用されることはなく、幾つかの官営工場で稼動している位です。
 これ等を利用し、後装式施条銃と原始的な金属薬莢、ガトリング砲モドキも試作されましたが、実用性が低い(ていうか危険)上に量産が困難なこと、そして何より政治的な理由から研究兵器の域を出ておりません。

 ……というのも歩砲工兵は平民主力であり、平民に力(活躍の場)を与えるのは好ましくないからです。
 故にせいぜいミニエー弾と前装式施条銃に止まっています。
(それでも中央世界よりも数十年早い!)

>むしろ共産主義をペストのように列強に振りまくという手法も考えられ
>ますね、でもこれだと後で干渉戦争か。
 これ、諸刃の刃ですからねえ……

393 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/14(金) 11:34:59 ID:Hd5cQ7n60
>>337
>アルフェイム世界では所謂理系の学問はどれほどのレベルなのでしょうか?
>たとえば物理では我々の観点で言えば古典力学でとどまっているとか?
 む〜、難しい質問ですね。
 一言で言えば、『統一、体系化されていない非常にアンバランスな学問』です。
 正直、生物化学なんかは魔導師の方が詳しいですね。
 生物の調整や魔法結晶の利用なんてその最たるものです、下手をすれば帝國すら上回る分野もあるでしょう。
 ……ただ大部分が経験則から導き出されたもので、体系化されていないのですよ。これにはやたら難しく教える、という徒弟制度特有の悪弊も作用しています。
 ですから、帝國の「学問の体系化」という「思想」は、コロンブスの卵みたいなものなのですよ。

>>365
>帝国知識の導入による国力向上
 弊害も生まれました。
 商業の発達により商人の力が増し(全国規模の商会が出現!)、また役人の腐敗(特に公共事業に絡む汚職)も増えました。
 保守派からすれば苦々しい事態でしょう。(朱祐引退後は反動で抑商政策?)
 ……要するに、彼は成功したまま引退した田沼意次なのですよ。


>明治維新時代の日本そのものなんですが
 いえ、その様な“革命”ではなく、所詮は体制内の改革に過ぎません。
 SS中の描写を見ればお判りでしょうが、結局朱祐は貴族との全面衝突を回避(命が幾つあっても足りない)し、彼等の既得権益……その核心に踏み込むことはありませんでした。

394 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/14(金) 11:35:32 ID:Hd5cQ7n60
>>366
 366様、有難うございます。

>現皇帝はなんだか国を傾けそうなフラグがバンバン立ってますねw
 カネもったボンボンはロクなこと考えませんからねえ。

>>368
 368様、有難うございます。

>最後に官吏の給料の底上げ
 インフレで大分目減りしちゃいましたから、根本的な解決になっていませんけどね。
 ……まあ一息つけたことは事実ですが。

>国の体力がみなぎっていますなw
 とはいえ改革の果実、その大半を味わいつくしました。
 今度は負の遺産の始末をしなければいけません、結構大変なのですよ。
(経済規模そのものは拡大したのですが……)

>幸いな事に最も遠い国ですからお互いが影響しあうにはまだ幾ばくかの
>猶予があるということですかね
 帝國が清華に対処可能となるのは何時の日か……

>>369
>改訂前だとレムリア併合は想定外だったみたいだしどこまで戦線を広げるつもりだったのか
 旧版だと『ロッシェルを足掛かりに北東ガルムを勢力圏とする』が目的です。
 で、その際レムリアが邪魔なんで一発かます筈だったのですが……

395 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/14(金) 11:36:05 ID:Hd5cQ7n60
>>377
 377様、有難うございます。

>ただ、どんなに大事に思っても大事にできるとは限らないのが
>政治の辛いところ。そしてそこにドラマがある。
 朱祐はこれで辛い決断をします。

>>378
 ヨークタウン様、有難うございます。

>しかし、才能のある者が妬まれるのはどこの世でも同じですな。
 おまけに生まれも……ですからねえ。

>>379
>金の使い道
 これはそのうち出てくる……かな?

>>388
>工作機械
 一応、自力生産できますが効率・精度・強度が段違いです。
 ……それですら生産数がorz

396 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 13:11:12 ID:55XpGFAo0
>戦前の工作機械
欧米と違い日本の場合はモーター(やその他発動機)1つで100の出力が出た
場合それを3つから4〜5の工作機械に動力を供給していたという状態でした
からマザーマシンとしてみた場合の作業効率はそれほど良くかったです
からねぇ。

空母の数を割り増しにする方法の1つとして第二次大戦中に英国で極秘研究
されていた氷山空母「ハボクック」の小型版を導入するという方法
もあるかも。
本来のハボクックは全長600メートル、排水量200万トンというデカさ
ですがこれを小型化し冷却装置の代用に魔法石を使うというのも面白い
かもしれません。
ハボクックに使われていた氷は木材パルプを混ぜたコンクリート並の
強度を持っている代物なので空母として利用が出来ないでも海上プラット
フォームとして使う事もできますね。

397 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 13:22:28 ID:MsAR/znU0
>>396
氷山空母って緯度の高いイギリスだから
なりったていたんじゃないのか?

本土を離れればすぐ熱帯の帝國の海域で使えるのか?

現地で作って現地で運用といわれても空母の艦載機や機関部なんて現地調達も
整備も出来ないから結局熱帯の海を通って本土へいかなきゃならんのだが…

398 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 15:00:14 ID:55XpGFAo0
>>397
生産自体はカナダで行っていましたね(チャーチルからの指示)。
実験その物はカナダや米国の各国立公園内の湖で極秘に行われていました。
元々は大西洋上の暗黒海域「黒い穴」での連合国側艦船の被害の大きさに
影響を受けて計画されたものなので。

熱帯海域を航行していても船体の大部分を摂氏15度以下に保つ事が出来る
なら「理論上は」可能かもしれません。
一度「パイクリート(ハボクックの構造材)」の形となった氷は解けにくい
とされていますので(摂氏16度の水温でも融ける気配が無かったと資料に
はある)。
ハボクックに関してはディスカバリーチャンネルでも取り上げられて
いましたが。

ただまあ、ご指摘のようにアルフェイムの場合気候が温帯もしくは熱帯地域
が主になっているようなので(そもそも寒冷地がどの辺りなのかが不明)
作ったいいけど運用はしにくいもしくは全く使えないかもしれません。
敵に与えるインパクトとしては非常に大きいのですけどね(苦笑)
米国の週間空母「カサブランカ級」ほどではありませんが奇想天外では
あります。

399 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 16:56:34 ID:c9oaYjcE0
>>398
>週間空母

帝国にも、これが可能なぐらい発展してもらいたいものです(´・ω・`)
横須賀や大阪の造船所から週一で次々と吐き出される軽空母とか、
30隻の改雲龍型正規空母が大海原に舳先を並べて旭日旗がはためくとか、
考えただけでハァハァが止まらない

400 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 18:05:36 ID:0ScLAf460
帝國は量よりしt(ry

帝國の軽空母はそれぞれ個性(商船)を持たせているので生産が遅いのです。

401 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 18:22:16 ID:MsAR/znU0
>>398
ローレシア王国あたりは寒冷地帯らしいけどな
冬の王と呼ばれる強烈な寒波が吹き荒れるから戦線の展開に難儀すると
短編で触れられていた。

もっとも耐熱温度が摂氏16度付近じゃあ
甲板で目玉焼きが焼ける帝國近海を航行したら
溶けかけアイスクリームになっちまうがw

402 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 18:25:29 ID:55XpGFAo0
>>400
いやいや普通、商船改造ならもうちょっと艤装が早いもんだと思う
んですがそうならない辺りが帝國クオリティ?(苦笑)。
母体となった商船が戦時標準船なら空母への転用はもっと早いですよね?

403 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 18:41:37 ID:MsAR/znU0
単に帝國の工業生産能力が欧米列強に遠く及ばないだけなんだがな…

アメみたいなチート国家相手に一国で渡り合える国は
20世紀初頭には存在していなかったからなぁ

国内の自動車化がほぼ済んでいて高校生が
週末に自家用車乗って女の子ナンパしに行く国なんて
当時アメ以外いないしoTL

404 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 18:55:31 ID:55XpGFAo0
後はアルフェイムの気象がどういう仕組みになっているのかといった研究
も必要ですね。
近代戦では戦場の天気というのは非常に重要ですし大戦中でも日米両国
共に天気情報は機密情報の1つでした。
ジェット気流の発見に関しても日本は早かったですからこっちに来てから
も盛んに気象庁などが観測用気球やラジオゾンデを大量に使っていると
思います。
寧ろ高層大気(地球なら対流圏より上)の状態を詳細に調べる事ができれば
アルフェイムの大気の循環システムなどが分かるわけですから列強に
対しても十分なアドバンテージを与えられるでしょう。
史実では1837年の電報の発明まで、近代的な天気予報は存在していなかった
わけですからかなり正確に周辺の天気を予測できるというのはこの世界の
列強にとっては不思議な事かもしれません(魔法でどこまでカバー出来る
かにもよります)。

405 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 19:07:24 ID:55XpGFAo0
>>403
それを言い出すとキリはないです。
独逸もキューベルワーゲンを戦場に投入していましたがやはりジープ
と比べると国力の差を感じてしまうし(四駆じゃないしなぁ)。
基礎工業力からして米国と当時の日本には差があったのは疑い様が
無いです。
空母もすぐ出来るわけじゃないし戦時標準船を使った軽空母の艤装
も時間がかかるという事でネタ振りも兼ねて「ハボクック」の話を
出しただけなんで〜。
個人的にはキューベルもですがケッテンクラートも合理的な構造
が好みですね。

406 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 20:23:11 ID:55XpGFAo0
獣人に運用させるならリヤカーは大活躍ですね。
丈夫な金属を多用しているものなら最大で1トン近い物を運べますし
一般的なものなら自転車に牽引させれば済むので道路状況が良い地域
なら便利そうです。

407 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 21:39:32 ID:SRTE3zjw0
そうか、獣人がいれば軽トラレベルまでの運送も重量に耐えるフレームさえあればいけるのか。
小型重機より小回り効いて働きは同じとか……そりゃ帝國さんも戦場なんて出ないでぇぇ!となりますわいね。

408 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/14(金) 22:00:58 ID:FW7fPnv60
週間軽空母にしろ氷山空母にしろ乗せる飛行機がまず足りません。
仮に飛行機がなんとかなっても搭乗員がいません。
結局搭乗員が足りずに乗せる飛行機もない空母を作ってみたところでしょうがない、
例のチート国家のようにその辺の若者がクルマ運転できる国とは違うのですから。

それと、氷山空母は空母というよりは移動「も」できる航空基地といった構想で
その尋常じゃない低速を考えたらこの世界で使う意味があるのかどうかも問題。
お役立ち度が微妙な割に、建造にも維持にも莫大なエネルギーを消費しますし。

409 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 01:17:46 ID:VtHR586k0
技術情報
大陸鉄道が出来ると、ある程度の漏れは覚悟する必要があるかも。
ディーゼルや電気機関車ならブラックボックスでしょうが、蒸気機関車なら
外観からも、レシプロ蒸気機関の構造が推測出来るからデッドコピーが、色々
な国で試作されるかも。ドワーフの特殊鋼が無いと爆発、蒸気漏れの連続で物
にはならないでしょうが。

獣人トラック
何かチキチキマシン猛レースを思い出しました。

公共事業
今の日本と同じに利権の塊で実際の投下資本1に対し中華風に賄賂が2から3
に為っていて、余計に効果が下がっていそうですな。

410 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 01:53:13 ID:55XpGFAo0
>リヤカー
1921年に日本で生まれた代物なので今でこそODAやらJICAなんかの関係
で発展途上国に行けばありますがこの時代だと国内でしか普及して
ないはずです。
リヤカー繋がりで行けば獣人がやってるラーメン屋台とかおでん屋、
蕎麦屋なんかも面白そうですなぁ。
獣人達は帝國に憧れている部分もありますから真面目な人の中には
大衆食を習いたいという人もおるでしょう(多分)。

411 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 04:42:07 ID:PrNDtOqYO
坂どーすんだよ

412 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 06:43:18 ID:bMnlI5ig0
50%の坂でも平気で上っていきそうな気が…w

413 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 07:00:21 ID:67ESNm2M0
>>412
むしろ90度でも持ち上げて運びそうだw

414 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 08:45:24 ID:oVuuhHNoO
ちょwなにそのロッククライムwww

415 名前:陸士長:2007/09/15(土) 09:00:23 ID:6i.LdnHM0
こうして見ると、やっぱ日本って近代国家名乗るの難しい国家だったかも。
欧米の圧力や侵略をはね除ける為に無茶と背伸びを重ねた結果、
ああ言った歪な形になってしまったのかもしれませんね。
(100年程度前までは数百年年時の流れ止めてたに等しい国だったのを考慮すれば凄いでしょうけど)

精華は、下手な大陸列強よりも数段手強そうですし、これからも帝國は大変そうです。

416 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 09:24:09 ID:MsAR/znU0
>>415
鎖国していても和算や手形制度、基礎教育など独自に発展していたからこそ
他のアジア諸国のように国交を結んでも
すぐに行き詰って植民地化というパターンは逃れたんですけどね

ただ応用を学んでいる最中にもう応用を使いこなしている欧米列強相手では
時間が足らなかったという現実があります

転移してこれからまた独自に発展して力を付けなければいけないので
決して俺たち最強ーって浮かれている状況じゃないですな

417 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 10:05:02 ID:55XpGFAo0
>基礎教育
教育って大事です。
いくら技術を先進国などがら入手しても人が出来ていなければ生かせま
せん。
曲がりなりにも近代の国家で初等教育が充実していたからこそ明治維新
も含めて世界史的に見ても短期間での国力の構築が出来たわけですから。
識字率が高かったというのが技術伝承には大きく関わってきますし
米国でも文盲は少なくありません反対に日本は文盲が異様に少ない国
の1つでもあります(米国海兵隊の文盲率は2割ほどともコンバットマニュ
アルも文字を使わず絵だけで書かれている場合も)。

識字率が高ければ技術の共有が容易になりますし、応用もまだ利きます。
国民の教育水準が一定以上であるがゆえに例えば戦場で指揮官がいきなり
死亡してもその場にいる一兵卒が部隊を指揮するという事ができるわけで。
人の力をどれだけ引き出せるかによって国家の真の力は変わってきますね。

418 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 10:31:26 ID:pNDvPEHg0
リアカー引いてる獣人想像して和んだ
大学の一般教養の講義で見た第一次大戦〜大恐慌の時期の列強諸国の
自動車生産台数を書いた表を思い出してアメリカの異常ぶりに噴いた

419 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 11:04:33 ID:PrNDtOqYO
いや、上り坂じゃなくて、獣仕様の重量じゃ下り坂で止まれねーだろって意味
本人だけ止まっても荷物に轢かれんぞ

420 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 11:15:13 ID:MsAR/znU0
下り坂の場合リヤカー部分を先頭にして下りるだろ?
感覚的には獣人がリヤカーを引っ張り上げながら下りる感じ

421 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 11:17:19 ID:Vjz4HEFE0
じゅうじんだったらなんでもできる(棒読み)

422 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 11:25:52 ID:MsAR/znU0
というか背負子使ったほうがリヤカーよりも
安いし山岳地のような傾斜の厳しい場所には適しているよな

423 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 12:07:53 ID:VkEDOAo60
ある程度道路が整備されてたら獣人じゃなくてトラックや竜車を使ったほうがいいけど、
人力搬送でないとだめな状況では活躍しそう。

#山のてっぺんに携帯基地局をつくるときなんか人力搬送だったりしますね。

424 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:47:36 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚短編『祖国は遠くにありにけり』

 ――閣下、到着しまして御座います。

 気付くと、何時しか竜車は屋敷に到着していた。
 ……どうやらかなり長い間思案していたらしい。

 朱祐の――というよりも陶侯朱家の金陵本邸は、中心部からやや離れた、王侯の別邸が集中する区画に存在する。
『これがかつて左丞相として天下の権を握っていた朱祐の屋敷か……』と別の意味で驚かれるほど小規模かつ簡素なこの屋敷は、“陶侯”……いや1万石の小諸侯の金陵本邸として考えても寂しいものがあった。(加えて中央から離れ過ぎている)
 ……それもその筈、元々この本邸は別邸であり、朱家の金陵本邸は首城と目と鼻の先に存在したのだ。
 が、丞相職を辞したと同時に返上、かつては別邸としていたこの屋敷に本拠を移したのである。

 それは、『もはや自分(朱祐)は……いや朱家は政治に関わるつもりはない』という意思表示だった。
 公への昇進を三度も辞退したことといい、この金陵屋敷のことといい、朱祐は自らを守るために様々な努力を行っていたのである。
 権力を手放した“元”権力者など木から落ちた猿も同然、どれほど用心してもし過ぎることはなかったのだ。
 ……ましてや大改革を行った“元”権力者は。

 竜車から降りると、息子達が出迎えた。
 長男祐極が代表して発言する。

「父上、お帰りなさいませ」

「ああ、ご苦労」

425 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:48:10 ID:Hd5cQ7n60
「子が父を迎えるのに、一体何の苦労がありましょう。
 ……ですがこの急な上京、一体何が?」

「……お前達は何も聞いておらぬか」

「と、仰いますと?」

 この様子からして、何も知らないらしい。(まあ当然と言えば当然だが、帝から上京を命じられたことすら知らない様だった)
 朱祐は何か話そうと口を開いたが、厨房から煙が上がっていることに気付いてその言葉を飲み込み、代わりに吐いた。

「まず、飯だ。 ……全てはそれからだな」

「は、既に用意は整えさせております」

「頼む」

 本当は食欲など欠片もなかったが、せっかく子供達が用意したもてなしである、朱祐は喜んで受けることにした。
 ……何より、酒の力でも借りねばやってられなかったのだ。



 息子達に上京の理由を話した後、朱祐は珍しく深酔いした。
 故に目覚めたのも遅く、日もかなり高くなってからのことだった。
 ――そんな朱祐が一人朝食兼昼食をとり終えた直後、息子達が面会に訪れた。

「父上、“帝國”での御身をお話下さい」

426 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:48:40 ID:Hd5cQ7n60
 兄弟を代表し、長男祐極が朱祐に願った。
 “帝國”には我等の祖父母や異母兄弟がおりましょう、お教え下さい、と。

 彼等は、“帝國”にいるであろう祖父母や異母兄弟を、どうにかして引き取ろうと考えていた。
 “帝國”は清華と何ら敵対関係に無い。それどころか利害関係すら生じないであろう遠方の国だ、時間はかかるであろうが不可能な筈はない――そう考えたのだ。

 それを聞いた朱祐は嬉しそうな……そして悲しそうな笑みを浮かべて暫し目を瞑り、だが目を開くと同時に振り絞る様に答えた。

「……おらん、よ」

 自分は“帝國”で天涯孤独の身の上だった、と言う。

「しかし、お言葉ですが――」

「くどいぞ、祐極! 我が妻、我が子はここにるお前達のみ!」

 尚も言葉を続け様とする息子に、朱祐は厳しい表情と口調で言い放った。

「……ご無礼、まことに申し訳ありませんでした」

 ……そこまで父に言われれば何も言えない。
 息子達は非礼を詫び、場を辞した。



「……すまん」

427 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:49:12 ID:Hd5cQ7n60
 独りになった後、朱祐は詫びた。
 ……それは一体、誰に向けた言葉であったろう?
 朱祐自身にすら判らない。が、それでも言わずにはおれなかった。

 瞼を閉じると“帝國”の家族のことが思い出される。
 ……もう何十年も会っていない。
 父母は、妻は、子供達は一体どうしているだろう?
 さしたる資産も無い我が家だ。一家の大黒柱である自分がいなくなれば、たちまち生活は困窮するに違いない。

 我が身は一国一城の太守であるというのに、
 我が家の倉は財宝で溢れているというのに、
 何もしてやることが出来ない……いや、『切り捨てた』のだ。
 今の生活を守る為に、父母を、かつての妻子を切り捨てたのだ。

「くっ!」

 忘れようとしていた現実が、朱祐の胸を痛める。
 ……が、どうにもならない。
 引退前、朱祐は権力者の常として多数の政敵に囲まれており、特に保守的な一部大貴族からは嫌われ抜いていた。
 あれから十年、されど十年。努々隙を見せる訳にはいかないのだ。
 ――そう自分に強く言い聞かせると、朱祐は立ち上がった。

「誰か、竜を! 首城へ向かう!」


 
 それから朱祐は知りうる限り、考えられる限りのことを話した。
 この情報は大内海沿岸部に築かれつつある諜報網にも活用され、更なる情報をもたらす。
 集まった情報は吟味され、極秘の内に清華最高首脳部によって検討される……らしかった。

428 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:49:43 ID:Hd5cQ7n60
 正直な所、朱祐は情報提供者に徹していた……いや、徹しようとしていた。
 折角政治から遠ざかり、忘れられかけていた所である、再び目をつけられたら堪らない、何の為に決断したのか判らなくなるからだ。
 それ故、皇帝と清華十王家のみによる極秘会議に証人喚問される度に、朱祐は憂鬱となった。
 ……そして、更なる追い討ちがかかる。

 『陶侯朱祐に陶県周辺4県のそれぞれ一部、計5万石を加増し“陶公”とする』

 ――これは、売国の代償ということか。

 この勅を受けた後、朱祐はそう言って嘆息した。

 己が決断、その意味を突きつけられた様な気がしたからだ。
 加えてこの勅により、再びかつての敵対者から目を付けられ始めていた。
 ……何もかもが上手くいかなかった。

 そして――

 『“帝國”軍、ロッシェル侵攻!』

 ……この報を聞き、遂に朱祐は倒れた。
 その意味を誰よりも早く理解したからである。

 以後、朱祐が床を離れることはなかった。
 度重なる心労は、老いた身に着実にダメージを与えていたのだ。



 ――果たして来年、俺はあの梅の花を見ることができるだろうか?

429 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:50:16 ID:Hd5cQ7n60
 病の床、その窓から見える梅の木を見て、朱祐はふとそんなことを考えた。
 体は日に日に弱まっていく。もはや一人で立ち上がることすら満足に出来ない。
 死が傍まで来ていることを感じざるを得なかった。
 ……なのに何故だろう、何故自分はこんなにもほっとしているのだろう?

 何故、『やっと開放される』などと思っているのだろう?

 自分は誰よりも幸運に恵まれた筈だ。

 先々帝、先帝と二代に渡って重用され、現帝からも師として遇されている。
 戸部尚書から始まり最後には左丞相・尚書令として大清華の内政を一手に担い、多大な実績も残した。
 そして現在、諸侯にまで上り詰め、富も名誉も地位も極めた。
 そしてこうして病で伏せるまでの七十余年間無病息災、沢山の子や孫に恵まれた。
 ……なのに何故、こんなにも寒いのだろう。

 ふと、母の言葉が思い出された。

 『人は死ぬ間際になってみないと幸せだったかどうかわからないよ』

 ――ああ、母上の仰った通りです。

 朱祐は寝台に横たわりながらしみじみと思った。
 自分はこんなにも――

 それから数日後、朱祐は意識不明に陥った。
 幾度が帝から見舞いの使者が派遣されたものの、朱祐が目を醒ますことはなかった。
 ……そして五日目の夕刻、突然朱祐は目を醒ました。

430 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:50:47 ID:Hd5cQ7n60

 …………

 …………

 …………

「……こ、ここは!?」

 目が覚めると、そこは“帝國”の自宅だった。

「お目覚めになりましたか?」

 そう言いながら、妻が顔を出した。
 清華の妻ではない。 ……もう数十年も前に生き別れとなった妻だ。

「!」

「……どうされたのですか? 鳩が豆鉄砲をくらった様なお顔ですよ?」

 お酒、まだ抜けてないのですか、と妻。
 ……妻の顔からして、どうやら昨晩はかなり飲んだようだ。

「いや、なんでもない。 ……そうか、全て夢、か」

 笑いが込み上げてくる。
 ……そうだ、こんな御伽話のような話が現実の筈がない。
 全ては夢――己の出世欲がもたらした夢だろう。
 そう考えると、なんだか体中の力が抜けた様な気がした。
 出世に拘っていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。

431 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:51:19 ID:Hd5cQ7n60
 ――そういえば、ちっとも妻や子を省みなかったな。

 だから、言った。

「おい、温泉にでも行かないか?」

「どうなされたのです、急に?」

 驚いた顔の妻。
 ……それを見て、笑いがこみ上げてきた。

「偶にはいいじゃあないか。俺もお前も働きすぎだ、家族全員で明日から行こう」

「あなたはお仕事、子供達は学校ですよ?」

「さぼれ、俺も休む」

 あんぐりと口を開ける妻を満足そうに眺めると、急に眠気が押し寄せてきた。

 ……ああ眠い、とても眠い…………

「じゃあ俺はもう一眠りするから、温泉の予約を頼んだぞ」

 言うだけ言うと、布団の中に潜り込んだ。
 ……もう夢はみないだろう、と確信して。

 …………

 …………

 …………

432 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:51:49 ID:Hd5cQ7n60
 朱祐は妻、そして5人の息子とその孫達に囲まれた中、虚ろな目で周囲を見渡し妻の手をとった。

「……ああ、―――か」

 ……それは、数十年も前に生き別れとなった“帝國”の妻の名だった。
 それを知る者はいない。が、知らずとも判った。
 妻以外の女を近づけなかった朱祐が、それも異国の女の名を呼んだのだ。かつて異界にいた時の妻の名だろう。

「ち、父上!?」

 慌てる子供達。が、妻はそれを制し、朱祐の手に両の手を寄せて言った。

「お目覚めになりましたか?」

「あ、あああ…………」

 驚愕の表情を浮かべる朱祐に、妻は穏やかに語りかける。

「……どうされたのですか? 鳩が豆鉄砲をくらった様なお顔ですよ?」

 と、朱祐は憑き物が落ちたかの様に落ち着き、喘ぎながらもだがはっきりとした口調で呟いた。

「いや……なんでも……ない………… ……そうか……全て……夢…………か……」

 そして、言った。

「おい……温泉……にでも…………行かない……か…………?」

433 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:52:27 ID:Hd5cQ7n60

 …………

 …………

 …………

 話し終えた後、朱祐は満足そうに笑みを浮かべて死んだ。
 享年、80歳。
 大往生と言って良い歳だった。

 帝は朱祐の死を聞き、正一品太師大丞相(*1)の位階を追贈した。
 ……それだけではない。
 朱祐の遺言によれば領地は5人の息子達に分割され、長男が陶県を次男以下が周辺4県に跨る領土を受け取り、それぞれ陶侯(5万石)、東永年侯(1万2千余石)、西渉侯(1万2千余石)、南磁侯(1万2千余石)、北臨侯(1万2千余石)となる筈だった。
 が、帝は旧領10万石全てを長男相続とし、次男以下には周辺4県残余を与えた。

 長男朱祐極は陶公(10万石)
 次男朱祐楮は永年侯(4万石)
 三男朱祐棆は渉侯(3万8千石)
 四男朱祐檳は磁侯(3万6千石)
 五男朱祐枢は臨侯(3万5千石)

 ――にそれぞれ封じられ、それぞれが一国一城の太守となったのである。
 そして以後中央の政治からは遠ざかったものの、その子孫は現在に至るまで繁栄を続けている。

434 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/15(土) 12:54:59 ID:Hd5cQ7n60
 朱祐は位人臣を極め、あらゆる栄耀栄華に包まれて死んだ。
 その功績は多大であり、一時代を代表する人物として歴史に名を残すであろう程だ。
 もはや人として望みうる最高の名誉だろう。
 ……が、朱祐はその全てを夢と信じたまま死んだ。
 死を前にして、栄光に包まれた現実よりも過去を望んだのである。

 だから、現実を夢と信じて朱祐は死んだのだ。
 全ては“邯鄲の夢”と信じて。





*1 ――――正一品太師大丞相――――
 “帝國”で言えば正一位関白太政大臣に相当。






 SS投下終了。この話もやっとラストです。
 あとこの話、スレでは『祖国は遠くにありにけり』ですが、本当は『邯鄲の夢』です。HPではこの題名となります。

435 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 13:20:44 ID:ZlQG4xxU0
投下乙です。
朱祐は幸せなまま息を引き取ったのですね・・・

436 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 16:18:02 ID:SRTE3zjw0
投下お疲れさまでした。
朱祐は最期まで、貴族ではなく庶民のまま逝ったのですね。
庶民たるの幸福を胸に旅だったのだから酷く羨ましいことです。
出来た妻も得ていたようだし。

437 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 19:25:41 ID:.i39iJr60
くろべえ氏投下乙です。
もの悲しくもささやかな幸福ENDという感じでちょっと泣けました。
妻君の心痛は察するに余りありますが、
恐らく夫が過去を断ち切れていないことは前々から察していて
自分なりの覚悟はしていたんでしょう。
異界での伴侶もまた、本当に出来た妻だったんですね。
朱祐この幸せ者がw

438 名前:名無し三等兵@F世界:2007/09/15(土) 21:54:45 ID:dDKWsT0E0
くろべえさん、投下乙です。

…、涙腺が崩壊しそうです。
ああ、この逸話が帝國に届く日はあるのだろうか?

439 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 22:31:38 ID:55XpGFAo0
>逸話
ダークエルフの工作部隊が朱祐の近親者に接触しない事には難しい
のでは。

440 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 23:09:32 ID:VtHR586k0
くろべえさん投下乙です。

確かにここまで帝國に弓引く行為を『元帝国人』が行ったと知られると売国奴
と非難もされるでしょう。
せめて平和的接触を進言か、情報提供後、腹を切る事による帝國への侘びと息
子達の身分保障を願えば浪花節の帝國人の評価も変わったかも知れませんが、
最大の同盟国を失いラスボス化へのフラグ立てでは仮に条件付降伏でも朱祐の
一族のお家断絶は譲れないかも。この時期では両国共実質蛮族扱い、かつ大陸
の両端で政治、経済、軍事の対立が無く中央世界を両国で分け合う選択肢も0
では無かったでしょうから。

441 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 23:31:13 ID:4FAy6iPI0
やったのは帝國にとって単なる売国行為だしな。

442 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/15(土) 23:44:30 ID:55XpGFAo0
>分け合う
ドラクエ1の竜王との会話みたいですね(苦笑)。
そこまで行かなくても不可侵条約を結ぶ程度には留めて置くべき
だったかもしれません。

443 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 00:50:12 ID:WoCSxzHc0
注目しなくてはならないのは、『邯鄲の夢』編が史実を紐解く史学談形式であり
朱祐亡き後の話については後日談であるという所ではないでしょうか。

朱祐の足跡については『邯鄲の夢』で記されたものが史実に対する一説であり
その後の話については仮説ではなく史実として語られています。
その史実にあるのは、朱祐がしばしばアキレアス大王と比較され売国奴とも言われる事、
そして恐らく清華が帝國の影響下であろう『祖国は遠くにありにけり』編纂時点では
朱家が未だ繁栄しているという事です。

本編とは必ずしも整合しない事が謳われている「外伝」である事を考えると
『邯鄲の夢』編での帝國召喚世界では朱祐は売国奴の誹りを受ける事もあれど
それをしてなお清華においては朱家は重んじられている、
そして朱祐についても極めて好意的に解釈する史家もいないわけではない、
という未来が描かれているんだと思います。

元の祖国と今の祖国の間での板挟み、といった心情も帝國人は大好物でしょうしね、
ちょうどここの住人が朱祐に対し共感を持って迎え入れているように。

444 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 01:07:42 ID:akO4JIwA0
現状、アメリカですら単独防衛にかかるコストが高すぎて
その選択肢を捨てて集団防衛にシフトしてます
社会が負担できる量を超えてコストがかかる戦争は不可能

超大国同士の直接全面戦争は現実論として無理でし

445 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 08:15:35 ID:BSbuSQCQ0
乙です
朱祐は遺言として、現皇帝の代では絶対戦争してはならん!
くらいは釘刺してそうですね

そして、すでに帝国がそこにある以上、精華が生き残るには万難を排しても変革は不可避であるとも

446 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/09/16(日) 08:21:09 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏投下お疲れ様です。
朱祐さんは、最後は過去を望みつつも、幸せそうに亡くなられましたね。
思わず感動してしまいました。

447 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 08:59:21 ID:pNDvPEHg0
>長男祐極
こういうところに中国そのままではないことが垣間見えていいなあ

448 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 15:36:38 ID:ZapmcxLs0
儒教が無いってだけで大分違うだろうしね

でも、やっぱこれはカナ姫のおじいさんっていう比較対象がいるだけに、
帝國内では売国奴呼ばわりされるのはしょうがないでしょうね。
しかも武官と文官っていう明確な差があるだけに、
軍部が格好の宣伝材料として誇示しそうな気がする。

449 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 17:36:59 ID:VtHR586k0
>>442
不可侵条約
大蔵官僚には腹立たしいでしょうが、軍部は暴走し易いが結んだ条約はドイツ
やスターリンよりはるかに信用出来る国=外交下手ですから、時間稼ぎには
充分役立つし、技術導入(特に米作技術)も可能と思われ清華には有利に結べ
ると思われる。

450 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 18:59:57 ID:55XpGFAo0
>>449
米作技術よりも(農業全般の)灌漑設備や化学肥料などがメインですかねぇ。
近代農業は化学肥料の助け無しには成り立ちませんから。
灌漑設備にしても高地への水のくみ上げには動力を用いないポンプの
導入(水撃ポンプなど)などが優先でしょうか。
不可侵条約を仮に結んだとしても軍事技術やその他の技術情報はかなり
制限されるはずです。

451 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/16(日) 23:16:51 ID:VtHR586k0
>化学肥料
農薬と共に一度使うと二度と止められない悪魔の薬。しかも他国では生産出来
ない最強の戦略物資じゃ。チハより列強侵攻に役立ちそう。

452 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 00:07:10 ID:X79gtGPU0
くろべえさん乙です

朱祐、辛い選択でしたがよく決断したと思います。『今』仕えている
国家に忠誠をつくす、というのも一つの生き方でしょう。
WW2で米兵として戦い、数多くの武勲をあげた日系兵士たちのことを
なんとなく思い出しました。
運命の悪戯で『祖国』は変わってしまったけれど、貴方は最後まで
立派な侍でした、と。もし帝國の誰かが朱祐さんの墓にお参りすることが
あれば、そう言ってあげてほしいです(´・ω・`)

453 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 01:05:06 ID:5TCzCQCg0
>>451
しかし、化学肥料・農薬は子孫に甚大な影響をもたらし(ry


一週間だ、一週間待ってくれ。本物の野菜を食わせてやろう!

454 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 15:18:42 ID:LQ1AEXl.0
>>453 Y岡さん、そんな約束しちゃって大丈夫なんですか?

455 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 22:39:23 ID:55XpGFAo0
軍事機密に当たるものとしては百科事典なんかもアウトでしょうな。
内容のうち地名などは転移前の世界の物が多いのでそれらは一種の「歴史」
としての扱いになるでしょうけど項目によってはスミで消されてしまうかも
しれないですね。

後はDNAの螺旋構造の発見がこの世界でも成されれば遺伝子組み換え作物
が出来るのですが・・・(DNAそのものは1869年に発見)。
日本の場合優れた米や麦の改良品種をさらに遺伝子改造すればより生産性
の高い品種が出来そうですね。
遺伝子プールの母集団が多ければ多いほど多様性は出ますからある意味
アルフェイムは遺伝子情報で考えれば地球に無い遺伝子が採取できる可能性
が高い場所でしょう。

456 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 22:49:14 ID:gFRlK2hM0
>>453
無農薬野菜についてはコン○ェルジュで徹底的に叩かれた種。

457 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/17(月) 23:04:04 ID:55XpGFAo0
大陸に行っている帝國兵士への慰問で渡す食料としては生卵なんかは
特に人気があるかもしれませんねー。
卵かけご飯は特にそうですし、戦前や戦中戦後も高度成長期までは貴重品
の1つでしたから。

458 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 04:34:31 ID:ks2UuX6s0
生卵の保存は魔法に頼ることになりますかね?

459 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 09:59:15 ID:zirSUwA20
>>453
だがしかし、美味しんぼにおいて最強のトマトは科学肥料で育てられている件

460 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/18(火) 10:01:12 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、くろべえです。
 やっと“邯鄲の夢”が終わりました。
 テキストで40KB超……思ったより長かった。
 実はこの話、出そうかどうしようか迷いました。
 というのも、清華は正体不明のままの方がよいかな?と考えたからです。
 でもまあ、結局載せることにしました。
 帝國がロッシェルと戦っている間にも、観察している目がある、ということで。

 *ちなみに改訂版では大文明圏は8個、うち7個が中央世界に集中しています。

>>436
 436様、有難うございます。

>出来た妻
 彼女、郷士の家の娘なのですよ。
 あ、郷士といっても大地主で、商売も手広くやってる県で一番の大家です。
 行儀見習いで宮中に上がったのですが……

>>437
 437様、有難うございます。

>もの悲しくもささやかな幸福END
 これ実は以前過去に没ったカナ姫のプロトタイプのお話なのですよ。

>>438
 438様、有難うございます。

>ああ、この逸話が帝國に届く日はあるのだろうか?
 これ、帝國では忠臣蔵の吉良善玉小説みたいな感じですからねえ……

461 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/18(火) 10:02:08 ID:Hd5cQ7n60
>>440
 440様、有難うございます。

>売国奴と非難
 名が断定されていないのも、そういう訳です。

>>445
 445様、有難うございます。

>朱祐は遺言として、現皇帝の代では絶対戦争してはならん!
 いえ、既にお家大事モードに入っていますので、政治的な意見は全く出していません。
 情報提供者に徹しております。

>>446
 ヨークタウン様、有難うございます。

 この話、帝國で出された当時は“史実歪曲”(笑)とかなり叩かれました。
 ……実際はそんな評価なのですよ。

>>452
 452様、有難うございます。

>WW2で米兵として戦い、数多くの武勲をあげた日系兵士たちのことをなんとなく思い出しました。
 彼等ももし万が一帝國がアメリカと対等かそれに近い立場で講和していれば、悪し様に罵られていたでしょうからねえ。
 両方の国から疑われ、辛い存在です。

462 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/18(火) 10:03:02 ID:Hd5cQ7n60
>>455
>百科事典
 旧版では流れちゃった可能性が高いですねえ……

>>457
>生卵
 新鮮な卵は帝國に限らず各国兵士の垂涎の的ですからねえ。(流石のアメさんもそうだったたらしい……)
 転移し、大陸で活動中の帝國軍将兵も現地住民や生物?と交渉し、卵を手に入れようと悪戦苦闘しているでしょう。
 ……(ボソッ)食材に卵が使われている場合、何の卵か聞かないし言わないのが現地将兵間のルールです。

463 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 11:45:03 ID:BSbuSQCQ0
化学肥料に重要なアンモニアの合成なんて
朱祐程度の知識でも知ってるだろうし作れるものだから
案外精華では研究開発・実用化されてるんではないだろうか

空気を一度液体になるまで冷却、温度差で窒素、酸素に分離。
水に電気をながして水素と酸素に分離、
そして得られた窒素と水素を、高温高圧の炉の中に放り込み、
中に入れてある触媒の酸化鉄でアンモニアに合成する。

ちゃんと知識があれば中世レベルでも可能よ。魔法があればなおさら

464 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 11:48:03 ID:BSbuSQCQ0
けどまあ、精華がどうも帝国の化学教科書を集めてたあたり、
どうも自然科学に関する基礎知識はあるようなけはいはありますな

465 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 12:04:48 ID:oVuuhHNoO
これってあえて指摘するふいんき(何故か変換できない)なのかな?

×精華
○清華

それとあえてくろべえさんが国を旧常用漢字で書いてるんだから
帝國召喚の話題では帝国は帝國と記すべきでは?

466 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 14:00:45 ID:MsAR/znU0
>>463

前も同じような主張していたけど

なんで大蔵省の役人が
専門外の科学知識をもっていて
さらに技術的な問題解決能力もあると考えているんだ?

467 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 15:59:47 ID:KU8QS5YM0
アンモニア合成は20世紀の工業力が必須です。

例えば、高温・高圧の水素に耐えられるパイプや反応容器の作成には相当の技術力が必要です。
ただの鉄では高温・高圧の水素に侵されて、あっという間に脆くなってしまいます。

現実に、ハーバー・ボッシュ法を工業化するにあたり、
それに耐えられる特殊な反応容器を開発しています。

合成条件の発見からそれを工業化するまでに
ドイツの技術力ですら10年もかかっているのはダテじゃないです。

468 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 18:58:47 ID:55XpGFAo0
>化学肥料

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E8%82%A5%E6%96%99
肥料 - Wikipedia
日本の場合本格的な化学肥料の実用化と大量生産に成功したのは
高峰譲吉が英国から持ち込んだ応用化学の技術を利用して明治20年に
国内最初の人造肥料工場を建設してからの事です。
今でこそ科学知識さえあれば・・・というようなコメントがありますが
実際の話、大量の燐酸肥料を作るだけでも膨大な量の燐酸鉱石が必要
ですしそれを精製し肥料として使えるだけの量を確保するだけでも
かなりの工業力が必要です。
少なくとも初歩的な蒸気機関が実用化されるくらいではどうにもならない
と思いますよ。

ちなみに高峰譲吉がわが国に持ち込んだ燐酸肥料10トンを早速試験的に
使用したところそれまで牛馬の糞や堆肥しか使っていなかった場合では3
割しかなかった麦の収穫量が一気に7割に増大したそうです。

469 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/18(火) 23:46:52 ID:9JRhT3Ys0
>>463

今の日本の官僚を見てもわかるとおり、たいていの官僚は文型です
さらに仕事に科学があまり関係ないため、科学関係はまるっきり忘れてしまってる人も珍しく無いかも
ってか、科学技術の価値すらわかってない可能性あり

470 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 00:08:56 ID:yn4F6CqM0
自分の恩師の持論。
「大学は専門知識を暗記する所ではない。
 知識が必要になった時、効率良く入手する方法を覚える所だ。」
旧版では効率良く教科書等を奪いましたね。
教科書の存在、入手方法(役人の騙し方)を伝授した人間がいたはずです。

471 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 04:31:57 ID:PrNDtOqYO
旧版なんか二度と話が進む事ないんだからどうでもいいだろ
作者も改訂版は旧版とは違うんだって感じで書いてんだろ
最近の受け答えにそれが見え隠れしてんだから、そんくらい察しろよ

472 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 06:51:34 ID:i/BGxRX.0
この話題では当てはまらないけどね。それはもうちょっと前の話題で書き込むべきでしょ

473 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 11:37:02 ID:zz1XGVzE0
新版はファンタジー世界というより、似非錬金術世界マンセーって感じがする展開なのだよな。

474 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 11:44:42 ID:t76y1pc60
また錬金術云々言う奴が来た

475 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 12:39:12 ID:OFhZwItk0
少し前の法則云々とは意味が違うんじゃないかな、多分だけど。
言われてみれば確かにくろべえ氏の世界観だと、魔法の概念が一般ファンタジーでいう魔法より
錬金術的な科学(化学)一歩手前の様な印象を受ける気もするし。
アルフェイムマンセー云々はよくわからないから何とも言えないけど。

476 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 12:57:58 ID:55XpGFAo0
アルフェイムって地震やら火山活動は無いんだろうか?
そもそも環太平洋火山帯みたいなホットスポットもよくわかっていない
から仕方が無いのだろうけどこの世界に自然科学はあるのだろうか。
仮にアルフェイムが惑星だとして火山活動が終息傾向にあるのなら
惑星の核が冷えつつあるという可能性も。

477 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 18:54:17 ID:oVuuhHNoO
たぶんあるだろ

478 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 21:17:10 ID:6eHywofg0
>>469第二次大戦時の日本の上層部で理系の人間は昭和天皇のみだってという話もありますな。

479 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/19(水) 21:17:47 ID:6eHywofg0
訂正
×だって
○だった

480 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/21(金) 09:49:03 ID:55XpGFAo0
結局の所列強が帝國に真に対抗できる体制を作るためには国民国家
の制度と秘密投票が必要なんでしょうな(現在の民主主義国家の選挙制度
は全て秘密投票)。
ソ連のような社会主義国家では秘密投票の制度自体が形骸化してたけど
総合力で言えば戦力の底上げより国力の維持が可能な社会制度が近代国家
に対抗できる唯一の方法なんでしょう。

481 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/23(日) 13:38:07 ID:zh0LI88.0
しかし国民国家が形成されるには、産業革命による中流階級の誕生が必須なわけで。
つまり国民国家及び秘密投票が形成されるにはそれなりに科学、産業が発展しなければならない。
その過程がない民主主義国家はすぐ崩壊するからね。
もしそれで民主主義国家が誕生するとなると、いずれ日本とは対立しなくなるかもしれない。
まぁ民主主義の平和論は賛否両論あるし、成熟した民主主義でないと当てはまらないだろうけどさ。

加えて総力戦であれば国力そのものが戦力。戦力だけ増強させれば自滅する。

482 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/23(日) 14:16:47 ID:VtHR586k0
国民国家を作る裏技として、ギリシャ、ローマ方式による奴隷制度による、非
労働者階級の形成と市民軍の編成も有りでは。
ローマ共和国時代も訓練の行き届いた強力な軍を持っていたし、アルフェイム
世界も多神教で神の下に平等は無いから奴隷経済が有っても反対勢力はそれこそ
帝國だけかも。

483 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/23(日) 14:41:08 ID:QL.hy2go0
つまりはスーパーローマvs現代国家なりかけの戦いにしようと。
結構いい戦いをしそうにも思えるけどなりかけの方は盤をひっくり返す手を持ってるというか持てるようになるから決着点は見えているんじゃろか。

484 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/23(日) 18:38:05 ID:zh0LI88.0
とはいえ所詮は市民軍だしなー。
装備も自腹となっちゃ、一回潰れたらもう終わりじゃない?

485 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/23(日) 19:58:13 ID:PrNDtOqYO
自腹で用意出来る程度の装備の軍で皇軍に対して何が出来るわけ?

空軍なし、むしろ空気。血管切れるくらい必死こいてもワイバーンどころか飛竜もどき数騎
海軍は皆で金を出し合って一発で木っ端な帆船数隻
陸軍は剣か槍か弓歩兵、奮発して騎馬、破産覚悟で火繩銃
魔法兵器は全軍で数個。しかも勿体なくて一発も使えない

486 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 01:25:35 ID:zh0LI88.0
貨幣による商業の発展で富裕化した市民の誕生、かつ自腹で用意できる程度の装備だったからこそ古代ローマやギリシャの民主制は成り立ったんでしょうな。
結局史実のローマでは、富裕化した一部市民が貧困層の市民に武具を供給、私兵化が進んだ結果帝政になったわけですし。
近代軍を維持するには、古代ローマやギリシャの民主制ではとうてい不十分ではないかと。

487 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 01:35:00 ID:WvuPwrzA0
じゃあ最後の手段だ

つ[赤化]

488 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 01:46:20 ID:YyvELU2sO
>487

489 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 01:47:42 ID:YyvELU2sO
>487
それこそ列強は勿論帝國すら恐れる最悪のシナリオなわけで。。。

490 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 06:25:44 ID:HCvBNG0g0
もひとつ。

つ「イスラム原理主義」

491 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 07:01:11 ID:83/wJNuE0
>>490
キリスト教原理主義でも似たようなもんだと思いますが、普及したら帝國よりもむしろエルフの危機ですね。

492 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/24(月) 08:19:51 ID:FoJbMGgY0
エルフ崇拝の宗教権力の拡大と、統一された権力集中の世俗権力からの優越とか
ヴァチカン(中世の)発足
それが反帝国勢力を統合

・・・百年くらいはかかるな
帝國万歳

493 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:41:32 ID:dbaWZlpQ0
 どうも、お久しぶりです。

>市民軍
 装備自腹だと魔法兵器に資金投入できませんからねえ。
 特に開発は絶望的、お金出し合って友好国から買い求めなくちゃいけないけど、モンキーモデル(老朽品とか)だし安全保障を押さえ込まれる様なものだし……
 これは封建的な中小領主達にも言えることで、必然的に中央集権へ移行するでしょうね。規模こそ力なり!
(例えば人口が多ければ多いほど国内の魔導師/士も増え、開発や竜騎士に回せる人数も↑)

494 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:43:03 ID:dbaWZlpQ0
帝國召喚

 クノス島沖に現れた“帝國”艦隊は、万端とも言える態勢で上陸作戦を開始した。
 その序列は以下の通り。

  クノス島攻略部隊(司令官 角田覚治少将)
   機動部隊:空母“神鷹”“瑞鷹”“祥鷹”
   支援部隊:駆逐艦“水無月”“文月”“皐月”
   上陸部隊:輸送船“新夕張丸”(陸軍歩兵第二八聯隊第一大隊乗船)
   警戒部隊:駆逐艦“長月”
   補給部隊:油槽船“黒潮丸”
   航空支援:ピグニス航空隊

 支援部隊は支援射撃を行うべく、海岸ギリギリまで近寄り待機し、
 機動部隊はその沖合いで艦隊及び上陸部隊の頭上を守るべく、常に中隊規模の直援機を上げ、
 補給部隊は機動部隊よりも更に後方で待機し、
 警戒部隊は大陸からの敵援軍に備え、攻略部隊主力の北北西(大陸側)15〜20海里の海域に進出、対空・対水上警戒を行っている。
 更に後方のピグニス島では、ピグニス航空隊が即応状態で待機中――
 この様に海空から厳重に守られながら、上陸部隊は上陸を開始したのである。



 「上陸、開始!」

 聯隊長の号令一下(*1)、上陸部隊は母船から降ろされた大発やボートで次々と海岸へと向かう。
 上陸部隊は陸軍歩兵第二八聯隊第一大隊。同聯隊は転移以降常に第一線にある所謂“斬り込み隊”であり、今回の作戦――中央世界進出の足がかり――への参加も言わば“必然”と言えた。

495 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:43:34 ID:dbaWZlpQ0
 残念ながら『隷下の部隊が各地に派遣されていたことと船舶不足からくる輸送の遅れ』に『作戦開始時期が繰り上がったこと』が加わり第一大隊1100余名のみの参加となったが、それでも従来より著しく強化された火力(*2)、そして何よりその動作溌剌、軍紀厳正振りに誰もが作戦の成功を信じて疑わなかったという。

 なお同大隊は、聯隊長の名をとって“一木支隊”と呼称されていた。(*3)



 一木支隊は、全く抵抗を受けないまま上陸を完了した。
 敵を水際で叩くことはこの世界でも常識だったが、ロッシェル軍はみすみすそれを許したのだ。
 ……いや、許したのではない、許さざるを得なかったのである。
 そのことは、当時のロッシェル軍の陣容を見れば明白だった。

  クノス島駐留軍(180名以下):統合指揮官 第13飛竜連隊長ギスラン・クロケット大佐
    第13飛竜連隊残余
    クノス島防備隊残余
    クノス島工兵分遣隊
    クノス島輜重分遣隊
    クノス島工廠分遣隊
    クノス島竜廠分遣隊
    クノス島施療分遣隊
    クノス島通信分遣隊
    クノス島州兵中隊残余

 ――以上が“帝國”軍上陸直前のロッシェル軍の序列である。

496 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:44:05 ID:dbaWZlpQ0
 一見しただけでお判り頂けるだろうが、まともな陸戦部隊が存在しない。
 第13飛竜連隊は(空中戦力を失ったとはいえ)航空部隊であるし、防備隊は基地部隊だ。
 唯一それらしく見える州兵中隊も、治安維持用の“武装警察”に過ぎない。
 各分遣隊(総員80名以下)に至っては中少尉を長とする10〜20名の基幹要員で、そもそも戦闘部隊ですらなかった。
 それ故、ロッシェル軍は水際での抵抗を諦め、島の内部に潜んだのだった。

 が、この時点で多くの脱走者が続出、“帝國”軍との交戦を待たずしてロッシェル軍はその戦力の1/3以上を失っていた。
 ……それはそうだろう。脱走者は防備隊と州兵に集中しているが、そもそも彼等は地元の北クローゼ出身者で占められている上に年季奉公――それも税を払えないため止む無く――の平民である。これ程の状況で戦う義理も戦意もある筈が無かった。(それ以外に逃げた者達も多くが職人等の軍属で、本来戦うことのない者達だ)

 何れにせよ、“帝國”軍上陸直後にはロッシェル軍は100名程にまで痩せ細っていた。
 対する“帝國”軍は海空からの支援を受ける1000超……戦う前から勝敗は見えていた。

 にも関わらず、彼等は抵抗を選んだのである。



――――支庁舎前。

「馬鹿もん! 何を手こずっておるか!」

「は、申し訳ありません。強力な特火点が3箇所存在し、密な連携を――」

497 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:44:36 ID:dbaWZlpQ0
「言い訳はいい! 問題は『高々100名そこそこの蛮族に、1個中隊(約200名)の皇軍が足止めされている』という現実だ!」

 忌々しそうに中隊長が吐き捨てた。

 合流した工作員からの情報により、敵主力が支庁舎に立て篭もろうとしていることを知った“帝國”軍は、真っ先に上陸を終えて警戒中だった第一中隊を威力偵察を兼ねて先行させた。 ……可能なら落とせ、という命令と共に。
 ……が、鎧触一蹴とばかりに急行した中隊は、敵の思わぬ反撃によりその進軍を停止していた。
 それも、たった3頭の竜によって。

 竜達は街道沿いの周囲の開けた小高い丘の上に陣取り、厚く高い土嚢の上から頭だけを出してブレスを撃ち下ろしてくる。
 機関砲タイプや速射砲タイプのブレスを使い分け、まるで無線で連絡でも取り合っているかの様な緊密さで撃ち下ろしてくる。
 せいぜい軽機関銃や擲弾筒しか保有していない歩兵は威力の面でも射程の面でも圧倒され、支庁舎を目の前にして一歩も動けず釘付けにされていた。(唯一対抗出来たであろう機関銃小隊を、速攻を重視して置いてきたのが悔やまれる!)

「迂回しますか?」

 部下が耳元で囁いた。
 確かに、多少不便だが街道を通らず迂回すれば無理に丘を制圧する必要はなくなる。後は孤立化し、降伏するなり丘を降りて突撃なりするだろう。何も準備を整えた敵に付き合ってやる義理などない、という極めて常識的な判断だった。
 ……が、中隊長は罵声でもって応えた。

498 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:45:08 ID:dbaWZlpQ0
「お前は阿呆か!? 尻尾を巻いて逃げろ、だと? それも蛮族相手に? そんなことが許される訳がないだろう!」

 “帝國”陸軍は極端に攻撃を重視する軍である。
 故に、そんな“敢闘精神に欠ける”真似をすれば聯隊の名を汚すし自分の経歴に傷がついてしまう。それを考えれば選択できる筈も無かった。

 更に、彼等は支庁舎を落とすよう命じられているが、それは『敵主力がいるから』であり、目的はあくまで『敵軍の制圧』だ。
 ……規模から考えて、アレがその主力に違いない。(情報では支庁舎に向かっていた筈だが、何らかの理由により篭城を諦めたのだろう)
 どう考えても見過ごせる相手ではない、ということだ。

「我々は何としても丘の連中を掃討せねばならぬのだよ、早急に! 判ったらさっさと配置に戻れ!」

「は!」

 部下は敬礼すると、慌てて駆け出した。
 ……それが見えなくなった後、先程から中隊長の傍らに控えていた男が口を開いた。

「……あれは竜は竜でもワイバーンですな」

 一見した所は島の猟師の様だが、彼はダークエルフの工作員である。(恐らく現地案内に同行させたのだろう)
 彼等はこの世界のことに精通しており、助言者としては最適の存在だった。

499 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:45:53 ID:dbaWZlpQ0
「! ワイバーンだと!?」

「はい、恐らく負傷して飛べなくなった奴を引っ張り出したのでしょう」

「……手負いの上、飛べなくてもこれ程か」

「ワイバーンこそ戦場の王者なれば」

 飛べない、と聞きやや安心した中隊長は質問した。

「あの忌々しい竜……いや、ワイバーン共を無力化させる良い手だてはあるか?」

 男は即座に答えた。

「空爆が最善でしょう。飛べなくなったワイバーンを地上戦に投入する例は退却戦で偶に見られますが、大概空から仕留めてます故」

「……それが出来れば苦労しない」

 苦虫を噛み潰した様な顔で中隊長は却下する。
 いくらこれが“海軍のいくさ”とはいえ、陸戦で海軍の手を借りることを陸軍は歓迎しない。それを承知しているからだ。

「では、後続部隊の到着を待って数で押し潰しては? 砲の支援も期待できましょう」

「我が中隊の面目、丸潰れではないか」

500 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:46:24 ID:dbaWZlpQ0
「ならば消耗させるのが確実でしょう。如何なワイバーンといえども生物、あの調子でいつまでも撃ちまくれる訳ではありません。もう暫くすれば限界が訪れるかと」

「……残念ながらその様な余裕も無い」

 中隊長は『期待外れだ』と言わんばかりの大きな溜息を吐いた。

 ――つまるところ、これが現実か……

 彼としては何か決定的な弱点等を期待したのだが、男が述べるのは極々当たり前のことに過ぎなかった。
 ……つまり、魔法や異世界と言えども基本的な原則は何一つ変わってはいない、ということだ。
 丘の上に布陣する敵は“強力な特火点群”であり、それを1個中隊で強襲せねばならぬ、という現実は。

 中隊長は覚悟を決め、大きく息を吸い込むと軍刀を掲げて号令をかけた。

「中隊長が陣頭に立つ! 中隊前へ!」





*1 ――――『聯隊長の号令一下』――――
 ……大隊長の間違いではない、聯隊長だ。(当時、第一大隊は聯隊長直卒だった)
 と言うのも、大隊首脳部がとある事情により、全員病院送りになったからである。
 原因は“食中毒”。 ……笑うことなかれ。この“食中毒”こそ、“帝國”軍将兵を最も死傷させている“敵”の一つなのだから。

501 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:47:12 ID:dbaWZlpQ0
 当たり前のことだが、この世界“アルフェイム”は元の世界と(多分)何の関係も無い。
 故に、全く見たことも聞いたことも無い様な動植物で溢れているし、一見元の世界と似た動植物でも(多分)全く同じ筈が無い。
 ……何が言いたいかといえば、『食用に適するかどうか、いちいち調べなければならない』ということだ。
 多くは語らぬが、大隊首脳部が“食中毒”後送されたのもそういった理由からだった。

 まあそんな訳で大隊を指揮する面々が不在となり、敢闘精神に溢れる聯隊長自ら指揮を採ることとなったのである。
(聯隊長の意気込みは相当なもので、僅かな供回りのみを連れ輸送機を乗り継ぎ合流、“新夕張丸”に乗り込んでいた)

*2 ――――『従来より著しく強化された火力』――――
 歩兵第二八聯隊は転移後の師団近代化計画に基づき、大きくその姿を変えていた。
 その編成は以下の通り。(*ただし下記の人員、重火器数は定数)。

  歩兵第二八聯隊(4500名)
    ┣━聯隊本部(180名)
    ┣━通信中隊(130名)
    ┣━歩兵大隊(1130名)×3:各九二式重機関銃2挺。
    ┃  ┣━大隊本部(180名)
    ┃  ┣━歩兵中隊(220名)×3
    ┃  ┃  ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃  ┣━歩兵小隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃  ┃  ┣━軽機分隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┗━擲弾筒分隊
    ┃  ┃  ┗━機関銃小隊
    ┃  ┃     ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃     ┣━機関銃分隊×2
    ┃  ┃     ┗━弾薬分隊
    ┃  ┣━機関銃中隊(160名):九七式自動砲2門、九二式重機関銃6挺。
    ┃  ┃  ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃  ┣━機関銃小隊×3
    ┃  ┃  ┃  ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃  ┃  ┣━機関銃分隊×2
    ┃  ┃  ┃  ┗━弾薬分隊
    ┃  ┃  ┗━自動砲小隊
    ┃  ┃     ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃     ┣━自動砲分隊×2
    ┃  ┃     ┗━弾薬分隊
    ┃  ┗━大隊歩兵砲中隊(130名):九二式歩兵砲4門
    ┃     ┣━中隊指揮班
    ┃     ┣━火工分隊
    ┃     ┗━歩兵砲小隊×2
    ┃        ┣━小隊指揮班
    ┃        ┣━歩兵砲分隊×2
    ┃        ┗━弾薬分隊
    ┣━聯隊歩兵砲隊(400名):四一式山砲8門。
    ┃  ┣━隊本部
    ┃  ┣━山砲中隊×2
    ┃  ┃   ┣━中隊指揮班
    ┃  ┃   ┣━火工分隊
    ┃  ┃   ┣━山砲小隊×2
    ┃  ┃   ┃   ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃   ┃   ┗━聯隊砲分隊×2
    ┃  ┃   ┗━弾薬小隊
    ┃  ┃       ┣━小隊指揮班
    ┃  ┃       ┗━弾薬分隊×5
    ┃  ┗━段列
    ┗━聯隊速射砲隊(400名):九四式速射砲8門。
       ┣━隊本部
       ┣━速射砲中隊×2
       ┃  ┣━中隊指揮班
       ┃  ┣━火工分隊
       ┃  ┗━速射砲小隊×2
       ┃      ┣━小隊指揮班
       ┃      ┣━速射砲分隊×2
       ┃      ┃   ┣━指揮班
       ┃      ┃   ┣━戦砲班
       ┃      ┃   ┗━弾薬班
       ┃      ┗━弾薬分隊
       ┗━段列

502 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:47:43 ID:dbaWZlpQ0
 保有する重火器は四一式山砲8門、九四式速射砲8門、九二式歩兵砲12門、九七式自動砲6門、九二式重機関銃36挺。
 歩兵中隊が12個から9個に減少――ただし減少した3個中隊分の軽機や擲弾筒は防御用として大隊本部や各砲隊に配備されている――したことにより白兵戦力こそ若干低下したものの、重機や砲といった重火器はほぼ倍増している。その人員といい装備といい、もはや“旅団”と言っても良い規模で、従来の歩兵聯隊と比較して軽く五割増し以上の戦闘力である。
 これこそが転移後に行われた大軍縮、その代償だった。

 転移直後に行われた大軍縮により、歩兵聯隊は180個超から51個に、歩兵大隊(独立大隊も含む)は700個超から300個以下へと激減した。
 が、これにより大量の余剰兵器が発生、旧式兵器ですら満足に行き渡らなかった様な状況が一変したこともまた事実だった。
 各部隊は軒並み最新型……と言わぬまでも第一線の装備で定数を満たし、それでも尚多数の装備が余ったのだ。
 陸軍はその余剰装備を流用し、部隊の近代化に着手した。 ……所謂、“昭和一七年型編制”である。
 そして上記の編制こそが、“昭和一七年型歩兵聯隊”だった。
 ……皮肉なことだがこの大軍縮こそが、結果として歩兵の火力密度を高めることとなったのである。 

*3 ――――『なお同大隊は、聯隊長の名をとって“一木支隊”と呼称された。』――――
 正確には聯隊全体を指すべきだが、
 ・他の部隊が広範囲に分散しており、聯隊長の指揮下にあるのが同大隊しかないこと。
 ・上と重複するが、海軍指揮下となっているのが、現在同大隊しかないこと。
 ――等の点から第一大隊のみを指す場合が多い。

503 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/24(月) 12:48:38 ID:dbaWZlpQ0
 SS投下終了。
 間が離れたので前回分も含めて投稿しました。

504 名前:名無し三等兵@F世界:2007/09/25(火) 21:30:51 ID:dDKWsT0E0
くろべえさん、投下乙です。

オーク討伐から成長してない気がする(苦笑)。
まあ、オークを討伐していた部隊は辺境に飛ばされているわけですが。
機関銃小隊を待つべきなんですがねえ。
都合良くブレス切れすると良いですけど。

505 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:23:26 ID:Hd5cQ7n60
>>504
 名無し三等兵様、有難うございます。

>オーク討伐から成長してない気がする(苦笑)。
 だって今までマトモな敵と戦ってないですから(笑)
 いいとこカナ姫に出てくる敵レベル、大概は中世騎士団以下、へたすれば土人だからなあ……

>都合良くブレス切れすると良いですけど。
 無限に撃てる訳じゃあないですからねえ。
 『輜重段列が補給』という訳にもいきませんから、どんなに粘っても知れています。

506 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:24:09 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚

「敵が右翼に回りこもうとしている。俺が“針”で牽制するから、お前は“球”で掃除を頼む」

『了解』

 短い遣り取りの後、ワイバーンから万年筆程の大きさのブレスが十数発、一気に放たれた。高圧縮化されたブレスは音速の数倍の速さで飛翔しつつ着弾、地面に深い穴を穿いて消滅する。更に一拍子遅れて砲丸程の大きさのブレスが一発、先程の数分の一の速度で着弾し、今度は炸裂し周囲を焼き払って消滅した。
 この攻撃に、回り込もうとした敵兵は援護射撃の下、負傷した仲間を抱えつつ後退していく。
 これを見て陣地から歓声が上がる。
 この名も無い丘を巡る攻防戦、その序盤はロッシェル軍の勝利に終わった。

 実の所、この戦闘は“帝國”軍にとって予想外のものだったが、同時にロッシェル軍とっても不本意なものだった。
 というのも、当初彼等は“帝國”軍の事前の情報通り、支庁舎に篭ろうと考えていたからだ。

 その防御力を頼って、という訳ではない。
 確かに支庁舎はかつて北クローゼを支配していた王の居城だけあって、小規模とはいえそれなりの防御力を有している。
 が、所詮は『(マスケットの)銃弾には耐えられる』といった程度でしかなく、空襲どころか砲撃にすら耐えられない無力な存在に過ぎなかった。とてもではないが“帝國”軍の――というよりも正規軍の攻撃を防ぐことは不可能だ。(*1)
 故に、支庁舎に向かったのは別の理由からだった。

507 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:24:43 ID:Hd5cQ7n60
 アルフェイムにおいて、城はその周辺地方の支配権の象徴(*2)である。この場合なら、『(支庁舎である)クノス城は北クローゼの支配権の象徴』ということだ。
 無論、明文化されたものはないが、だからと言って無視出来るものではない。彼等が最後の抵抗を試みる場所、と決めたのも無理はなかった。
 ……が、支庁舎の門は固く閉ざされ、彼等を迎え入れることは無かった。
 力尽くで押し入ることも出来たが、それは最期に一花咲かせようと考える彼等の望むところではない。止むを得ず目的を『支庁舎へ進軍阻止』に切り替え、この地に布陣した、という訳だ。

 暫くすると再び敵は回り込もうと試み、やはりワイバーンの火力によって撃退される。
 先程よりも一層大きな歓声が上がるが、ワイバーンに騎乗する二人の副連隊長達はそんな部下達のはしゃぎ様とは裏腹に、厳しい表情を崩せないでいた。
 孤立した陣地に篭っている以上、最期はジリ貧――ということを恐れたのではない。そんなことは覚悟の上、問題はこの攻撃が『情報収集の一環に過ぎない』ということ、敵が高性能の銃を装備していることを知ったからだ。

「……気付いたか?」

 胸元の魔法通信用ペンダント――最後の一組だ――にそう話しかけると、直ぐに相棒が応じた

『ああ。連中、後装式……それも連発式の小銃で武装してやがる』

 カラクリ仕掛けの飛竜を考えれば驚くべきことではないかもしれないが、それでも脅威であることには変わらない。
 威力・射程・発射速度のどれをとってもこちらの小銃を圧倒しており、こちらの歩兵では対抗不可能である。
 ……それが意味するところは、『飛べない3騎のワイバーンのみで敵にあたらねばならない』ということだ。

508 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:25:18 ID:Hd5cQ7n60
「敵もこちらの歩兵が戦力足り得ないことに気付いただろう、そろそろ本格的に動き出す――ちっ!」

 途中まで言いかけ、だが知らず知らずの内に自分が前腕に手を当てていることに気付き、先任副連隊長が舌打ちする。
 ……そこは騎乗するワイバーンの負傷部、その一つに相当していた。

『どうした!?』

「……少し気を抜いたせいか、“精神汚染”の兆候が現れた。お前も気をつけろよ?」

 土嚢の傍で配置についている腕を吊った飛竜騎士――彼が騎乗する飛竜の本来の主だ――を横目で見ながら忠告した。

 現在、ワイバーンに騎乗しているのは連隊長と2名の副連隊長で、元の主たる飛竜騎士達は負傷した為に下竜し歩兵の指揮をとっている。
 この措置は、竜と騎士の“過同調”を防ぐためだった。

 ワイバーンに騎乗する際、飛竜騎士はワイバーンと精神を“繋ぎ”、操る。その耳目を利用したり、(自分自身が騎乗している以上限界があるものの)ああも自在に操つることが出来るのはこのためだ。
 が、これは諸刃の剣でもある。精神を繋いでいる以上、様々な弊害も存在した。
 ……その最も代表例が、騎竜負傷時の“精神汚染”だろう。騎竜の受けた痛みと負の感情が、飛竜騎士の精神を直撃するのだ。魔道技術も進み、何重もの防護を施していると言えども、これを完全に防ぐことはできない。(何しろ自分よりも遙かに巨大な生物と直接精神を“繋げて”いるのだ)
 特に死亡時の断末魔など凄まじいもので、騎竜を撃墜された飛竜騎士の生還率が極端に低いこともこれが大きな要因となっていた。

509 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:25:59 ID:Hd5cQ7n60
 今回の措置も、これを防ぐ為だ。
 お互い軽傷とはいえ掠り傷ではない、その痛みと負の感情はかなりのものだ。精神を繋げれば、それが増幅される恐れがあった。ましてや日頃乗り、乗られ慣れている間柄ならば一層そうなる可能性が高い――それを考えれば、騎乗させる訳にはいかなかったのだ。
 ……が、代行する者とてこの“精神汚染”から完全に逃れられる訳ではない。事実、先任副連隊長である彼も、何の障害も無い前腕を労わる様に擦っていた。
 これは騎竜の負の感情が逆流したためであり、良くない兆候だった。
 気合を入れて追い出したものの、時間と共に悪化していくことは目に見えていた。

 ――竜の魔力が尽きるか、それとも“精神汚染”により戦闘不能になるか……どっちが先だろう?

 無論、その前に“帝國”軍によって討ち取られる可能性もあったが、彼としてはやはり最後まで戦いたかった。
 と、そんなことを考えていた時、相棒の緊迫した声が響いた。

『来るぞ!』





*1 ――――『とてもではないが“帝國”軍の――というよりも正規軍の攻撃を防げるものではない。』――――
 これは何もこの城(支庁舎)に限ったことではなく、それこそ中央世界の城その大半の現状だった。威力を増す一方の兵器群によって、城はとうに防衛施設としての機能を喪失していたのである。

510 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:26:30 ID:Hd5cQ7n60
 考えてもみて欲しい。
 前装式とはいえ多数の大口径砲が存在し、あまつさえワイバーンなどというシロモノものすら存在するこの世界で、果たして城にどの程度の戦術的価値があるだろうか?
 帝國が元いた世界ですら砲の発達と共に城はその存在価値を失ったのだ、ましてやワイバーンが存在するアルフェイムなら『城の防御に金をかけるよりも、その分ワイバーンに金をかけた方が良い』という思考に行き着くのも当然と言えよう。
 ワイバーンを中核とする“航空戦力”とそれを地上から支援する“野戦軍”こそがこの世界の軍の中核なのだから。

 無論、軍の重要な出撃拠点や防衛施設として高度な防御が施された“城”も多数造られている。
 が、これらは“要塞”と呼ばれ、城とは区別された存在だ。中には要塞級の防護結界が施されている城も存在するが、これはあくまで内部の要人を襲撃から守るためのものであり、本格的な攻城戦を想定したものではない。この世界では、城は敵軍の攻撃を防ぐための施設ではないのである。
 尤もこれは中央世界の話であり、中央世界から離れた辺境の小文明圏においては、城は未だに有力な防衛施設なのだが……

*2 ――――『城はその周辺地方の支配権の象徴』――――
 王冠が王権の象徴だとすれば、城はその周辺地方の支配権の象徴である。
 『城を得る』ということは『その周辺地域の支配権を確保した』ことと同義語、だからこそ軍事的価値こそ喪失したものの、その政治的価値は些かも減じていなかった。
(余談ではあるが、貴族の格も『城持ちか否か』で大きく差が出る。2000戸の城無し領主よりも、1000戸の城持領主の方が『格が高い』のだ)

 故に、城に求められることは軍事的な能力ではなく――
 『見る者を圧倒させる造りであること』
 『周辺地域の中核にあること』
 『行政に適した造りであること』
 ――といった多分に行政的な要求で、防御力など二の次以下の話に過ぎない。
 防御力など、せいぜい『平民の暴動や小規模叛乱を防ぐ程度の防御力で充分』と考えられていたのである。

511 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/26(水) 06:27:39 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 中隊と対峙するロッシェル軍側の事情でした。

512 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 06:55:42 ID:y0kBxNJE0
朝から投下乙です。
いよいよ本格的な地上戦の始まりですね。

513 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/09/26(水) 08:31:45 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。
ついに地上戦の始まりですか。ロッシェル軍は中隊との戦いで色々な事を
教育されそうですなあ。

514 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 15:22:49 ID:PrNDtOqYO
ワイバーンですら異様に強いな
上位種のロードとか陸戦に特化した戦竜なんか出て来たらどうなるんだろ

515 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 17:06:58 ID:rJdHRqOw0
どうなるって言われても多分、帝國上陸部隊はめった打ちにされて
この世界は侮れないという事で質的向上を図るべくしばらく積極的行動を見合わせるのじゃないか?
しばらくと言っても、帝國には時間がないので短い期間になるだろうが。

516 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 17:30:05 ID:MsAR/znU0
そういえば全力火球ブレスなら
戦時標準船の船殻くらい貫けるんだよなぁ

…戦竜の魔力回路の質がワイバーンとそれほど変わらなかったら
帝國戦車といえど旧版のような破竹の快進撃
(実際はしてはいないけどそう予想されていた)は無理じゃないか?

517 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 18:20:34 ID:zz1XGVzE0
作者オリジナルワールドは思い入れの分、補正が掛かるのは仕方有るまい。
国力が絶対的に違うから戦場で負け続けても、後で数でどうにかなると言う事なのだろう。
当面は負け戦を読み続けるしかない。
問題は逆転した状態を読めるのが2〜3年位先かもしれん事だが。

518 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/26(水) 22:01:07 ID:.9jAXcWA0
くろべえさん投下乙です。

軽機の射程外ということは、1km位の距離でしょうか? まだ帝国軍中隊は大し
た損害を出していないと見ました。擲弾筒の射程内まで前進できれば制圧でき
そうですね。それまでが厄介そうですが。

砲兵の支援が受けられたら楽勝なんですけどね。土嚢を積み上げただけの応急
陣地なんぞ簡単に吹き飛ばせるんですが。

519 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/27(木) 02:01:55 ID:55XpGFAo0
くろべえさんお疲れです。
せめて九〇式野砲が僅かでも入っていれば「ラッチュ・バム」として
使えるんですがねぇ(全ての野砲は対戦車砲である)。
後は四一式山砲や九二式歩兵砲くらいですか九二式はともかく四一式は
最大射程が6300mあるので対戦車砲としてワイバーンにも使用できそう
ですが初速が360m/秒しかないのでこの辺りがネックでしょうか。
火力点の突破には砲撃が一番なんですが・・・。

520 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/27(木) 07:27:11 ID:Hd5cQ7n60
>>512
 512様、有難うございます。

>いよいよ本格的な地上戦の始まりですね。
 正規の陸戦部隊ではありませんが、遂に帝國陸軍は中央世界の軍と戦うこととなります。
 今までの様な蛮族狩りの感覚で戦えば、痛い目を見る可能性もありますねえ。

>>513
 ヨークタウン様、有難うございます。

>ロッシェル軍は中隊との戦いで色々な事を教育されそうですなあ。
 教育されても、それを活かす術が無いのが哀しいところです。
 彼等はどう頑張っても戦死か降伏しか無い訳ですから……

>>514〜517
>ワイバーン
 確かに苦戦しましたが、一撃離脱に徹すれば墜とせないまでも墜とされない相手です。 ……たとえ数が劣勢でも。
 後はもう少し無理が利き、一撃離脱に適した機体(せめて三二型、出来れば五二型甲レベル)とまともな無線機があれば、力尽くで押し切れます。

>ワイバーン・ロード
 現状では一撃離脱に徹するだけに止まらず、常に数的優性を確保すれば押し切れる……かな????
 何れにせよ、早期に五二型甲レベルの機体登場が待たれます。

521 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/27(木) 07:28:07 ID:Hd5cQ7n60
>戦竜
 調整を施された“魔戦竜”ならば防護結界の展開とブレス攻撃が可能です。
 ……ただし、その能力はワイバーンよりも大きく劣りますが。
 これは元々持っていない能力を後天的に付与していることに加え、調整がワイバーン・ロードのそれと比べてかなり簡易化されているためです。
 無論、技術力の問題もあります。その最も代表的な例が、『ブレスを極度に圧縮して撃ち出す“ニードル・ブレス”を現在に至るまで実用化できないでいる』ことでしょう。(ワイバーンの“ニードル・ブレス”は“帝國”軍の13o機関砲/機銃にも匹敵する高初速、高発射速度、高貫通力を誇る)

>>518
 518様、有難うございます。
>軽機の射程外ということは、1km位の距離でしょうか? 
 う〜ん、丘の上に『13o級機関砲と37o級歩兵砲を据えた陣地(ただしマトモな照準器無し)』が3箇所ある様なものですからねえ。

>まだ帝国軍中隊は大した損害を出していないと見ました。
 はい、まだ死者も出ておりません。負傷者が数名といったところですか。
(まだ遠くでうろちょろしている段階ですから)

>砲兵の支援が受けられたら楽勝なんですけどね。
 九二式歩兵砲があれば……

>>519
 519様、有難うございます。

>火力点の突破には砲撃が一番なんですが・・・。
 あと恥も外聞も捨てれば海軍航空隊の一撃で終わるのですが、立場上不可能です。
 社会人、特にお役人はツライですなあ……
 ……まあ恥も外聞捨てても、中隊→支隊本部→戦隊司令部→攻撃隊発艦という流れですから、
途中で握り潰されたり時間がかかりすぎて状況が変わっちゃう可能性が大いにある訳ですが。

522 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/27(木) 11:17:17 ID:pNDvPEHg0
>>517
列強との戦闘をしていないからまだわかりませんが
今のところ勝って当たり前の感覚でやっていたら思わぬ大苦戦であって
帝國の負け戦とは言わないような……
(SLGでユニットがやられたら則リセットな自分が言うのもなんですが)

523 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/27(木) 16:28:14 ID:rA.E4kz60
勝って当たり前の感覚

思わぬ大苦戦

対策(体力浪費)

ヤター勝ったアルよー

快進撃

1に戻る


これを体力尽きるまでやるのが日本軍クォリティ

524 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/27(木) 20:43:22 ID:OZKQhbv20
>>523
ただし、今回勝って当たり前の感覚で通らなかった相手はロッシェルという
列強ほどでないまでも個々はそう大きくは変わらない力は持っている集団であり
ロッシェルに対し勝って当たり前まで行ければ列強に対しても優位には運べる、
対して列強は手札が旧版よりさらに少ない、ということかと。

旧版で列強が目指していたワイバーンとロードの分離運用は新版では既に着手されていて
それが手強さを生んでもいるわけですが、それだけに列強はその札を今後切れないわけです。
列強がぶつかるのは、強化ロッシェルで充分な戦訓を得た帝國となる悲劇。
レムリアヤバス。

525 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/27(木) 23:39:24 ID:VtHR586k0
>>524
皇軍クォリティは、大損害を無かった事にして戦訓無視で指揮官出世がデフォ
な上、今はワイバーンをロードと勘違いしている状態、まだまだ油断は出来な
いのでは?

>五二型甲
重くて加速、上昇力が悪いそうですから、ベテランには嫌われそう。
むしろ航続距離を諦め六四型か、ニニ型の12.7ミリオンリーの武装変更型が
好まれそう。

>ニードルブレス
ワイバーンで13ミリ級ですか、レムリアのロードはロッシェルのロードより
出力が大きいでしょうから、もしかして20ミリ級? チハも一撃で破壊で
この世界でも一式陸攻がワンショットライター(トーチ)と呼ばれるか?
ワイバーンの上昇限度も改定版では上がっているから、迎撃可能でしょう。

526 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 07:26:04 ID:Hd5cQ7n60
>重くて加速、上昇力が悪いそうですから
 五二型甲は発動機を栄一二型(940馬力)から栄二一型(1,130馬力)に換装している上、全備重量も2,743kgと二一型と比べて70kg程しか増加していませんので、加速力は(二二型はともかく)二一型より上ではないでしょうか? 上昇力も6,000mまで7分1秒と二一型の7分28秒より向上していますし。
 何より急降下制限速度が340ノットから400ノットに緩和されたことは大きいかと。

>航続距離を諦め
 帝國は広大な領域を支配している上、本国は大洋のど真ん中ですからねえ。
 零戦→紫電改程の性能向上が見込めるのでしたら妥協の余地もあるのですが……(その紫電改ですら当初は烈風制式化までリリーフ扱いだった)

>ニードルブレス
 これの付与魔法を実用化できていない、ということはかなりのウイークポイントです。
 仮に戦竜に付与できれば、かなり厄介なことになっていたのですが……

527 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/28(金) 08:10:44 ID:VtHR586k0
くろべえさん、返信有難うございます。
>五二型甲
13ミリ装備の丙型と混同しまい失礼しました。
唯、甲型は、武装は基本二一型の20ミリの性能向上位しか変わらず、主力が
7.7ミリでは性能向上の改定版ロードには一撃離脱戦法には辛いかも。

>戦竜のブレス
イメージとして、ファイヤーボール=射程、威力、擲弾筒。
拡散ブレス=火炎放射器といった所でしょうか。

528 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 11:59:12 ID:Hd5cQ7n60
>>527
>武装
 対ワイバーン用に一部機体の兵装変更がなされるかもしれませんね。
 特に対ワイバーン用として導入される五二型には。
 ……ただ13ミリの場合、軽量弾使用のホ103になるんですよね。

>>戦竜のブレス
>イメージとして、ファイヤーボール=射程、威力、擲弾筒。
>拡散ブレス=火炎放射器といった所でしょうか。
 威力は開発国の魔法技術レベルや投入コスト、運用思想(攻撃と防護どちらを重視するか等)などによります。
 拡散ブレス=火炎放射器というのは合っていますが、これは歩兵に群がられ薙ぎ払う時に用いる位です。射程も短い上に魔力を無駄に浪費(使う分だけ固めて発射するのではなく、だだ漏れ状態なので効率が悪い)しますから。

529 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 12:00:15 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚

『来るぞ!』

 その言葉に同調を深め、騎竜の目を通して敵陣を“視る”。
 と、700〜800パッシス程も離れた敵の様子が、はっきりと脳内に飛び込んできた。茂みや窪みを巧みに利用しているために、その細部まで伺うことは出来なかったが、今まで微動だにしなかった敵本陣が動こうとしていることだけは間違い。
 それが意味する所は――

「総員、撃ち方準備!」

 先任副連隊長は湧き上がる緊張感を飲み込み、命を下す。
 その次の瞬間、竜の聴覚が敵の号令を捕らえた。

 『中隊前へ!』

 遂に総攻撃が始まったのだ。



 ――なんだ、この攻撃陣形は!?

 縦隊でもなければ横隊でも……いや、散兵ですらない“帝國”軍の攻撃陣形に、先任副連隊長は驚きを隠せなかった。
 “帝國”軍は10名程の小集団に分かれ、各々相互に支援しつつ短い移動を繰り返し、徐々に……だが素早く接近してくる。
 その行動は複雑で、次にどの地点に向かうのか予想を付け難い。加えて伏せたままの状態が長く――何と彼等は地面に伏せた状態のまま移動しているのだ!――露出面積が極度に少ないため、狙いも付け難かった。
 ……こんな攻撃陣形、見たことも聞いたことも無い。
 事前の想定とは全く異なる敵の動きに、先任副連隊長は混乱した。

530 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 12:00:48 ID:Hd5cQ7n60
 ――歩兵とは、横隊で突撃してくるものでは無かったのか!? こんな匪賊染みた無茶苦茶な前進など有り得ない、有って堪るか!

 が、心中で罵声を浴びせつつも、その奥底ではこれが統制された行動であることを理解していた。
 これ程複雑な行動を統制するとは、何たる練度だろう! 匪賊どころか中央世界の精鋭と比較しても何ら――

『何をしているんだ、撃てっ! 陣に取り付かれるぞ!?』

 ペンダントから響く悲鳴の様な叫び声に、呆然としていた先任副連隊長は我に返った。
 ……そして愕然とする。

 ――俺は一体どの位、時間を無駄にした?

 僅か数分足らずのことだったが、その間に撃てたブレスの数を考えれば……そして、この距離ではブレス攻撃以外届かないことを考えれば、それは宝石の如く貴重なものだった。 ……それをみすみす溝に捨てたのだ。

「畜生!」

 先任副連隊長は己の頬を叩いて気合を入れると、失った時間を取り返すべく攻撃を開始した。

531 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 12:01:20 ID:Hd5cQ7n60

 3騎のワイバーンは“帝國”軍に猛射を加えていたが、それ以上に“無駄”が多かった。
 と言うのも、意表を付かれて冷静さを失っている上に未知の攻撃法――当然対応法を知らない――を加えられたため、対応に苦慮していたのだ。

 アルフェイム中央世界の軍事常識に従えば、歩兵による敵正規軍陣地の突破――本来は戦竜の任務だが――は、縦隊なり横隊による攻撃が基本とされている。
 被害を局限するために散兵戦術を採る場合もあるが、これはあくまで空中戦力や砲兵の手厚い援護が受けられる場合……そして何より「兵の質が良い」という前提の上の話だ。
 それ故に彼等は『“帝國”軍は横隊で突撃する』と想定していたのである。
 が、気の利いた陸戦指揮官ならば、もう少し気の利いた対応が出来ただろう。何より敵の銃の性能を考え、横隊突撃と決め付けることはしなかった筈だ。
 ……まあ彼等が本来“空軍士官”であり、陸戦に関しては基本的なことしか知らないことを考えれば、仕方の無いことなのだが。(この状況下で冷静な判断を求める方が酷というものだ)

 とはいえ、陸戦のプロだろうがアマチュアだろうが敵が手加減してくれる筈も無い。碌に損害も与えらずに距離を詰められていく、という現実の前に、彼等の焦燥は増すばかりであった。

 ――畜生、何て火力だ。

 竜の耳元を過ぎる弾を感じとり、先任副連隊長は悪態を吐いた。
 攻撃する“帝國”軍はワイバーンの火力に舌を巻いていたが、それは守るロッシェル軍にしても同様だ。
 “帝國”軍歩兵の火力は凄まじく、10名程の小集団がそれぞれ中隊並……或いはそれ以上の火力を発揮している。こちらの小銃は届かないというのに、恐ろしい唸り声を上げて陣地に襲いかかるのだ。
 土嚢の山がそれを防いでいるものの、その全く異質な音は、陸戦に不慣れな兵共を消耗させるに十分な効果を発揮していた。

532 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 12:02:11 ID:Hd5cQ7n60

 ターン!   ターン!

 恐怖の余り、何人かの兵が折角込めた弾を撃ち出してしまう。その音につられ、大半の兵共が思い思いに射撃を開始する。
 ……この距離で、しかも伏せている相手に命中する筈も無い、全て無駄弾だ。弾も惜しいがそれ以上に再装填に費やす時間が惜しい。

 ターン!   ターン!   ターン!   ターン!

「馬鹿野郎! 無駄弾を撃つな!」

 指揮官達が兵を怒鳴りつけ、止めさせる。

 ダダダッ! ダダダッ! ダーン! ダーン!

 お返し、とばかりに“帝國”軍が銃撃を浴びせかける。
 自分達の銃声よりも遙かに重く、連続した銃声が響き渡った。
 ……なまじ銃撃した分、彼我の銃の性能差を思い知らされ、一層恐怖が増す。
 もとより覚悟を決めたのは教育の行き届いた飛竜軍の竜卒位のもの、中でも主力を占める州兵などとっくに戦意を喪失している。
 それでも逃げ出さないのは、少数といえど竜卒達が骨幹として機能していることに加え、直ぐ後ろに巨大なワイバーンが控えているためであった。

 前門の虎、後門の狼――どの道、彼等に逃げ場など無かったのである。

533 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/28(金) 12:02:42 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了
 今回は短い……

534 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/29(土) 00:11:50 ID:VUdWol1.0
投下乙です。
敵の横隊突撃を前提に防御を考えてたって、それはまずいですね。非常に。

戦竜にニードルブレスを付与できたら対空戦竜ができそうです。
さすがに旋回砲塔は無理だけど。首が360度回転したら嫌だ。

535 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/29(土) 01:26:45 ID:LpbLTHUs0
> ターン!   ターン!   ターン!   ターン!
pgrー( ゚д゚)・∵. ターン タタタタターン

なんか脳内でエンドレス再生のスイッチ入っちゃったよママン

536 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/29(土) 09:13:28 ID:Hd5cQ7n60
>>534
 534様、有難うございます。

>敵の横隊突撃を前提に防御を考えてたって、それはまずいですね。非常に。
 この世界の歩兵は“雑兵”ですからねえ。で、飛竜騎士や竜騎士が主役。
 HP上のロッシェル軍編制表で歩兵戦力が少ないのも、そういう理由です。

>戦竜にニードルブレスを付与できたら対空戦竜ができそうです。
 空中を高速機動する敵機を撃墜するのは難しいでしょうが、
高角で撃てる上に射界も広いので、対地攻撃を邪魔することは十分可能でしょう。(下手に近寄れない……)
 これだけでも地上部隊にとっては有り難いでしょうねえ。

>>535
>なんか脳内でエンドレス再生のスイッチ入っちゃったよママン
 実際ここまで銃声の効果があるか今一つ自身がありませんが、只でさえビクついている所に……というところで。
 あ、ちなみに九九式軽機&小銃です。

537 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/29(土) 16:01:25 ID:PifyknRQ0
投下乙です。
アルフェイムでの浸透戦術のデビュー戦ですね。
擲弾筒の射程に入った時が敵終了のお知らせですね。

538 名前:陸士長:2007/09/29(土) 18:30:03 ID:6i.LdnHM0
投下乙です。
浸透してくる日本兵達。
この世界ではまだ歩兵っつーのは横列組んで突進してくるレベルですか。
確かにそれでは地上に縛られたワイバーンとかでも充分過ぎるほど戦えます。
真っ正面からやってくるのは薙ぎ払えば良いわけですから。
各個に連携した状態でバラバラに地形利用しながらやってくるのは凄く拙いです本当に。

民兵が哀れですね。逃げようとすれば味方に撃たれてそのまま居ても擲弾筒で吹っ飛ばされる。
よし、こうなったら自軍の正規兵撃ち殺して投降(PAM!

539 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/29(土) 18:56:54 ID:WNyxOP1I0
くろべえさん投下乙です。
帝國は策と砲なし、ロッシェルは玉も弾もなし。さっくりとは終わらないっす。
砲火力で歩兵砲がなけりゃあとはブレスの射程に入ってしまう擲弾筒しかない
のが痛い。この空白を帝國はどう埋めるのやら。迫撃砲は歩兵砲扱い・・・かな?
一方、ロッシェル側は衝撃の事実を本土に伝えられないのが後に響く希ガス。

540 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/30(日) 08:52:42 ID:Hd5cQ7n60
>>537
 537様、有難うございます。

>アルフェイムでの浸透戦術のデビュー戦ですね。
 人類が総力戦を経て編み出した近代歩兵戦術のお目見えです。
 まあ本来必須である筈の“手厚い火力支援”とか“十分な準備射撃”とか「
なにそれ美味しいの?」ってくらい差っ引かれてはいますがそこはそれ、練度
と小銃の能力補正、そして精神力でカバーです。

>>538
 陸士長様、有難うございます。

>この世界ではまだ歩兵っつーのは横列組んで突進してくるレベルですか。
 現実世界でも先進国ですらWWTの後半まで横隊突撃が主流でしたし、仕方が
無いかと。
 あと、アルフェイムの歩兵は戦竜の補助みたいなものですからねえ……
 要は補助戦力、雑兵ですよ。将校下士官は貴族士族ですが、主力の兵は平民
ですし。(ちなみに竜騎士は全員下士官以上で、当然身分も士族以上)
 基本は戦竜集団が敵陣を突破した後の“後始末”、陣地に篭っての防衛戦で
す。
 後は警備とか色々な雑用ですか。
 ……とはいえ何時も戦竜に頼れる筈もなく、中脅威度以下の戦闘には単独(砲
兵とかは付くけど)投入される場合が多いです。

>民兵が哀れですね
 彼等州兵は王軍歩兵と同じ平民出身でありながら、足軽と小者位の身分・待
遇差があります。
 ……つまり正式な戦闘員ですらないのですよ。
 ですから武器も普段は槍や剣、非常時でも使い古しの火縄銃を貸与される程
度です。

541 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/09/30(日) 08:53:47 ID:Hd5cQ7n60
>>539
 539様、有難うございます。

>帝國は策と砲なし、ロッシェルは玉も弾もなし。さっくりとは終わらないっす
 客観的に見れば同レベルなんですよね、コレが。
 機関砲と歩兵砲装備した複数の陣地に(軽機と擲弾筒が精々の)中隊単独で突
撃かよ……ガダルカナルじゃあるまいし。

>一方、ロッシェル側は衝撃の事実を本土に伝えられないのが後に響く希ガス。
 ロッシェル軍は伝えたくても「伝えられない」。
 帝國軍は伝えられても「なかったことにする」。(可能性高し)
 なんて素晴しきライバル同士哉。

542 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 09:05:18 ID:5wHaWlEk0
投下乙であります。

ところで俺の陸軍を見てくれ。
こいつをどう思う?
すごく・・・浸透です・・・。

が脳内再生。

543 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 09:21:29 ID:.EexvLMw0
ところで、稲葉とおにゃの虎は?

544 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 12:25:30 ID:55XpGFAo0
くろべえさんお疲れ様です。
浸透戦術は人類の近/現代戦がもたらした成果ですからね。

>民兵
召集兵だろうと正規兵だろうと兵士全員に制服と装備を調達できる軍隊
というだけで帝國は十分な脅威としてロッシェル兵には映るでしょうね。
おまけに戦術レベルであれ錬度が高いと見ればなおさら・・・。

545 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 17:01:25 ID:55XpGFAo0
国民軍が成立した20世紀はそれまでの人類史上の戦争による死者を
遥かに上回るほどの戦死/戦病者を生んだとも一説にはあります。
国王や領主による督戦や脅迫などが無い軍隊というのはある意味で
アルフェイムの列強も含めた諸国には未知との遭遇になるのでしょうね。

546 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 20:18:17 ID:PrNDtOqYO
直接的な原因は人口と火器の性能が劇的に上がったからだろ>戦死者の増加

547 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/09/30(日) 20:56:44 ID:BboPw9wA0
>>546
火器の威力増大と人口増加があっても、
国王と傭兵の軍ではあんな大量動員は不可能だ罠。

548 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/01(月) 18:19:12 ID:BSbuSQCQ0
帝国とまともにたたかった地域は、根こそぎ動員・戦死で男女比が大幅に狂うって
某スカイガールズみたいな状態になりそうですな

549 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/01(月) 22:26:11 ID:Hd5cQ7n60
>>542
 542様、有難うございます。

 未知の戦術というのは効果が大きいですからねえ。
 敵が対応を整えるまでの当面、絶大な効果を発揮できますよ。
 ……ただしそれで味を占め、固執するとトンデモナイことに。

>>543
>ところで、稲葉とおにゃの虎は?
 あ〜、1章が終わったら近い内に……

>>544
 544様、有難うございます。

>召集兵だろうと正規兵だろうと兵士全員に制服と装備を調達できる軍隊
>というだけで帝國は十分な脅威としてロッシェル兵には映るでしょうね。
 ロッシェルも背伸びした軍備でかなりいっぱいいっぱいですからねえ。
 ……いや正直、他国からの支援がなければとてもじゃないけど維持できませんよ。
 ですから兵の装備なんて酷いもので、まったく進歩していません。
 銃にしたってフリントロック式のマスケットを装備しているのは歩兵のみで、それ
以外は大昔からの使い古しの火縄銃……
 ま、この辺の事情はどこもおなじですが。(歩兵にカネかけても無意味)

>>545〜548
 この世界では、総力戦なんて存在しませんからねえ……
 「国民を根こそぎ動員」なんて考えられませんよ。

550 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 01:19:00 ID:55XpGFAo0
>総力戦
ナチスドイツのバルバロッサ作戦では動員兵力300万ですしねぇ。
大戦末期に行われた1944年12月のラインの守り作戦ですら最後の大攻勢
という事で動員兵力は20万に達していますし(兵士の質はともかく)。

騎士やら傭兵やらの職業軍人のみが戦場に出るという感覚の世界からする
と国民軍はかなり異様な軍事体制に見えると思います。

551 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 10:16:44 ID:OFhZwItk0
ローマ人の物語読んでて思ったけど、くろべえ氏の世界の列強、
というかレムリアは古代ローマを連想させるなぁ。
街道とか。

552 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 10:17:21 ID:OFhZwItk0
国家の制度とかは全く違うけど。

553 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 11:24:06 ID:zz1XGVzE0
確かに旧版ではレムリアには立派な道路があったな。
しかし、レムリアの制度などを見るとあれはレムリアが造った物ではない気がする。
立案、予算、敷設、維持管理どれをとってもレムリアの制度的に難しい。
それにインフラ整備の概念が育っているような印象も見受けられない。
ひょっとしたら、所謂古代の大帝国が造った物をそのまま使用してるだけかも知れない。
膨大な金と時間の掛かる維持管理等はおそらくしていないのではないか?

554 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:52:56 ID:Hd5cQ7n60
>>550
>騎士やら傭兵やらの職業軍人のみが戦場に出るという感覚の世界からする
>と国民軍はかなり異様な軍事体制に見えると思います。
 戦争は貴族様や騎士様の役目、平民で戦争に行くのは彼等の奉公人か食い詰めた連中、はたまた余程の物好き位のものですかねえ……あ、あと“大馬鹿者”か。

>>551〜553
>レムリア
 コイツ1国でローマか古代統一中国か、並の人口です。国力はもっとでしょうねえ……
 あと幹線道路は竜が頻繁に通るから、道は広く強度のあるものでないと駄目なんですよ。
 竜はデカイ上に大重量物を牽引してますから。

555 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:53:58 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚

――――“帝國”軍、一木支隊先遣隊。

 ズンッ!

 やや離れた所で、擲弾筒とは比較にならぬ程の大爆発が起こった。
 その衝撃で大量の土埃が舞い上がり、窪地に伏せていた中隊長の上にまで降り注ぐ。

「畜生、何て火力だ……」

 口の中に入った土砂を吐き出し、中隊長は呻いた。

 ……こいつ等が蛮族だと?
 馬鹿も休み休み言え、何処の世界にこれだけの大火力を発揮できる蛮族がいると言うのだ!?
 しかもこいつら中々勇敢だ、支那兵などより余程――

 が、その思考は伝令の悲痛な声によって中断された。

「第二小隊長殿が戦死されました! 現在、岩屋軍曹殿が第二小隊の指揮を代行しております!」

 ああ、第二小隊長は中々勇敢なヤツだった、恐らく今回も真っ先に先頭に立ったのだろう。まあ“それ”が小隊長の仕事なのだが。
 彼の死は遺憾だが、今後の指揮に関しては問題は無い。古参下士官が指揮した方が余程信頼出来る。
 ……そう言えば第二小隊長は中々人望もあった様だから、かえって弔い合戦として士気向上が期待出来るな、不幸中の幸いだ。

556 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:54:48 ID:Hd5cQ7n60
 中隊長の口元が歪んだ。

「第二小隊に命令! 断固弔い合戦をとれ!」

「は! 第二小隊、断固弔い合戦をとります!」

 伝令は復唱し、再び第二小隊へと帰って行った。



 ――しかし、拙いな……

 伝令を横目に、中隊長は改めて現状を整理した。

 ワイバーンのブレスは、ざっと見たところでも13o機関砲と37o……いや57o戦車砲並の威力と能力を兼ね備えており、それぞれ使い分けて攻撃してくる。
 ……これだけでも厄介極まりない相手だというのに、今回それが3匹である、その突撃破砕射撃は想像を絶するものがあった。
 しかも距離が縮まるにつれ、時がたつにつれ、射撃は効率的になってくる。
 早い話が敵の弾幕により、中隊は少なからぬ出血を強いられていたのである。

 ――畜生、このままでは俺は“無能者”の烙印を押されてしまう!

 遅々として進まぬ前進に、中隊長は唇を噛み締める。
 このまま足止めが続けば先遣隊の攻撃は失敗と判断され、支隊本部自ら指揮を採ることになるだろう。
 ……そうなれば、面目丸潰れだ。

557 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:56:04 ID:Hd5cQ7n60
 加えて、今までに受けた被害も少なく無い。
 既に死傷者は10名を越えており、直に20名の大台に達するだろう。(無論、それで終わりではない)
 僅か1回の戦闘で受ける損失としては、とてもでは無いが許容出来ない数字だった。
 ……特に政治的には。

 上は、“蛮族”如きに大損害を被ったばかりか掃討に失敗した自分の指揮能力を疑うことだろう、『出世は絶望的』どころか『辺境に左遷』されかねない。

 ――辺境だって!?

 己の想像に、中隊長は背筋を凍らせた。

 辺境。
 まるで1000年以上も昔の農村風景、無知蒙昧な原住民共……いや、それすらも貴重な存在であり、大半は見渡す限りの原生林、見たことも無い奇妙な生物が蠢く“蛮地”。
 そんな場所で、自らもまた武器以外の文明――その大半から遠ざかり、原住民と同様の生活を送らねばならぬのだ。考えただけでも気が狂いそうな話だった。
 ……しかも、一度飛ばされば何時帰ることが出来るか判らない。

 ――止むを得ん…… 出世は諦めるにしても、せめて左遷だけは防がねば。

 毒喰らわば皿まで、中隊長は再度腹を括った。

「……このままでも敵を掃討出来るのでは? 無理に危険を犯すことは無いかと思われますが?」

558 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:57:09 ID:Hd5cQ7n60
 中隊長の意図を見透かしたダークエルフが、不思議そうに尋ねた。

 ――やかましい!

 ……本来ならば怒鳴り飛ばしたいところだったが、“帝國”軍が――いや“帝國”そのものがダークエルフに対して極度の優遇を行っていることを考えれば、迂闊な真似はできない、と中隊長は理性を総動員して自制する。

「……ああ、勝てるだろうさ。が、問題は勝ち方だ。これは“勝って当然”の戦なのだよ」

 中隊長は吐き捨てた。

 確かに敵の射撃は凄まじいが、それ以上に無駄弾が多い(でなければとっくにこちらが撃退されている)。直に掃討できるだろう。
 ……が、被るであろう損害を考慮すれば、“得点”どころか“マイナス”だ。
 それ故、中隊長は“対処療法”による“長期の出血”よりも、思い切った“外科的措置”による“一時的な大出血”を選択したのである。

「では?」

「現在、敵との距離は700m。これを一気に600m……いや650mまで詰めて擲弾筒の一斉射撃、その後前進を再開する」

「……この弾幕の中、兵を50mも駆けさせると? 何の支援も無しに?」

 ダークエルフは信じられない、とでも言うかの様に首を振った。
 ちなみに現在までに前進できた距離は300mである。加えて当初は一回の躍進で20m以上前進できたのだが、直ぐにそれが10m前後となり、現在では5mを切っている。

559 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 11:57:16 ID:xsS49mlo0
前線には支援砲撃が必要です
支援支援

560 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:57:50 ID:Hd5cQ7n60
 ……それを考えれば、どれ程危険な行為かが判るだろう。

 が、中隊長は本気だった。

「ああ、兵の荷も最小限だし10秒もかからん、敵もこの距離から駆け出すとは思わんだろうから、このままチンタラ進むより遙かにマシだ
 ……無論、君にまで駆けろと言わん、安心しろ」

「……それは重畳」

 ダークエルフの皮肉に中隊長は軽く鼻を鳴らすと、軍刀を振り上げながらまるで彼に言い聞かせるかの様に叫んだ。

「皇軍の力、見せてやる! 総員――!?」

 中隊長は続く言葉を飲み込んだ。
 まるで彼の意気込みを嘲笑うかの様に、突然全ての攻撃が止んだのだ。
 余りの異様さに、一瞬躊躇する。

「……罠か? それとも――」

「3騎が同時に“息切れ”する可能性は、限りなく低いです」

 中隊長の呟きに、『確率的に有り得ない』とダークエルフが助言する。

「では、降伏か?」

「降伏ならば、攻撃停止と同時に白旗が掲げられる筈です」

561 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:58:56 ID:Hd5cQ7n60
 この世界でも、やはり降伏の場合は白旗が掲げられる。(まあ文化的類似性云々よりも、『白い布切れならば必ず持っているだろうから』といった理由からであろう)
 が、攻撃停止と同時に白旗を掲げて初めて降伏の意思表示となるのであって、攻撃停止だけでは降伏と見做されない。

「となると、罠?」

「……或いは消耗を抑えるために『無駄弾を控えた』ともとれますが、少々厳しいですね」

 ……早い話が、彼にもよく判らない、ということだ。
 このダークエルフが初めて見せる表情に若干機嫌を良くした中隊長は、意地悪く哂った。

「はっ! 罠だろうが何だろうが作戦の変更は無い!」

 そう言うが早いか、予定よりも1分程遅れた号令を発した。

「総員続け!」



 結果として、“帝國”軍は無事擲弾筒の射程圏内に到達した。
 ……無事に、である
 前進する間、敵の攻撃は全く無かった。 ……時折、ロッシェル兵が土嚢を越えようとした位――無論その場で射殺された――だろうか?
 拍子抜けする程あっさりと前進に成功した“帝國”軍は、だが些かの手抜きもせず、布陣と同時に擲弾を敵陣地へと叩き込む。

「撃て!」

562 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 11:59:48 ID:Hd5cQ7n60
 ドン! ドン! ドン!

 各分隊長の号令の下、擲弾筒が一斉に火を吹いた。
 放たれた擲弾はゆっくりと目視できる程度の速度で山形に飛んでいき、その大半が目標に到達する。(射程ギリギリの距離……それも駆けた直後という悪条件の中、神技とも言える技量である!)
 見えなくなった次の瞬間、連続した大炸裂音が響き渡った。
 威力は兎も角、その発射音と爆発音は敵に負けていない、実に盛大なものだ。

 初めて一矢報いることができたことに喜び “帝國”兵達が歓声を上げる。
 ……が、喜びに浸る間はない。各筒3発、計27発もの擲弾を叩き込むと、再び前進が始まる。
 20〜30m前進すると停止・射撃(小銃及び軽機による単射もしくは点射)、再び前進――この繰り返しだ。
 が、以前とは異なり敵の抵抗は全く無く、警戒こそ緩めないもののまるで演習の様な容易さだった。
 このため、中隊はたちまち敵陣30mの距離にまで到達した。

「突撃!」

 中隊長の号令を聞き、兵達は手榴弾を投擲、その後突貫する。
 そして陣地前に到達すると、次々と土嚢を乗り越えていった。
 ……が次の瞬間に、彼等は己の目を疑った。

 彼等がそこで見たものは、原型を留めぬ無残な死体の山と血の池、そして“何か”を一心に貪り喰らう1頭のワイバーンの姿だった。

563 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/02(火) 12:00:18 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 支援感謝であります。

564 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 12:19:56 ID:oVuuhHNoO
リアルタイムで投下乙です。

俺の想像通りなら、凄まじい地獄が現出したみたいですね……
ワイバーンは人食べるんか(ガクブル
なんかワイバーンは竜種としては従順と設定されてたから
ワイバーンは肉を食わないなんて勝手に思ってたのでなんかショックでした

565 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 19:43:21 ID:pNDvPEHg0
魔法薬かなんかの副作用?それとも精神汚染?ともあれとっくに
戦意を喪失してた州兵カワイソス

566 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 19:48:31 ID:8RNT3GbA0
共食いの可能性はないのか。兵の皆さんはこっそり撤退したとか


可能性は少ないな

567 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 20:34:17 ID:I55YCqNI0
酷使しすぎて性格が変わった?
「オレサマ、オマエ、マルカジリ」

568 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 20:39:54 ID:Yem7XiV20
死んでても中隊、たいした影響はないかな。乃木将軍見のように師団単位で突撃から大打撃うけないと。
凄いミニマムな話しが続いてストーリー上は進展がないところが昔の1年もののTVアニメみたいかな、懐かしい。

569 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/02(火) 21:40:23 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏投下お疲れ様です。

敵陣の中で何かを貪り食うワイバーン・・・・・かなり怖いですね。
ワイバーンが発狂したのでしょうか?

570 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 23:14:55 ID:QrdDQFbI0
もしかしたら竜騎士が発狂したのかも・・・

571 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/02(火) 23:26:16 ID:55XpGFAo0
普通に考えたら>>570さんの言うとおりワイバーンとリンクしている
竜騎士が発狂したかあるいはワイバーンが恐慌状態に陥ってその負
の感情が逆流し、竜騎士が発狂それがワイバーンに移ったと考えられる
やもしれません。

572 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/03(水) 00:25:27 ID:1.2ftlHc0
>>571
ネガティブフィードバックループにハマった、ですか。
ワイバーンか竜騎士が負傷というのは普通にありそうだからなあ。
リミッタ無しでワイバーンとリンクって、欠陥システムかも。

573 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/03(水) 01:49:45 ID:ww63FTG.0
くろべえ氏投下乙です。
従順とは言えワイバーンも肉食獣、未知の軽機と擲弾筒の音と衝撃でパニック
暴走も有り得ますね。
でも、実際は精神汚染、暴走、捕食と聞いて、S2機関発生、無限駆動のワイバ
ーン誕生と思ったのは自分だけで無い筈。

574 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/03(水) 03:16:42 ID:dDKWsT0E0
くろべえさん、投下乙です。

57mm砲級の威力のブレス?!チハ並ですか。
貫徹力が無くとも、襲撃機として考えると高性能ですねえ。

ワイバーンの暴走か…。あのヒステリー気味の連隊長が発狂したかな?

575 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/03(水) 07:32:14 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、くろべえです。
 今回は「狂ったワイバーン登場!」でした。

>>564
>ワイバーンは人食べるんか(ガクブル
 ワイバーンはどちらかと言えば草食よりの雑食で、肉は殆ど食べません。
(飼料としては、牧草に雑穀類を混ぜて与えられています)
 食べるとすれば滋養強壮用に屑肉を飼料に混ぜた場合くらいで、この様に「
それと判る状態のものを喰らう」など有り得ません。 ……マトモな状態なら
ば。
 はてさて、「狂ったから喰った」のか、それとも「喰ったから狂った」のか
……

>>565
>戦意を喪失してた州兵カワイソス
 SS中に出てきた「土嚢を越えようとしたロッシェル兵」達って、実は逃げ出
してきたんですねえ……

>>566
>兵の皆さんはこっそり撤退したとか
 逃げようとして、帝國軍に狙撃されました。
 前門の虎、後門の狼です。

>>567
>酷使しすぎて性格が変わった?
 この一族、数百年以上も戦奴として酷使されてますからねえ。

>>568
>凄いミニマムな話しが続いてストーリー上は進展がないところが昔の1年もの
>のTVアニメみたいかな、懐かしい。
 ストーリーの進展はアレですが、この世界のことを解説(特にワイバーン関連
)するには必須と思い挿入しました。

576 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/03(水) 07:32:45 ID:Hd5cQ7n60
>>569
 ヨークタウン様、有難うございます。

>ワイバーンが発狂したのでしょうか?
 はい。乗り手と竜、両者の負の感情が連鎖し、遂にここに至りました。
 幾つもの不幸が重なった珍しい……ですが大昔から指摘されていた「起こり
得る事態」です。
 当然、これが最初の例、という訳でもありません。

>>570〜572
 「マイクとスピーカーを繋いだ時に、キーンという凄い音がする」様な感じ
の相互作用状態でしょうかねえ……
 まあ連隊長がイイ感じに壊れていたことが一番の原因でしょうが。

>>573
 573様、有難うございます。

>未知の軽機と擲弾筒の音と衝撃でパニック
>暴走も有り得ますね。
 加えて昨夜の大規模艦砲射撃による精神的打撃と傷の痛み、慣れぬ地上戦そ
のものによるストレス(本来空の生き物ですから)……トドメに壊れた乗り手か
らの精神汚染ですからねえ。

577 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/03(水) 07:33:16 ID:Hd5cQ7n60
>>574
 名無し三等兵様、有難うございます。

>57mm砲級の威力のブレス?!チハ並ですか。
 37mm砲級ですが、余りの速射性にそう勘違いされました。
 以下の感じかな?

 モード0 未入力モードのため威力は不安定。地上で近接した敵を薙ぎ払う。
 モード1 13o機関砲(弾頭重量 50g 1000m/s 1000rpm)レベル。徹甲弾タイプ。
 モード2 37o機関砲(弾頭重量700g 400m/s 60rpm)レベル。炸裂弾タイプ。
 モード3 15榴(弾頭重量40s 500m/s)レベル。最大攻撃モード。

*モード3攻撃に関する留意事項。
 モード3攻撃は一出撃で最大二回発射可能だが、その後一切のブレス攻撃が
出来なくなるため、一出撃一回を強く推奨する。また過消耗を防ぐ見地から、
毎出撃の使用を固く禁じる。
 発射直前(チャージが長く、その間空中静止状態となる)、発射直後(数秒の硬
化とその後の魔法出力の一時低下)に無防備となるため、必ず航空優勢下で使用
する。

 あ、あと「1000rpm」といっても本当に「1分間に1000発撃てる」訳では無い
ので……

578 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/04(木) 02:50:33 ID:dDKWsT0E0
よく考えたら、擲弾筒の一斉攻撃前に敵側が沈黙(暴走?)したわけですから、直接的には軽機と小銃の攻撃で敵陣が崩壊したわけですよね。
どのような戦訓を帝國陸軍は学び取ったのかな?

…音響兵器(高/低周波)とか出そうだよなあ(以前も音響ネタの話題あったような)。

579 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 03:54:17 ID:55XpGFAo0
音響兵器って状況によっては味方にも被害が出るのでは・・・・。

580 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 07:11:00 ID:oVuuhHNoO
>>578
『てつはう』の帝國版ですな?

581 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:03:21 ID:Hd5cQ7n60
>>578
 いえ、音だけで発狂した訳ではありません。
 様々な要素が絡み合った結果です。

582 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:03:52 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚

 栄えある飛竜連隊が地に這い蹲り、泥に塗れて戦っている。
 竜も騎士も……何もかも失い、惨めな姿を晒して戦っている。
 我が連隊が、全滅しようとしている。

 ――何故、こうなってしまったのだろう?

 “帝國”軍が前進する少し前、クロケット大佐はぼんやりとそんなことを考えていた。

 己が連隊同様、クロケット大佐は全てを失った。
 ……独断で連隊を動かし、失った罪故に。

 緊急通信で連隊の壊滅を知った騎士団長は冷やかな目で彼を見、その島で死ね、と吐き捨てた。
 そして傍に控えていた次席副連隊長に先任副連隊長と共同で指揮を採る様に命じ、連隊長職を解任したのである。
 それから直ぐに“帝國”軍が上陸した為、正式な命令こそなかったものの、事実上彼は連隊の指揮権を失っていたのだ。
 ……恐らく、飛竜軍大佐の位階すらも。

 クロケット大佐の運命は既に決している。“死”のみだ。
 仮にここで生き残っても、死を命じられることは間違いない。
 それ故、彼も“覚悟”を決めている。より多くの汚名を受けるならば、潔く戦死した方が遙かにマシだったからだ。
 が、死んでも汚名は残る。特に先祖の因果が子孫に報いる世の中だ、彼の家族はその“報い”を一身に受けることだろう。

583 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:04:24 ID:Hd5cQ7n60
「くっ!」

 家族達の未来を考えると胸が疼く。

 貴重な魔法士族である故に取り潰しは免れようが、家禄は大幅に削減されること間違い無い。子供達はまだ学生の身、恩給も望めぬとなれば、その暮らしは厳しいものとなるだろう。
 子供達が長じても同様だ、官職に就いても出世は望めず(特にクロケット家の家職とも言える飛竜騎士職は絶望的だ)、まともな結婚も出来な――そんな待遇が、孫か曾孫の代まで続くのだ。
 そして彼の失態を世間が忘れても、家禄は減ったままだ。彼の子孫達は罵るだろう、『全て愚かな先祖のせいだ』と!

 ――何故、こうなってしまったのだろう?

 何度自問しても判らない。
 自分は何も間違えていない筈だ、誰がやっても同じことだろう。
 ……なのに何故、自分が? 自分だけが?

(――――!)

 クロケット大佐の頭の中には、先程から騎竜の悲鳴が響き渡っている。
 昨夜の大規模艦砲射撃による精神的打撃と傷の痛み、慣れぬ地上戦そのものによるストレス――本来ワイバーンは空の生き物だ――により、騎竜は精神的にも肉体的にも疲弊しきっていた。その負の感情が防波堤たる“魔術の網”を通り抜け、一部とはいえクロケット大佐の精神へと逆流していたのだ。

584 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:04:58 ID:Hd5cQ7n60
(――――!)

 ――ああ、傷が痛む。痛い痛い。

 クロケット大佐は怪我もしていない体を抑え、丸くなる。
 その痛みに丸くなる。

 負の感情は、クロケット大佐の精神に少しずつ蓄積されていく。
 自我を強く持てば追い出せただろう、精神同調を切れば防げた筈だ。
 が、彼は呆然とただただ流入に任せたのだった。
 ……そして溜まった負の感情が、遂に彼の怒りに火をつける。

(――――!)

 ――何故、俺がこんな目に遭わなければいけない?

(――――!)

 ――俺は何も間違えていない、誰がやっても同じことをする筈だ。

(――――!)

 ――なのに何故、俺だけがこんな目に遭う!?

(――――!)

 ――畜生! どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって!

585 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:05:28 ID:Hd5cQ7n60
 クロケット大佐の怒りはワイバーンにフィードバックされ、より強い負の感情の流入を招く。それが更なる怒りを誘発し、ワイバーンにフィードバックされ、より強い負の感情の流入を招く――
 負の連鎖が始まったのだ。騎士と騎竜、両者の負の感情は増幅され、幾何学的に高められていく。
 やがて“魔術の網”は薄れ、両者の精神は少しずつ交じり合い始めた。
 これは幾つもの不幸が重なった珍しい……だが大昔から指摘されている“起こり得る事態”だった。
 ……それも“最悪の”。



「大佐、何をやっているのですか! 攻撃して下さいっ!」

 突然、包帯を頭に巻いた部下が叱責じみた口調で声を上げた。
 ……この騎竜の本来の主であり、クロケット大佐の“お目付け役”として付けられた騎士だ。

「早くしろ!」

 一向に動かないクロケット大佐に業を煮やし、遂には表向きの言葉すらもかなぐり捨てる。

 彼ならば気付いても良かった筈だ。愛竜の様子を、クロケット大佐の様子を。
 が、やはり慣れぬ地上戦――ましてや最悪の状況下だ――で動転していたのだろう、彼は気付かなかった。
 ……その言葉が、“駱駝の背を折る一本の藁”となったことすらも。

586 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:05:59 ID:Hd5cQ7n60
『早くしろ!』

 中尉風情のその言葉は、クロケット大佐を甚く刺激した。

 “帝國”軍も憎いが部下共はそれ以上に憎い。
 自分を侮蔑し、無視し、遂には罵声までも浴びせるこいつ等が。

 ――若造がっ!

 クロケット大佐は吼えた。
 こいつ等は敵だっ!

『――――!』

 それと同時に騎竜も吼え、怒鳴りつけた部下を前肢で殴りつけた。

 べチャリ

 部下は頭を南瓜の様に叩き割られ、絶命した。
 ……周囲の雑兵共は驚きの余り、声も出ない。
 その雑兵共を尾で薙ぎ倒し、次いで何事かと振り向いた副連隊長達をブレスで騎竜ごと射殺する。

「は……ハハハハハ……」

『――――!』

 最も憎い奴等を殺すと、クロケット大佐は竜と共に顔を歪めて哂った。
 ……ああ、なんて気持ちが良いのだ。悩みなどどうでも良くなっていく。
 そして怯え後ずさる兵共を見て、一層顔を歪めた。

『――――!』

 ――さあ、お前達も俺を喜ばせてくれ。

 殺戮が始まった。

587 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/04(木) 12:06:29 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 まあ、そんな訳です。

588 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 14:26:59 ID:pNDvPEHg0
投下乙。この世界戦争神経症の概念はありそうだ

589 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 14:35:58 ID:MYIpRGpI0
投下乙です。

こえぇぇぇ。これではワイバーンを地上戦で使うのは余り頂けませんね。

590 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 14:52:11 ID:oVuuhHNoO
投下乙です

最初は思い切りの良い勇猛な指揮官だったのに……
あまりに常識外れな出来事ばかりで、しかも自分の立場がなくなってゆくなど、
連隊長もかなり精神的にキツかったみたいですね……
副連隊長も含めてもう少し周りが察してあげれば起こらなかったかもしれませんね

591 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/04(木) 14:59:30 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。

うわあ、ついにクロケット大佐が逝ってしまった。
様々な負の出来事が重なり合うとは、大佐が可哀相で仕方ないような気がしますね。

592 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 22:29:22 ID:1.2ftlHc0
投下乙です。確かに誰が指揮官でも結果は同じだったかも。
主力を後方に置いて、初期はひたすら情報収集に徹するのが正解なのかもしれんけど、
この世界の常識的にはありえないですね。

593 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 23:20:00 ID:X9DoCVGA0
くろべえさん投下乙。
竜騎士もですが無理矢理引っ張られ砲火地獄にさらされた挙句、竜の餌
にされた州兵が哀れ過ぎ・・・、って日本兵も餌にされそうな悪寒。

>ワイバーンのブレス
モード2の徹甲弾版なんかできたらモード1点射で照準した後に撃つことで
高精度な砲撃が可能になり、「チハたんばんじゃーい したらフルボッコにされますた。」
も夢ではない?・・・なんか対戦車ヘリみたいな運用方法になっちゃうけど。

594 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/04(木) 23:30:23 ID:bMnlI5ig0
戦争神経症と聞くと緑色のクマを思い出しますな

595 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 01:00:41 ID:XLqNmJ020
くろべえさん投下乙です。
ブレス
これって、ワイバーンですよね、ワイバーンロードなら、2割り増しといった
ところでしょうか?モード1でも上面装甲がボロボロになりそう。
戦竜にはニードルが実用化されずいて帝國には本当に良かった所です。
歩兵の友、九五式軽戦車か、九七式軽装甲車が中隊に付き1両が最低限付くよ
うにと戦訓報告が出来れば良いが。ダークエルフの眼を気にして真面目に戦訓
調査を行うか、皇軍の伝統で突っぱねるかで栄光フラグか、自滅フラグか分岐
点のレスト島攻略の気がします。

クロケット大佐
宮仕えの悲しさですか、もう少し中世風で中央集権が弱ければ、あくまでも、
自分の領地で失敗しても、家禄を勝手に減らされずプレッシャーも少なかった
でしょうが。
最もそうなると連隊長では無く、部下が私兵で破産かも知れないが。

精神同調
パーンの竜騎士一歩手前の深さ、運用初期はどれ程の悲劇が在ったことか。
魔法の発達に加速が付いたのも納得です。

596 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:03:37 ID:Hd5cQ7n60
>>588
 588様、有難うございます。

>>戦争神経症
 この世界、WWTの様な大規模かつ長期的な砲撃戦こそ未経験ですが、高性能爆薬(魔力弾)が存在しますからねえ。
 世間的には認知されずとも、軍人の間では知られている病症かも。

>>589
 589様、有難うございます。

>こえぇぇぇ。これではワイバーンを地上戦で使うのは余り頂けませんね。
 まあSS中の例は極端ですが、ワイバーンの地上運用は危険を伴います。
 ですから捨石覚悟でないととてもとても……
 で、貴重な飛竜騎士とワイバーンを捨石に、なんて状況はまずありません。
 あるとすれば余程の場合でしょう。

>>590
 590様、有難うございます。

>連隊長もかなり精神的にキツかったみたいですね……
 “帝國”軍と違い、封建感覚ですからねえ……自分一人だけじゃなくて家の問題でもあるのですよ。
 先祖の功績を台無しにし、子孫にツケ(特に被害を受けるのは子供達や孫世代です)を残す。ツライですなあ。

>>副連隊長も含めてもう少し周りが察してあげれば起こらなかったかもしれませんね
 連隊長は無能ではありませんでしたが非常な独断専行タイプであり、部下を威圧するタイプでしたからねえ。
 上手くいっていればいいのですが、一度落ち目になると…… まあ止むを得ないのかなあ?

597 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:04:07 ID:Hd5cQ7n60
>>591
 ヨークタウン様、有難うございます。

>逝ってしまった。
 もはやアッチの世界の住人です。
 仮に生き残っても、ケモノ同然でしょう。

>>592
 592様、有難うございます。

>この世界の常識的にはありえないですね。
 ある程度の偵察は行いますが、基本的に見敵必殺です、似た者同士なのです。

>>593
 593様、有難うございます。

>州兵が哀れ過ぎ・・・
 大半は税を納められなかった現地の貧民ですからねえ、それも真面目な。
 尚更哀れですよ。

>なんか対戦車ヘリみたいな運用方法になっちゃうけど。
 本来、ワイバーンは襲撃機ですからねえ。戦車狩りはある意味うってつけ?
 で、固定翼機と回転翼機の機動性を併せ持っているから、へりに近い運用法も可能。
 ……対戦車ヘリみたいな運用されたら適わんなあ。

>>594
>戦争神経症と聞くと緑色のクマを思い出しますな
 アレ、怖いですよね……

598 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:04:39 ID:Hd5cQ7n60
>>595
 595様、有難うございます。

>これって、ワイバーンですよね、ワイバーンロードなら、2割り増しといったところでしょうか?
 軍は、ワイバーンの対地攻撃力に不満を持っていませんからねえ。モード2は同レベルでしょう。
 ただ対ワイバーン・ロードを考慮するならば、モード1はもう少し火力が欲しいですねえ。

>戦竜にはニードルが実用化されずいて帝國には本当に良かった所です。
 ワイバーンはオーバーテクノロジーですから、全てをコピーできる訳ではないのですよ。
 再現できるのは、ホンの一部です。

>クロケット大佐
>自分の領地
 魔法士族は領地は下賜されないのですよ。
 彼等は『国王直属の魔法使い集団』ですから。

>精神同調
>運用初期はどれ程の悲劇が在ったことか。
 かつてエルフから渡されたワイバーンの原種には、制御機構が組み込まれていませんでした。
 ……これではその能力を碌に発揮させることができなせん。
 それ故、人間はエルフが想像もしなかった方法でワイバーンを制御することにしました。
 「竜と人の精神を繋げる」という、信じ難い行為で。

599 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:05:37 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚

 グチャ…… グチャ……

 ――!?

 ロッシェル軍陣地内に足を踏み入れた“帝國”兵達は、我が目を疑った。
 彼等が見たものは、原型を留めぬ無残な死体の山と血の池……そして“何か”を一心に貪り喰らう1頭のワイバーンの姿。

「うっ!」

 むせ返る血の臭いとかつてヒトだった肉片の群れに、歴戦の将兵達も蒼ざめ、嘔吐する者すら出始めた。

 グチャ…… グチャ……

 が、唯一生きて動いていたワイバーンは“帝國”兵達を無視し、先程から“何か”を一心に貪り喰らっている。
 “帝國”軍が放った擲弾で傷だらけになりながらも、一心に喰らっている。

 ガクン、ガクン

 ワイバーンの背には、もはや事切れた騎士が乗っていた。(擲弾にやられたのだろう、血塗れだ)
 下半身が固定されているために落竜することはないが、騎竜の動きに合わせて揺れ動き、時にその背と触れて音を立てる。不気味なことこの上ない。
 目の前に広がる壮絶な光景に、“帝國”兵達は暫し硬直した。

600 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:06:07 ID:Hd5cQ7n60
 グチャ…… グチャ…… ニタァ。

 と、突然ワイバーンが振り向き、哂った。
 血塗れの顔で、ヒトの手足が覗いた口で、人間臭い表情で哂った。

「ヒッ!?」

 熊や狼などとは次元が異なる凄まじい威圧感が、“帝國”兵を襲う。
 彼等は恐怖を紛らわすため、手にする銃の引き金を引いた。

 ダダダッ! ダダダッ! ダーン! ダーン!

 多数の銃弾がワイバーンに殺到する。
 “帝國”兵達が手にするは九九式小銃に九九式軽機。従来の6.5o弾から7.7o弾へと変更した、高威力の小銃・軽機である。

 バチッバチッバチッ!

 命中と同時に、激しい火花が散る。
 ……が、ワイバーンは平然としていた。
 『至近距離ならば人間3人を貫通できる』と言われる6.5o弾よりも、更に30%以上弾頭重量を増した高威力の7.7o弾――それを至近距離で無数に喰らいながら、だ。

 お返しとばかりに、ワイバーンがブレスを放つ。
 無数のニードルブレスが殺到し、その射界にいた“帝國”兵数人がたちまち肉片となった。

 ……凄惨な光景とワイバーンの威圧感に加え、銃も効かぬという恐怖に、流石の“帝國”兵も恐慌状態に陥いりかける。

601 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:06:50 ID:Hd5cQ7n60
「総員散開! 対戦車戦闘用意!」

 が、ようやく登場した中隊長の号令で正気を取り戻す。
 彼等は即座に数人単位で分散し、再度銃口をワイバーンに向けた。
 後続の兵は直接乗り込まず、土嚢を盾に援護射撃を行う。
 ……が、やはり命中と同時に激しい火花が散るのみだ。
 九九式破甲爆雷や手榴弾を複数結束した急造の“爆薬”を抱えた兵が近寄ろうとするも、火炎放射器の様なブレスを吐かれ、生きたまま焼き尽くされてしまう。

「化け物が…… 陣地内の兵は至急撤収せよ!」

 中隊長は吐き捨てると、擲弾筒の集中攻撃を行うため、陣地内の兵に撤収を命じた。
 が、それより早くワイバーンが炸裂式のブレスを連射、前方の土嚢を吹き飛ばす。
 そして信じ難い速さで、陣地から飛び出した。

 外に出ると、ワイバーンはその見かけとはかけ離れた敏捷な動きで、短距離跳躍を繰り返す。
 ……これではとても擲弾筒では狙いが付けられない。小銃や軽機も同様で、同士討ちを恐れて碌に撃つ事が出来ない。
 体当たりや爪、尾により次々と“帝國”兵は倒されていく。

 如何な『ワイバーンは空の生き物、陸上での行動は苦手』といっても、それは中長距離移動の話に過ぎない。
 その敏捷さは、到底ヒトが至近距離で対応できるものではなかったのだ。ましてや、コイツは――

602 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:07:20 ID:Hd5cQ7n60
 こうして好き勝手に暴れていたワイバーンだったが、その活躍も長くは続かなかった。
 というのも、突如現れた巨大な“光の刃”によって斬り伏せられたからだ。
 ワイバーンは真一文字に斬り裂かれ、血を噴出しながら吹き飛ばされる。

「なっ!?」

「あの傷口に向かって撃てっ! 早く!」

 目の前の出来事に驚愕しつつも、“帝國”兵達はその言葉によって反射的に銃弾を撃ち込んだ。
 小銃・軽機に止まらず、手榴弾や擲弾までも放たれる。
 たちまち傷口から血や肉片が撒き散らされ、ワイバーンは絶叫を上げて絶命した。



「……や、やったのか?」

「恐らく」

 中隊長の言葉に、横で尻餅をついたダークエルフが頷いた。

「……さっきのは?」

 ……聞かずにはいられなかった。
 このダークエルフが大上段から勢いよく腕を振り下ろした瞬間、金色に輝く“光の刃”が放たれたのだから。

「攻撃魔法ですよ、私が使える最大レベルの」

603 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:07:55 ID:Hd5cQ7n60
「魔法……あれが……」

 何しろ、銃弾すらも防ぐあの竜を見事切り裂いたのだ、その余りの凄さに言葉が出ない。
 だが中隊長の驚嘆の呻きに、ダークエルフは無念そうに首を振る。

「本来ならワイバーン程度、あれで即死なんですけどねえ…… 最大出力でも手負いにさせるのがやっとでしたよ……」

「……どういうことだ?」

 そういえば、あのワイバーンは手強過ぎた。
 海軍の話では、7.7o弾でも十分倒せる相手だった筈だが。

 中隊長の質問に、ダークエルフはワイバーンの死骸に目をやりつつ答えた。

「あいつ、狂っていたのですよ」

 人肉を喰らっていたのがその証拠だ。
 ワイバーンはどちらかと言えば草食よりの雑食で、肉は殆ど食べない。食べるとすれば滋養強壮用に屑肉を飼料――牧草に雑穀類を混ぜたもの――に混ぜた場合くらいで、この様に『それと判る状態のものを喰らう』ことなど有り得ないのだ。

「……ましてや人肉など、絶対に食べません。例え細切れにされていようが、『乗り手にそう命令されない限りは』ね。
 はてさて、『狂ったから喰った』のか、それとも『喰ったから狂った』のか――」

 何れにせよ、乗り手はまともじゃあなさそうだ。そんな奴を乗せるとは、と呆れて首を振る。

「何故、狂うと強くなるんだ?」

604 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:08:26 ID:Hd5cQ7n60
「人間と同じですよ、“火事場の馬鹿力”って奴です。 ……ま、ワイバーンの場合はより厄介ですが」

 ワイバーンは、肉体的にも魔力的にも本来の能力の1割も発揮していない、と言われている。
 が、発狂するとこの休眠している能力の一部が開放されるのだ。
 ……当然、休眠していた魔力回路も。

「銃弾の命中と同時に激しい火花が散ったでしょう? あれは防護結界です、あのワイバーンは狂う事によって、“一時的に”とはいえ魔力出力が何倍にも膨れ上がったのですよ。 ……防護結界を展開できるほど、ね」

 銃弾をも弾く“魔法の鎧”に身を包み、普段の数倍もの筋力で暴れ狂うワイバーン――それが彼等が相手にしたモノの正体だ。

「何たる不運……いや、必然か?」

「いえ、やはり“不運”でしょうね、それもかなりの。ここまで見事に狂うのは中々……」

 敵を追い詰め過ぎたかと反省する中隊長に、ダークエルフはそうではないと首を振る。

「不運、か……」

 中隊長は大きな溜息を吐き、呟いた。

 辺りには多数の“帝國”兵が横たわっている。
 丘のロッシェル軍を掃討したことにより、40人近い死傷者を出した。
 ……その2/3が、あの狂ったワイバーンによってもたらされたものだ。

605 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:08:57 ID:Hd5cQ7n60
 ――もしあのワイバーンがいなければ、被害はもっと少なかっただろうか?

 そう思わざるを得ない。
 が、いくら考えても答えはでなかった。
 確かにあのワイバーンは凶悪だったが、それは敵陣地の火力とて同様だ。運不運でどちらにでも転んだことだろう。

「まあ過ぎたことは仕方が無いでしょう。何れにせよ我々は敵地上軍の殲滅に成功しました、後は無防備な支庁舎を占拠するだけです」

「……ああその通りだ」

 中隊長は、自分達が戦争をしていた事実にようやく気付いた。
 ……そう、これは今までのような“蛮族狩り”なんかではない、正真正銘の戦争なのだ。

 そんな当たり前のことに、だが支隊内の将校で最も早く彼は気付いた。

「第二小隊は死傷者を収用せよ! 残りは直ちに支庁舎に向かう!」

 中隊長は最も損害の大きい第二小隊に後始末を任せ、先を急ぐ。
 その前に、と彼はダークエルフを見た。

「……ところで、何でさっきから座り込んでいるんだ? 出発だぞ?」

「……腰が抜けたんですよ。十分な準備もなく、無理矢理あんな大魔法を使ったから」

 ダークエルフは実にバツが悪そうだ。
 そんな彼に中隊長は苦笑し、肩を貸す。

606 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:09:30 ID:Hd5cQ7n60
「礼は言いませんよ?」

「俺も言わんから構わん」

 これでチャラだ、と中隊長。

「…………」

「…………」

 二人は暫し無言でお互いを見、ついで笑い合った。



 その後、支庁舎は抵抗することなく門を開き、支庁舎に“帝國”旗が翻った。
 ……それは“帝國”がクノス島を――ひいては北クローゼ全域を手中に収めた瞬間だった。

 こうして“帝國”軍のクノス島攻略作戦は終了したのである。
 クノス島攻略作戦における両軍損害は、以下の通り。

 “帝國”軍
  死傷者約90名
  航空機18機喪失(零戦12機、九七艦攻6機)
  艦艇1隻沈没(特設砲艦“第三千代田丸”)

 クノス島駐留軍
  死傷者500名以上
  飛竜24騎喪失(ワイバーン)
  小艦艇複数沈没、地上軍施設壊滅。

 両軍とも、その損害の多さに蒼ざめたという。

607 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/05(金) 12:10:09 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。
 今回は擬音が多い。

608 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/05(金) 17:38:56 ID:dDKWsT0E0
くろべえさん、投下乙です。

狂ったワイバーン恐ろしや。軽機関銃まで弾くとは。
これから攻撃の際には、「砲」を出来る限り持ち込むようにするのかな?
または地上用の12.7mm機関銃(ホ103を改造?)を用意するか。

609 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 19:29:33 ID:0oR3dS4w0
投下乙です

狂化したら強くなるか・・・
なんか負けの込んだ陣営での自爆攻撃につk(ry



あとダークエルフと中隊長の友情フラグがww

610 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 19:58:36 ID:bPXz9P7w0
投下乙

普段の能力が一割以下とは…… もしも副作用の少ないドーピング薬とか
開発されてたりしたら、帝國に勝ち目無かったかもw

611 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/05(金) 20:05:33 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。

狂ったワイバーン強い・・・・・
ダークエルフの手助けが無ければ、帝國軍の被害はかなりの物になってそう。

その一方で、中隊長とダークエルフが互いに戦友だと認め始めてますね。

612 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 20:42:37 ID:Qyy/c.820
>>610
そんな薬があったらF国家同士の戦闘でまず使ってるし。
ウィバーン運用の長い歴史の中で既に検討済みで却下されてる類の意見でしょう。
もし未検討ならF世界=無能となりますからF世界に大局的な意味で勝ち目はありません。

でもまあお話の都合上、元気10倍ワイバーンもそのうち出てくるでしょうね。
でないと新型機やジェット機とのドッグファイトが書けないですから。帝国がLVUPしたら敵もLVUPお約束ですね。

613 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 20:46:12 ID:XP22ejGc0
>>610
むしろ、逆に強力な副作用のある、狂化薬なら、ありそうですね、
敵国の捕虜にした竜騎士を使って、同士討ちをさせるとか。

614 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 22:49:39 ID:55XpGFAo0
>突撃錠
覚せい剤なら戦前からありますな。
同様にもっと危ない薬もありましたし少なくとも第一次世界大戦からこっち
欧米列強と日本も含め化学工業がある程度発達すればそういった薬は出ます
ね。
でもなんで帝國軍は毒ガス使わないんでしょうかね。
この世界にも毒ガスを大規模に製造できる技術や施設があるのなら別ですが
致命的なものでなくとも相手を無力化できるガスはジュネーブ議定書の無い
アルフェイムならば限定的(戦術的)な使用ぐらいは出来そうなのですが
やはり準備が面倒(防毒装備など)だからか。
ホスゲンなどを撒かれたら大変だなぁ・・・。

615 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/05(金) 23:00:00 ID:1.2ftlHc0
>>610
パワー数倍だと周辺のマナだけじゃ不足かも。体内に蓄積すればいいのかもしれんけど。
それ以前にシステムがもたずに自爆か。
創造者が10倍以上も余裕を持たせているのはエネルギーの制御が困難とか何か理由があるんでしょう。
でも、それなりの魔法技術があれば数十%の性能向上くらいなんとかなりそうですね。
それでも十分脅威だし。

616 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/05(金) 23:03:55 ID:dDKWsT0E0
>>614
毒ガス使うと、国内がうるさいからじゃないかな?
栄光の皇軍が卑劣な兵器を使うとは言語道断!!とか。

617 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 00:38:44 ID:55XpGFAo0
>ワイバーンのリミッター
その辺りの制御技術含めてブラックボックスなんかもしらん。
DNA解析と操作の技術があれば制御できそうですけどね。

>毒ガス
第二次大戦中でも日本は中国戦線で嘔吐剤を多用してますんで戦術レベル
で使わないというのが不思議だったんです。
少数で大軍を攻めるわけですから敵部隊の分断や進軍の遅延措置として
ガスを使わない手は無いのではないかな〜と思いまして。
余談ですけど対毒ガス用装備を装備した帝國人をアルフェイム人が見たら
化け物か宇宙人のように見えるかもしれませんね。
ガスマスクのフィルターとしてティッシュペーパーの原型が使われて
いたのは有名ですね。

618 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 00:56:22 ID:83/wJNuE0
>>616
毒ガス使うとヘタリアと一緒になっちまいますしねぇ…

619 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 06:18:03 ID:lUmeIgxc0
投下乙
まぁ確かに人間も通常生活では20%の力しか使っていないといいますからね
それより強力なワイバーンがいつもの10倍の力を出したらそりゃ強力だわ

620 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 08:54:00 ID:HUerRXbc0
投下乙です。
なんかホラーな展開でしたね、今回は。
オチの友情フラグに癒されましたけどw

ワイバーンのリミッターをいじくったのがワイバーンロードなのかなぁ。

621 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 09:26:07 ID:XLqNmJ020
>>614
今まで使う相手が居なかっただけなのでは?
蛮族に取り扱いが面倒な毒ガスを使うまでも無いとか。

安全係数
軍用機は知りませんが、一般機械で三倍、WWUの潜水艦の潜航深度で二倍強
と聞いた事があり人間が制御が出来れば能力向上の余地が有るかも

八つ裂き光輪
爆発系、冷凍系ではなく、切断系が最強とはビジュアル的には最凶なレア魔法

ワイバーン制御
エルフはどの様に制御しているのか?実は竜語で意思疎通していたりして。

622 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/06(土) 09:49:23 ID:Hd5cQ7n60
>>608
 名無し三等兵様、有難うございます。

>狂化したら強くなるか・・・
 まあバーサーカーみたいなもので、頭のネジが飛んでますからねえ。

>これから攻撃の際には、「砲」を出来る限り持ち込むようにするのかな?
 今回はかなり特殊な例でしたからねえ。転移以降、各級部隊の火力も大幅に
強化されていることですし、とり合えず問題は無いでしょう。
 ……それに今回の被害とて、(大人の事情があったにせよ)明らかに戦術ミス
によるものです。
 何せあれだけの火力を持つ敵です、支隊全力で当たるのが筋でしょう。(そ
もそも中隊の本来の目的は“威力偵察”のハズです)
 支隊全力ならば九二式歩兵砲4門、97式自動砲2門、九二式重機12挺という大
火力、3個中隊の歩兵戦力が得られます。十分敵火力に対抗出来たでしょうし、
狂ったワイバーンだって……

>>609
 609様、有難うございます。

>狂化したら強くなるか・・・
>なんか負けの込んだ陣営での自爆攻撃につk(ry
 制御不能の上、敵味方無差別ですからねえ……発狂させるのも命懸けですよ
。(発狂させても、必ずしも目論み通りの効果を発揮するか不明ですし)
 こんな危険かつ不確実な方法に頼るならば、素直にワイバーン・ロードに調
整した方が良いでしょう。

>あとダークエルフと中隊長の友情フラグがww
 お約束ですから(笑)

623 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/06(土) 09:51:05 ID:Hd5cQ7n60
>>610、612〜618
 610様、有難うございます。

>普段の能力が一割以下とは…… 
 生物は大概、かなりの余力を残しています。ワイバーンはそれが他の生物よ
りも大きいだけです。
 それだけの余裕を持たせているからこそ、生涯30年のうち25年(最後の5年は
緩やかな下り坂だけど)も第一線で戦闘可能なのですよ。

>ドーピング薬
 ワイバーン・ロードが量産されるまでは多用されていました。(発狂まではい
きませんが、強い興奮剤です)
 とはいえ、この手段はワイバーンを過度に消耗させ、長期的に見れば個体数……ことに戦闘可能なワイバーンの数を減らしますので、決戦等の大いくさの
時以外は殆ど使われなかったそうです。

>そんな薬があったらF国家同士の戦闘でまず使ってるし。
>ウィバーン運用の長い歴史の中で既に検討済みで却下されてる類の意見でしょう。
 そんなところですね。正直、割に合わないのですよ。

>敵国の捕虜にした竜騎士を使って、同士討ちをさせるとか。
 飛竜騎士は皆身内みたいなものですからねえ。
 敵どころか味方の飛竜騎士からも反発を受けるでしょう。
 加えて彼等は魔法使いですから、ひいては魔法使いギルド全体の……

>毒ガス
 いえ、だって今まで使う程苦戦してませんし。
 それに正面からの殴り合いで屈服させた方が、後で楽ですからねえ……
 とはいえ、「今まで全く使わなかった」とは考えられません。きっと転移初
期では、密林や洞窟に篭り、激しく抵抗した部族に使用したことでしょう。

624 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/06(土) 09:52:18 ID:Hd5cQ7n60
>創造者が10倍以上も余裕を持たせているのはエネルギーの制御が困難とか何か
>理由があるんでしょう。
 上にも書きました様に、ワイバーンがその寿命からすれば信じ難い程の長期
間、安定した性能を発揮できる理由の一つがこれです。

>>611
 ヨークタウン様、有難うございます。

>ダークエルフの手助けが無ければ、帝國軍の被害はかなりの物になってそう。
 全滅……とはいかないまでも、被害は倍じゃあ済まないでしょうねえ。
 ダークエルフ強い。(まあ本人に言わせれば、「こんな隙の多い攻撃魔法、
実戦で使えるか」だそうですが)

>>619
 619様、有難うございます。

>それより強力なワイバーンがいつもの10倍の力を出したらそりゃ強力だわ
 全ての力を引き出せた訳ではありませんが、それでも普段の数倍です。
 防護結界もワイバーン・ロードの様な球状の大型結界ではなく自分の表面を
覆うだけ、より密度を高められます。下手な戦車並ですね。

625 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/06(土) 09:54:20 ID:Hd5cQ7n60
>>620
 620様、有難うございます。

>なんかホラーな展開でしたね、今回は。
 ワイバーンの解説も兼ねていたのですが、少しやり過ぎたかな?

>ワイバーンのリミッターをいじくったのがワイバーンロードなのかなぁ。
 リミッターまで弄くれるのは列強くらいのものです。何せOSソフトを書き換
える様なものですから(まあ彼等とて表層を弄くる程度ですが……)
 ぶっちゃけ、生殖機能を撤去して“容量”を確保、魔力貯蔵結晶だの魔力増
幅結晶だのを制御機構と共に植え付けただけです。
 あと、これ等の外科的な処置だけでなく、魔術的な措置も行います。

>>621
>八つ裂き光輪
>爆発系、冷凍系ではなく、切断系が最強とはビジュアル的には最凶なレア魔法
 彼が最も得意とするのがコレです。爆発系は彼的に苦手なのですよ(笑)
 特に範囲限定とか範囲限定とか……

>ワイバーン制御
>エルフはどの様に制御しているのか?実は竜語で意思疎通していたりして。
 ガイバーの制御球……というのは冗談ですが、似た様な働きを持つ部があります。
 本来、ワイバーンの背……その首の根元には“こぶ”があります。
 これは小さな脳(補助脳)で、丈夫な骨と厚い皮で守られています。
 ……これに魔力をあてて、制御しているのですよ。
(当然、人間が持つワイバーンにコレはありません)

626 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 14:23:26 ID:rNgzOQbI0
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191598852/105-109
ここにコピペ転載した馬鹿野郎がいます

627 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 16:55:11 ID:i82aGDgs0
むこうでもボロカスに叩かれてるのにわざわざこっちに引っ張ってくるか。

っていうか、ほとんどタイムラグがないだろこれ。
626自身が自演して煽ってんじゃないの?
単なる善意のつもりなら、くろべえ氏はサイト持ちなんだから、そこの掲示板なりメールなりで報告しろよ。

628 名前:626:2007/10/06(土) 17:26:24 ID:rNgzOQbI0
>626自身が自演して煽ってんじゃないの?
いや違うし。

>単なる善意のつもりなら、くろべえ氏はサイト持ちなんだから、そこの掲示板なりメールなりで報告しろよ。
それは気付かんかった。とりあえず報告しなあかんかなと思ったんだ。

629 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 17:32:10 ID:i82aGDgs0
違うのなら詫びるけど、ここで報告なんてしても、「正義感」に駆られた第三者や、祭り上等の愉快犯をなだれ込ませるだけだろ
騒ぎを必要以上に大きくするのはくろべえ氏とっても良い迷惑だと思う
やった奴がどっちのジャンルに対して隔意を持ってるのかは知らんが、そういう反応をこそ狙ってるに決まってるんだから

630 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 17:34:08 ID:i82aGDgs0
隔意じゃない。悪意だった

631 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 17:53:39 ID:rNgzOQbI0
>>629
言われてみりゃそうだね。今後気をつける。
この場を借りてスレ住人の皆様にお詫びします。

ふと思ったんだけど、対荒らしスキルを持ってるっていうのは悲しいことではなかろーか

632 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 20:50:21 ID:PrNDtOqYO
嵐に踊らされて何言ってんだ?

633 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 21:01:07 ID:b/Dx1ct60
>>631
>対荒らしスキルを持ってるっていうのは悲しいことではなかろーか

お前は一体何を言っているんだ?
頭脳がマヌケか(ry

634 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 21:37:41 ID:pNDvPEHg0
>(当然、人間が持つワイバーンにコレはありません)
エルフは人間がどうやってワイバーンを操ると想定してたんだろう
こぶがあっても人間の魔力じゃ無理なのかもしれないが

635 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 23:48:35 ID:P.dMQlBc0
>>631は荒らされた経験の有無を言ってるのだろう。

636 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/06(土) 23:56:31 ID:55XpGFAo0
>人間の魔力
人間は魔力こそ劣るが魔法の応用技術を発達させているという設定
があったよーな。
個々人の魔力は小さくとも周囲からマナを蓄えて増幅させる装置を
作っているのかも。
あるいはそういった装置のようなものを意図的に人体に埋め込んだり
ある程度マナを蓄えやすい血統を残したり、人間力を求めるためには
手段を選ばない可能性はありそうですね。

>毒ガス
楽勝な戦ばかりだったから使わなかったんですか。
なるほど、こちらの世界ではゲリラ戦を挑んでくる敵などには多用されて
いましたから使わないという選択肢を考えませんでしたね。
ただ、今後列強などの手ごわい相手と戦うことになると手段は選んで
られそうもないですね。
むしろ叩くべき時にはしっかり叩くという考えが必要かもしれません。

637 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/07(日) 02:13:42 ID:SRxGs.7g0
毒ガスなんてのは数ある帝國チートの中でも最も悪質なものだけに
迂闊に常用すると物語として成り立たなくもなりかねない諸刃の剣かと。
ある程度性質を知っている帝國が元いた世界とは違い、原理も対処も知らず
縛る条約すらもないわけですから。

ところで、ワイバーンと騎乗者の精神は同調するとして
ワイバーン同士での同調というのは全くないのでしょうか?
作中では飛竜間の通信はあくまで騎乗者同士に限られていますが
ワイバーン同士でそれがあってしまうとやられたワイバーンに同調して
他まで無力化されかねないので持たせられてないんでしょうね。

638 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/07(日) 08:00:14 ID:Hd5cQ7n60
>>628
 情報提供、有難うございます。
 う〜ん、どうしましょうね? とり合えず向こうで騒ぎになってる訳でもな
さそうですし、放って置くべきかな?

>>634
>エルフは人間がどうやってワイバーンを操ると想定してたんだろう
 下級の飛竜同様、手綱を使って――と考えたのでしょう。
 この場合、能力の大半は封印されたも同然です。

>こぶがあっても人間の魔力じゃ無理なのかもしれないが
 単なる制御装置ですから、魔法使いならば十分扱えるでしょう。
 とはいえ、人間はこの制御機構の存在を知りません。
 ……『多分、あるのではないか』と想像はしていますが。

>>636
>ある程度マナを蓄えやすい血統を残したり
 魔法士族がこれにあたります。
 要は血統の濃縮保存ですね。

>人間力を求めるためには手段を選ばない
 ワイバーンと人の精神を同調させる、というのもその一つでしょうね。
 初期には一体どれ程の被害が出たものやら……

>>637
>ところで、ワイバーンと騎乗者の精神は同調するとして
>ワイバーン同士での同調というのは全くないのでしょうか?
 離れている上に、高機動で動き回っていますから、技術的に困難です。
 考えられるとすれば、多数で「モード3ブレス攻撃」を行う際の統制に用い
るくらいかなあ?

639 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/07(日) 08:58:42 ID:aE.ogAMI0
>>637
毒ガスには、風の魔石であっさり対抗できそうな気が。
眠りの雲とか毒ガスブレスとかはファンタジーでは良く存在しますし、
むしろ列強では対抗手段が確立してて帝国軍の方が酷い目に……
なんてこともありえるかも。

640 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/07(日) 11:44:43 ID:XLqNmJ020
>人間力を求めるためには手段を選ばない
首を落した飛竜に下半身を切り落とした人間をスライムでくっ付けるという
漫画も昔ありましたな。

>眠りの雲
遺失呪文ですね、旧版の短編では石化呪文が在るからもっと酷い事になるかも。

641 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/09(火) 02:55:37 ID:55XpGFAo0
>風の魔石
どの辺りまで魔石の力を設定しているか次第でしょうな。
確かにカタパルトに実用されているような出力のものならば空気より
も比重の大きいガスにも効果あるでしょう。
逆にカタパルト専用の魔石の大きさが手軽に持ち運べる大きさでかつ
長時間その風力を連続して保てるものでないとガスを引っ掻き回す
だけで終わりかねません。
短時間の大出力の風でどうにかなるガスくらいならばよいですが兵器
としてある程度以上の規模で使われた場合に対処できるかどうかになり
そうです(空気の分子量は28.966g/mol)。

魔石を大量生産できるという点ではダークエルフの協力が得られる帝國
側の方が有利でしょうし、むしろ毒ガスの局所利用を戦術として考え
研究してそうです(毒ガスを一定範囲にとどめるとか)。
・・・そういや内燃機関や蒸気機関の内部に入り込んで故障させるガス
ってのもあるらしいですな。

642 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/09(火) 18:03:58 ID:pDryFPMk0
ところで(主に列強の)飛竜騎士はワイバーンに乗る際鎧は身に着けるのでしょうか?

身に着けるならどんな鎧でしょう?
マスケット銃や前装式の大口径砲が普及してる列強や中央世界に限れば
プレートアーマーやフィールドアーマーではなくカラビニエールアーマーやアークゥィバスアーマーだと思うのですが。

643 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/10(水) 02:07:57 ID:2B8F31ZM0
ワイバーンの魔力フィールドで守られてるから鎧必要ないのでは。

せいぜいレザーアマーか防寒用の綿入れとか。

644 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/10(水) 02:52:21 ID:PrNDtOqYO
結界あんのはロードだけだろ

645 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/10(水) 08:22:40 ID:Hd5cQ7n60
>>風の魔石
名前だけ聞けば「小石位の大きさ」って感じですが、これ実際は一部屋潰す位
の大がかりなシステムです。(ま、竜車で運べるでしょうが……)
とはいえコレを使えば風向きも変えられますので、対毒ガス防御には便利でし
ょうね。必要なら複数組み合わせ、統制して使用することも可能ですし。
(連続運用時間・運用威力大幅増)

>眠りの雲とか毒ガスブレスとかはファンタジーでは良く存在しますし、
まあ同じ人間、考えることは皆同じなのでしょう。こういった系統の魔法も確
かに存在します。ただやはり非人道的……といいますか潰しあいになりますの
で、お互い『持っているけど使わない』のが暗黙の了解です。
……毒ガスと違ってコストもかかりますしね。

>魔石を大量生産できるという点ではダークエルフの協力が得られる帝國
>側の方が有利でしょう
や、以前書いた帝國製“風の魔石”の非効率さでも判る様に、こういったシス
テム的なものでは人間のほうが遙かに上です。
まあダークエルフは今まで大規模な魔法システムの開発に縁なかっですしね。
見よう見まねで作れる(形になる)だけでも大したものかと。

>ところで(主に列強の)飛竜騎士はワイバーンに乗る際鎧は身に着けるのでし
>ょうか?
18〜19世紀の胸甲騎兵みたいなものです。これ以上は動きを鈍くするだけです
からね。(ただこれは支給装備の話なので、金持ち貴族の場合は別です)

>ワイバーンの魔力フィールドで守られてるから鎧必要ないのでは。
ワイバーンはワイバーン・ロードと違い“風の結界”で覆われているだけです
。この結界、通常飛行時ならかなりの低空でも撃ち上げられる弓やマスケット
弾をかなりの率で防げますが、地上襲撃という超低空飛行時には(多少威力が減
衰するものの)防ぎきれません。騎竜はともかく、騎士はヤバイです。

646 名前:にしなさとる:2007/10/11(木) 22:21:19 ID:DFCz.y0I0
帝国は、どのような経緯をたどって世界を制覇したのか。その最終段階。
清華は、攻め滅ぼされたのではなく、旧ソ連と似たような形で内部崩壊したというのはどうでしょう。

最後の「中央世界の列強」たるローレシア王国が膝を屈し、すでに30年以上。世界の3分の2を手中に
収めた帝国にとって、もはや「敵」と言い得る存在は、清華王国とその属国群だけであった。

帝国の国民達の中には「なぜ清華を攻め滅ぼさないのか」と、疑問に思っている者も少なくなかった。
特に戦乱の時代を経験していない、若い世代に。

が、帝国の中枢部は、実のところ清華王国との全面戦争など、まったく欲していなかった。国民には
景気のいいリップサービスを繰り返しておきながら、である。

その理由は、主に二つ。
第一に、清華との全面戦争となれば、得る物より失う物のほうが多すぎる。膨大な戦費と物資を消費
するのは言うまでもないし、たとえ清華王国を滅ぼしたところで、かつてレムリア王国を滅ぼした時
同様の、収拾のつかない状況に陥る可能性が高く、それは帝国にとって重荷にしかならない。
また、誰でも知っている通り、戦争は国土を荒廃させる。世界の3分の2と残り3分の1の全面戦争
となれば、この世界にどれほどの荒廃をもたらすか、まったく想像もつかなかった。

第二に、これは国民には言えない事だったが、「敵がまったく存在しなくなることは、帝国にとって
かえって望ましくない」という考えがあったためである。

647 名前:にしなさとる:2007/10/11(木) 22:21:49 ID:DFCz.y0I0
一方の清華側も、帝国との全面戦争は望んでいなかった。こちらは単純に、「勝算が立たなかった」
ためである。
かつてよりは縮まっているとはいえ、科学力の差は相変わらずだし、帝国の持たない魔法を持つとは
いえ、帝国側がその対抗策を研究していないとは思えない。なにしろ向こうには、ダークエルフが
ついているのだ。

帝国の軍と、同等の兵力、互角の条件で戦えば、まず勝ち目は無い。加えて数の面でも、すでに互角か
劣勢だろう。帝国が本格的に攻めて来ない内に、少しでも、なんとしてでも科学力の差を、もっとはっ
きり言えば武器の性能の差を、縮めねばならない。清華王国は、そのために最大限の努力をした。
ところが皮肉にも、その努力は、最悪の形で裏目に出ることになる。

清華王国の政府は、軍事技術の開発に、可能な限りの予算を注ぎ込んだ。しかしそれは、当然ながら、
税という名の負担を、国民に強いることになる。やがては一般国民のみならず、地方豪族や属国の
君主たちからさえ、その負担に耐えかねる者が出始めたのである。

その結果は言うまでもないだろう。人心は離反し、帝国への内通者が多数生まれる。地方の有力者の
中には、密かに帝国と通じる者も現れる。ついには公然と、中央に反旗をひるがえす属国まで現れた。

政府はそれを力ずくで抑え込む。結果としてますます人心は離反する。そんな悪循環を繰り返した末、
皇紀2678年、中央での大規模な反乱をきっかけとして、ついに清華王国は内部崩壊したのである。

648 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/11(木) 22:41:18 ID:oVuuhHNoO
おもしろいおもしろい

みんなの想像を代弁してくれてありがとう

だが残念ながらスレ違いだ

あとは議論・考察スレでやれ

649 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/11(木) 23:05:34 ID:7OVu8USI0
>>647
乙、だが了解は取るべきだったね。

>>648
スレ違いには見えんが。

650 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 01:25:04 ID:PrNDtOqYO
ジャンプ打ち切り時並の駆け足展開しない限り、統一するのはリアルで何年も後なんだから気にすんな

651 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 11:02:04 ID:pNDvPEHg0
確かに清華とことを構える前に何回かさらに設定が変更されそうな予感

652 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 19:45:42 ID:pDryFPMk0
>確かに清華とことを構える前に何回かさらに設定が変更されそうな予感

それはいつまでたっても清華どころかローレシアまで行き着きそうにないからやめてほしいなあ

653 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 20:05:06 ID:/vLJHLkg0
三歩進んで二歩下がる。でも十歩たまったら、リセットな。
って感じだなw

654 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 20:26:24 ID:yuKC.U2k0
>>647
米ソ冷戦を再現するなら、いっそのこと核兵器乱れ撃ちな
熱い戦争にまで突入してほしいなぁ・・・

655 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 23:09:51 ID:7OVu8USI0
それは熱過ぎる。

656 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/12(金) 23:43:34 ID:55XpGFAo0
>核兵器
むかーしNHKでやってた全面核戦争後の地球を描いたドキュメンタリー
を思い出すな。
2部構成で「地球炎上」「地球凍結」って題名だったかな。
実際には核の冬はそうは長期間続かないらしいむしろ放射性降下物つまる
ところの「死の灰」が残留することの方が問題らしいけど。
実際のところ核兵器は作ったら作ただけでは駄目なわけでそれを運ぶため
の運搬手段や制御技術(爆縮レンズなど)が必要なのでそれを自主開発する
か帝國から盗まなければならないというだけでも大変なのに清華にそれだけ
の体力があるかどうかが問題になりそう。
世界有数のチート国家であるところの米国でも大戦中には実験型も含めて
なんとか3発の原爆を作るだけだったのにもしこの世界でいざ作るとなれば
それよりもさらにハードルは高いわけで。

657 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 00:02:07 ID:55XpGFAo0
核戦争といっても攻撃目標を絞るだけでも大変だろうしますます割りに
合わないと思いますよ。
米国の「単一統合作戦計画」のような確固たるプランを固めていても
その攻撃に見合うだけの成果が出るかどうかもありますし、なにより
戦争も政治の一部なので戦って勝った後にちゃんと見返りが無い事には
なりたたないです。

658 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 09:48:16 ID:bMnlI5ig0
>657
>>戦争も政治の一部

旧軍の連中の何割がそれを理解していた?
はっはっは……はー(´・ω・`)

659 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 15:18:21 ID:fXczgTOc0
帝國での核兵器実用化は升国家より20〜30年遅れてもおかしくは無いですねえ
とはいえ米国並みのタイミングで投入できなくても、
実用化後に1発使ってみせしめ行為を行っておけば、その後の外交で強力なブラフカードが増えそう
帝國が核を使用するのを想像するとワクテカが止まらない

660 名前:F世界逝き:F世界逝き
F世界逝き

661 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 18:58:20 ID:i/BGxRX.0
>>659
変に凝って核「砲弾」を大量に配備したりしそうだなあ

662 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 20:23:22 ID:8RNT3GbA0
そして敵味方ともに被爆か… 笑えねぇな

663 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 20:44:20 ID:fXczgTOc0
>>662
敢えて「笑えない事」をして「笑えない事」の量を極限するのが戦争だから
むしろ、ある意味笑うしかないレベルですね

664 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 23:21:35 ID:i/BGxRX.0
恐ろしい事を思い出しちまったぜ……
米独日と原爆の実用化を目指して研究していたが、内容はそれぞれ違ったんだそうな。

亜米利加はご存知エクスプローション方式、独逸はガンバレル方式、そして我らが大日本帝国は

  原 子 炉 暴 走 方 式

だったとか。知ってたかもしれないが、つまり帝国のみで原爆を開発出来ていたら……

665 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/13(土) 23:53:51 ID:xXz5megI0
>>658
外にはヤバいと思わせ内には納得させるだけの勝ちを見せないと、となると
太平洋戦争は立派に政治の一部ですよ、そこまでの失敗の総決算です。

666 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/14(日) 04:03:41 ID:dnsAMIzk0
>>664
そもそも原子炉暴走方式は原爆ですらない。放射能兵器になるかと
当時の日本の物理学が未発達だったために原爆と原子炉が混同されたことが原因なので
数十年かけてじっくりと研究されていけば正しいものができるはず。

667 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/14(日) 17:45:04 ID:55XpGFAo0
>数十年かけてじっくりと研究されていけば

確かにそうですな、大戦中はどうしても技術力と資金、人材の確保が可能
だった米国が結果的に原爆の実用化に成功しましたがアルフェイムで
基礎研究をみっちりやっていけば帝國でも核兵器の実用化は可能だと思い
ます。
人材に関しては(将来的な話ですが)ダークエルフを採用し知識層の厚み
を増すという方向性で行くかもしれませんが。
実際のところ外交的な切り札として原爆などの反応兵器の実用化は
「アルフェイム」版核の傘の実現になるかもしれません。
この場合核の傘に入る国としてはスコットランドが最優先候補になる
んでしょうかね。

668 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/14(日) 23:11:27 ID:zh0LI88.0
うーん、大型4発爆撃機とロケット技術その他も開発しなきゃな・・・・。

669 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/15(月) 01:37:48 ID:dnsAMIzk0
>>668
広範囲に散らばった帝國の拠点を結ぶためには大型輸送機の開発は必須だろうから
前者はそのうち開発されるでしょう。

後者は…転移時のロケット技術ってどの程度だったんだろ。
理論自体は知られていただろうけれど。

670 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/15(月) 06:37:54 ID:upgxxk.M0
魔法回路で爆縮とか、考案されるでしょうな

671 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/15(月) 19:06:20 ID:5wHaWlEk0
>>670
魔力って一応無形物なんだよな。
同時起爆できるんだろうか?

672 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/15(月) 23:10:49 ID:ua2btxq60
>>670
それを言い出したら何でも解決出来てしまう気が・・・
まぁ作者次第か

673 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 08:18:42 ID:55XpGFAo0
>大型4発爆撃機
超大型飛行艇などで代用されるかもしれません。
アルフェイムの場合水域が広いのと文明圏が沿岸にへばりついているので。

>転移時のロケット技術
固体燃料型ロケットの技術は最低限基礎的なものであれば持っていた
はずです。
誘導技術に関しては心もとないですが。
戦後のロケットの歴史ではペンシルロケットで基礎技術をその後のカッパー
ロケットなどで実績を積み重ねていったので誘導装置の問題(これが一番
ムズイ)をなんとかできれば実用的な中距離弾道ミサイル程度は出来るかも
しれません。
現実的な手段としては慣性誘導装置の開発が肝ですね。

674 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 17:57:00 ID:SrdbEJKI0
それなんて空中戦艦富士?

675 名前:にしなさとる:2007/10/16(火) 20:21:45 ID:DFCz.y0I0
 アルフェイム世界の帝国には、弾道ミサイルは必要ないのでは? そもそもICBMやIRBM
なんて、核弾頭でなければほとんど実用価値の無い兵器だし。
 そんなものに金をかけるくらいなら、より汎用性の高い長距離重爆に注ぎ込むと思う。
 むしろ求められるのは、対空ミサイルの方じゃないか? ただし相手がワイバーンでは、
赤外線誘導は使えない。AAMでは魔法による生体反応探知方式(固体ロケットモーターと弾頭は自前
で作れるので、魔法に頼るのは誘導装置のみ)、SAMでは長射程が可能なセミアクティブレーダー方式
が主流になるだろう。

676 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:28:15 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、SS投下します。
 久し振りの転移男です。

677 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:29:27 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚ジャンク「転移男」
――短編4『導かれしモノたち』――

 ある日の昼下がり、一人の男が道を歩いていた。
 ……いや、それだけならば別に不思議なことではない。
 が、この男、まるで人目を避ける様にして歩いている。
 加えて時々振り返り、辺りを伺う。 ……まるでつけている者がいないか調べる様に、だ。
 怪しいことこの上ない。

 トントン

 男はとある建物、その玄関前で立ち止まり、軽くノックする。
 と、直ぐにドア越しに返事が返ってきた。

「山」

 ……それだけ、である。
 が、男は表情一つ変えず、淡々と小声で応じる。

「海」

 ギイ……

 ドアがゆっくりと開き、男を向かい入れた。

 男が建物内に入ると、既に十数人の男達が息を潜めて座っていた。
 外は晴天だというのに窓もカーテンも閉めっきりで、薄暗く濁った空気が充満している。
 が、にも関わらず彼等は明かりすらつけようとしない。

678 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:29:58 ID:Hd5cQ7n60
「……誰かにつけられなかっただろうな?」

 男達の一人が、今着いたばかりの男に訊ねた。

「大丈夫だ。 ……が、こんな頻繁に集まっては怪しまれないか?」

「愚問だな」

 男の懸念を、彼はニヤリと笑って否定した。
 彼等の同志には高位の警官もいる。その監視の目を潜る事など容易い事だった。

「くっくっく…… 我等の企み、お釈迦様とて気づくまいよ」

「然り」

「さあ、皆集まったことだ、そろそろ始めようではないか」

 男達の低い笑い声が響いた。

 …………

 …………

 …………

 シャッ

 カーテンが開かれ、強い日差しが部屋の中を照らし出した。

 ガラッ

 窓を開けると、風が新鮮な空気を運び込む。

679 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 21:30:05 ID:lUmeIgxc0
しえーん

680 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:30:36 ID:Hd5cQ7n60
「いや〜〜、今回は中々……」

「これはエロい……」

「悪くない、悪くないが、俺はやはりこの前のヤツの方が良いな」

「お前、未亡人好きだなあ」

 その言葉に、どっと笑い声が起こる。
 先程とはうって変わり、誰もが清清しい表情をしていた。
 ……ただ一人を除いて。



 ――お、俺は一体何やってるんだ……orz

 稲葉は激しく落ち込んでいた。
 ロンさんに『いいものを見せてやろう』と連れてこられたはいいが、なんと町内会集会場でご町内の方々とエロビデオ鑑賞である。激しく欝だった。
 ナニが悲しゅうて、ムサい中年おやじ共とこんな密室状態で……

 ――おまけに、出演女優の質低いし。

 正に踏んだり蹴ったりである。
 ……いや、ブスではない。ブスではないが平凡な顔立ちの、しかも年増の女だ。世界に冠たるエロ大国、平成ニッポン(←自慢にならない)からやって来た稲葉にとり、“帝國”のポルノビデオ(違法)は余りに低レベル過ぎたのだ。

681 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:31:10 ID:Hd5cQ7n60
 そんな落ち込み気味の稲葉を見て、ロンが何を勘違いしたのか肩を叩く。

「お前ナニやってるんだ? ここでの“抜き”はご法度だぞ?」

 ま、初めてだろうし気持ちは判らんでもないがなっ!とロンさんはイイ笑顔で笑う。

 どっ!

 それが周囲の爆笑を誘った。
 ……場の空気に耐えられず、稲葉は立ち上がる。

「お、お先に失礼します」

「お〜、行ってこい行ってこい」

 皆の生暖かい目(冤罪だっ!)を背に、稲葉は集会場を後にした。



「くっ……稲葉昌由、一生の不覚!」

 道を歩きながら稲葉は毒づいた。
 ああは言った(思った)ものの、実はちょっぴり……いやかなりキちゃってたりするのだ。や、だってこっちの世界に来て以来、ずっと禁欲気味だったし。

 ……が、逝ってしまう訳にはいかない。あんな状況で、あんなビデオで、逝ってしまう訳にはいかないのだ。
 平成ニッポン出身という“名誉”にかけて。

682 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:31:44 ID:Hd5cQ7n60
「まだだ……まだ終わらんよ! ――はっ!? 俺は何故こんな所に????」

 気づくと、稲葉はシャオの通う学校の前にいた。 ……どうやら熱いリピドーに動かされ、ここまで来たらしい。
 プールの方角からは、楽しそうな少女達の声が聞こえてくる。
 ……そういえば確か今頃、シャオは水泳のハズだ。

「……これは、天の導きか?」(註 違います)

 稲葉はふらふらと、吸い寄せられる様にプールへと向かう。
 大丈夫、合法だ。自分はシャオの“身内”、身内が授業態度を調べるのは当たり前――そう、これは授業参観なのだから。(註 合法ではありません!犯罪です!)

 鼻歌を歌いつつ、稲葉は堂々と裏道を歩く。

「ケモノっ娘のスク水〜〜♪」

「止めんか、おっさん!」

「覗きなら、お願いですからもっと慎重に行動して下さいよ……」

「み、見つかってしまうんだな」

 稲葉の鼻歌に、容赦の無い突込みが入る。
 見ると年のころ13〜4の少年達が三人、自分を取り囲んでいる。
 帝國人の少年に金髪碧眼の少年、それに熊頭の獣人の少年だ。

683 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:32:14 ID:Hd5cQ7n60
「……なんだ、中坊か」

 稲葉は興味ない、とばかりに先を急ぐ。

 ガシッ!

 が、その肩を帝國人の少年が掴んだ。

「何をする?」

「アホッ! 向こうには獣人のおねーさま方もぎょうさんおるんやで!? 何の準備もせんと、直ぐに見つかってしまうわ!」

「!」

 その言葉に、稲葉はハッとする。

「う……迂闊だった…… 稲葉昌由、戦いの中に戦いを忘れていた……」

「……何言っとるんや、このおっさん?」

「よ、よくわからないけど、かっこいいんだな……」

「ふっ、要するに『水着のお姉さま方に浮かれて、準備を忘れていた』ってことさ……」

「……やかましい」

 得意気に話す金髪碧眼の少年を、稲葉は半眼で睨みつける。
 ……が、三人はまるで無視し、今度は円陣を組んでヒソヒソ相談する。

684 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:32:47 ID:Hd5cQ7n60
「……どうする、このおっさんも“入れて”やるか?」

「ふっ、彼が見つかるのは自業自得だが、それで騒ぎになるのはごめんだからね」

「な、仲間なんだな……」

「……何ヒソヒソ内緒話してるんだ」

「――という訳で、しゃあないからおっさんも“入れて”やるわ」

 帝國人の少年は稲葉の言葉を無視し、溜息混じりに吐き捨てた。
 ……なんだかとっても屈辱だった。



「現在プールにいるのは、女子部一年三組のお姉さま方。うち1/3が獣人で、気配には敏感なんや」

「そんな訳で結界を張って進入するのですが、困ったことに魔力に敏感な方々もおられるのですよ。 ……いや、魔法のステルス化に苦労しました」

 そう言うと金髪碧眼の少年は水晶を取り出し、何やら呪文を唱えた。
 と水晶が光り、辺りの空気が変わる。

「……これは?」

「水晶に組み込んだ術式を開放しました。これで半径1mに“隠形”の結界が展開されます」

685 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:33:19 ID:Hd5cQ7n60
「……お前、その年で魔法使いなのか」

 稲葉が感心した様に呟くと、帝國人の少年が自慢げに答えた。

「はっ、デューイはダークエルフなんやで! そこらの魔法使いなんか足元にもおよばへん!」

「……ハーフですけどね」

 金髪碧眼の少年は苦笑しつつ補足した。
 ……確かに言われてみれば、彼の耳はやや長く尖っている。
 が、それにしても――

「しかしお前、良く見りゃあ結構整った顔つきしてるじゃないか。何も覗きなんかしなくても、よりどりみどりじゃあないのか?」

 正直、この少年は他の二人と比べ、明らかに毛並みが違っていた。
 とても覗きをする様な餓鬼には見えない。

 が、ダークエルフの少年は遠い目をして首を振る。

「ふっ、確かにかつての僕ならばそうしていたでしょう…… 何もかもが苦い思い出、恥ずかしいかぎりです……」

 あの頃、少年は自分を偽り続けていた。
 資産家の帝國人である父、士族階級のダークエルフである母との間に生まれた誇りは、だが優秀な頭脳と強大な魔力に支えられ、極大まで肥大化していたのだ。 ……全く、あの頃の自分を思い出すだけでも赤面もの、穴があったら入りたいくらいである。
 が、この二人に出会い、少年は変わった。仮面を脱ぎ去り、自分に正直になることを教えられたのだ。

686 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:33:53 ID:Hd5cQ7n60
「……そして僕達は豊島園で誓ったのです。

 『われら天に誓う。われら生まれた種族、進む将来は違えども、共にエロの道を極めんことを願わん』

 ――と」

「“豊島園の誓い”や」

「……なんだな」

「どこから突っ込んだら良いものやら……」

 改めて友情を誓い合う三馬鹿……いや三人を、稲葉は呆れた様に、だがどこか眩しそうに見つめる。
 要するにコイツらは“昭和の中坊”なのだ。
 考えてみれば、インターネット等情報が氾濫している平成ニッポンどころか、法規制が厳しいためそれ以前のニッポンよりもエロの情報は乏しい。彼等ががっつくのは無理もない、と言えよう。
 ……そしてその情熱と飢餓感は、稲葉がとうに失ったものだった。

 稲葉は暫し熟考し、膝を打った。

「よしっ! 俺がとっておきの話をしてやろう!」

 …………

 …………

 …………

687 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:34:26 ID:Hd5cQ7n60
「師匠と呼ばせて下さい!」

「おっ師さん!」

「し、ししょー」

 10分後、三人は稲葉の前にひれ伏していた。
 圧倒的なまでの稲葉のエロ話の前に、膝を折ったのである。
 ……稲葉、一体ナニ話した。

「少年達よ、お前達が進もうとしている道は終わりのない修羅の道だ。
 ……それでもなお選ぶか、選べるのか、この萌道を」

 稲葉は少年達に問う。
 が、少年達の目に、些かの怯みもなかった。

「ならば導こう! この萌道にっ! お前達にエロの高みをみせてやる!!」

「「「はいっ!」」」

「だがその前に……やらねばならぬことがあるな」

 稲葉の言葉に、三人の少年達は重々しく頷いた。



「ええい、人間の小娘なぞはいい! ケモノっ娘をみせろ、スク水のケモノっ娘をっ!!」

 稲葉は“特等席”に座ると他には目もくれず、一心にケモノっ娘を探す。
 やがてプールで戯れるスク水のケモノっ娘少女達を見つけると、稲葉は歓喜の吐息を漏らした。

688 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:34:59 ID:Hd5cQ7n60
「おおおおお……これだ……これこそ俺の待ち望んでいたモノだ……」

 この世界のスク水は、稲葉の世界のものと大分違う。
 まず色こそ同じ紺だが、生地が厚い。更に二の腕まで覆う袖にスカートまで付いている。フィギュアスケートの衣装を少し厚くした感じだ。
 ……が、これはこれで悪くない。少なくとも新スク水よりは一億倍イイ。加えて、ケモノっ娘のミミとシッポが更にスク水姿を映えさせる。

 おっ、シャオちゃん発見! ……相変わらず、胸薄いなあ。
 が、そこがまたスク水とマッチしていてイイ! 実にイイ!
 ミミとシッポで更に高得点だっっっっっ!!!!

 ……そんな稲葉を、三人はまるでヤクザの大親分を見つめるチンピラの様な目で見る。

「さすがお師さん、通すぎます……」

「これが“悟りの極み”ってやつだね」

「よ、欲望のかたまりなんだな……」

 彼等は己の“小ささ”を痛感した。

「!」

 と、突然稲葉の表情が驚愕で固まった。

 ――ば、馬鹿な!? 俺は夢でも見ているのか!?

 稲葉は自分の目を疑った。
 それもそのハズ、彼の目は存在しないハズの少女を映し出していたのだから。
 ……ネコミミ少女、を。

689 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:35:30 ID:Hd5cQ7n60
 『獣人に猫はいませんよ?』

 確かにシャオはそう言った、言った筈だ。
 シャオが嘘を教えるとは思えない。 ……が、しかしあの少女はネコミミ少女以外の何者でもない。
 稲葉は少女を凝視する。

 年齢の割りにボンギュッボン!な体型、可愛いとも美人とも言える顔……ロリとは言えないまでも、立派な“ロリ入り美少女”である。そして金髪ロングにやはり金のミミ&シッポ――

 ブチッ!

 稲葉の中で何かが弾けた。

「ね……ねこ」

「? お師さん?」

「ねこ――――っっっっっ!!!!」

「なっ!?」

「そ、そんな大声だしたらいけないんだな……」

 少年達が稲葉を静めようとするも、稲葉は一向に鎮まらない。悪化する一方だ。

「ねこ――、ねこ――!」

「お師さん、落ち着いて!」

「い、いかん! 結界が!?」

690 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:36:01 ID:Hd5cQ7n60
 三人用の所を四人で使い、あまつさえこうまで騒ぎまくっては堪らない、結界が揺らぎ始める。

 ピクッ!

 僅かに漏れ出した魔力に反応し、ネコミミ少女?がこちらを見た。

「誰っ!?」

 言うが早いか、槍投げの要領でブラシを投げる。
 ブラシは恐ろしい程の速度で結界に激突、火花と共に砕け散った。

 これで他の少女達も気づき、プールは大騒ぎだ。

「誰かいる!」

「覗き、覗きよ!」

 少女達はTシャツを着込むとブラシやら何やらで武装、こちらへと向かって来る。

「い、いかん! 逃げろ!」

 正気に戻った稲葉が慌てて叫ぶが、帝國人の少年が冷静に首を振った。

「……いや、あの速度では追い付かれてしまうで」

「だが、捕まったら――」

691 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:36:31 ID:Hd5cQ7n60
「お師さん、俺達が防ぎます。その間にお逃げ下さい」

「ば、馬鹿な!? そんなこと――」

「……僕達ならば捕まっても少年Aで済みますが、師匠は――」

「しゃ、しゃれにならないんだな……」

「お前達……」

 確かにヤバい。部長に知られたら問答無用で網走送りだ。
 が、だからと言って――

「ではお師さん、さらば!」

 そうこうしている内に少年達は時間差で駆け出し、少女達に立ち向かっていく。
 ……が、それは蟷螂の斧に過ぎないことは明白だった。

「少年…… 君達の犠牲は無駄にしないぞ」

 稲葉は涙ながらに逃げ出した。

 ……少年達が取り押さえられたのは、それから間もなくのことだった。
 彼等はタンコブまみれになりながらも、何かをやり遂げた漢の表情をしていたという。

692 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:37:34 ID:Hd5cQ7n60


「……ただいま」

「お、お帰り、シャオちゃん」

「…………」

 帰宅したシャオは、無言で稲葉の顔をじっと見詰める。
 その視線と空気に耐えられず、稲葉は目を逸らしつつ訊ねた。

「ど、どうしたんだい?」

「……今日、水泳の時間に覗きがあったんです」

 ギクッ!

「へ、へえ…… で、犯人は? 少年達はどうなった?」

「捕まえて職員室に連行しました。まあ中学生でしたし、初犯でもありますから、一時間程のお説教ですんだみたいですけど」

「そ、それは良かった」

「……その時、稲葉さんはどこにいました?」

「へ? な、何で?」

「いえ、その時かすかに稲葉さんの匂いもしたもので」

「か、かすかに、だろ? 気のせいじゃあないのか?」

「……かもしれませんね。ところで稲葉さん、私に何か隠してませんか?」

 そう言うと、シャオは稲葉をじっと見つめる。

 ……ヤベえ、完全に疑ってるよ。どうする?

 @証拠もないことだし、シラを切る! >>693
 A全部白状し、謝る。        >>694

693 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:38:04 ID:Hd5cQ7n60
――――選択@『証拠もないことだし、シラを切る!』

「さ、さあ? 何のことやらあっしにゃあとんと」

「…………」

「じゃあボクお仕事があるんで、これで」

「……あくまで惚ける気ですね」

 大急ぎでこの場を立ち去ろうとする背に、シャオの冷たい声が響いた。

 ゾクッ!

 寒気がして振り返ると、そこには――
 鬼がいました。

「あんな子供達を盾にして、自分だけ逃げるなんて……」

「し、知らん!」

 あくまでシラを切りとおそうとする稲葉に、シャオが悲しそうな声で言った。

「……稲葉さん、何で私が何も言わない内に、『犯人が“少年”“達”』ってわかったんですか?」

「し、しまった!?」

「稲葉さん、見損ないました」

「ま、待て! 話せばわかる!」

「問答無用です!」


 BAD END

694 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:38:48 ID:Hd5cQ7n60
――――選択A『全部白状し、謝る。』

「ご、ごめんよう! 怖かったんだよう!!」

 端も外聞も無く、稲葉はシャオに泣きついた。

「ちょっ! 稲葉さん!?」

「ごめんよう! ごめんよう!」

 泣きじゃくる稲葉に、シャオは何か言おうと……だが止めて大きな溜息を吐いた。
 ……何だかんだと言っても、彼女は甘いのだ。

「……本当にダメな人なんだから。もう覗いたらいけませんよ?」

「……ごめんよう、シャオちゃんのスク水姿、見たかったんだよう」

「え?」

 その言葉に、シャオは顔を赤くした。
 ……これはチャンスか?

 B更に褒める!      >>695
 Cここら辺で様子を見る。 >>696

695 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:39:18 ID:Hd5cQ7n60
――――選択B『更に褒める!』

 調子にのって稲葉は褒めまくり、シャオの顔を更に赤くさせる。

「……稲葉さんは口が上手すぎます」

「本当だって! シャオちゃんの薄い胸、スク水にベストマッチしてたよ!」

「…………」

 シャオの表情が変わったが、稲葉は気づかずに言葉を続ける。

「そういやさあ、金髪ネコミミ少女がいただろ、あれ誰? や〜〜、美人だしスタイルもいいし、完璧だね! 俺の視線を釘付けだよ!」

「……うそつき」

「へ?」

「私じゃあなくて、あの人のことを見てたんですね! どうせ私は美人じゃないし、スタイルもよくないですよっ!!」

「や、シャオちゃんはシャオちゃんでまた良さが……」

「助かりたいばかりにでまかせばかり…… 稲葉さんは大嘘吐きの卑怯者です! 女の敵です!」

 ……その時初めて、稲葉は自分が核地雷を踏んだ事に気が付いた。


 DEAD END

696 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:39:50 ID:Hd5cQ7n60
――――選択C『ここら辺で様子を見る。』

「もう! 稲葉さんたら本当にHなんだから!」

 Hなのはいけませんよ、とシャオ。

「海よりも深く反省しております」

「……本当に反省してるのかなあ?」

 シャオは苦笑しつつ、だがどこか嬉しそうな表情で立ち上がった。

「じゃあこれで終わりです。でも罰として、買い物の荷物持ちをして下さいね?」

「合点だ!」

 稲葉は胸を叩き承諾の意を示す。

「期待してますよ?」

「ま〜かせてっ!」

 二人は楽しそうに笑いながら、家を出た。
 ……それから一時間後、稲葉が大荷物を背負い、息も絶え絶えに帰ってきたのはまた別の話である。

697 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/16(火) 21:41:49 ID:Hd5cQ7n60
SS投下終了。
……ナニ書いてんだ、俺orz

698 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 21:43:49 ID:lUmeIgxc0
投下乙
とりあえず言わせて頂きましょう
『そのエ○ゲの性能のおかげだということを忘れるな!!』

699 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 21:46:20 ID:njlPJyHw0
>>696
覗きをしたのにそれをフラグに変えるとは……
これが稲葉クオリティというものか

700 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 21:47:53 ID:pNDvPEHg0
やっぱりおんにゃの虎に稲葉は反応するんですね

701 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/16(火) 22:02:13 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。
今回はかなり楽しめました。
特に選択肢がある所は、思わず吹き飲んでいた紅茶を吹き出しかけました。

これに比べて、自分の書いたバカ話はまだまだであると痛感した今日この頃です( ´ー`)

702 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/16(火) 22:03:39 ID:Bohu6sek0
訂正
思わず吹き飲んでいた紅茶を吹き出しかけました×
思わず飲んでいた紅茶を吹き出しかけました○

レス無駄に消費してすいませんorz

703 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 22:19:31 ID:6KnBHENQ0
投下乙です、楽しく読ませてもらいました。

くろべえさんはこういうノリの話も書けるんだよなぁ、ホームページの他のSSを思い出すと。
というか稲葉シリーズはみんなこんなノリでそこが面白いです。

704 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/16(火) 23:53:18 ID:WNCFzM6s0
くろべえさん投下乙です。
この世界観では、ハーフは居ないはず。という野暮な突っ込みは無しにして
そうか、まだスクール水着なんだ、スパッツでもなくきっとブルマが残って
居るんだろうな。と稲葉氏になってしまいました。
ステルス魔法の魔力結晶とは、帝國も魔法技術が発展しているようで善きか
な、かな?

705 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 00:20:20 ID:Hx38SzeA0
クールなダークエルフのイメージがwwww
もっと!どんどん壊してくださいwwwwwww
文化面でのダークエルフの進出ってどれくらい進んでるんでしょうか?
そしてバリバリ関西弁のダークエルフのツッコミが脳裏に浮かんだ俺は末期。

706 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 09:21:50 ID:rA.E4kz60
ダークエルフ→関西弁
エルフ   →京都弁
ドワーフ  →薩摩弁
ノーム   →三河弁
人間    →北関東弁

707 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 09:40:48 ID:pDryFPMk0
>スパッツでもなくきっとブルマが残って居るんだろうな。

でもブルマ(not提灯)が広まったのは東京オリンピックが開催され年に
世間の女子が外人選手が着ていたのを見てかっこいいと思ったのがきっかけなんですよね。

正直思考が戦前に毛が生えただけの召喚日本と、中世に毛が生えただけのアルフェイムでは
「女性の権利?何ソレ?」(ブルマの発明者(女)は女性の権利を向上させようとブルマを作った)でしょうから
稲葉が見たいブルマなんて無いんじゃないですか?

708 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 11:10:54 ID:OFhZwItk0
有るとなっていれば有るんだ!
なぜなら、私も見たいからだ。

709 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/17(水) 12:37:30 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、くろべえです。
 今回のSS冒頭シーンは、以前ネットで読んだ話からヒントを得ました。
 ……何でも、80年代におけるVHSとべータの規格争いでVHSが勝利した真の理
由は、『VHSの方がエロビデオ量が多かったから』なのだそうです(笑)。
 眉唾物の話ではありますが、エロゲやりたいがばかりにパソコン買った友人
を複数知っているだけに、笑い飛ばせない話でした。(まあVHSの方が普及して
いたからこそ、エロビデオの種類も出回った、というのが真実なのでしょうが


 そんな訳で、今回のSSが生まれた訳です。
 シチュエーションとしては『商店街の親父共が集まって、不定期的に上映会
を行っている』って感じですね。TVは集会場に元からある中古TV、ビデオ
は電気屋の親父が上映会の度に持参(販売デモ用か)、ビデオソフト(結構高い
)は皆でお金を出し合って買ったヤツです。


>>698
 698様、有難うございます。

>『そのエ○ゲの性能のおかげだということを忘れるな!!』
 稲葉が少年達をひれ伏させた力こそ、正に平成ニッポンのエロ力ですからね
え……
 とはいえこの世界では売春が合法な上、帝國は世界唯一の超大国ですので、
そっち方面では――

710 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/17(水) 12:38:12 ID:Hd5cQ7n60
>>699
>覗きをしたのにそれをフラグに変えるとは……
 ちなみにある程度好感度がないと選択肢は表示されず、強制BADENDで
す。しかもこれは共通ルートの強制イベントですので、誰を攻略するにせよシ
ャオの好感度はある程度上げておきましょう。(ただし上げ過ぎるとシャオ以
外攻略不能になりますので要注意!)

>>700
>やっぱりおんにゃの虎に稲葉は反応するんですね
 少しロリ顔ではありますが、美人さんの“おんにゃの虎”です。スタイルも(
年の割に)良好です。
 が、一族の中では明らかに浮いています。背は低い(稲葉から見れば普通より
高いかな?ですが)し頭身も明らかに低いです。おまけに性格的にも軍務不適格
(後方勤務ならともかく他の一族の様には……)ですから。

>>701、702
 ヨークタウン様、有難うございます。

>今回はかなり楽しめました。
 ありがとうございます。

>特に選択肢がある所は、思わず吹き飲んでいた紅茶を吹き出しかけました。
 普通に最後のエンドだけではアレですので、ちょっと遊んでみました。
 生還確率は1/4……結構キビシイなあ。皆さん大丈夫でしたでしょうか?

711 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/17(水) 12:38:57 ID:Hd5cQ7n60
>>703
 703様、有難うございます。

>稲葉シリーズはみんなこんなノリでそこが面白いです。
 有難うございます。
 本編ではシリアス&暗い話も多いので、少しはっちゃけております。

>>704
 704様、有難うございます。

>この世界観では、ハーフは居ないはず
 ハーフダークエルフでしたね、説明が悪くて申し訳ない。
 ちなみに――
 エセ関西弁の少年は帝國人
 かっこつけた金髪碧眼少年は帝國人とダークエルフのハーフ(ハーフダークエルフ)
 なんだな、の少年は獣人(熊系)
 ――となります。

>そうか、まだスクール水着なんだ
 袖(二の腕まで)、スカート(ミニスカレベル)付きですがスク水です。
 こっちの世界は露出度が低いのですよ。

>ステルス魔法の魔力結晶とは、帝國も魔法技術が発展しているようで善きか
な、かな?
 正確には消えるわけではなく、意識を逸らせているだけです。
 ですから注視されると……

712 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/17(水) 12:39:28 ID:Hd5cQ7n60
>>705
>文化面でのダークエルフの進出ってどれくらい進んでるんでしょうか?
 彼等は主に高級官僚か科学者、或いは投資系金融業に進出しています。
 正直文化面では殆ど影響がありません。一部有名俳優がいるくらいです。

>>706
 住む地方によって変わりますから、京都弁のドワーフとかダークエルフもい
るでしょうね。ちなみに帝國人少年の関西弁が怪しいのは、くろべえの理解不
足……もとい、少年が故郷から離れて数年経ち、共通語とチャンポンになって
るからです。ええそうなのですよ。

>>707、708
 まあジャンクですので、そこら辺は柔軟に、ということで。
 漢の浪漫ですから。

713 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 19:24:33 ID:Sxq/zVBw0
>>689
>「ねこ――――っっっっっ!!!!」

何故「ぬこ」でないのだ!
あ〜っ納得いか〜ん!!(笑)

714 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 19:37:06 ID:NJLXEGQo0
虎だと丸耳のような気がしますが、あの耳でもオーケーなんですね。

715 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 20:31:44 ID:zb5SPe5E0
くろべえさん、GJ
しかし稲葉、駄目駄目度が加速度的に悪化していきますね
昭和50年代のアダルトビデオって、親父のコレクションを漁ったときに見たことありますけど、
確かに今の感性からはちょっと受け入れがたい物があると思いますw

この虎娘とかも本格的に話の中に出して欲しいですね
嫉妬するシャオとかが見てみたいです
どうやらある程度好感度も上がってきてるみたいですしw

>>714
「虎の耳」と、「虎耳」は似て非なる物だと思うのですよ
ttp://www.toranoana.co.jp/
こんな具合にw

716 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/17(水) 22:17:30 ID:XyBinfbc0
>少年達よ、お前達が進もうとしている道は終わりのない修羅の道だ。
>……それでもなお選ぶか、選べるのか、この萌道を

爆笑
稲葉は、この世界で萌えゲーやエロマンガやエロ小説や行列サークル刊行物をパクッタ
ライトノベル(さすがに萌え絵エロ絵の量産は無理だろ)を執筆したほうが
高級軍人やってるより幸せだし儲かるんじゃないのか?
ちちしりふともも!のようなダイレクトなのとかも受けそうだけど、
冴えない(自称)普通の男子学生の処に健気に尽くす美少女や年上の美人なお姉さんや
乳がひたすらでかい、メガネのどじっ娘とかが押しかけてきて、なし崩しに同棲!
そして、両親は長期出張中で家を空けており、思春期の男の子にりぴどーを
全開させたり、海綿体が膨張するような話を延々と・・・・
ちなみに、表紙とイラストは稲葉先生が直々に調教した絵師が、帝國開闢以来の
衝撃を一見した全ての男性に!
連載している雑誌の発売日には学校や職場をサボって朝から並ぶ少年青年老けたお兄さんとかが
社会問題化して・・・・

今から思ってもラムちゃんはエポックメイキングであったなぁ・・・

717 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 01:16:02 ID:iD7dMEuA0
漏れの時代はクリームレモンですた。
発売当初、一部のレンタル店(個人でやってる小規模店)では、
通常のアニメビデオ分類してて厨房にも堂々と貸し出してる店も有って、
その噂聞いてわざわざ自転車で2時間程かけて借りに逝った事も・・・。

718 名前:にしなさとる:2007/10/18(木) 08:10:53 ID:DFCz.y0I0
>こっちの世界は露出度が低いのですよ。

考えてみればそれが当然ですね。こちらの世界ではビキニやハイレグなんて有り得ないし、
我々の世界の男たちにとっては、物足りなくてしようがないでしょう。
露出度の高い格好をする女は風俗や水商売関係だけ。そもそもそういう格好をするだけで、
その関係だとみなされる社会でしょうし。
学校も、建物は同じでもクラスは男女別々だし。

719 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 08:18:32 ID:QL.hy2go0
ただ、露出の高い格好については日本にも決してその萌芽がなかったわけでもないのですよね。
たとえば女山笠、たとえば江戸中期の農村部、たとえば薩摩のDQN殿様時代。
世界に冠たる大帝国となった場合、やはり中堅富裕層がそれなりに増えてくるはずで、
その中からこういった方向に歪んでしまうのもある程度居るのではないかなあ……と考えられなくもないかなと。

720 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 12:15:28 ID:BjW1SdV.0
少年たちを相手に、「稲葉の固有結界」を発動しちゃったんだろうなあ。

721 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 17:48:30 ID:.bKmpJuE0
陸軍内で回し読みされている肉筆回覧同人誌が摘発されたのは良いのだが、
将官クラスにも複数の愛読者がいる為、摘発した憲兵とその上司は
辺境の邦国に”ご栄転”されましたとさ。
・・・で、メインライターの某陸軍中佐は、軍内の私的飲み会で
「偉い人たち」からお酌されてるところを、某国スパイに目撃され・・・

ちなみに、海軍にも熱烈なファンが居るらしく、某陸軍中佐へ移籍話が
あるとか無いとか

722 名前:にしなさとる:2007/10/18(木) 22:07:12 ID:DFCz.y0I0
 皆さんの意見を聞いてみたいのですが、アルフェイム世界では、「転移男」の時代(皇紀2660年代)においても、航空機はターボプロップが主流なのではないでしょうか? ジェット機は、実用化はされているがわずかな機数しか存在しないのではないでしょうか?

 なぜかって? 理由は単純なことです。まず軍用機においては「必要ない」から。
 アルフェイム世界において航空機を造れるのは帝国だけだし、最高速がせいぜい600km/h台のワイバーン・ロードを相手にするのなら、750km/hも出れば充分に思えます。
 魔法の槍のことを考慮しても800km/h出せれば充分で、これなら旧ソ連のツボレフTU95「ベア」などの例から考えても、ターボプロップで充分に可能なはずです。

 一方の民間機においては「そのほうが効率が良い」から。
 技術的にも燃費の点でも、純ジェットよりターボプロップのほうが、航続力では絶対に優っています。そして地図を見れば、帝国本土からガルム大陸へ行くにもロディニア大陸へ行くにも、昭北島へ行くにも東京〜ハワイ間に匹敵するような距離を飛ばねばなりません。
 ならば、速度の多少の遅さに目をつぶっても、ターボプロップで航続力を稼いだほうが良いと考えるのは、自然なことではないでしょうか。

 アルフェイム世界の爆撃機や旅客機は、「ベア」のような機体が主流ではないでしょうか。また戦闘機は、昔の航空雑誌に出ていた、震電にプロップファンをつけたような機体になっているのでは?(機首にレーダーと機銃を集中装備するため)

追伸:この世界においては、この時代でも戦闘機の主兵装は機銃・機関砲なのでは? AAM一発より機銃弾百発のほうがずっと安いでしょうから。

723 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 22:47:54 ID:fTaEqH9Q0
>>722
新版だと寿命から何から削りまくった異常な調整をすれば
エルフあたりならワイバーンが音速近くになる可能性もなきにしもあらずなんで。
そしてそのことを帝國は割と早くから知っているようでもあるので
「敵がこんなモノを出してきた時に『こんなこともあろうかと!』をやるために」
なんて感じで新技術が開花するのはよくあることですよ、と。

724 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 22:56:31 ID:pDryFPMk0
以前くろべえ氏が言ってましたがF−15AやF−4レベルが主力です>「転移男」の時代
月王国という新たな敵と、元いた世界に戻ってしまうという非常事態に備えてるんですね。

725 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/18(木) 23:07:36 ID:WmlYr7Cw0
>>722
800km/h以上の速度が必要ならターボプロップはむしろ効率悪いですよ?
最適な速度がたしか700km/h以下でしたからね、確か。
それこそベアみたいな900km/h以上の性能でかつ、ターボプロップ積みたいのであれば
増大する空気抵抗に打ち勝つだけの出力をプロペラに与えるための多翔化や二重反転化、
プロペラブレード端に後退角をつける〜っていろいろと試行錯誤するよりか
ターボファンの方が性能上がってきたしで、多分、帝国も転移男時代には最終的にはジェット機に
走ってると思いますけどねぇ。Me262の段階で一応は800km/hを越えてたワケですし。
(橘花のネ-20?そんな野暮な事は聞かないでくださいw)
まぁ、民間機はようわかりません。ただ意外とジェットは速いんで(M0.86ぐらいだから900km/hは達してる)
多少の遅さ、と見るかは微妙だと思います。
(比べるのもなんだけど、ベアとB747-8はさして航続距離に代わりはない。し、ベアの最高速度と747-8の巡航速度もどっこい)
まぁ、でも転移男の時代ならターボプロップ以前のふつ〜のレシプロって気もします。
P-51に搭載されていたものと同レベルのレシプロエンジンでも700km/hは出せますし

搭載兵器ですけど、AAM誘導技術が無いと思いますw魔法に頼るなら別ですが。
ですが、なんか見る感じに海軍が純粋科学技術でどうにかアルフェイムに入ろうと
しているのに対して、陸軍はなんでも取り入れろ的な空気があるように見受けられますんで
もしかしたら海軍機は機銃オンリーor+ロケット弾、陸軍機は対空用魔法の槍搭載
なんて武装に差がでてるかもしれません、が、いくら旧軍といってもそんな事はしないでしょうし
差をつけられた海軍が陸軍に負けないように魔法技術取り入れて同じような装備にしてるかも。

726 名前:にしなさとる:2007/10/18(木) 23:40:16 ID:DFCz.y0I0
>>724
 コストを抑えて数を稼ぐため、ジェット戦闘機は試作と量産準備(いざという時の備え)だけしておいて、主力はターボプロップでやっているんじゃないかと思ったのですが。

>>725
 ベアの巡航速度って、確か750km/hくらいですよ。それと、確か初期のB747は、旅客や貨物を満載した場合、ジェット気流の助けを借りないと東京〜ハワイ間は飛べなかったはずです。燃費効率という点では、ターボファンはターボプロップに、物理学的に勝てないんですね。(あ、もちろん、双方の技術レベルが同じなら、の話です)

727 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 00:15:09 ID:OFhZwItk0
どうだろ?

再転移したらいきなり戦争突入と言う可能性だってあるだろうし、
生産には時間が掛かるだろうし、乗員も整備兵も訓練もしなきゃならないし、
整備補給のことも考えなきゃならないだろうし。
それに、いくら帝國が(この世界では)大国でも多くの方面軍に分かれてるだろうから、
やはり質を重視する姿勢に代わりはない気がするんだけどなぁ。
というわけで、やっぱりジェット機が実用化したらジェット機つかってるんじゃないかなぁ。

魔法兵器採用に関しては、30年もしたらほぼ世代が入れ替わって、
魔法当たり前の世代になってくるだろうから海軍も導入してるんじゃないかなぁ。
無論、再転移時に魔法が使えない状況も想定して魔法無しの兵器もきちんと研究はしてるだろうと思うけど…。

728 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 00:17:41 ID:OFhZwItk0
何か変な文章に…。
あ、海軍を構成してる人員の世代が、転移時子供だったとか、
転移後に生まれたとか?に入れ替わってる、ということで。

729 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 01:23:12 ID:XFAXVU7w0
最初から配備しておかないと、いきなり必要になっても間に合わないですからね。
ジェットとターボプロップのHigh/Lowミックスはあるかもしれんけど。

誘導兵器については熱線追尾やビームライダーあたりは戦時中から開発してたくらいだから
転移男の時代にはとっくに実用化してるでしょう。レーダーホーミングも発想は常識的なもんだし。
同時多目標攻撃能力を持ったシステムを開発中くらいかなあ。

敵がどんな兵器を配備してるのか分からんので、なんとも言えないところがあるんですが。

730 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 01:44:42 ID:aJ23ZFe60
遅レスですが、VHS vs βの戦いはもうひとつ、当時テレビ放映していた映画(2時間)が
ベータでは1本で録画できないという点がVHS勝利の鍵だとか。

そもそも開発するきっかけも『映画を1本のテープで録画保存したい』という願望らしいし。
エロビデオの普及については眉唾どころか本当の話しと聞きましたよ?

731 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 02:11:10 ID:KU8QS5YM0
>>725>>729
転移男の世界の帝國では、
初期型とはいえ、イージス並の防空システムが
既に存在しているそうだよ。

732 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 03:06:46 ID:Pusv3SwY0
>>722
レシプロ機では原理上800km/hあたりが限界です。
これ以上の速度になるとプロペラ自体が音速を超え、
先端付近から衝撃波が発生して空気の断層が出来てしまうため推力を発揮出来なくなり加速出来なくなります。

ちなみにP-51を現代の技術で限界までチューンし、エンジン出力を規定の三倍程度まで上げ、
直線飛行を行って832km/hが現在の世界記録で、当然実用機とはほど遠い代物です。

整備性、信頼性確保、ペイロード(の概念)を入れるだけでも700km前半まで落ちるでしょうね。

少なくともプロペラ以外の推進力を持たなければ実用機としては700km/hが限界。
ターボプロップでもジェット推力は25%前後で、しかも速度が速まればプロペラが空気抵抗を生むようになるので
「戦闘機には全く向かない」としか言いようがない。

爆撃機や輸送機には当てはまるところも多いがあくまで大型機に限るとした方が良さそうに思える。

733 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 07:38:32 ID:mAvGlaII0
再転位した場合を考えて、譜代帝国臣民”だけ”で構成された
軍団とかあるんだろうな・・・精鋭で。
でもって、獣人軍団とガチンコで模擬戦闘を定期的に行って
戦術試験やってるとか。

734 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 08:01:01 ID:X9DoCVGA0
>722
あと艦上攻撃機だとターボプロップを含めた3000馬力以上のプロペラ単発機(ダグラス A2D
やウエストランド ワイバーン)が2重反転付の減速ギアなどで失敗してますから海軍は艦載機
のジェット化をやっきになって押し進めてそうな気も。(双発だと場所・コスト取りますし。)

ターボプロップ機は邦国や同盟国向けの輸送機や戦闘機(COIN機)として販売するのでは?

735 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 12:02:11 ID:BjW1SdV.0
旧版にでてた富士重工のF3なんかに、ターボプロップ載せると良さそうな感じ。

736 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 12:07:55 ID:dNxoDJYk0
>>735 おいおい、あれは元々ターボプロップだぞ?

737 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 12:11:42 ID:BjW1SdV.0
訂正 旧版× → 平成日本召還外伝○

738 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 12:12:57 ID:BjW1SdV.0
>>736 そうだったっけ?
   今度読み直してみる。

739 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/19(金) 19:00:47 ID:TW2H58MY0
ラムちゃんの話が出てたけど、この世界にビキニが無いことを
考えると、稲葉氏の活躍が待ち望まれますなぁ。
虎縞ビキニのグラマー鬼娘の押しかけ女房・・・・
情が深いが嫉妬深くて、浮気なんぞしたら電撃リンチでボロボロ・・・

で、帝國で識者に眉をひそめられながら大ヒットを飛ばし、
潜在的敵国でも海賊版が溢れかえり、帝國の世界制覇に
密かに貢献しましたとさ。
侵略とは日々、薄紙一枚を重ねるがごとし。
現在、お隣の時期五輪開催国でも、本邦の「色々」が明日を担う若者たちを
魅了(洗脳とも言う)してしまい、国家指導部で大問題になっておりますからなぁ。

740 名前:F世界逝き:F世界逝き
F世界逝き

741 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/20(土) 00:48:09 ID:/PliwjrQ0
言っている意味が……よくわからない

742 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/20(土) 01:54:47 ID:BSbuSQCQ0
商用旅客機の場合、早く飛べば飛ぶほど1日あたりの運用距離が伸びるので利益が上がる。
実用商用旅客機のボーイング707、DC-8が出てきたとたん、レシプロ機が廃れたのには、
燃費悪化のペナルティを払ってでも運用距離増加が生む利益で相殺できるからで。

ロッキードエレクトラが707発売後に大幅ディスカウントされたけど、
碌に売れずに廃れたのには、ちゃんと理由があるんですよ

743 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/20(土) 02:32:23 ID:coRU7bW.0
アルフェイムでは帝國が石油資源を抑えてるだろうから
燃料価格は元の世界より安そうですね。車の燃費も悪そうだ。

744 名前:F世界逝き:F世界逝き
F世界逝き

745 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/20(土) 21:54:02 ID:55XpGFAo0
>>743
案外、もったいないな〜とか思う庶民向けの足として低燃費車は売れてそう
軽トラックとか日本ぐらいしか大々的に使っている国は少ないですからね。

746 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/20(土) 22:03:57 ID:55XpGFAo0
燃費の話でいくとロータリーエンジンは意外とウケそうですね。
効率は悪いですが低オクタン燃料に強いのでこれを搭載した軽戦車なんか
開発されているかもしれません。
動弁系が不要 というのも利点ですから同盟国向けの輸出型軍用車両に
搭載してるかもしれません。

747 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 02:05:11 ID:mKsvPV3.0
魔法をダイレクトに動力や駆動系に用いることはないと思うけど
オーダーメイドの逸品物とかの素材開発とか、特殊加工に
使う職人とか技術者はいると思う。

・・・で、「術の触媒に必要な○○の何とか求む」とか
「師匠の最後の作品の為に、お嬢さん 俺が大陸で仕入れてきます・・・
 帰らなかったら、俺のことは忘れてあいつと所帯を持ってください」
と、言う書置きを残して姿を消す名人の最後の弟子とか!

主演は石原裕次郎かな(笑)

748 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 09:19:22 ID:55XpGFAo0
>主演は石原裕次郎
ロケ地は帝國内だけじゃなさそうやなぁ(笑)

749 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 10:35:01 ID:5Q6PAjtI0
そして、命と引き換えに手に入れた「○○の何とか」を
大陸で生死を共にした帝國軍人が届けに行くと
お嬢さんは「あいつ」こと裕次郎の親友と祝言を挙げていました。
で、エピローグに師匠の墓の前に「何とか」を涙を流しながら置く
腹が大きくなったお嬢さんと親友・・・・

750 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 11:26:10 ID:55XpGFAo0
そういえばこの世界にも卓上ゲームはあるでしょうけど帝國の転移で
こっち方面にも影響は出そうですね。
チェスみたいなものはアルフェイムにもあるでしょうがオセロ(リバーシ)
みたいに単純でも奥深いルールを持っているゲームなんかは識字率の低い
大陸諸国でも広まりやすいでしょうね。
後は変則的な人数でも遊べる麻雀なんかも娯楽としてはもってこいですね。

751 名前:にしなさとる:2007/10/21(日) 22:00:31 ID:DFCz.y0I0
ふと思ったのですが、アルフェイム世界の地球って、時間の単位はどうなっているのでしょう?
帝国人が苦もなく適応出来たのだから、自転周期は同じだとして、一年は何日なのでしょうか?
月はあるのでしょうか? あるとしたら、その満ち欠けの周期は?

752 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 22:40:01 ID:coRU7bW.0
>>750
花札とかトランプみたいなカードゲームもありと思いますが、
花札は良家の子弟の手を出すものじゃないのかな。
昔、買ってみて祖母に叱られた記憶があるのですが。

753 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 23:07:02 ID:mp.CHjZU0
>>751

そこまで詳しいことまでは考えない方がよろしいかとw。
というか、(何故か)この地球と同じと考えていいのではないでしょうか。

それでも納得できないのであれば、こう唱えましょう。

「これだからファンタジーは嫌いなんだ」

754 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/21(日) 23:29:05 ID:55XpGFAo0
麻雀は昔満州に住んでいた祖父がよくやっていたのでたまに面子が
そろったりすると打ってますけど体力が続かないのでどっちかという
と軍人向けかもしれません。
といっても士官向きじゃないかもしれないですが。

>>751
平行宇宙の地球に似た環境だと思ったほーが話に集中できる気が。
実際の話自転周期を厳密に求めようと思ったら目をつぶらないと駄目な
設定が出てきてしまうので話を楽しめないです。
「言ったもん勝ちの法則」で納得してしまいましょう。
元々自分で作った世界でも設定でもないのですから。

755 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/22(月) 00:08:55 ID:coRU7bW.0
>>751
150で地球に対して陸地面積2倍以上、表面積約3倍という数字は出てますが、今のところデータはそれだけかな。
太陽については質量も何も分からない。
特に言及されてないところは地球とほぼ同じと考えたほうが幸せな気がします。

756 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/24(水) 14:40:32 ID:lUt/1aJw0
表面積3倍って、直径もそれに比例して増えるわけで、そうなると体積、重力もふえる
重力が同じだとすれば、惑星の密度が軽くなり金属資源の少ない惑星になる
重工業が発達しないのはそういう理由だったのか

757 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/24(水) 18:45:13 ID:coRU7bW.0
旧バージョンのほうでは、表面積約2倍、表面重力約1Gだったんで、
惑星の平均密度が小さいほうですね。そういえば、ジャンクでは地底族とかに言及されてるしw
表面積が3倍になると、また水平線が遠くなるなあ……

758 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/24(水) 22:23:28 ID:QAQuroWw0
>>756
球体の表面積は直径の二乗に比例でしょ。
だから表面積が三倍なら直径は3^1/2=1,732...倍。
重力は距離の二乗に反比例するので地表での重力加速度が同じなら質量は
3倍、体積は3^3/2倍、よって密度は0,5774...倍。
惑星中心の鉄のコアが異常に少ないとかだったら資源を地球並みに出来るか?
うーん。

759 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/24(水) 23:02:08 ID:QL.hy2go0
コア、マントル層含めての物質の分布も、そらまあ地殻反映で一番大事ではあるけど、
地殻形成後の特殊な事情をあれこれ持ち込めば資源採掘に際しての問題はある程度クリアできんでもないかと。
コアの組成がどうあれ、地表のごくごく浅い部分に何らかの形で重金属が散布され埋まっていれば良いんだから、
重金属流星群につっこんだとかそんな風な事情でクリアできませんかね。

760 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/24(水) 23:05:49 ID:uSUB8esg0
そこで地球空洞説ですよ

761 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 00:11:15 ID:BjIkQaEE0
>760
すごいぞ、ペルシダーは本当にあったんだ!
だと夢があっていいなあw

762 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/25(木) 00:49:04 ID:dDKWsT0E0
以前にもこの話題が出てきて、地球空洞説が出たあたりで終息した気がする。
とりあえず、過去のスレを読んでみてくださいな。

763 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 13:47:22 ID:hkDiqNrs0
歴史は繰り返す〜

764 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 14:28:59 ID:QAQuroWw0
生物の共通性については、やはり以前から転移現象がたびたび起こっていたとする
のが自然だろうか。

765 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 18:11:20 ID:9FFKl/a.0
製造した神様が同じ師匠に師事したんですよ・・・きっと

766 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 20:14:48 ID:Y0JW9sr20
>>764
生物進化の法則の一つに【収斂進化】というものがある
大雑把に言うと,似た条件下において生物が進化する方向,獲得する形質については
ほぼ同じになるというもの

767 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:01:45 ID:QAQuroWw0
>>766
それは分かるんだけど、F世界の人間と日本人が交配可能というのは
起源が同じでないかぎり説明できない。
他の生物に関してはあまり作中の描写がないけど、それにしたって
完全に別個の系統だと言うのは考えにくい。
もし単細胞生物の時代から違うと人間が食料として栄養分を取れない
可能性が高い。セルロースぐらいあるかもしれないが、
アミノ酸もビタミン類も存在しないか、構造がぜんぜん違うはず。

768 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:05:33 ID:xkEA6qk60
そんなこと言いだしたらきりがない、いいかげんにしろ。

769 名前: ◆XdgIHnFrK.:2007/10/25(木) 21:14:23 ID:DhpEoakI0
宇宙に存在している物質の割合とその分布から考えれば
地球に似た環境の条件を揃えていれば材料が同じでいる以上、アミノ基の生物が
発生してわれわれと同じような生物(炭素系)になるという説もあるけどね。
まあうまくすれば哺乳類に進化する段階までは同じ手順を踏んでくるかもよ、ぐらいで。
もちろんそうした生物と地球の生物が交配可能な可能性は相当に低いが。

770 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:15:15 ID:4W11r1A20
>>767
っつうか、「ファンタジー世界に召喚」であって、「ハードSF世界」ではない。
そういうものだと納得出来ず、あらゆる科学的整合性を求めるくらいならここから出て行ってSF板にでも籠もってろ。
お前のやってることは荒らしと変わらん。

771 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:31:16 ID:Il9dO2Oc0
考察は大切だけど召喚されました一週間後風土病で死にましたな異世界召喚物
読まされてもつまらないのも事実

772 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:51:53 ID:QL.hy2go0
>>770
いやいや、確かにあらゆる点についてまで科学的整合性を求めるのはアレだと思うけど、今回の問題定義については
>>767なので、やっぱり今までにもF世界に地球から結構な転移起こってるんじゃね?」
という論に導く前段階だし。

確かに必須アミノ酸が地球と微妙にずれてる(人間の必須アミノ酸は20、動物に広げても50もいかないが、アミノ酸に分類される分子は千以上)
のでF世界に行くと大食いにならないと追いつかないとか、そのせいで不消化物が増えて胃腸の疾患増えるとかそんなネタも面白いかもだが
この辺りまでいくと明らかにSF考察のネタになって不適切だけど。

773 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/25(木) 21:58:36 ID:55XpGFAo0
つうかそんなに人の書いた小説にケチつけたいなら自分で書けという話に。

774 名前: ◆XdgIHnFrK.:2007/10/25(木) 22:04:10 ID:DhpEoakI0
まあ話がそれすぎない程度にはハードSF的考察もいいと思うけどね。
長引きそうなら議論考察スレに移動するという手もあるし。
それに考察はあくまで考察、「解釈のひとつ」であって、考察の結果は
決定事項でも他人に押し付けるものでもないし。
こう考えると面白い程度に受け取っておいたほうがいいと思うよ。

775 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 02:28:02 ID:Jhv/eDyg0
千以上もあるアミノ酸のうち必須アミノ酸が僅か数十の数になんで絞られているか、
系統樹としてもまるで近傍ではない種でも同様のものが存在するのはなぜか、
これは必ずしも祖先が共通だったから、だけではなくて
同様の機能を欲するのにそれが最も叶っていたから、という側面もありんす。

同様な環境にいるのに食い物にも出来ないくらい異なった構成で成り立ってる、
というほうがむしろ似非SF的な考えじゃないのかなと。
機能的に言えば核酸なんかのほうが同じ働きが可能なものは同時に存在しているので
そっちで生殖が不可能になるなんてほうがまだ有りそうなんではと思いますが。

776 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 02:29:08 ID:fMPczppA0
とりあえずQAQuroWw0は>>753の最後の一文を100万回音読すべきだな

777 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 02:31:36 ID:Jhv/eDyg0
そもそも、ここは考察スレではないし作者さんの創作に疑問を言う場でもないので
構成から全く異なる世界を提示したいなら自分でSS書いてはどうかと。

まあ、>>774さんに同意ですね。

778 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 07:26:54 ID:PuAeCJYg0
もういい加減うざいんだが・・・
考察スレに池

779 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 10:46:05 ID:HUGb28f20
設定考察スレ向きのネタだから移動すべきだというのは正しい が
ファンタジーはご都合主義と思考放棄と手抜きのための言い訳じゃないぞ

780 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 10:58:27 ID:AqZ7ZRmY0
前半が自分で理解出来てるなら、後半はその設定考察スレで主張しなさいね

地球世界とアルフェイム世界に関連があるのかどうか、
それは作者さんが決めて作中で描写することであって、ここで第三者がガヤガヤと言い募る事ではない。

781 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 13:57:57 ID:QL.hy2go0
では議論のための議論を楽しみたい方はこちらへ。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1079385255/

たまにSSのネタになる物が埋まってたりするから禁止は無粋だけど、場所は弁えないとですね。
皆様お騒がせいたしました。

782 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 18:30:32 ID:HUGb28f20
以下、設定の手抜きと開き直りのスレが再開

783 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 19:44:50 ID:5/FEcLfQ0
と、まぁ、最後に荒らしか愉快犯かの馬脚を現したってとこかね↑

784 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/26(金) 20:12:25 ID:i/BGxRX.0
見苦しいだけの愚図だったな

785 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 13:57:47 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、お久し振りです。

>>713
>何故「ぬこ」でないのだ!
 訂正しました(笑)

>>714
>虎だと丸耳のような気がしますが、あの耳でもオーケーなんですね。
 いえ、虎ミミは虎ミミでもトラネコミミです。

>>715
 715様、有難うございます。

>昭和50年代のアダルトビデオって、親父のコレクションを漁ったときに見たことありますけど、
>確かに今の感性からはちょっと受け入れがたい物があると思いますw
 ちなみに稲葉はライトかつ即Hなヤツが好みです。
 エロにシナリオはいらん!んなのは二次元でやれ!ということでしょう。

>この虎娘とかも本格的に話の中に出して欲しいですね
 その内出てくるかと。
 ……や、それが何時かは未定ですが。

>>716
>爆笑
 最初はガラスの仮面1巻?の月影先生をパクろうとしましたが、手元に無いので止めました(笑)

>稲葉は、この世界で萌えゲーやエロマンガやエロ小説や行列サークル刊行物をパクッタ
>ライトノベル(さすがに萌え絵エロ絵の量産は無理だろ)を執筆したほうが
>高級軍人やってるより幸せだし儲かるんじゃないのか?
 この世界のTVアニメの画風がイマイチなので、こっそりPCに入ってたアニメ絵なんかを……

786 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 13:58:39 ID:Hd5cQ7n60
>718
>こちらの世界ではビキニやハイレグなんて有り得ないし、
 こっちの世界ではポルノ扱いになるでしょうねえ。

>>751
>ふと思ったのですが、アルフェイム世界の地球って、時間の単位はどうなっているのでしょう?
 元の世界と非常に近い、と考えてください。
 考えてはいるのですが、変える可能性も高いので……
(一応『1年は12ヵ月×5週×6日、後は数年に1回の閏年で調整』とも考えていますが、閏年の前年ともなると季節が大分ズレそうですし)


 ではSS投下。
 2章の前にコレを入れないと……

787 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:00:44 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 第一部外伝1「事変前夜」

 大内海と小内海を結ぶディスバテル大海峡、そのガルム大陸側――正確には
レイヒ・ラウルの両大河流域およそ約300万kuの範囲に、“北東ガルム文明圏
”なる文明圏が存在する。
 同文明圏は約12,000万人という膨大な域内人口とその規模に相応しい優れた
文明を誇り、世界七大文明圏の一つにも数えられる程の巨大文明圏だ。また他
の大文明圏同様、北のレイヒ・南のラウルという二つの大河から発した二つの
文明圏、及びその支文明圏を統合した“複数の文明圏の集合体”でもある。そ
れ故……という訳でもないだろうが、同文明圏は現在二つの対立する勢力によ
って支配されていた。
 北東ガルム文明圏の北半分を支配するレムリア王国、南半分を支配する“大
陸同盟”(*1)である。
(この他にも若干の中立勢力が存在するが、無視しても構わない規模でしかな
い)

788 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:01:59 ID:Hd5cQ7n60
 ――とは言うものの、両者の事情はまるで異なっていた。
 レムリア王国が人口6000万超の一大王国であるのに比べ、対する大陸同盟は
総人口こそ5000万人を超えているが、南部諸国の連合体に過ぎないのだ。しか
も属する国家が100を超える(*2)とあっては、些か“烏合の衆”なる言葉が頭
を過ぎるのも無理からぬことだろう。(対峙するレムリア王国など、“張子の
竜”と嘲笑していたくらいだ)
 が、にも関わらずこの同盟は既に200年以上続いていた。同盟諸国のみなら
ず敵対するレムリア王国も含めた各国の様々な事情や打算の結果とはいえ、そ
れだけの長期間に渡って安定と平和――少なからぬ小競り合いこそあったが―
―を保障していたのだ。
 同盟自体も時代の流れと共に変化していき、当初こそ(規模はともかく)単
なる軍事同盟に過ぎなかったが、現在では経済共同体とでもいうべき存在にま
で発展している。いつしか大陸同盟は同盟諸国にとり、軍事的にも経済的にも
圧倒的優位に立つレムリア王国から独立を守るためには必要不可欠な存在にま
でなっていたのである。
 ……そんな同盟諸国の一国に、イルドーレ王国なる国家が存在した。

789 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:03:20 ID:Hd5cQ7n60
 イルドーレ王国は、大陸の沖合いおよそ250〜630ミールの海域に浮かぶ島々
(南クローゼ列島)を支配する島嶼国家である。
 人口7万人、うち5万人が大陸から500ミール近くも離れたイルドーレ本島に
存在するという、半ば大陸から切り離された存在だった。(事実、イルドーレ
王国は北東ガルム文明圏中では『最も貧しく蛮』とされ、“島住み”“海猿”
などと半ば公然と嘲笑されていた)
 ……そんなこの国がまがりなりにも同文明圏の一員と見做されているのは、
ひとえにかつて大陸のごたごたに乗じて大陸同盟の一員に名を連ねることに成
功したからに他ならない。
 が、それから二百余年……太平に慣れ、当時の外交感覚は既に無い。狭い国
の中、コップの中の争いに現を抜かすだけの状態が続いていた。
 ――“黒船”が来航したのは、丁度そんな時代だった。

790 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:03:56 ID:Hd5cQ7n60
――――イルドーレ諸島沖上空、第三空中竜兵隊

「……報告には聞いていたが、まさかこれ程とは――」

 眼下を疾走する船……と呼ぶには余りに巨大な存在に、第三空中竜兵隊隊長
は絶句した。
 最大級の外航船ですら全長170ブートがやっとであるにも関わらず、コイツ
は『全長700ブート近く』という冗談の様な大きさだ。船と言うよりは“海に
浮かぶ城”と呼んだ方が余程しっくりくる。

「“海を疾る城”、か」

 思わず呟き、ふと疑問に思う。

 ――そういえばコイツ、どうやって動いているのだ?

 船の動力と言えば風力に決まっているのだが、コイツは帆を張らずに走って
いる。それどころか、帆を張るマストが無い。 ……いや、それらしきものが
有るには有るのだが、この巨体を動かすには余りに貧弱な存在である。
 ……にも関わらず、恐ろしい程の高速だ。感覚的――初めて見る大きさなの
で余りアテにならぬが――に並のフネの倍近い。

「一体、何処の国の船だ?」

 こんな船、見たことも聞いたことも無い。
 第三空中竜兵隊隊長は首を捻った。

791 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:04:35 ID:Hd5cQ7n60
――――イルドーレ諸島沖海上、帝國海軍一等巡洋艦“筑摩”

「12時の方向に機影!」

 その報告に吉田は目を凝らすが何も見えない。
 が、艦長から双眼鏡を借りて覗き込むと、芥子粒の様な“点”が複数視えた
……様な気がした。

「……まあ、見張り員は特に目の良い兵をあてがっておりますからなあ」

 だから無理も無い、と艦長は笑う。
 先んずれば敵を制す――何でも夜間の見張員などは暗闇に目を慣らすため、
日没数時間前から暗い部屋に閉じ篭り、暗闇に慣らすらしい。
 それを聞いて吉田は呆れた様に首を振った。

「……レーダーを開発して配備すればいいだけの話じゃないか」

 英国がレーダーの力でドイツ空軍からロンドン上空を守りきった――その後
も小競り合いは続いているが――ことを思い出し、指摘する。
 が、艦長は顔を顰めて首を振った。

「レーダー? ……ああ、電探のことですか。ありゃあ駄目ですよ、闇夜に懐
中電灯を振りかざす様なもの、いい的です。位置が割れている陸上基地なら兎
も角、艦隊は隠密行動が常ですから。
 それにやはり最後に頼りになるのは、機械ではなく訓練に訓練を重ねた人間
ですよ」

「……そりゃあそうだろうがね」

792 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:05:07 ID:Hd5cQ7n60
 技術の海軍も所詮この程度か、と少なからず失望しつつも、吉田はそれ以上
追求するのを止めた。
 代わりに視線を甲板上に転ずると、対空戦闘準備の命令が出されいるせいか
、機銃員と武装した水兵があちこちで目に付く。
 ……武装した水兵?『対空戦闘準備』なのに?

「“空からの切込み”に備えるため、陸戦隊を臨編したのですよ。 ……連中
、所構わず離着陸出来ますからなあ」

 吉田の疑問を悟り、艦長が説明した。
 ……その苦い表情から察するに、海軍はかつてその“空からの切込み”とや
らで散々痛い目にあったに違いない。

「意気込みは買うが、我々はあくまで交渉に来たのだ。初っ端から事を起こす
のは勘弁してくれよ?」

「なに、念のための準備ですよ。 ……ま、あんな小型の飛竜じゃあ何もでき
やしませんがね」

 そう言って艦長はせせら笑う。
 向かって来る敵はワイバーンではなくただの飛竜(ワイアーム)。ブレスは
吐けず、速度も100q/hに満たない非力な存在だ。到底脅威足り得ないだろう。

「頼むよ、本当に」

 吉田は軽く肩を竦め、念を押した。

793 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:05:38 ID:Hd5cQ7n60
 帝國海軍一等巡洋艦“筑摩”は現在、一路イルドーレ王国目指して航行して
いる。
 その目的は『外交使節団の移送兼護衛』。転移してから早一年以上――大内
海沿岸の資源地帯をほぼ手中に収め、ようやく一息つきつつあった“帝國”は
、早くも次の手を打とうとしていた。資源の次は市場、とばかりに中央世界進
出のための橋頭堡を築くべく行動を開始していたのである。 ……些か早過ぎ
る気がしないでもなかったが。

 “帝國”がこれからイルドーレ王国に対して行おうとしていた外交は実にシ
ンプルで、『“黒船(筑摩)”で来航することにより相手に衝撃を与え、有利
な交渉を行う』という砲艦外交の最たるものだった。当座の要求も『食料・物
資の提供(輸出)要請』とペリーの黒船と酷似していることから、俗に“ペリ
ー計画”とも称されており、過去の自分達の体験から“帝國”人の誰もが成功
を確信していた。
 ……が、彼等は重要なことを忘れていた。
 黒船来航の意味を正しく理解し、かつ正しく行動できた国家は、(転移前の
)世界広しといえどもかつての“帝國”だけだった、ということを。
 この世界が大艦巨砲主義とは真逆の“航空主兵主義の権化”とも言える世界
だ、ということを。

794 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:06:09 ID:Hd5cQ7n60
*1 ――――大陸同盟――――
 ラウル条約に調印した諸国による同盟なので、正式には“ラウル同盟”と呼
ぶのが正しい。 ……が、その余りの大規模さから、何時しか“大陸同盟”と
呼称される様になった。
 ちなみにラウル条約なる名称は、北東ガルム南部に流れる“母なるラウル”
――南部の象徴――から採られている。
 
*2 ――――『属する国家が100を超える』――――
 大陸同盟”に加盟する諸国の詳細は、ロッシェル王国(人口800万超)及び
ブールジュ王国(同650万超)の二大国を筆頭に、人口150〜300万級の上位中
堅国が6、同50〜150万級の下位中堅国が20、更に同10〜50万級の小国30、同10
万未満の零細国52の計110ヶ国である。
 ……成る程、確かに同盟に頼らざるを得ない規模だ。ロッシェル・ブールジ
ュの両大国といえども、とても単独では(この世界の主戦力たる)魔道兵器の
開発と配備を両立出来ないし、それ以下の国々……特に小国・零細国と呼ばれ
る国々に至っては、そもそも兵の頭数すら満足に揃えられないだろう。同盟が
200年以上続いたのもむべなるかな、だ。(軍事のみならず経済に関しても同
様のことが言えた)

795 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/27(土) 14:06:58 ID:Hd5cQ7n60
SS投下終了。

796 名前:名無し三等兵@F世界:2007/10/27(土) 15:37:09 ID:dDKWsT0E0
くろべえさん、投下乙です。

ああ、黒船(のような存在)は清・インカの例があるしなあ…。
吉田さんなら何とかしてくれそうだけど。

利根型の「筑摩」だと、後部甲板あたりに「空からの切込み」が容易に可能だしなあ。

797 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 00:36:14 ID:D8LHjLlI0
なんか、緻密さに重心を置きすぎると佐藤大輔症候群を発症しそうだと
何かが囁いてくるのですが、幻聴でしょうか?

798 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 03:11:36 ID:KOyJSi.M0
くろべえ氏にコスプレする嫁がいるならまずいな

799 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 09:18:16 ID:WNCFzM6s0
くろべえさん、投下乙です
黒船外交。てっきり王弟と秘密裏に先行接触していると思いましたが、正当
外交も帝國ができたのですね。
正しく行動できた国家は、帝國だけ?
実際10年以上の混乱が在りましたし小国とはいえまともに対応しても、帝國
「軍」の我慢が持たないかも。
レーダーは、覇者世界の様に濃霧地帯、海域を支配下に置くか、ミッドウェ
イの悲劇が無いと開発に向かわないかも。もしかして柳本大佐が出世しない
とダメかもしれない。
時系列。某投稿サイトのゼロ魔のクロスオーバーのように、前後が飛びすぎ
て混乱しそう。

800 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 09:49:21 ID:KsVZtvS.O
>>797
一回リセットした時点で立派な佐藤大輔症候群ですが、それが何か?

801 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 09:59:15 ID:pDryFPMk0
恐ろしいこと言わないでくれよ。
佐藤大輔症候群なんて発症したら未来永劫完結できないじゃないか。

802 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 12:27:54 ID:mG5.CCGA0
ダイジョウブ!完結すれば佐藤大輔症候群は完治するから!
…アレ?

803 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 14:51:59 ID:CVvlTB1s0
「征途」が完結したのは何年前だ?
くろべえさん そっち行っちゃだめだ〜!
そんな悪夢にうなされて飛び起きる日々・・・・なんてのは
勘弁してくださいよ!

804 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 16:52:27 ID:PP8LAOHE0
信長制海伝?だっけ、出版元違いでコレクター心をくすぐるシリーズは。

805 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/28(日) 19:41:47 ID:Bohu6sek0
投下お疲れ様です。

しかし、艦長はレーダーを信用していないですね。闇夜の提灯でも大いに役立つのに。
この艦長が意識を改めるのいつの事やら。

806 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 20:14:22 ID:01C93pOc0
相手に電波を探知する手段がないなら闇夜の提灯にはならないんでは?
この世界にそれがあるとは思えないし、この話の登場人物達もこの世界に
電波を探知する手段がある(可能性が高い)と判断するとは思えないんだが

807 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 20:32:24 ID:yn4F6CqM0
未知の技術は触るのが怖い。
私の母はカセットテープが使えない。
しかしDSでボケ防止のゲームを毎日している。
(孫からワンツーマンで使い方を習った)

808 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 20:57:55 ID:Il9dO2Oc0
戦場では長く慣れ親しんだ信頼性のあるものしか使わないというと
多少はまともに見えるから困る

809 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 21:02:52 ID:9MBCIY3k0
自分の母は、カセットテープの扱い教えると言っても断るからなぁ。
ラジオだけでいいと。

810 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 21:25:21 ID:5bOVbU9E0
確か海軍より陸軍のほうが電探開発に積極的なんですよね
動かない巨大な的であるパレンバンの油田など、
資源地帯を管轄している陸軍のほうが
危機意識を持っているのは当然なんだが・・・

811 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 22:20:51 ID:3dNiS3EE0
うちの母はビデオの予約も未だにできない。
それはともかく、初期のモデルに触れただけで「あれは使えない」というのは今でもあるような。
技術は進歩するものなんだが。

812 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/28(日) 23:19:48 ID:rA.E4kz60
林ジョージが「人間50を過ぎると電気を操る機械から逃げたくなるのだ」とか書いてたなあ

813 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/29(月) 03:47:05 ID:55XpGFAo0
>「あれは使えない」というのは
先入観ですね。
初期不良故障の多かったパンター戦車もその問題が改善された後期型
が出回った後も初期のイメージを払拭し切れませんでしたし。

>電探
戦前の日本製電探の歴史はここのサイトが詳しいっす。
当時電探観測員をされていた作者さんが書いているので参考になります。
まあ実際の話電探で早期警戒網を作れたとしてそこに敵機が引っかかった
後こちら側の迎撃機を目標空域に誘導する管制システムの構築が難しい
です。
普通の電探は敵機の高度がすぐには判らないし電探も戦闘機の航法装置も
誤差が多少は出ます。
それらを補正して警戒網に捕捉された敵機を追いかけるシステムがあれ
ばいいんですが。
将来的な帝國の進むべき兵器の姿としては旧ソ連の兵器システムがあっ
てるのかもしれません(MIG-25とか)。


暗転南
ttp://www1.odn.ne.jp/~aac00450/index.html

814 名前:陸士長:2007/10/29(月) 19:42:34 ID:KNJCSNJU0
投下乙です。
うーん、今までの相手が弱かった為に技術革新が鈍り気味のようですね。
「出会った敵なんて土人」→「列強も中世に毛が生えた程度だろ」
→「急かすように新兵器や装備を開発しなくても間に合う」ってな事になりそうです
中堅国であるあの国ですら帝國製兵器と互角に戦えるモノがあるんですから、そんなトコで躓いている場合じゃないでしょと。
せっせと自国装備のグレートアップを計らないと痛い目に遭いますよと。

815 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/29(月) 21:49:48 ID:PrNDtOqYO
>>807
好奇心は精神年齢に反比例するから、年をとればとる程、新しい物を受け入れようとしないのは当然だわな

816 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 09:19:37 ID:pDryFPMk0
>せっせと自国装備のグレートアップを計らないと痛い目に遭いますよと。

でも痛い目に会わないと(あっても)改善しないのが大日本帝国クオリテイ。

817 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:46:38 ID:Hd5cQ7n60
>>796
 名無し三等兵様、有難うございます。

>ああ、黒船(のような存在)は清・インカの例があるしなあ…。
 あと李氏朝鮮とか。

>利根型の「筑摩」だと、後部甲板あたりに「空からの切込み」が容易に可能だしなあ。
 懲りた帝國は、次話の様な対策を施しております。
 ……ただ、史実程のハリネズミではないですけど。

>>797
 気のせいです、多分……きっと。

>>798
 コスプレする嫁はいませんが、美人ぬこなら欲しいです。

>>799
 799様、有難うございます。

>帝國「軍」の我慢が持たないかも。
 ちなみに中央世界進出を聞かされた陸軍の反応は、「オーストラリアに侵攻せよ」と言われた時の様な感じです。

>レーダー
 英米とやりあってないし、ドイツもいないから刺激も情報も無いですからねえ。無理も無いですよ。

>時系列。某投稿サイトのゼロ魔のクロスオーバーのように、前後が飛びすぎ
て混乱しそう。
 申し訳ありません。HPで見ると比較的判り易いかも。

818 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:47:57 ID:Hd5cQ7n60
>>800〜803
 本当に申し訳ありません、鋭意努力します。

>>805
 ヨークタウン様、有難うございます。

>この艦長が意識を改めるのいつの事やら。
 本格的な軍と交戦しないとやはり無理でしょう。
 「俺はこれしか知らない、だからこれが一番いいんだ!」という感じですか。
 ……いや、兵はそれでいいけど、高級将校がそれではまずいだろ。

>>806
>相手に電波を探知する手段がないなら闇夜の提灯にはならないんでは?
 この世界の連中なんか眼中に無いですからねえ、彼ら。

>>807〜813、815、816
 やはり欧米の情報が入ってこないことが大きいでしょう。
 あと自国の技術力が低いことも問題です。
 一応造っても、低性能の上に信頼性ゼロ……これじゃあ上を説得できません。
 ある程度の性能を見せ付けるか、海外の情勢を御旗に将来性を示さないと。

>確か海軍より陸軍のほうが電探開発に積極的なんですよね
 隠密の必要性もありませんし、陸上型の方が艦載型よりもハードル低いですからねえ。
 それに英国がドイツ空軍を阻止したのはやはり印象的でした。

>戦前の日本製電探の歴史はここのサイトが詳しいっす。
 813様、情報ありがとうございます。

819 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:50:20 ID:Hd5cQ7n60
>>814
 陸士長様、有難うございます。

>せっせと自国装備のグレートアップを計らないと痛い目に遭いますよと。
 予算削減の上、大幅に在庫抱えてますからねえ。
 未知の分野に大枚出す勇気はちょっと……


 ではSS投下。

820 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:52:12 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 第一部外伝1「事変前夜」

 双眼鏡ですら芥子粒の様だった飛竜が、肉眼ですらはっきりと認識できる様になった。

「機影確認!」

「対空対強襲戦闘準備!」

 対空指揮官の言葉に、甲板上に緊張が走る。ここまで近づかれたら高角砲では対応出来ない、機銃の出番だ。
 機銃要員達は銃座で機銃を操作し、陸戦要員は完全武装で要所に待機する。
 ……良く見れば、高角砲や機銃の要員達も腰に拳銃を下げている(狭い配置内では小型拳銃とはいえ邪魔そうだ)。特に単装機銃の要員など、その足元に弾薬箱に混じって小銃を収めた箱まで置いている。
 実は彼等単装機銃の要員も要所に待機する者達同様、専門の陸戦要員なのだ。彼等は艦固有の定員には含まれておらず、必要に応じて新設された“本部”(*1)から派遣されることとなっている。その基本任務は単装機銃の操作及び陸上戦闘であり、丁度かつての英国海兵隊の様な役割を担っていた。

「撃つな……撃つなよ」

 特設機銃座の各班長が、そう何度も繰り返す。
 連装機銃の機銃員達が汗をかきながらワイアームを追尾する中、単装機銃は比較的容易に追尾する。
 が、だからと言って『単装の方が連装よりも優れている』という訳では無い。確かに連装は俯角・旋回速度に問題があるが、単装は単装で給弾に問題がある、どちらも一長一短であり、組み合わせて初めて効果を発揮するのだ。(“帝國”海軍は、それを大内海で散々学んだ)

821 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:53:07 ID:Hd5cQ7n60
 ちなみに“筑摩”の対空兵装は12.7cm高角砲が連装4基8門、25mm機銃が連装8基・単装8基の計24挺であり、転移前と比べ13mm機銃(連装2基4挺)が25mm機銃(連装2基4挺)に換装された上、新たに単装の25mm機銃が採用・増設されている。
 そして専門の陸戦要員が60名――これ等の措置は全て、転移後の教訓によるものだった。

 大内海での戦いにおいて“帝國”海軍が最も……と言うより唯一手を焼いたのが、『空からの斬込み』だった。
 低速とは言っても100q近い速度で飛行するワイアームは、そう簡単に撃ち落せるものではない、ましてや海面スレスレを飛行されたら尚更だ。そして一旦懐に潜り込まれれば、高角砲はもちろん連装や三連装の機銃では追尾不能、容易に乗り込まれてしまう。
 そして一旦乗り込まれてしまえば、甲板上は殺戮の場だ。“帝國”海軍の将兵は艦内では基本的に非武装であるし、陸戦経験も皆無に等しい。対する敵は基本的に弓矢や刀槍のみとはいえ戦い慣れており、ワイアームの様な化け物まで従えている。 ……結果は火を見るより明らかだった。(そもそもこの様な事態、想定すらしていない)
 無論、最終的には鎮圧できるものの、甲板上は敵味方の血に塗れた、などといった事態が多発したのである。(更に言えば、独航する輸送船の被害などこの比ではない)
 この斬込み戦術により少なからぬ数の死傷者を出した“帝國”海軍は、慌てて以下の対抗策を実施した。

822 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:54:28 ID:Hd5cQ7n60
 ・対空・対水上近接防御力を高めるため、各艦艇に13o又は25o単装機銃を増設する。
  定数は――
  戦艦・正規空母が25o単装機銃12。
  巡洋艦・軽空母が25o単装機銃8。
  駆逐艦が25o単装機銃4。
  それ以下の艦艇が13o又は25o機銃を単装2〜4基。
  ――とする。(一部の小艇を除き、最低でも片舷2射線を確保すること)

 ・各艦艇に配備している陸戦兵器の定数増強と陸戦専門要員の配属。

 以上の措置により、ようやく敵の斬込み戦術に対抗できる様になったのである。以後、被害は激減した。
 ……とはいえ、最も効果を挙げたのはもこの様な“対処療法”ではなく、敵拠点の制圧や現地に対する慰撫策といった“予防療法”だったのだが。



 と、10頭程のワイアームが周囲を飛び交う中、1頭がゆっくりと艦に近づいてきた。
 そして第二主砲塔の上空数mで静止し、大声量で口上を述べた。

「私はイルドーレ王国軍第三空中竜兵隊隊長、ホセ・ブランである! 貴艦は既に我が国の領海へと足を踏み入れている! その真意は如何に!」

823 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:55:11 ID:Hd5cQ7n60


――――イルドーレ王国、王城。

「“帝國”? 聞いたこともない国だな?」

「聞く所によれば、大内海にある国だとか」

「なんだ、蛮族か。 ……そんなことより、新しい酒はまだ届かぬのか?」

 重臣の報告を軽く聞き流すと、国王は杯を呷る。
 そして、顔を顰めた。

「……不味い、不味くて敵わん。やはり国産は駄目だ」

 そう呻くと、杯に残った酒を床に捨てる。

 バシャッ!

 国産としては最上級の蜂蜜酒であったが、所詮は“田舎の醸造所”の品、大陸の一流どころのそれとは比べるべくもない。その代わり――と言うのも何であるが、安価だった。無論、仮にも一国の王が飲む酒であるから、庶民が気軽に飲める様な代物ではない。が、それでも大陸の一流品をわざわざ取り寄せるのと比べれば、天と地ほども違う。 ……そして何より、払った金は『地元に落ちる』ということが素晴しかった。特に現在の様な状況では。

 傍に控えていた侍女が、無言で床に零れた酒を拭う。
 ……その布巾も大陸産だ、買えば庶民の日当が吹き飛ぶだろう。
 重臣は意を決し、口を開いた。

824 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:55:59 ID:Hd5cQ7n60
「恐れながら陛下が注文なされようとした品々、我等が独断にて取り消させて頂きました」

「何だと!? それでは、余は一体何を楽しみにして生きていけばよいのだ!!」

 国王は怒り狂い、手にしていた杯を床に叩きつける。
 ガラスの杯――やはり大陸の第一級品である――は音を立てて砕け散った。
 その破片は重臣にも飛び散ったが、彼は尚も言葉を続ける。

「陛下、大陸産の品々の購入を、どうかいま少し抑えて頂けないでしょうか? せめて我が国にもある品くらいは、我が国のものをお使い下さい」

「馬鹿な!? その様なもの、文化人たる余に合う筈もなかろう!」

 文化人や貴人には、それに相応しい品があるのだ、と王は頑強に主張する。

「お言葉ですが、我が国の財政は――」

「黙れ黙れ黙れ! 余は、お前達に無理矢理この様な僻地に連れてこられたのだぞ!? 全てお前等が悪いのだ!!」

 散々怒鳴りつけると、王は聞く耳持たぬ、とばかりに奥へと引っ込んでしまった。
 一人残された重臣は、この王の行動に内心大きな溜息を吐いた。

825 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:56:43 ID:Hd5cQ7n60

 ――やはり、シャラントでの生活が元凶か。

 教育を間違えた、と言わざるを得ない。
 先王の意向により、現王は一流の教育を受けるべく、成人するまでロッシェル王国で暮らしていた。
 ……それが裏目に出た。大陸大都市での生活に慣れきってしまい、故郷に帰ることを忌避したのだ。
 半ば無理矢理にイルドーレに連れ戻された王――当時はまだ王太子だったが――は自国の辺鄙振りを大いに嘆き、大陸での生活を懐かしんだ。
 そして先王が死去して王位を継ぐと、身の回りの品々――それこそ食材から日用品に至るまで全てを大陸のものに変え、大陸風の生活を常としたのである。

 王は酒に酔うと、決まって口にした。
 こんな魚臭い僻地で余は一生を終えねばならぬのか、と。
 何故余は大陸に生まれなかったのか、と。

 ……イルドーレの不幸はこの様な男が王だったこと、そしてこの男以外に王家直系が存在しないことだった。
 王とはいえその実態は“七〜八万石の田舎大名”に過ぎないイルドーレ王が、この様な放蕩をして国が保てる筈がない。御蔭で借金は急増し、国の財政は破綻寸前――という状況である。要するに当時のイルドーレは内政で手一杯であり、とうてい外交など行う余裕などなかったのだ。(まあ例え余裕があったとしても、果たして適切な対応が採れたかどうかは大いに疑問ではあるが……)

 そんなイルドーレにとり、“帝國”の来訪は正しく“泣きっ面に蜂”“弱り目に祟り目”だった。
 ……果たして何人がそれに気づいているかは不明だったが。

826 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:57:40 ID:Hd5cQ7n60
*1 ――――『“本部”』――――
 特設機銃員教育隊のこと。本来は『限られた人員を効率よく運用する』と共に『戦時に必要とされるであろう膨大な機銃員の教育機関』として新設されたのだが、何時の間にやら帆船時代の英国海兵隊紛いの任務まで併せ持つ様になった。
(彼等は乗艦の防衛に止まらず海賊狩りや山賊・空賊狩り、或いは暴徒鎮圧と積極的に打って出ており、『海軍で最も血を流している部署』とすら囁かれている程だ)

 特設機銃員は陸戦も機銃操作も3名(1個班)を基本単位としており、転属も配置も班単位で行われる程徹底されている。その陸戦時の武装は――
   機銃班 班長・第二班員が四四式騎銃、第一班員が九六式軽機関銃及び拳銃。
   擲弾班 班長・第二班員が四四式騎銃、第一班員が八九式重擲弾筒及び拳銃。
   突撃班 班長が一〇〇式短機関銃、班員2名が四四式騎銃。
 ――となっている。とはいえこれはあくまで理想であり、現実は一〇〇式短機関銃はおろか四四式騎銃ですら碌に手に入らず、これ等の代わりに三八式歩兵銃、或いは三八式騎銃を主装備とするのが常だった。

 ちなみに各艦に派遣される時は、指揮要員に加えて単装機銃1基につき6名――つまり運用定員の倍――の人員が派遣されることとされている。例えば“筑摩”派遣の特設機銃員の編成は――
   指揮班  将校2、下士兵6
   第一分隊 下士官兵13
   第二分隊 下士官兵13
   第三分隊 下士官兵13
   第四分隊 下士官兵13
 ――となっている。対空対強襲戦闘には『2個分隊が特設機銃を運用し、残る2個分隊が完全武装で強襲に備える』という態勢だ。

827 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/30(火) 13:59:09 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。ついでに特務砲術科(自称)も登場。

828 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 16:00:33 ID:gEGi1wEI0
>くろべえ氏
おっつ〜

ようやく吉良組キタ━━(゚∀゚)━━!!

この後は吉良大佐と浅野中尉の掛け合いや、海兵隊の様な陸戦、
陸軍参謀少将閣下とのいんぼーの話が出てくるわけですか wktk

829 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 19:22:33 ID:4tCisA6A0
くろべえさん乙
>王は酒に酔うと、決まって口にした。
>こんな魚臭い僻地で余は一生を終えねばならぬのか、と。
>何故余は大陸に生まれなかったのか、と。

・・・百年後の某帝國邦国国王のような言い回し。
ましかしたら、前世かも。
そして、かの魂は「エターナル田舎者」として、転生を何度くりかえしても
見果てぬ中央文明圏の都での生活を懐かしみつつ、ど辺境で生涯を終えるので
ありました。

(ムアコックねたはマイナーですかな?)

830 名前:長崎県人:2007/10/30(火) 19:34:21 ID:2MxH4A12O
くろべえさん投下乙です


んが、しかしですね。八九式12.7センチ高角砲でも対目標が


敵の降爆進入高度5500m、時速320キロで自艦に直進する際、自艦上空で急降下に移るまで100秒かかるとし(かのワイアームなら200は確実にかかるでしょう)それに二門で120発を発射して命中弾を得るように出来てます(遠藤昭・空母機動部隊より)機銃は言わずもがな

で、ワイアームはカモ以下というか、標的にすらならないでしょう。数を投入するか、よっぽど艦の練度が低くないかぎりは
たしか山城だったかでやってた艦首に三角形に座って小銃による対空射撃(時期的に改装前だったかな?)までやってたら、切り込みすら不可能っすね、これだと


つか、速度的に日中戦争で対空火器開発に目覚めた海軍として、丁度いいか、ぬるい速度ですよ、ワイバーンらって(さすがにワイバーンロードだと厳しいですが)。翼による上下の振り幅がもっと大きくないと厳しいかも


むしろ対一航艦とした方が対空火器や電探の開発は進むかも。ワイバーンらをボロクソに撃ち落として、ほらみろ航空主兵は役立たずだ〜!とか言って(とまぁうちはそうしちゃったんですが・・・(汗)



ネタが海軍になったのでカキコ、と

831 名前:にしなさとる:2007/10/30(火) 20:12:12 ID:DFCz.y0I0
くろべえさん、お見事です。

しかし、イルドーレ王国が、帝国の来寇をどのように"禍を転じて福となす"のか、大いに興味が
ありますね。本編の内容によると、帝国はイルドーレ王国から、かなりの物資を買い入れている
ようですが、はたしてイルドーレ王国は、"帝国の大陸貿易の中継拠点"になれたのでしょうか?

それと、イルドーレ王国の王様、すでに自国内の大半を敵に回していることに、気づいていない
ようですね。いずれすべてを敵に回して殺されるのでしょうなあ……。

832 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/10/30(火) 21:09:31 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏投下お疲れ様です。

小国で借金だらけ、しかも王はろくでなしというのはかなり痛いですね。
筑摩との邂逅でイルドーレが良い方向に変わるか、悪い方向に変わるか・・・・

それにしても、吉良組久しぶりの登場ですね。なんとなく嬉しい気持ちが (。・x・)ゝ

833 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 22:20:21 ID:lGUFSpGY0
くろべえさん、投下乙です。

確か本編ですと、イルドーレ国王は帝國との接触前後に急死しているんですよね。
まあ、暗君ってレベルじゃねーぞな王様なんでやむを得ないのかもしれませんが。

834 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 22:22:10 ID:pDryFPMk0
問題は本編に出てくるのはいつ?ということですね>キラ組

本編だけに限っても書くべきことはいっぱいありますし
しかもくろべえ氏はご自身のホームページに「はぴねす!」や「遥かに仰ぎ」の2次SSも書いてますし。
後転移男も。


まあキラ組は現行版が旧版に追いついてからでもいいんで無理せずがんばってください。

835 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/30(火) 22:59:55 ID:lUmeIgxc0
投下乙
素晴らしく無能ww無能の鏡ですな
そして吉良組の復活にwktkを禁じえませぬ

836 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/31(水) 00:11:49 ID:Pusv3SwY0
ぶっちゃけた話
「ワイアームの速度は『赤とんぼ』の半分、離陸速度(94km/h)に近いレベル」

生物特有の体のしなりを生かした変態的機動がなければお話にならないレベルですな。

837 名前:陸士長:2007/10/31(水) 02:03:44 ID:KNJCSNJU0
酷い王様ですねぇ。
田舎から出て来て東京の毒に染まり、強制送還喰らって帰郷してからも「東京はえがった」と繰り返すあんちゃんみたいですね。
悪い意味で文明圏の利便だけを追究してるタイプで。
帝國が貿易で大陸のモノを流し込んでいれば国は兎も角王様は勝手に自滅してくれそうです。
家臣達も「もう、匙投げようかな」と思っているでしょうし(爆

838 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/31(水) 03:52:18 ID:Hd5cQ7n60
>>828
 828様、有難うございます。

>吉良組
 やはり彼等……というよりも海兵隊の存在は欠かせません、特別陸戦隊はやはり畑違いだしなあ。

>この後は吉良大佐と浅野中尉の掛け合いや、海兵隊の様な陸戦、
>陸軍参謀少将閣下とのいんぼーの話が出てくるわけですか 
 はい。この辺は大分先の話ですし、内容も多少違っておりますが、出てきます。

>>829
 829様、有難うございます。

>・・・百年後の某帝國邦国国王のような言い回し。
 いや、彼はここまで酷くありません。余程親しい人の前でしか口に出さないし。一応彼なりに頑張ってるし。
 この王の場合、やる気ゼロどころか完全にふてくされてますから、もうウン年も。最悪だ……

839 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/31(水) 03:53:54 ID:Hd5cQ7n60
>>830
 長崎県人様、有難うございます。

>八九式12.7センチ高角砲
 油節約のため、高角砲なんぞ持ってる様な大物が出張る例は少ないですからねえ。せいぜい駆逐艦までですよ。(大半はそれ以下か小型特設艦船)
 SS中の筑摩の場合、懐に入ることを意図的に許したので、高角砲では効率がよろしくない距離でしたから。

>敵の降爆進入高度5500m、時速320キロで自艦に直進する際、自艦上空で急降下に移るまで100秒かかるとし(かのワイアームなら200は確実にかかるでしょう)それに二門で120発を発射して命中弾を得るように出来てます(遠藤昭・空母機動部隊より)機銃は言わずもがな

 それは理想値では? 実戦では色々悪条件が重なるから、これを大きく下回りそうですが。
 それに2門で120発撃つには、最大発射速度(14発×2/分)でも260秒近くかかりますよ。実際には300秒以上かかるんじゃあないかなあ?
 しかし1機落とすに(理想値ですら)コレでは、雲霞の如く押し寄せる米軍機相手に奮戦したご先祖の苦労がしのばれます。

>速度的に日中戦争で対空火器開発に目覚めた海軍として、丁度いいか、ぬるい速度ですよ
 なんか海軍さんと話しているみたいです(笑)
 ……いえ、そりゃあこの速度ですし、落とすなり威力で戦意喪失させるなりできるでしょうが、こんなヤツ相手に一々12.7センチ弾百発以上も放つのはちょっとコストが。
 弾代もそうですが、確か12.7センチ高角砲の戦時定数は200発/門ですし、こんなご時世ですから補給も大変。
 機銃も「ひきつけて撃て!」ですよ。節約節約。(陸軍から見ればこれでも贅沢ですが)

840 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/31(水) 03:56:12 ID:Hd5cQ7n60
>>831
 にしなさとる様、有難うございます。

>はたしてイルドーレ王国は、"帝国の大陸貿易の中継拠点"になれたのでしょうか?
 帝國から見て、大陸への拠点として絶好の位置にありますからねえ。
 しかも昭北島よりも大規模(大規模展開可能)&曲がりなりにも万規模の文明人が住んでいます(娯楽あり)から。
 帝國が物資供給源としてだけで満足するはずもなく……

>イルドーレ王国の王様、すでに自国内の大半を敵に回していることに、気づいていない
 被害者意識の塊ですからねえ。貴人なんて大半がこんなもの、他人ことなんか斟酌しません。

>>832
 ヨークタウン様、有難うございます。

>小国で借金だらけ、しかも王はろくでなしというのはかなり痛いですね。
 家臣ももう我慢のでしょう。今はまだ「心ある家臣が国の将来を憂う」程度(大半はノンポリ)ですが、あと一押し何かあれば……

>筑摩との邂逅でイルドーレが良い方向に変わるか、悪い方向に変わるか・・・・
 外交感覚次第、でしょうね。
 帝國の真意を汲み取れれば、そしてそれを実行する実行力があれば上手くいくでしょう。
 ……けど、これが中々難しいです。特に実行が。(わかっちゃいるけど、てヤツですね)

841 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/31(水) 03:57:40 ID:Hd5cQ7n60
>>833
 833様、有難うございます。

>確か本編ですと、イルドーレ国王は帝國との接触前後に急死しているんですよね。
 はい。誰にとっても丁度いい時に急死しました。
 死因は「長年の放蕩による死亡」とされています。
 が、そこまで放蕩するタイプじゃあなかった筈(質はともかく量的には)ですけど。

>>834
>問題は本編に出てくるのはいつ?ということですね>キラ組
>本編だけに限っても書くべきことはいっぱいありますし
>しかもくろべえ氏はご自身のホームページに「はぴねす!」や「遥かに仰ぎ」の2次SSも書いてますし。
>後転移男も。
 申し訳ない。本能のおもむくままに書いていたら何時の間にやら戦線が拡大し、兵站が伸びきってしまいました。

>まあキラ組は現行版が旧版に追いついてからでもいいんで無理せずがんばってください。
 有難うございます。とはいえ追い付くのは何時の日か……(苦笑)

>>835
 935様、有難うございます。

>素晴らしく無能ww無能の鏡ですな
 ふてくされて国政放棄、ですからねえ。無能ってより子供です、無能にも行ってませんよ、この人は。

842 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/10/31(水) 03:58:11 ID:Hd5cQ7n60
>>836
>ぶっちゃけた話
>「ワイアームの速度は『赤とんぼ』の半分、離陸速度(94km/h)に近いレベル」
>生物特有の体のしなりを生かした変態的機動がなければお話にならないレベルですな。
 ですね、ワイバーンに駆逐されたのも頷けます。
 ……本当は最大で100ミール/h(147km/h)なのですが、風の結界で守られていない為、この速度では空気抵抗が凄いので実用は100km/h以下なのです。弓とかの狙いもつけられませんから。
 ただやはり魔法の力で飛んでいるため、航空機の動きしか知らない帝國人では動きの予想が付け難いのですよ。

>>837
 陸士長様、有難うございます。
>酷い王様ですねぇ。
>田舎から出て来て東京の毒に染まり、強制送還喰らって帰郷してからも「東京はえがった」と繰り返すあんちゃんみたいですね。
>悪い意味で文明圏の利便だけを追究してるタイプで。
 でもある意味可哀想ではありますね。幼少時に大陸大都市で優雅な生活を送っていたのに、あんな僻地に島流しにあったのですから。
 人口30万超の大都市から5000人以下の港町へ、ですからねえ……
 おまけにこの世界特有の「島に対する差別感情」が、より一層事態を悪化させています。

843 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/10/31(水) 14:12:51 ID:LgHS/8eg0
ついにオリジナルマンセー組織、キラ・ヤマト組の登場か。

844 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 07:46:07 ID:i/BGxRX.0
またこういうのが来るか。錬金術のといい、書き込むのを情けなく思えんのかね。

845 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 18:50:15 ID:lXFJbwSE0
>>843
アニオタ死ね

846 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 20:40:38 ID:oKR4ZuJw0
>>843
同じアニオタ、ガノタとして恥ずかしい

847 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 20:47:21 ID:KU8QS5YM0
843が何を言っているのかが理解不能だったので検索してみたが、
要するに忠臣蔵に出てくる吉良家とアニメの登場人物を勘違いしていることでFA?

848 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 21:00:10 ID:CPeZzebA0
それも違う
この場合、忠臣蔵は関係ない
なぜ「吉良組み」と呼ばれてるのかは、旧版帝國召喚本編第6章レムリア動乱16話を読めば解る

849 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 21:02:20 ID:Il9dO2Oc0
最近スルー検定がはやってるな。自分は一番簡単なのも取れなかったが…。

850 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 21:03:08 ID:KU8QS5YM0
>>848
それは勿論知ってるけど、それの元ネタという意味で言ったのだが、わかりずらかったらしい。失礼。

851 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 21:19:14 ID:OFhZwItk0
うーん、マンセーかどうかはともかくとして、
旧版では結構優遇されてるという印象は受けたなぁ。
新版ではどうなるのだろう?

>>791
この世界では逆探を持ってる相手が居ないのだから
一時しのぎででも開発しようと言う機運が生まれても良さそうに思えますが
そんなことはないのでしょうか?

>>850
ごめんなさい、私にも貴方の言ってることの意味が全くわかりません。

852 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 22:37:48 ID:xkEA6qk60
>851
>819

853 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 22:41:04 ID:xkEA6qk60
というか最新50ぐらい読み返せと。

854 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/01(木) 23:37:02 ID:rJdHRqOw0
上が在庫だかえてるから新しいのに手を出すのをためらう事と、
現場レベルで開発要望などの機運が出るのとは
全然違うレベルじゃないか?

855 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:28:17 ID:Hd5cQ7n60
>>851
>この世界では逆探を持ってる相手が居ないのだから
>一時しのぎででも開発しようと言う機運が生まれても良さそうに思えますが
>そんなことはないのでしょうか?
 やられているのは小艦艇ですからねえ。上の危機感も乏しいから、「言い訳」ととられるのがオチかも。
 それに正直、このレベルでは電探のことを良く知る者は少ないです。
 で、知っている者は当然“帝國”の電探性能も知ってる訳で……


 ではSS投下。

856 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:29:03 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 第一部外伝1「事変前夜」

 イルドーレ王国の都はイルドーレ本島のほぼ中央、湾に面した平地に存在する。名を“ハルダー”といい、700戸程の民家が立ち並ぶ小さな港町だ。城で働く者達を含めても人口5000人に満たぬだろう。
 ……5000人の王都、である。まあ人口7万の小国ということを考えれば宜なるかな、だが些か看板倒れの気がしないでもない。
 尤も、これはあくまで“帝國”人の感覚に過ぎない。アルフェイムで『人口5000人』と言えば、中央世界でも町どころか“小都市”、“帝國”が覇を唱える大内海沿岸なら“巨大都市”と見做される規模だ。人口700万超の帝都を始めとする100万都市を複数抱え込み、地方都市ですら『10万都市がざら』という“帝國”とは、そもそもの基準が違い過ぎたのだ。(*1)

 ……話を元に戻そう。
 さて、ハルダーである。
 この王国唯一の都市は現在、ちょっとした騒ぎになっていた。
 
「は〜〜、でっかいフネさね」

「んだな、まるで島だ」

 突如海上に現れた巨大な船に、王都の民は呆気にとられ思わず手や足を止める。
 そして、しげしげと観察した。

857 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:29:55 ID:Hd5cQ7n60
「……しかしあれ程大きくては、竜士(*2)さま方の手に余るんじゃあないか?」

「何、その時はお城の竜騎士さま(*3)が出て来られるさ、騎士さまなら一捻りだ」

「違いない!」

 中には不安がる者もいないではなかったが、他の者達に一笑に付される。
 ……そこに黒船来航時の“帝國”人の様な恐怖は、危機感は無かった。

 『飛竜こそ力の象徴、如何なる船も飛竜には勝てない』

 このアルフェイム特有の“常識”は、彼等の様な無知な民草にまで……いや、無知だからこそより一層強固に根付いていた。
 彼等にとり、海上に浮かぶ“筑摩”よりも、その上空を飛び回る飛竜(ワイアーム)の方が余程強力に思えたのだ。“帝國”の思惑は見事に外れた、と言わざるを得ないだろう。
 が、“帝國”にとっては強大な軍艦こそが“力の象徴”だった。誰しも己を基準に相手を考える以上、『無理からぬ判断』と言えなくもない。
 ……それに、大内海では確かにこの“砲艦外交”は通用したのだから。

 大内海の諸勢力は駆逐艦にすら驚き、戦わずして降伏する例すら多々あった。そうでなくとも、少なくとも交渉で優位に立つことは出来た。
 これは彼等の空中戦力が貧弱だったことに加え、“帝國”が非常に寛大な条件を提示したからこそ……そして何より、彼等が敗者必滅の弱肉強食の世界で生きていたからこそ、であろう。戦争すらも外交の一手段に過ぎない中央世界で通じる筈も無かったのだ。
 が、過去の成功に味をしめた“帝國”は二匹目の泥鰌を狙い、こうして『失敗した』という訳だ。

858 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:30:43 ID:Hd5cQ7n60
「しかし、どこの船だ?」

 何しろこれ程の船である、きっと名のある大国が使わしたに違いない、と群集の一人がしきりに感心する。

「なんでも、大内海の向こうの国らしい」

「……なんだ、蛮族の船かよ」

 大内海と聞き、騙されたとばかりにその男は吐き捨てる。
 そして掌を返した様に興味を失い、降ろしていた荷を担ぐとその場を後にした。
 群集の多くも同様で、男の言葉を合図に次々除き去っていく。
 残ったのは、一部の暇人のみだ。
(彼等の大半は、日々の糧を得るために朝から晩まで働かねばならない。いつまでも“こんなこと”に係ってはいられないのだ)

 ……ああ、『イルドーレだから失敗した』とも言えるかも知れない。
 中央世界の文明人達は、その外に住む人々を夷狄蛮戎と多かれ少なかれ侮蔑しているが、特に彼等イルドーレ人の場合、それが強い。
 これはコンプレックスの裏返しだろう。自らもまた“島国”と差別される存在であり、上手いこと文明国と認められたとはいえ、本来ならば“夷狄蛮戎”と見做される位置にあるからこそ、の。

859 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:31:16 ID:Hd5cQ7n60
 彼等は高らかに謳う。

 馬鹿にすまいぞ。われらイルドーレ、小国といえど中央世界が文明国。
 馬鹿にすまいぞ。われらイルドーレ、島国といえど大文明圏が一国。

 ――と。それ故に彼等は、『大内海の蛮族如きに』とより激しく反発したのだ。

 或いは、戦艦ならばまた違う反応だったかもしれない。優美な重巡とは異なり、有無を言わさぬ存在感を見せ付ける戦艦ならば。
 が、当時の“帝國”の台所事情を考えれば、これは無理な相談だった。

 重巡も大喰らいだが、戦艦はそれ以上に大喰らいである。
 “筑摩”は重油2690tを搭載し8000海浬(18ktの場合)を航行するが、戦艦は重油6480tで9800海浬(“金剛”18ktの場合)と、実に“筑摩”の倍以上の重油消費量である。本土―イルドーレ本島間は直線距離でも優に3000海里以上、必要とする消費量の差は片道1000t、往復ならば2000tを超えることを考えれば、『戦艦を』などとは口が裂けても言える筈が無いことが判るだろう。何しろこの“筑摩”ですら、重油の消費を抑える為に12kt――18kt場合の半分の重油消費で済む――で航海しているのだから……
 更に言えば、数ある重巡の中から“筑摩”が選ばれた理由は、単に戦艦・重巡の中で唯一定員を満たしているのが“利根”“筑摩”の二艦のみ(*4)だったからだ。
 人も油も――全てが不足していたのである。

 要するに、全ては“必然”だったのだ。

860 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:32:42 ID:Hd5cQ7n60
*1 ――――『尤も、これはあくまで“帝國”人の感覚に過ぎない。(中略)そもそもの基準が違い過ぎたのだ。』――――
 アルフェイムでは中央世界でも10万人を超える都市は少なく、人口5000人前後もあれば町ではなく“都市”(ただし小都市だが)と見做される。1万人なら立派な“都市”、3万人もいれば“大都市”、10万人ともなれば“巨大都市”だ。だいたい“帝國”の1/10の規模、と考えて良いだろう。(ただし例外として、列強諸国の都は何れも100万都市である)
 これが辺境となると規模は1/100にまで落ち込み、1万人を超える都市は少な少ない所か殆ど存在しない。故に、人口500人前後もあれば町ではなく“都市”(ただし小都市だが)と見做され、1000人なら立派な“都市”、3000人もいれば“大都市”、5000人ともなれば“巨大都市”という有様だ。
 ……この事実を考えれば、何故“帝國”が中央世界進出を目指したかが判るだろう。確かに大内海沿岸の諸文明圏は資源供給地帯として重要な存在だったが、到底“市場”足り得なかったのだ。(現在、“帝國”の投資による開発で需要が生じているが、これは意味が違う)

*2 ――――竜士――――
 ワイアームに騎乗する士のことで、正式には飛竜士という。

*3 ――――竜騎士――――
 ワイバーンに騎乗する士のことで、正式には飛竜騎士という。

*4 ――――『戦艦・重巡の中で唯一定員を満たしているのが“利根”“筑摩”の二艦のみ』――――
 当時、第一及び第二艦隊は平時体制にあり、専ら内地で訓練任務に就いていた。これは海軍の人員が外地に展開する方面艦隊に吸い取られていたためであるが、対する第一及び第二航空艦隊が転移後も戦時体制を維持し続けていたことを考えると、この差は非常に興味深い。

861 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/02(金) 14:35:00 ID:Hd5cQ7n60

 SS投下終了。全ては無知とコンプレックスゆえに。
 或いは奥底で恐怖を感じているかもしれませんが、決して認めることはないでしょう。

862 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 15:10:01 ID:pDryFPMk0
>>857
北東ガルム大陸文化圏最果ての地イルドーレにもワイバーンと飛竜騎士はいるんですね。

863 名前:名無し三等兵@F世界:2007/11/02(金) 15:27:32 ID:6oshYy9g0
くろべえさん、投下乙です。

ああ、無知なイルドーレの民。
見た目にはっきりと凄さが分かる「モノ」が目の前にあるのに、地域で区別するなんて。

まあ、軍人さんはある程度分かっているようだし、吉田さんの活躍と重臣の判断次第かな?


ところで、ディーゼル機関の大型艦を新たに作ったりしないのかな?
「日進」なんて、重巡に近いサイズで重油1200tで16ノット8000浬という低燃費ですからね。
昭和20年以降になりそうですけど。

864 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 17:26:19 ID:hGKaWyxI0
投下乙です

まあ、庶民では船というくくりだけで、
そこに使われている技術や構造の違いにまで考えが及ばないからこんなものでしょうか

しかし相変わらずの帝國の事情に涙

865 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 17:28:36 ID:rA.E4kz60
これで筑摩がいきなり油断から撃沈くらったら神展開

866 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 17:47:54 ID:bJFcWGuQ0
投下乙です

見ても信じたくない心理ですか
変わらない日々で培われた固定観念は強固ですね

>>865
撃沈よりも勝手に座礁したのほうがこの頃だとありそうw

867 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 17:52:05 ID:pDryFPMk0
くろべえ様に質問。
ご自身のホームページに「ある王国飛竜騎士の記録」よりも先に「邯鄲の夢」を掲載したのは何か理由があるのでしょうか?

868 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 17:56:21 ID:EJMrWUQA0
いくら竜騎士が強いと思っていても鉄でできている船を破壊することができるかどうかぐらいわかりそうなものなのに

基礎的な知識がとてつもなく低すぎるのか…


電探についてですけど、まったく開発しないというのもどうかと

別にワイバーン対策としてではなく、今までとはまったく別の世界にきたのだから地形はろくにわからず
海には海竜が泳いでおり、艦隊が派遣された地域でどのような気候になるかわからず
急に霧やスコールで周囲の状態がわからなくなってもおかしくなく
(地球ではないのだから星座もかわっていると思われるので)星をみて天測による航海ができるのかわからない状態で
さらに現地人が信用できるかどうかも不明

ということで、航海用の電探の開発を船に乗る者としては要求しないのかなと思うのですが
もっとも、このころの電探はAスコープなのでしょうが。

869 名前:陸士長:2007/11/02(金) 19:24:47 ID:KNJCSNJU0
投下乙です。
あやや、全く相手にされずじまいですか。
庶民がこの反応では、コンプレックスと偏見の塊である王様は……門前払いにしようとしますね絶対(爆
と言うより、蛮族じゃ作れんでしょ鉄の塊の船なんて。島国でそれなりに造船技術もあるでしょうから、それ位は気付けと。
さて、次回は交渉タイムでしょうか。お相手は王様じゃなくて家臣達でしょうね。

870 名前:にしなさとる:2007/11/02(金) 20:05:05 ID:DFCz.y0I0
「無知」というより明らかに「固定概念(場合によっては常識とも言う)」ですね。一度染みついたそれは、疑う余地の無い形で証明されない限り、覆されることはまずない。人類の大多数は、「当たり前の事は、疑ってみようともしない」のですから。

 かくして筑摩の乗組員たちは、自分たちの実力を証明して見せなければならなくなるわけですが―――。イルドーレ側に被害を出さずに、どうやって証明するのか―――。

>>869
>蛮族じゃ作れんでしょ鉄の塊の船なんて。
 おそらく、薄々勘づいている者は多数います。しかし認めたくないんですね。人類の大多数は、「自分たちにとって都合の悪い事実は、認めたくないどころか気づきたくもない」のですから。

871 名前:F世界逝き:F世界逝き
F世界逝き

872 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 23:00:32 ID:lej1WWZQ0
>おそらく、薄々勘づいている者は多数います。
お前何様だよ
まるで自分が著者のような書き方
荒らしか?

873 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/02(金) 23:05:17 ID:mo3L5YUU0
>>872
他のところでも迷惑掛けてる奴、シカトしれ

874 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 01:29:16 ID:55XpGFAo0
>電探
確かに航法用の電探を全く開発していないというのは技術的に
見ても考えにくいですな。
(転移前で)かつては戦争勃発前夜までいっていたわけですし
何より当時帝國は散発的になりつつあったとはいえ日中戦争
の真っ只中でしたから陸軍も電探の開発は続けていたでしょう
し転移後も技術開発は継続しているはずです。
軍事技術は途中で中断があると容易には遅れを取り戻せません
から基礎研究はしていてもおかしくないですね。

21号電探のカタログ数値を信用したとしても向こう60浬の探知能力
はありましたしそれ以前の型だと13号電探(陸上兼艦船用)や2号電探
(対水上捜索用/探知距離19海里)でも島やその他の識別は可能でしょう。
まともな気象調査も行われていない、海図も不正確となればますます
使える物は何でも使うという状況になりそうな気はします。
人間は「工夫」する生き物ですから。

875 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 02:36:33 ID:zzQHEbHY0
>>869
実際に自分で作ったことがないから凄さが分からない、という面はあるかも。
原始人が車輪を見せられたら神の発明だと騒ぐかも知れませんが携帯を見ても「は?」だろう、
というのと似た側面はあるのかも。
まして見ているのは主に何の造船知識も持たない一般大衆なわけですから。

しかしイルドーレの方々が帝國に対して尊大な態度を取ったりしなければいいんですが。
後々ロッシェルを「いち地域紛争」として下す帝國に取るべき態度がなくなりますからw

876 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/03(土) 09:31:16 ID:Hd5cQ7n60
>>862
>北東ガルム大陸文化圏最果ての地イルドーレにもワイバーンと飛竜騎士はいるんですね。
 イルドーレはワイバーンの産地ではありませんが、ロッシェル王国からの供与により戦力化しています。第一線どころか二線すら退いた老竜ではありますが、それでもワイアームよりはるかに強力です。教育の手間もありません。
 ちなみに供給数は年1騎で、これによりワイバーン5騎体制を維持しています。

>>863
 名無し三等兵様、有難うございます。

>ああ、無知なイルドーレの民。
>見た目にはっきりと凄さが分かる「モノ」が目の前にあるのに、地域で区別するなんて。
 彼等のアイデンティティーですからねえ。日本の御近所の某国みたいなもんですよ。

>まあ、軍人さんはある程度分かっているようだし、吉田さんの活躍と重臣の判断次第かな?
 認めたら親日派認定されます(笑)
 まあこれは冗談ですが、正直言ってこの国には「このこと」以外誇れることがないですからねえ……(ぶっちゃけレベル的には大内海沿岸最北部――つまり中央世界に近い――の国々と大差ないし)
 何しろ、かつて自分の国の地名が“蛮風”だったため、大陸風に変えてしまった位のお国柄ですから。

877 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/03(土) 09:32:18 ID:Hd5cQ7n60
>ところで、ディーゼル機関の大型艦を新たに作ったりしないのかな?
>「日進」なんて、重巡に近いサイズで重油1200tで16ノット8000浬という低燃費ですからね。
>昭和20年以降になりそうですけど。
 正規の大型水上機母艦4隻はその搭載量と荷揚げ能力、そして高速性から高速輸送艦として活躍しております。(瑞穂が事故ったのもそれが原因。急いで荷を降ろさねばならなかったため、調査不十分にも関わらず強行しようとした)

 とはいえ大型ディーゼル機関の生産量、そして建造にかかる時間から、新たに造る予定は(少なくとも当座は)ありません。輸送船の方を優先です。
(港湾設備が皆無に等しい事から、史実の二等輸送艦モドキは造られていますけど)

>>864
 864様、有難うございます。

>まあ、庶民では船というくくりだけで、
>そこに使われている技術や構造の違いにまで考えが及ばないからこんなものでしょうか
 推進調査が不十分のため、かなり沖合いにいることもあるかもしれません。
 ……それに人は見たいものしか見ませんし。
(筑摩の先進的なデザインも原因かも。これが扶桑だったらきっと流石に……)

>しかし相変わらずの帝國の事情に涙
 ディーゼル機関の海防艦が増強されてるのも、まあこんな理由からです。

878 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/03(土) 09:33:36 ID:Hd5cQ7n60
>>865
 流石にワイアームじゃあ無理かと。(せいぜい手投げ弾がやっと)

>>866
 866様、有難うございます。

>見ても信じたくない心理ですか
>変わらない日々で培われた固定観念は強固ですね
 某国に反日やめろ、って言うようなものですからねえ。
 ……解決方法はただ一つ、「教育してやる」ことのみでしょう。

>>867
 大幅加筆する可能性があるからです。
(かかる時間の差、という訳ですね。それに加筆した場合ネタばれしちゃいますし)

>>868
>電探についてですけど、まったく開発しないというのもどうかと
 いえ、開発してますよ。史実と比べてもこの時点(S18半ば)では差はありません。
 ただこれ以降はドイツからの技術提供や英米との戦訓(及び情報)が入らないため、認識・技術の両面で史実と差が出てくるでしょうね。

>ということで、航海用の電探の開発を船に乗る者としては要求しないのかなと思うのですが
 確かに発達するとすれば、まず航海用としてでしょうね。実際、既に電探の搭載は開始されています。
 ……ですがさすが帝國、想像の斜め上を行っています。生産数に限りがあるから、と戦艦や重巡・空母(一部の旧式・軽空母を除く)に優先して配備しとります。コイツらの大半は内地で遊んでるのですがねえ……(これだけでもウン十隻!)
 当たり前ですが史実ほどの生産ペースではないため、これだけでも18年いっぱいかかる予定です。(19年にずれこむ可能性も……)
 昭和19年以降からは、これ以外の“軍艦”や駆逐隊・海防艦部隊旗艦にまず配備し、その後一般の艦艇にも配備する予定、と史実よりもかなりのローぺースです。

879 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/03(土) 09:34:26 ID:Hd5cQ7n60
>>869
 陸士長様、有難うございます。

 吉田さんにとっては頭の痛い問題かも。
 力ずくじゃあ外務省の立場が無いし、仮にもイルドーレは大陸同盟の所属国、後が困る……

>>870
 上では「力尽くは困る」としていますが、その準備も整えています。
 筑摩自体も強力ですが、その後部には二式水戦の姿が――

>>874
 電探の標準装備化に先立ち、先導艦として占守型海防艦に電探が配備されています。
 重要な輸送船団には、この4隻が交代で先導艦に派遣される訳ですが、他は……

>>875
>しかしイルドーレの方々が帝國に対して尊大な態度を取ったりしなければいいんですが。
>後々ロッシェルを「いち地域紛争」として下す帝國に取るべき態度がなくなりますからw
 ロッシェルを下せば態度変えるかも……

880 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 10:04:15 ID:/PliwjrQ0
二式水戦ってカタパルト射出できるもんでしたっけ?

881 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 11:18:35 ID:C6zeYC/U0
あ〜、こんなもんを発見しましたが、稲葉氏が帝國に転移したときの
所持品に、これ→ ttp://www.toranoana.jp/shop/071102_akagi/
とか、「MCあくしずがVol.4」があったら、氏が拘束されたとき
担当官に海軍からの出向組が居たら、どれくらい「目が点になったか」と
思わず考えてしまいました。

・・・はっ!だから氏は海軍ではなく陸軍にいったのですな。
で、海軍の(極)一部からは、「惜しいことをした」との声が・・・・

882 名前:名無し三等兵@F世界:2007/11/03(土) 12:28:25 ID:dDKWsT0E0
>>880
うーん、どうなんだろう?
手元にある本『幻の航空母艦』にある表によると、開戦時に一般的だった呉式2号5型だと、不可能らしい。
「大和」「日進」に採用された一式2号11型なら二式水上戦闘機の射出が可能らしいですが。

ただ、二式水戦ってあまり重くないのだけどなあ。射出速度の関係かな?

883 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 16:44:33 ID:Il9dO2Oc0
王様の大陸かぶれに近いものを島の人はみんな持ってるのか
留学して実際に触れたら歯止めがかからなくもなるか

884 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 19:50:45 ID:nHerzvIs0
>>882
華奢な二式水戦タソを射出するには
大型の射出機で少しでも加速衝撃を和らげる必要が
あると妄想。





カタパルト射出で主フロートがもげる二式水戦タソに藻ヘ。

885 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/03(土) 22:43:30 ID:55XpGFAo0
>二式水戦
どこで見たのかソースは失念しましたが呉式2号5型でのカタパルト発射
は強度の関係から無理があったというのを読んだ記憶があります。
呉式二号五型は最大射出重量4t、最大射出速度56ノットなのでスペック
から見れば射出自体はできなくもないのではないかとも思えますがフロート
を台車に載せた時点での発射に何らかの問題点があったのかもしれません。

886 名前:名無し三等兵@F世界:2007/11/04(日) 01:25:43 ID:dDKWsT0E0
呉式2号5型でうち出せる、水上戦闘機の代用になるのは零式水上観測機ですかね。
一応、7.7o機銃2丁を前に撃てますし。

887 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 01:50:34 ID:PT0/qlfU0
強風は史実では18年末頃完成ですか。こちらではもう少し早いかもしれんですが。水上機が役に立ちそうな環境だし。
ただ、今までのところ、空戦能力は二式水戦で十分だったでしょうね。

カタパルト+RATOって使えないでしょうかね。機体の負荷が一箇所に集中しないなら機体強度不足をカバーできないだろうか。

888 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 08:10:51 ID:W9unt0M60
>>870
もちょっと書き方考えたら?
作者でも無いのに、なに当事者のような断定口調で語ってるんだか。

889 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 11:41:09 ID:mo3L5YUU0
>>888
>>873

890 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/04(日) 11:51:34 ID:Hd5cQ7n60
>水戦
 ぶっちゃけ、大内海では零式水観で事足りました。(何より複座で偵察任務も可能なのがイイ)
 ですから、あくまで二式水戦は保険として生産されたに過ぎません。
 そのため生産数は史実の半分以下、(史実の)強風よりはマシかなってレベルです。
 強風に至ってはオーバースペックと判断され、量産は見送られました。

>二式水戦
 本当は試作のみに終わった15試水戦(強風)にしようかと考えたのですが、史実での強風正式化が18年末、現在が18年前半なので二式水戦としました。

>「大和」「日進」に採用された一式2号11型なら二式水上戦闘機の射出が可能
 換装された、という考えもアリかも。利根型は偵察巡洋艦みたいなものですから。(定員を充足していた理由も一航艦増援としてだし)
 で、お古の射出機は哨戒戦隊の特設水上機母艦に。
 コレは2000総トン級の船尾楼型輸送船に射出機1基+水上機2機搭載しただけの、従来のものとは似ても似つかない紛い物ですから。(二等特設水上機母艦?特設水上機母艇?)

>・・・はっ!だから氏は海軍ではなく陸軍にいったのですな。
 先に見つけたのが陸軍だったからです(笑)

891 名前:名無し三等兵@F世界:2007/11/04(日) 15:54:23 ID:dDKWsT0E0
射出機のことを調べていくと、資料の少なさに唖然。
しかも、良く考えたら、手元の『幻の航空母艦』では、
二式水戦と同じく一式2号11型じゃないと零式水偵は射出できないとなっているけれども、
真珠湾攻撃時に利根型は零式水偵を射出していたことを思い出した。

1941年12月時点で利根型に一式2号11型がついていたのか、手元の資料が間違っているのか。
確認までに時間がかかりそうです。すみません。

892 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 17:07:11 ID:pDryFPMk0
カタパルトに固執しなくともデリッククレーンで直接水面におろせばいい訳ですし

893 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 18:46:05 ID:3/juCkA20
絶望した!
稲葉ネタに対する食いつきが全く無いことに絶望した!

で、ネタ投下
「ぬこ〜!」とリピドーの雄叫びが限界値を突破した稲葉中佐殿ですが
相手は獣人とはいえ堅気のおにゃの虎女子学生。
下宿先の娘さんの同級生であっても接点が無いわけで。
・・・下手なことすると、手が後ろにまわって上司から
「頭を冷やして仕事に勤しめ(目が笑ってない)と網走出張所に”栄転”
させられかねない・・・させられだろう。
で、悶々としてたある日、シャオちゃんが弁当を忘れていったのを良いことに
見た目は帝國陸軍中佐として、全く隙の無い”完全正装”で、迎えによこした
兵に車を運転させて行ったところがシャオちゃんの学校。
軍刀を腰に、ブーツの靴音を響かせて帝國陸軍中佐殿が乗り込んできたもんだから
職員室だけでなく学校中がパニック寸前で、校長以下職員全員が大慌てで
出迎えたところ、訪問理由が「出勤途中に下宿先の娘が忘れた弁当を届けに」
・・・出来れば上手く、おにゃの虎を一目、と「何も考えずに」来たのだが
公衆の面前で切れたシャオちゃんにノックアウトされ、シャオちゃんは
その後「切れたら怖い娘」と悪い虫がつくことが無くなりましたとさ。

894 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 18:59:44 ID:8RNT3GbA0
無粋だが前スレあたりで既出な気がする…

895 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 19:03:09 ID:SLEsENqI0
そういうのは萌えスレか、ネタ・雑談スレでやりなよ。

896 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 19:44:15 ID:0D3mZJlc0
>>893
そもそもシャオは稲葉が陸軍中佐って知らないだろw

し か し ! !

そのシチュもGJだ!!

897 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/04(日) 23:22:14 ID:55XpGFAo0
史実ではカタパルトで射出する水上偵察機は露天係止(駐機)されて
いるので水上戦闘では大型戦闘艦の主砲発射時の爆風に耐えられない
問題がありました(下手するとボートも吹っ飛ぶ)。
小型艦では主砲口径が必然的に小さいのでこの問題の影響は大型艦に
比べればまだ小さいかもしれません。

デリッククレーンで降ろすのはこれはこれで問題がまたあり、クレーン
はカタパルトと違い即応性に欠けるので敵の視界や索敵線に触れる前に
艦を停止(もしくは徐行)させ水上機を降ろす必要があります。
これには危険が伴いますし観測員や電探の装備も必要でしょう。
最もカタパルトも射出時はよくとも結局回収する際に面倒なのは同じ
なのですけど。
カタパルトを使うにしても作業甲板上の搭載機の移動は基本的に人力です
のでこれでも即応性があるかどうかは状況と訓練次第のような気もします。

利根型巡洋艦は主砲を前方配置することで爆風の影響を減らし、水上偵察機
の運用を行いやすくしてましたが・・・。
ただ大戦中の資料を見る限りでは日本の艦載水上機の運用構想はかなり
攻撃的なものだったようで多数の艦載機を連続射出できる優秀なカタパルト
の開発は続けられていました。
広く運用された零式水上偵察機からは偵察が主任務という印象を受けます
が実際は爆装し敵艦攻撃も行うという物でした。
水偵の搭乗員の手記などを見れば分かりますが夜間爆撃なども積極的に
行っています。
このため日本の巡洋艦クラスには25番爆弾が搭載されていました。
(光人社発行「写真 日本の軍艦」より)

898 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 01:25:33 ID:rA.E4kz60
積んでみたは良いけど結局やることがなくて対艦爆撃でもやらせておくか臭が……

899 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:14:44 ID:Hd5cQ7n60
>>891
 どうもお手数かけてすみません。

>>893
 そういえばこの後編、書いて無いですね。ごめんなさい。
(ちなみにこの話の題は「デパートに行こう!」です)

>>897
 しかし調べると、水上機ってかなり運用が制限されますね。
 訓練の時ですら「3日に1日?しか運用できなかった」って何だよ……


 ではSS投下。

900 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:16:05 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 第一部外伝1「事変前夜」

――――“筑摩”艦上。

「は?国王陛下に御目通りできない? ……それは一体、どういう訳ですかな?」

 訪れた使者の口上に、吉田は口をへの時に曲げて詰問する。
 ……が、イルドーレより派遣された使者は木で鼻を括ったような対応を崩さず、『会えない』の一点張りだ。

「貴国には貴国の事情があろうが、我が国にも我が国の事情がある。陛下は卿らに御会いにならない、それだけだ。
 用件ならば私が取り次ごう、沙汰があるまで大人しく船で待て」

 そのあまりの言い草に、吉田は抗議の声を上げた。

「仮にも我等は一国の使節ですぞ!? この様な非礼、信じ難い!」

「非礼はむしろ貴国の方だろう。そもそも、なんの根回しも無くいきなり他人の国に乗り込んでくるとは、どういうことだ?
 本来ならば、しかるべき国に仲介を頼むべきだろう」

 ……おいおい。こんなちっぽけな島国の王相手に、古代中国の皇帝でも相手にするかように振舞え、と言うのかね?

901 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:16:39 ID:Hd5cQ7n60
 この男の余りの夜郎自大振りに、吉田の怒りと驚愕は“呆れ”へと変化した。
 そして、なるほどと感心する。

 ――ああ、現地職員達が口を揃えて言ったのは、このことか。

 イルドーレを訪れる前、吉田は近隣諸邦國の領事事務所に彼の国に関する情報を提出させていた。(*1)
 故に基礎的なデータは把握していたが、同時に以下の気になる忠告も現地職員から受けていた。

『イルドーレ人は官民問わず傲慢です。大した実力も無い癖に自らを“先進文明国”などと称し、大内海に住む我々を嘲笑します。
 ……いえ、確かに中央世界の方々は皆多かれ少なかれ我等を見下していますが、連中は別格中の別格です。露骨に態度に表す上、法外な要求までしてくるのですから。
 そして何かあるとすぐに“大陸同盟”ですよ。『竜の威を鼠』そのものです。
 とにかく付き合うと腹が立つだけなので、我等は極力関わらない様にしておりました。閣下も御気分を害するだけでしょうから、放って置かれた方が賢明でしょう』

 そして、あんな連中が邦國になるなど真っ平御免です、と吐き捨てたものだ。
 ……相当な嫌われぶりである。しかも一人や二人の話ではないのだから、よほど問題のある国なのだろう。
 が、生憎と“帝國”にはイルドーレが必要であり、嫌でも関わり合わざるを得なかった。“帝國”本土から北大内海の拠点たる昭北島まで2500海里、昭北島から中央世界の大陸(ロッシェル王国)まで更に1000海里の大海が横たわっている。昭北島と大陸の間にもう一拠点必要だったのだ。
 イルドーレ王国は大陸から200〜500海里、昭北島から500〜800海里の海域に位置し、前進拠点として――そして昭北島に対する物資供給源として最適だった。他に選択肢は有り得ない以上、何が何でも拠点化する必要があったのである。

902 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:17:18 ID:Hd5cQ7n60
「……やりますか?」

 そんなことを考えていた吉田の背後から、艦長が『力尽くでの解決』を小声で提示した。
 ……余程この男の態度に腹を据えかねているのだろう、“提示”というよりもむしろ要求に近いニュアンスだ。
(今回の件は吉田に全て任されているため、彼の腹一つでそれが可能だった)

 戦力に問題はない。
 “筑摩”だけでも十分強力だが、その後部甲板には二式水戦3機に零式水観3機を搭載しているのだ、貧弱なイルドーレの航空戦力など鎧触一蹴だろう。陸戦戦力も特設機銃員を中核に中隊規模の陸戦隊が編成可能で、王宮どころかイルドーレ全土だって占領できる。

 が、その必要は無い、と吉田は後ろに手を出して拒絶した。そして――
 
「……仕方がありませんな、では使者殿にお任せしましょう」

 そう嘆息すると、吉田は頭を下げたのである。
 この行動に、その場にいた“帝國”人全員が目を丸くした。

 …………

 …………

 …………

「何故、あの様な輩に頭を下げねばならぬのです!?」

 艦橋に戻ると、艦長は血相を変えて吉田に詰問した。
 ……あの男、吉田が頭を下げると一層勢いづき、やれ『貢物はないのか!』だのやれ『使者になんのもてなしもないのか!』など際限なく要求してきた。
 そして現在、特別にあつらえた貴賓室で“艦長秘蔵の洋酒”をあおっているのだから、艦長は憤懣やるかたないのも無理はないだろう。

903 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:17:48 ID:Hd5cQ7n60
 が、吉田は断固として首を振った。

「これも外交だよ、艦長。あの勘違い野郎を“教育”してやれることは私にとっても大変魅力的な話だが、一時の感情に流されてはいかん」

 そもそも、中央世界進出は外務省の復権を賭けた一大事業である。それを初っ端から力尽くで解決することは自殺行為に他ならない、吉田が却下したのも当然だろう。
 ……とはいえ、何も吉田は省利省欲のみ考えて行動した訳では無い。仮にもイルドーレは大陸同盟の所属国である、武力行使は同盟諸国の反発を招くだろけでなく、中央世界中に警戒を招きかねない、と判断し却下したのだ。
 一時の感情に流されたり省利省欲のみに眼を向けるなど“外交官失格”だが、かと言って国益のみに眼を向けるのも“二流以下の外交官”がすることだ。“一流の外交官”とは、『国益と共に自らの利益を追求できる者』のことを言う――少なくとも、吉田はそう考えていた。

「あんな国の一つや二つ、本艦だけでもお釣りが来ます!」

「武力行使は国益に繋がらんよ。現段階で大陸同盟を刺激するのは得策でない」

「蛮族如き、皇軍の敵ではありません!」

 艦長は真っ赤になって反論する。
 地雷を踏む気も無いので、吉田は肩を竦めながら話を微妙に修正した。

904 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:18:20 ID:Hd5cQ7n60
「ああ確かに敵ではないだろうさ、我々の本当の敵は“距離”と“時間”だからな」

 先程も書いたが、『中央世界最果ての地』とすら言われるイルドーレですら“帝國”本土から3000海里以上もある。しかも途中に碌な拠点が無いことを考えれば、如何に中央世界での軍事展開が困難かが理解出来るだろう。加えて資源の供給量と需要の間に未だ大きな開きがある以上、大規模な行動は物理的にも不可能だった。
 海軍を例に挙げれば――

 組織を動かす人も、
 艦艇や航空機を動かす石油も、
 沿岸海域や通商路を護る小型戦闘艦艇も
 港内業務や戦闘艦艇を支援する補助艦艇も、

 ――何もかもが不足している。この様な状況で小内海に大規模な戦力を派遣すれば、どうなるだろう?
 大型艦に関しては問題ない。現状では使い道がなく、本土で遊んでいるのだから。だが――

 まず大型艦の定員を充足するために、他部門から人員が引き抜かれる。
 次いで小内海での活動を維持するために、大量の小型艦艇・補助艦艇も引き抜かれる。
 この行為は他地域・他部門での効率を著しく低下させるだろう。そしてこれらが消費する石油・物資……下手をすれば、“帝國”の致命傷にもなりかねない愚行だった。

905 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:18:51 ID:Hd5cQ7n60
「…………」

 故に、艦長は沈黙した。
 それを見て、吉田は穏やかに諭す。

「“帝國”の重点は、一にも二にも生命線である“大内海沿岸部の資源開発”だ。幾ら『近い将来のため』とはいえ、生命線を疎かにするなど本末転倒ではないかね?
 ……それに、どうせ殴るならばイルドーレの様な小物ではなく、もっと大物を狙うべきだ」

 限りある資源を有効に活用かつ最大限に利用するため、大きい一発で大物を仕留める。(もちろん大義名分を得た上で、の話だ)
 そうなれば、中央世界の国々も“帝國”を無視できなくなるだろう。少なくとも北東ガルムにおける“パワーゲームのプレイヤー”として認められる筈だ。

「もちろんイルドーレも態度を変えるだろうさ。それまでの辛抱だよ」

「……変わりますかね?」

「変わらなければ、“国を喪う”だけさ」

「わかりました」

 と、吉田の部下である外交官が顔を出し、困った様に口を開いた。

「……閣下。あの使者、今度は『“心遣い”はどうした!』と騒いでおりますが、如何致しましょうか?」

「…………」

 吉田の顔が引きつった。

906 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:19:22 ID:Hd5cQ7n60
*1 ――――『イルドーレを訪れる前、吉田は近隣諸邦國の領事事務所に彼の国に関する情報を提出させた。』――――
 “邦國”とは、“帝國”が大内海沿岸部を制圧した際、“帝國”に降った国々のことだ。事実上の保護国・属国であり、本来ならば“藩王国”とでも呼ぶべき存在である。
 ……これを“邦國”などという意味不明の語彙で呼称するのは、“帝國”人特有のあいまいさと“邦國”諸国への配慮に他ないだろう。
(事実、“帝國”の統治は信じ難いほど緩いものだった。これは成り行きから大内海を制圧したものの、自国の国力では到底統治しきれないしまたする気も無い、という“帝國”の事情によるものだ)

 とはいえ、どう取り繕おうが属国は属国、彼等は外交権を“帝國”に奪われている。このため外交官は本来の職務を失い、現在では主に“帝國”と祖国とを繋ぐ役割――副次的には他邦國との付き合い――を担っていた。
 “帝國”外務省はそんな彼等を引き抜き、現地中堅〜幹部職員として採用、不完全ながらも独自の情報網を築いていた。

*2 ――――イルドーレ王国軍――――
@陸上・海上戦力
 小さい島々から成り立つ国家だけあり、イルドーレ王国軍の将兵は基本的に海兵である。
 故に陸上戦力と海上戦力はほぼイコールだが、同国はその少ない資源の大半を空中戦力に注いでいるため、“帝國”の戦国時代レベルに過ぎない。またその規模も『非戦闘員を含めても300足らず』と小規模である。(当然魔道兵器など皆無)

A空中戦力
 イルドーレ王国軍の主力。
 同国の飛竜保有数はワイバーン5頭、ワイアーム50頭であり、うちワイバーン5頭にワイアーム30頭が戦闘に投入可能である。
 その編制は以下の通り。

  空中騎士隊1個(ワイバーン5騎)*うち1騎は訓練。
  空中竜兵隊3個(各ワイアーム10騎)

 なおイルドーレ王国はワイバーンの産地ではないが、ロッシェル王国からの供与により戦力化(年1頭で5頭体制)している。
 第一線どころか二線すら退いた老竜ではあるが、それでもワイアームよりはるかに強力な存在だ。

907 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/06(火) 15:19:57 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。

908 名前:陸士長:2007/11/06(火) 19:14:43 ID:KNJCSNJU0
投下乙です。

……あいたたた。何というかこちらの予想を超えてますね。
こいつらむしろ島国と言うよりもどっかの半島国家じゃないですか?
こちらの外交儀礼の斜め上を言ってくれるナイスファビョリ(威を借りた強請、たかり)。
流石○鮮、俺達に出来ない外交をしてくれる! 痺れるぅ、憧れないぃ!

909 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 19:47:27 ID:lUmeIgxc0
投下乙
なるほど、どっかで見たようなデジャヴを感じたと思ったら朝○か
陸士長氏thxです

910 名前:にしなさとる:2007/11/06(火) 19:59:14 ID:DFCz.y0I0
私が>>900のイルドーレ王国の使者なら、こう言いますね。
「非礼はむしろ貴国の方だろう。この際はっきり言うが、そもそも今回の貴国の行為そのものが、我が国に対する非礼も甚だしい。国王との面会を求めるならば、しかるべき国に仲介を頼むか、最低でも事前に使者を送って了解を得るべきであろう。それとも貴国は、いきなり他国の王都に乗り込んで、王に合わせろと要求するなどという行為が、非礼ではないと言うのか? 本気でそう思っているとしたら、むしろその方が信じ難い。」
これなら一応正論なので、帝国の軍人たちも怒るに怒れないと思うのですが。

911 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 19:59:21 ID:lXFJbwSE0
くろべえ氏投下乙です

自分も一番に半島を想像しました

912 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 20:10:59 ID:lXFJbwSE0
>>910
お前はいい加減にだまれよ

913 名前:にしなさとろ:2007/11/06(火) 20:36:18 ID:hyUxGL160
ああ黙るさ!

914 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 20:48:40 ID:/PliwjrQ0
いや、いくら半島でもここまでは……

915 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 21:15:07 ID:QAQuroWw0
百数十年前の半島はこんなもんかも知れんぜ

916 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/11/06(火) 21:45:41 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏投下お疲れ様です。

しかし、イルドーレの使者、なんてえ野朗だ。
確かに帝國側にも非礼はあったかもしれませんが、いくらなんでも・・・・
これがアメリカで、コーデル・ハルがその場にいたら修羅場になっていたでしょう。

使者のあまりの酷さに吉田さんがぶち切れなければいいですが。

917 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 21:49:59 ID:Il9dO2Oc0
だんだん“あの”王様がこの国ではごく普通に思えてくるから困るw
まあ宋とかの外交音痴ぶりとそうかわらんか、国力が違いすぎるけど。

918 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 22:07:55 ID:oVuuhHNoO
くろべえさん投下乙です

なんという○鮮・・・
劣等感を持っているほど、自分より低い立場を強く見下す典型ですな

帝國がロッシェルを下した後の反応にwktk

>>ヨークタウンさん
この使者は某サディスト外相よりもあらゆる点で酷そうですから
ハル長官、そりゃあもう核爆発級のキレかたじゃないですかね?

919 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 22:35:53 ID:gAGO1PbM0
細かいですが『竜の威を鼠』は『竜の威を借る鼠』の間違いではないかと思います。

920 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/06(火) 23:38:02 ID:WmlYr7Cw0
投下乙ですw

しっかし、こんな調子を最後までしまくったら帝國が
超大国となった時(すなわち稲葉の時代)の反応が楽しみですなw

後から帝國の邦となった国に
「我が国は帝國をいち早くお助けしたのだ!」
と言って威張り散らすのか
はたまたシュベリンその他の国家に埋もれていくのかw

個人的には前者希望w

921 名前:長崎県人:2007/11/06(火) 23:48:27 ID:2MxH4A12O
イルドーレ大使来艦に合わせて、形式通り吹奏楽と礼砲を組合せれば、結構な圧力になるんじゃないか?と思った漏れは異端?(´・ω・`)


しかし、次のもてなしってのが、女が欲しいとか言い出したらどうしませう?あれ?いつのまにか、つなぎ服のいい男が、あ゛ーっ!!!

922 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 00:32:43 ID:b5Q9Rt7k0
帝國が非礼を受けたって事実は事実としてあるんだから、
用が済んだら「イルドーレから我々はこんな非礼を受けた」と事実を知らしめてやって
他の大陸同盟諸国からますます蔑まれるように仕向けてやったらどうかなと。

いやホントムカつく国なんでw

923 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 01:16:19 ID:xEce2yXA0
朝鮮といえば「併合してくれ」と言われそうで怖いな。

924 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 01:29:41 ID:ouvRlzbA0
くろべえ氏投下乙です。
私も真っ先に某半島国家を思い出しました。

>>921
砲艦外交も良いかと思ったけど、筑摩の怖さを理解できないような気がします。

925 名前:陸士長:2007/11/07(水) 01:30:07 ID:KNJCSNJU0
>朝鮮といえば「併合してくれ」と言われそうで怖いな。

中央への介入、侵出が本格化してきた頃併合した場合。

併合されて(イルドーレ人達の熱望により形だけ)直轄領になる

この大陸近辺で初めて帝國の盟邦になったんだから、ひょっとして俺達、同盟加盟国よりも偉くない?

今度は大陸同盟や他の辺境の国々に対して傲慢になる

我等帝國の盟邦なり、ソレ即ちお前等時代遅れの蛮族どもより偉いって事。崇めろ貢げ跪け。

吉田さん当時を振り返って一言。
「はぁ……いっそあの時焼き払ってた方が後腐れ無くて良かったかな」

926 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 02:35:44 ID:lUmeIgxc0
あまりにも調子に乗りすぎて帝國から「お前もう要らん、やっぱ燃えてろ」とかって切り捨てられたりして
そうなりゃようやく目が覚めるでしょうがね・・・
そして帝國は『礼節を重んじない国は例え友邦であってもその軍事力で燃やす』とかって思われたり・・・
ちょっとあまりに火葬戦記だな、これは無い

927 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 03:40:50 ID:X9DoCVGA0
旧版のタブリンが可愛く見えるぐらいのアホっぷり。
・・・アヘンで荒廃させたろか〜、と邪な考えが浮かんじまったい。

928 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 05:29:42 ID:aijJhmBY0
>国を喪う
文字通り国民ごと消滅か?
ジャンクとは云えパタリロとは上から下まで随分違う国民性に唖然

>邦国
帝國史上、唯一他邦国の懇願より独立を許された孤高の王国として間違った認識で後世まで威張っているのかも。

929 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 05:58:20 ID:lGUFSpGY0
くろべえさん投下乙です。
相手側の失点を将来的にどう自国の国益に結び付けていくか、外交官の腕の見せ所ですね。
問題は果たしてこの国との付き合いの先に国益が見出せるのかということですが……。
大陸への中継基地・補給基地とするなら、後腐れないようにいっそ支配者層は“消毒”してしまっても(ry

930 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 10:13:00 ID:OFhZwItk0
重要性から考えて、潰して直轄地に変えた方が良いような気も…。
とてもじゃないけど、信用できそうにないですし。

931 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 12:11:33 ID:hDh6aBVo0
どう扱おうが1000年先まで禍の種なりそうな国。
支配層のみが特殊とかいう設定では無く民衆までかの国的な性質なら、
精神文化を抹殺して別の文化を導入するか、あるいは民族浄化しないと駄目だ・・・
まともな人格を持った人を育てられないという文化風土が染み込んだ民族は、一度滅びないとまともになれない。

長期的に考えれば無理してでも関わりを持たないほうが帝國にとってマシだろうね・・・
まあ、背に腹は換えられないし当座関わりを持つしかないのが窮乏した帝國の悲しい所か。

932 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 17:42:14 ID:sWoBpaSk0
ソビエトが中央アジアに強制移民させた朝鮮民族は、見てきた人によると「まとも」みたいですよ。

933 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 19:11:43 ID:i/BGxRX.0
いっそのこと女児優遇の一人っ子政策をとって、小学生から中学生まで全寮制の国民学校みたいなのに入らなければならない、とか何十年後を念頭に置いた強引な政策をとるとかしておかなきゃどうにもならんなあ。
でもそれは絶対的な支配体制を敷いてないと無理だし……。

934 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 22:55:42 ID:Jt0Iv5X60
流民の中から優秀な集団を大量移住させるとか、
先方が戦争を仕掛けてきたなら、戦後に強制分散移住させるとか。

935 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/07(水) 23:51:49 ID:U9gcoV.M0
と、ゆーか帝國海軍と帝國外務省を丸ごと敵にまわした
こいつらに、「戦前の」日本帝國が甘い顔すると思うか?

936 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 00:10:30 ID:Bd3wyNqw0
NOだな

937 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 07:19:59 ID:oVuuhHNoO
まぁ吉田さんも態度を変えなければ国を喪うって言ってるし
もしそのまま態度でいたら邦國の調和を乱しているとか理由をつけて
ついでに諸国に見せしめとして絶滅作戦やっちゃうかもな〜

938 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/08(木) 09:04:32 ID:Hd5cQ7n60
>>908
 陸士長さま、有難うございます。

>こいつらむしろ島国と言うよりもどっかの半島国家じゃないですか?
 彼等にも結構たまっているのがあるのでしょうね、きっと。流民と似たようなモノです。
(まあさすがに流民よりは百倍マシですが)

>>909
 909さま、有難うございます。

>なるほど、どっかで見たようなデジャヴを感じたと思ったら朝○か
 朝○の様に何度も侵略を受けた訳ではありませんが、なまじ大陸同盟の一員として“格上”とされる国々とつきあっている分、かなりのストレスが……

>>910
>私が>>900のイルドーレ王国の使者なら、こう言いますね。
 それが言えればイルドーレじゃあないですよ。連中、卑屈になるか高圧的になるかのどちらかですから。

>>911
 911さま、有難うございます。

>自分も一番に半島を想像しました
 まあ入り婿みたいなものですかねえ。家(大陸同盟)の中ではへコへコしてるけど、会社の部下には――

939 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/08(木) 09:05:40 ID:Hd5cQ7n60
>>916
 ヨークタウンさま、有難うございます。

>しかし、イルドーレの使者、なんてえ野朗だ。
 といいますか、完全なる無能です。
 吉田はこの一件で既にまともに相手にすることを止め、時期が来るまで適当にあしらっておく方針に変更しました。
 豚もおだてりゃ木に登る、用が済んだら焼いて喰う……

>>917
>だんだん“あの”王様がこの国ではごく普通に思えてくるから困るw
 ……いえ、大陸で育ちましたから、いろいろ考え方も合わないのですよ。
(まあ本質的には同じですが)

>>918
 918さま、有難うございます。

>帝國がロッシェルを下した後の反応にwktk
 その時はもう「用済み」に近い訳で、帝國も今までの様な対応はしないでしょうからねえ。(他国の目もありますし)

>>919
>細かいですが『竜の威を鼠』は『竜の威を借る鼠』の間違いではないかと思います。
 ありゃ、申し訳ない。御指摘有難うございました。

>>920
 920さま、有難うございます。

>しっかし、こんな調子を最後までしまくったら帝國が
>超大国となった時(すなわち稲葉の時代)の反応が楽しみですなw
 もう存在自体を忘れ去られているかも……

940 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/08(木) 09:06:58 ID:Hd5cQ7n60
>>921
>女が欲しい
 まあ小金渡して、「ご自分でどうぞ」でしょうかねえ。
 イルドーレにも娼館はありますし、金さえ有れば「奴隷まがいの立場にある女」を手に入れること位、簡単ですから。

>>922
 事が済んだ後は「冷たい視線を伴った無視」程度でしょうかねえ。
 正直、あんなちっぽけな国相手にして格を落とすのも……
(とはいえ、大陸に拠点を確保したとしても、やっぱりイルドーレがあると便利なんだよなあ……)

>>923
>朝鮮といえば「併合してくれ」と言われそうで怖いな。
 位置的にはいい場所にありますからねえ……

>>924
 924さま、有難うございます。

>私も真っ先に某半島国家を思い出しました。
 気持ちは良くわかりますが、皆さん半島が嫌いですねえ……
 でも半島の歴史と現実を考えれば、ねじ曲がらない方が不思議ですよ、絶対。
 これで普通だったらかえって怖いです。恐ろしく優秀な民族だという証拠ですから。
(これはこれで困ったことで、無能な隣人と有能な隣人のどちらが良いかと聞かれれば……)

941 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/08(木) 09:07:41 ID:Hd5cQ7n60
>>926
 欧米人ならやるでしょうが、帝國人は中途半端に甘いですからねえ……

>>927
>旧版のタブリンが可愛く見えるぐらいのアホっぷり。
 あっちはタダの汚職大国、食道楽大国ですから。
 ……それはそれで問題か。

>>928
>ジャンクとは云えパタリロとは上から下まで随分違う国民性に唖然
 マリネラは「あの」アメリカの裏庭とも言える海域に存在しながら核保有国になりおおせた国ですから、格が違いますよ。
 普通ならとっくに……

>>929
 929さま、有難うございます。

>大陸への中継基地・補給基地とするなら、後腐れないようにいっそ支配者層は“消毒”してしまっても(ry
 大義名分さえあれば……
 とはいえ、そのカードをイルドーレ相手にきるのは勿体なさ過ぎですからねえ、困ったものです。

>>930
>とてもじゃないけど、信用できそうにないですし。
 裏切ってくれた方が、帝國としては有り難かったりします(笑)

942 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/08(木) 09:08:32 ID:Hd5cQ7n60
>>931
>長期的に考えれば無理してでも関わりを持たないほうが帝國にとってマシだろうね・・・
 帝國は当時はそういった警戒心が弱いですからねえ。
 現在皆さんが持っている強い警戒心は、経験の成果ですし。
(当然帝國は未経験)

>>932
 やはり氏より育ち……なのかな?

>>933
 現在の帝國の姿勢からして、そういうメンドいことはしないでしょう。
 せいぜい国土の一部を永久租借し、そこを「立ち入り禁止」にする位かと。

943 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 10:55:25 ID:rJdHRqOw0
しかし、外務省、大蔵省の両役人達は皆、半島問題で滅茶苦茶難儀した当事者達。
朝鮮半島での経験で十二分に懲りてるはずだから、先を見据えると二の舞を防ぐために
後腐れ無く潰す様な気も。
吉田さんが投入されるくらいの最重要地でもあるし。

944 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 11:21:49 ID:rnieKo0I0
>>940
>でも半島の歴史と現実を考えれば、ねじ曲がらない方が不思議ですよ、絶対。

つベトナム

945 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 15:59:39 ID:KMw2j5O60
「本物の」吉田茂なら即効でステッキで殴ってるなw

946 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 16:37:40 ID:lGUFSpGY0
バカヤロー開戦w

947 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 18:20:30 ID:F36y1eXk0
小声で言ったのを地獄耳の官吏が聞き逃さず
「何たる無礼な!!」
で開戦ですかw


実際のとこは、小さく「バカヤロ」とつぶやいたのをたまたまマイクが拾ったそうで
>>バカヤロー解散

948 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 21:04:49 ID:EfnqqGXY0
大蔵省にとって想定予算が増えるのは悪いことですが
外務省にっとて仕事が増えることは良いことですよ、外務省が扱う予算も増える意味もありますし。

949 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 21:12:14 ID:Bd3wyNqw0
>946
誰が上手い事を言えとw

950 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/08(木) 23:41:44 ID:OBwndYc.0
>949
本当にそうなりそうなだけに却って始末に悪いorz

951 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 00:23:35 ID:OmYv8y4Q0
核兵器が開発されたら、国民全部適当な小島に集めて核兵器の実験に使うのはどうでしょう?
初期の15〜20キロトンの核でも7万位なら一発で吹き飛ばせるでしょうし、核兵器の威力を諸国に証明でき、消毒できて一石二鳥

952 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 01:07:13 ID:hDh6aBVo0
>>951
少々あからさますぎるので、それなりの大義名分をデッチ上げてからでないと反感買いすぎそうですな。
戦争中なら「仕方なかった」で無理やり済ませるのも有りかなとは思うけど、集めてからとなると制圧後でしょう?
それこそ近場で生物兵器でも使ってその罪を擦り付けるぐらいは必要かもしれませんね。

953 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 06:31:11 ID:E7.7vDAQ0
>>951
いくらなんでも同じ人間ではあるのだから、もうちょっと人道的に扱ったほうが……
島国で隔離されていることでもあるし、幾つかの島を生物兵器の実験場として使用するとか。
アルフェイム人類だけに有効な細菌兵器だとか、興味深い研究テーマもありますし、
生殖能力だけを破壊するものや、眠るように安らかに絶命するものなど人道的で良いかもしれません。

954 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 07:09:05 ID:UrKT8VqE0
>>952.953
あーヤッパリ問題ありか、でも早めに対処しておかないと面倒な事なりそうだし、
何処かの自由世界の盟主にして世界の警察官は同じような事を一度ならず二度もやってるんですけどね

955 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 07:25:26 ID:E7.7vDAQ0
>>954
まあ、帝國人はこの世界では少数派なので「埋めよ増やせよ」に努めているという話もありますから、
逆に原住種族だけを減らせば良いと思いついたもので、この国をそのテストケースにと。

話が真っ黒だな………

実際のところ大義名分無しにはそう乱暴なことはできないでしょう。こちらの世界でも。

956 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 08:17:11 ID:Swv6NOKAO
みんな朝鮮が大好きですね。

957 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 10:02:57 ID:rnieKo0I0
いくら好きだからといっても、韓国面を実装しなくてもよかろうに。

958 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 11:14:32 ID:hzZSq3JA0
今のところイルドーレ側で目立った登場人物が国王と使者しかいないから評価がひどいことに
今後の展開を思い出せばもう少しましな重臣がでてくるかもしれん
あるいは権力闘争の結果の偶然があの結果?

959 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 12:07:29 ID:hDh6aBVo0
>>957
スペインからイギリス、イギリスからアメリカへと受け継がれてきた歴史に裏打ちされた覇権国家式「正義」の手法ですよ。
たぶん、おそらく、韓国面に堕ちた手法では無いと思いたいw・・・

960 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 20:04:27 ID:rnieKo0I0
イルドーレの民族性を金を掛けずにどうにかしたければ、ガルム制圧後の話になるが、
優秀だが政治的に取り扱いの難しい貴族を封じるという手がある。
厄介者に厄介者の面倒を見させるのは、封建制ではよくある手だ。

打つべき手を打つ前に、なんで虐殺だの絶滅だのという話になるんだろうな。

961 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 20:19:25 ID:yn4F6CqM0
大陸に移住させてやると言えば大喜びで引っ越すのでは。

962 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 20:23:18 ID:i/BGxRX.0
>>959
根本的に、朝鮮的な行動は「自国民」に行われるというどーしよーもないものだから大分違いますぜ

963 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 20:31:42 ID:lXFJbwSE0
>>961
強制連行nida!!
謝罪と賠償を(ry

964 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 21:15:31 ID:dnsAMIzk0
ペリー来航時の日本もイルドーレとどっこいどっこいだったような。
これは民族性云々というよりも辺境ゆえの田舎者というべきでは。

965 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 22:11:01 ID:I2Xp0xSY0
>>964
民衆は珍しがって一種の見世物にしてたみたいね>黒船
しかし当時の日本の知識人は日々高まる国外からの圧力に頭を抱えていたから
日本は欧米の植民地にならずに済んだのだと思う

966 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 22:21:11 ID:QpfNK7QA0
その当時の日本人の教養の高さに驚いたと聞いたことがある
一つの例として識字率を上げると、江戸で8割、ロンドンやパリは3割
ペリー艦隊では1割程度だったはず。

967 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 22:33:27 ID:Bd3wyNqw0
そしてほぼ完成されたリサイクル社会でもあったそうな。

968 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 22:34:45 ID:oVuuhHNoO
寺子屋とかで教育は農民にまで行き届いてたからな〜
当時は一般人でも読み書き算盤は出来たそうな

ヒストリーチャンネルの番組で見たんだが、
幕末のイギリス領事の随員が江戸に行った際に、
至るところで瓦版を、また娯楽として文字媒体を読んでいた庶民に脅威を感じたそうですよ

969 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 22:50:48 ID:aijJhmBY0
イルドーレの洗浄だの消毒と、皆物騒な話題をしていますが、改定版最初に
在ったように今の帝國は金で解決することを覚えています。
後は隔離で鎖国でもしてもらいましょう。

特使も主砲や高角砲が大き過ぎて砲や魔道砲と認識出来なく又、機銃は形が
違いすぎている為飾りと思って、非武装船と勘違いしての態度かも。

970 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/09(金) 23:07:32 ID:OFhZwItk0
隔離は…最重要拠点といっても良い場所だし無理じゃないかなぁ?

971 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/10(土) 00:49:45 ID:rA.E4kz60
海岸全周を無償で租借してイルドーレ人がそこに立ち入ったら容赦なく銃殺、とかでいいんじゃね

972 名前:陸士長:2007/11/10(土) 02:33:29 ID:KNJCSNJU0
○○扱いにしておいてナンデスが。
残虐さとか出さなくても良いのではないかと。
本島の周りの島を買い上げて其処を拠点化。(犬とイルドーレ人は入るべからず)
後は適当な扱いで放置しておけばいいでしょう。
余計な真似をしそうになったら「静かにしててね☆」と笑顔で銃口を向けて説得。
自分の身の丈を弁えて静かにしてれば、後は不干渉の方針で。

973 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/10(土) 05:09:33 ID:h/.JYuxk0
>>927
そこで身の丈を弁えられない国民性っぽくも映りますがw
兵科として銃殺科なんてのが出るのは漫画だけにしてほしいですが。

974 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/10(土) 05:13:27 ID:h/.JYuxk0
すいません>>972でした。

975 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/10(土) 06:37:24 ID:xEce2yXA0
>>940
> 気持ちは良くわかりますが、皆さん半島が嫌いですねえ……
私は好きですよ、面白くて。
ただ、海がないと絶対言えないな……巨大な大陸国家とつながってるなんて怖すぎ。

>>972
中国と北の関係を見る限り、帝国が強いと認識してる間は(表面上は)おとなしくしてると思うな。
弱くなったらどうなるかはあえて言わないけど。

976 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/10(土) 10:16:29 ID:aijJhmBY0
>>968
ここの列強の教育は、江戸か西欧か?
小麦で生産性が低いだろうから、教育にまで手が回らず識字率が低いかな?
キリスト的に愚民化政策が無く意外に高いか、王権維持の為低いかで帝國の
列強への認識が蛮族のままか、潜在的脅威かの分岐で対応が変化するか。

>>970
そのための、ロッシェル侵攻の前倒しですよ。おそらく。

977 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:33:25 ID:Hd5cQ7n60
 どうも、お久し振りです。
 では投下。

978 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:34:04 ID:Hd5cQ7n60
帝國召喚 第一部外伝1「事変前夜」

「交易だと?」

「はい、それが連中の本音のようです」

 “筑摩”から帰還した使者は、重臣達を前に断言した。

 『貴国で食料等の物資を調達をしたい。それにつけても船を空荷で送り出すのは不経済なので、行きに物資を積んで売却することを望む』

 ――そう“帝國”は打診したのだが、幾ら外交音痴たるイルドーレ王国の使者とはいえ、流石にこの言葉を額面通りには受け取らなかった。 ……いや、それどころか“帝國”の本音を(その表層のみとはいえ)見破っていたのである。

「“帝國”の真意は『北東ガルムとの本格的な交易』にあります、我が国に目を付けたのもその為でしょう。大陸同盟の一員である我が国を“エイオンの木竜”に仕立て上げることにより、有形無形の様々な障害を一気に乗り越えようと目論んでいるのです」

 使者の言葉に、重臣達は大きく頷いた。

「……成る程。確かに我が国を経由すれば、関税や輸入制限が大幅に緩和されるからな」

「礼儀を弁えぬ蛮族とはいえ、いささか虫が良過ぎる考えですな」

「で、連中は一体何を持ち込もうというのかね? 珍獣の毛皮か何かか?」

979 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:34:41 ID:Hd5cQ7n60
 ひとしきり相槌を打ち合っていた重臣の一人が、興味本位からか何気無く訊ねた。
 ……とはいえ、言われずとも想像が付く。あんな辺境で輸出出来るものといえば、そこにしか生息しない珍しい動植物から採取した品くらいのものだ。

「いえ、違います」

 が、使者は首を振り、目録を差し出した。

「! こ……これは!?」

 目録を見開いた重臣が、驚愕の声を上げる。

 “帝國”が輸出を希望する品々は、大内海沿岸産の錫や鉛・銅・水銀といった様々な金属の地金だった。
 が、何よりも彼等が驚いたのは“その量”だった。

 1航海につき50万リブラ。“帝國”は月1回以上の航海を要求しているから、年12航海――600万リブラ!
 これは産出する金属の種類にもよるが、中央世界でも“大規模な”とされる鉱山の年間生産量に匹敵する量だった。無論、中央世界の国々の中にはこれをはるかに上回る金属地金を輸出する国々が少なく無い。が、これだけ大量の余剰が出る程の生産力を辺境の国家が有することに、彼等は驚きを隠せなかった。
 ……それは、彼等が思い浮かべる“辺境の国”とは余りにかけ離れていたのだ。

980 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:35:12 ID:Hd5cQ7n60
 “帝國”の統一により、大内海沿岸の諸文明圏は急激な発展を遂げつつあった。
 『有史始まって以来の緩やかな統治』と言われ、その投資も(資源開発関連を除き)最小限に留めていた“帝國”だったが、『それぞれの小さな文明圏に半ば閉じ篭り、その中ですら群雄割拠していたような状態』が解消され、曲がりなりにも“一つの意思”に従って動き出した効果は絶大だった。
 全ての文明圏は“帝國”本土を中心とした海上ネットワークによって結びつけられ、連動して動き出す。陸上でも鉄道により近隣文明圏同士を直接結びつける計画が進行しており、既に幾つかの文明圏間で開通している。例え“帝國”人以外の利用が極度に制限されているとはいえ、その洩れ伝わる物は従来の比ではない。農業、鉱業、鉱業、商業……ありとあらゆる産業が一斉に勃興を始めたのである。

 その最たる分野が鉱業だった。
 ……実の所、“帝國”がその近代的な技術を投入して開発している鉱山などほんの一握りに過ぎなかった。“帝國”の限られた国力では、幾つかの重要地点に集中投資するのが精一杯だったのである。それ故に、鉱山の大半は現地人のみの手によって操業されていた。(“帝國”が大内海沿岸全域を支配したのも、『鉱山数で生産量を補う』必要があったからだ)
 が、今まで各勢力が細々と操業していた各鉱山は、従来では考えられない程の大資本・大労働力の投入により、その姿を根本的に変えつつあった。
 軍に費やしてきた人と金が文明圏中から集められ、開発に投入される――その効果は絶大で、『“帝國”の貧弱な輸送網では捌き切れない』などという笑えない光景すら出現しつつあったのである。結果、かなりの資源が港に滞留された。“帝國”が今回持ち込もうとした資源は、これを(現地で)精錬したものだったのである。

981 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:35:44 ID:Hd5cQ7n60
 大内海地方は世界で最も資源が集中した地域であり、これを殆ど手付かずの状態で手に入れられたことは、返す返すも“帝國”にとって幸運なことだった。
 豊かな水産資源は“帝國”人を飢えから救い、豊かな地下資源は“帝國”文明を崩壊から救った。そして手強い中央世界から距離を置き、態勢を整えた上での“チャレンジ”を可能にしたのである。これは他地方では到底不可能な芸当だろう。更に言えば、“米櫃”を独占した“帝國”は、今後アルフェイム世界で勃興するであろう近代工業そのものでも圧倒的な優位を保証されている。スタートでの技術独占に加え最重要資源地帯をも独占したことの意味は、それ程大きなものなのだ。(例を挙げれば石油の過半、レアメタルに至ってはその大半が大内海地方に埋蔵されている)
 ……尤もこういった過ぎる幸運が後に“帝國”人を些か神懸り的方向へと導いていくことになるのだが、今回はここで筆を止めておこう。何れにせよこの時期、大内海地方における鉱業生産は飛躍的に増大し、これ程大規模な輸出を可能としていたのである。

「ううむ……」

 信じ難い事実を突きつけられ、呻く重臣達。
 が、その中で一人だけ、先程から無言で目録を眺める者がいた。

「……デヴルー侯、どうされましたか?」

 周囲の重臣が、遠慮気味に声をかける。
 デヴルー侯ペドロ。王国大貴族の一人であり、王国筆頭魔道師でもある重鎮だ。
 が、それ以上に顔を面で、腕を布で覆った異形は、その醸し出す雰囲気と数々の“噂”も合わせて、同僚たる重臣達ですら気後れを禁じ得なかったのである。

982 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:36:14 ID:Hd5cQ7n60
『この目録にある品々、どの程度の代物だ?』

「は……はい、申し訳ありませんが、詳しいことは判りかねます」

 妙に甲高い、まるで赤ん坊が喋りだした様なデヴルー侯の声に、使者は上ずった声で慌てて答える。
 と、デヴルー侯は薄く哂った。

『嘘だな。この目録には産地も品質も記載されていない。ならば代わりに現物を寄越した筈だ、違うか?』

「……蛮族故の不手際でしょう」

『ならば何故、貴様はそれを正さなかった?』

「も、申し訳ありません! “見本”と称し、僅かばかりの地金を預かったことを忘れておりました!」

 観念し、土下座する使者。
 が、デヴルー侯はそれを冷たく見下ろし、言い放った。

『全部、だせ』

「は……?」

『貴様、我が催促せねば、全てを懐にしまいこむ腹積りだったな? 事が露見してなお、惜しさの余り隠そうとしている』

983 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:36:46 ID:Hd5cQ7n60
「い……いえ、決してその様な真似は……」

 ……図星だった。自分が賂を要求すると、“帝國”人は目録に書いてある全ての金属地金を合わせて1万リブラ程も寄越し、『見本としてこの品々を貴国にお渡しする。ただし、目録にはその旨もお渡しする量も書いていない』と意味ありげに耳元で囁いたのだ。
 要は『己の才覚でここからばれぬよう分け獲れ』ということなのだろうが、中に“屑魔石”が入っていたのが不味かった。
 魔石とは様々な魔道に用いられる“レアメタル”であり、金銀に匹敵する価値を持つ“貴金属”でもある。故に、屑といえどもかなりの価値がある筈で、これが使者の正常な判断を狂わせた。身分不相応の財宝を前に、我を忘れてしまったのだ。

『一度掴んだものは放さない……その強欲さも許し難いが、こうも簡単に露見する嘘を吐く無能さはそれ以上に許し難い』

「あああ…………」

 恐怖の余り腰を抜かしながらも、使者は必死で後ずさる。

 彼は、自分が“帝國”人にしてやられたことにようやく気付いた。
 あの“ヨシダ”という男は、必ず横領が発覚するであろうことを確信しながら、耳元で囁いたのだ。
 ……そして愚かにも自分は、その悪魔の囁きに乗ってしまった。
 眩いばかりの財宝に目が眩み、その中に隠された“罠”に気付かなかったのである。

984 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:37:44 ID:Hd5cQ7n60
『何よりも、我をたばかろうとした罪は許せぬ』

「お、お許し『死ね』

 デヴルー侯のその言葉と同時に、使者の首が捩れ切れた。
 同時に、大量の血が噴水の様に飛び出す。

「ヒッ!」

『……これはこれは、諸卿にはとんだお見苦しい所をお見せした、許されよ』

 目の前で起こった凄惨な光景に顔を蒼くした重臣達に、デヴルー侯はまるで茶でも零したかの様に詫びをいれた。
 ……何の高ぶりも見せぬその姿は、“狂”と呼ぶ他無い。重臣達は噂が真実であることを確信した。





 後日、改めて“帝國”が提供した見本を検分すると、失笑せんばかりの事実が明らかになった。
 “帝國”が“屑魔石”と称したのは、さして使われていない魔力結晶……それも高品質の大結晶ばかり。再精錬すれば“良質の魔力結晶”として生まれ変わるだろう代物だったのだ。
 恐らく精錬技術の劣悪さから高品質の大結晶でしか必要とされる魔力を得られず、魔道技術の劣悪さから少しでも劣化すると使えなくなるのだろう――調査に当たった魔道士達はそう推測した。

985 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:38:21 ID:Hd5cQ7n60
 これを裏付けるかのように、金属地金も魔力結晶ほどではないが不純物が多く、“地金”としては些か問題のある代物だということも判明した。
 ……まあ魔力結晶に関しては兎も角、他の金属については『大内海地方の鉱業は採掘偏重であり、大量精錬を行う能力を未だ持っていないにも関わらず、大量の鉱石をそれも急いで精錬するよう要求されたため、“やっつけ仕事”になってしまった』というのが真相――些か苦しい言い訳だか――なのだが、何れにせよようやく安堵すべき事実に巡り合い、重臣達は先ず安堵を、次いで嘲笑した。

 ――所詮、こんなものか。

 そして、哂いながら月一回の交易を許した。
 ……無論、『何重もの仲介手数料と関税を取った上で』の話ではあったが。

 とり合えずこうして“帝國”は当初の目的、その第一段階を果たしたのである。

986 名前:くろべえ ◆7dmdXxLH3w:2007/11/13(火) 15:38:54 ID:Hd5cQ7n60
 SS投下終了。

987 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 16:48:36 ID:Il9dO2Oc0
投下乙、そしてGJ!

988 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 18:02:45 ID:6VOVMDRw0
>くろべえ師
おっつ〜

使者ざまぁw。傲慢すぎるからこんな目に会うんだよw

あと誤字ハッケソ
>>980
『農業、鉱業、鉱業、商業』は
『農業、鉱業、工業、商業』じゃないですか?

989 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 18:12:08 ID:EJDn1AT60
乙です
面白かったです
これは帝国の軍事力の攻撃と防御が当初より低くなった分を資源、生産力、
輸送、本土経済などを向上させバランスをとったのかな?

990 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 19:40:13 ID:Bd3wyNqw0
投下お疲れ様です。

さて、本土で精錬された地金を見たら連中はどういう反応をしていたか。
粗悪品渡した今回の方がいい選択だったのでしょうな。

991 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 19:47:13 ID:yn4F6CqM0
豊かな資源、広大な領土、優れた科学技術、圧倒的な人口差。
市場を求めて蛮地に討って出る。
アメリカだ!アメリカだ!アメリカだ!
ああ!妄想でも嬉しい。

992 名前:陸士長:2007/11/13(火) 20:22:13 ID:KNJCSNJU0
油断させておいて、まずは玄関先に侵入ですね。
相手もすっかり油断しているようで何よりです。(仲介料のぼったくり具合で舐められ具合が解る)
しかし、紳士のスマイルで容赦なく使者殿をまるっと破滅させる吉田さん怖いですねー。
流石えげつなさでは世界最高レベルの英国風外交術を学んだ男でしょうか。

993 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 20:38:51 ID:VeijhCfw0
神に祝福された国、日本!!ですか最高ですね。
アメリカ人がゴッド・ブレス・アメリカとか言っちゃう気持ちがわかるよ。

994 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 20:49:46 ID:0H0H.4xs0
デヴルー侯=ダース・ベイダーを連想したのは、私だけでしょうか?

995 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 20:54:41 ID:rnieKo0I0
クロベエ氏、投下乙。
イルドーレの面々、まるきり無能という訳でも無さそうですね。

>顔を面で、腕を布で覆った異形は、
>妙に甲高い、まるで赤ん坊が喋りだした様なデヴルー侯の声
デブルー侯ょぅι゛ょフラグ?

996 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 21:05:13 ID:I2Xp0xSY0
どうみてもダースベーダー卿です。本当にありがとうございm(ry

くろべえさん投下乙です
吉田さんの英国仕込外交炸裂ですか?
帝國(の代理人)を怒らせた報いです
それにしてもデブルー侯がホントに
シスの暗黒卿にしか見えない件について小一時k(ry

997 名前:ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ:2007/11/13(火) 21:28:45 ID:Bohu6sek0
くろべえ氏お疲れ様です。

筑摩でやりたい放題やった使者も、デブルー侯にやられちまいましたね。
使者に合掌(-人-)

しかし、デブルー侯もかなり冷酷な人ですが、その反面頭はよさそうです。
帝國に対して何かやらかしそうな気がしますね。

998 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 22:05:09 ID:ovNiK/520
くろべえ師、いつも投下お疲れ様です。

なにやら興味深い人物が現れました。
しかし、国の規模からいって、できることには限りがありそうだけど。
後に帝國側について活躍するのだろうか……

999 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 22:09:39 ID:mSiubQ.I0
乙です
実際の戦闘場面よりこう言う政略場面のほうが好きですw
あとはこの国をどのように自滅滅ぼすかwからめて傀儡にするか楽しみですw

1000 名前:名無し三等陸士@F世界:2007/11/13(火) 23:18:42 ID:njlPJyHw0
> デブルー侯ょぅι゛ょフラグ?
いくらくろべえさんでもそれはある


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