山梨リニア実験線:新型車両「LO系」公開 目立つ鼻、長さ15メートルも−−JR東海 /山梨
毎日新聞 2013年06月04日 地方版
◇営業運転想定し居住性向上 軌道上で試験開始
JR東海が3日、都留市の山梨リニア実験線で公開した新型車両「L0(エルゼロ)系」。リニア中央新幹線(2027年に東京−名古屋開業予定)の営業運転を想定し、居住性などを高めた。同日から本線軌道上で機能を確かめる試験を開始し、9月には走行試験が始まる見通しだ。
この日は5両編成のL0系を報道機関に公開。流線型の先頭車両(長さ28メートル、幅2・9メートル、高さ3・1メートル、定員24人)2両と中間車両(長さ24・3メートル、定員68人)3両が連結され、作業車が押し引きし、軌道上をゆっくりと動く姿が披露された。
一見して目立つ先頭車両の「鼻」の長さは、流体力学の観点などから15メートル。かまぼこ形の従来の試験車両に比べ、断面を角形にして居住性を向上させた4列シートで、荷物の収納スペースも広げた。実際の運行時は12両編成(全長299メートル、定員728人)を想定し、最高時速は500キロ。
同社によると、3日から浮上状態や軌道と車両の電気系統が正常に作動しているかなどを調べる調整試験を開始。実験線を18・4キロから42・8キロに延伸する工事はほぼ完了しており、9月をめどに全線を使った走行試験を始めるという。
同社山梨実験センターの遠藤泰和所長は「(環境への影響や騒音など)地元への迷惑も掛けたが、それなりに対応して乗り越えてきた。営業運転までの道のりの半分に達した思い」と話した。
今月中旬以降、都留市小形山の県立リニア見学センターの展望室から浮上して動くリニアを見られる。横内正明知事は「早く体験乗車を行うようJR東海に要望していく」とのコメントを出した。【春増翔太、松本光樹】