逮捕夫婦「生活苦で…」、保護の長男も未就学
2012/09/22
豊橋署は20日、いずれも保護責任者遺棄の容疑で豊橋市神野新田町の派遣社員、加藤和久容疑者(48)と妻の無職、陽子容疑者(39)を逮捕した。逮捕容疑は、長女の杏奈ちゃん(4)に対して十分な食事を与えず、必要な保護を取らずに放置させて死亡させたとされる。
豊橋署によると、20日午前11時10分ごろに和久容疑者から「女の子が呼吸していない」と119番通報があり、病院で杏奈ちゃんの死亡が確認された。
杏奈ちゃんは発見時、体重が8キロしかなく、4歳児の平均体重の約半分しかない状態だった。
調べに陽子容疑者は「昨年の12月に風邪をひいたが病院での診察は受けず、その頃から次第にやせ細っていき、春には自力で歩けない状態になった」と話し、和久容疑者は「ここ3カ月で激やせしてがんかと思った。生活苦で病院へは連れていかなかった」と容疑を認めている。
同署は21日に杏奈ちゃんの遺体を司法解剖して調べ、住居のアパートの現場検証を行った。遺体に目立った外傷はなく、日常的な虐待はなかったとみられる。今後は死亡と育児放棄の因果関係が分かり次第、保護責任者遺棄致死の容疑でも調べていく。
子どもへの虐待などに対応する東三河児童・障害者相談センターによると、アパートには夫婦と長男(7)、杏奈ちゃんの4人暮らし。長男は、陽子容疑者と婚姻関係にない男性との間に生まれ、和久容疑者と08( 平成20) 年に結婚して、同年7月に養子縁組が結ばれた。長男は外見上、体格的に衰弱した様子はみられないが、オムツをつけており、先天性の病である口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の症状があるが治療した形跡はなく、言葉の遅れもみられた。同センターの職員が病院で夫婦と面談した際には「ジュースやお菓子は食べていたので死ぬとは思わなかった」などと杏奈ちゃんについて話し、夫婦仲は良く見えたという。
長男は保育園や幼稚園、小学校にも通っておらず、住民票に登録された同市内の校区小学校の職員が入学前に何度も出向いたが、約3年前に現在の住居に移ったため、所在がわからない状況だった。杏奈ちゃんは県外で生まれ、生後1カ月の健診は豊橋市内の病院で受けたが、4カ月、1歳半、3歳の定期健診は未受診で、保健師が前の住居を訪問していた。
同センターでは、長男を児童福祉施設へ保護し、学校へ通学させるなどの対応を取っていく。
【豊橋・佐原市長談話】
こんな形で命が失われたのは悔やんでも悔やみきれない。
いろんな場面で接触する機会はあったが、反省して改善するとしたら関係部署で情報を共有化することだ。
子どもの成長とともにいろんな部署が関わる。どこかに信号が出ているとの目線で情報を反すうし、気になったことがあったら議論して一件一件当たっていく。
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