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【滋賀】

県拡散予測と共通点 SPEEDI予測結果公表

SPEEDIの予測について意見を交わす県原子力防災専門家会議のメンバーら=県庁で

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 福井県の原発で福島事故並みの事故が起きれば、原発から五十キロを超えた範囲が高線量となる可能性が示された緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI=スピーディ)の予測結果。国が原発事故の防災対策を重点化する緊急防護措置区域(UPZ)と定める半径三十キロ圏を超えている。公表を受け四日にあった県の原子力防災専門家会議でも、委員から県の防災施策に生かすよう求める発言が相次いだ。

 一昨年に公表された県独自の予測では、高い放射線量となる範囲は四十二キロに達した。会議では、県独自予測と今回の結果の比較が議題に上った。委員の高橋知之・京都大原子炉実験所准教授は「どちらが正しいという話ではない。広範囲の解析条件によっての予測なので、政策的な判断に県が使えば良いのではないか」と述べた。

 スピーディと県の拡散予測システムは、使用した気象モデル、計算方法が異なるため、予測の土台となる設定条件が同じでも、拡散方角や広がりに違いが見られたケースもある。だが、UPZを超える範囲で高い放射線量となるとの予測をはじめ、共通点も多かった。

 福井大付属国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授も「予測は必ずこうなるというわけではないということを承知するべきだ」と述べた。その上で「どう防災に生かすかが重要」と指摘。万が一の事故が発生したときには、モニタリングの実測値データと組み合わせた対策を考慮する重要性を説いた。

 嘉田由紀子知事はスピーディの予測データ公表を二年前から要望し続けてきた。国の動きが鈍いなか、県は独自に放射性物質の拡散予測に取り組み、結果を一一年十一月に公表。その結果を基にして地域防災計画の見直しを進め、国の目安となる三十キロを大きく超え、最大四十二キロまでとする県版のUPZに反映させた経緯がある。

 会議後、嘉田知事は「スピーディと県の予測はかなり一致しているものが多いと思った。予測はモデルが違うと同じデータを入れても違うことがある」と解説。「県の拡散予測結果が今回のスピーディの結果で裏付けられたのではないか。防災計画を進める上で自信になった」と、原子力防災の施策に生かす決意を示した。

(梅田歳晴)

 

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