2007年 08月 02日
メイドキングダムを目指した哲学者 キルケゴール |
メイドに興味を持たない男は損をしており、メイドの力でデンマークの黄金時代を築くことができる。哲学者のキルケゴール氏は著書の中でそのような趣旨の発言を行っています。
その長い文章のごく一部を引用しておくと
「一般に、女中風情に興味はないという男があるなら、それで損をするのは、女中さんたちよりも、むしろそういう男なのだ。女中さんたちの色とりどりな軍勢こそ、ほんとに、わがデンマークの有するもっともすばらしい市民軍なのだ。」(『誘惑者の日記』桝田啓三郎訳 ちくま学芸文庫 233~234頁)
詳しくはこちらで
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
当ブログ内に続編もあります
もっともっとメイドさんとキルケゴール 続・偉大なるダメ人間シリーズその1
http://trushnote.exblog.jp/8194144/
デカルトやマルクスのように、メイドさんに手をつけた思想家も存在し、思想家先生のメイドさんに向ける思いは浅からぬものがあると言ってよいのですが、それでも彼の態度は尋常のものではありません。特殊な漫画や特殊なゲームの登場人物ならいざしらず、三次元の人が哲学書の中に記した言葉としては、いかがなものでしょう。一体なにゆえ彼はここまでメイドさん大好き人間になったのでしょうか。
ひょっとしたら、彼が手をつけられたメイドの息子だったからかもしれませんが、よく分かりません。
ところで、この記事の表題および前記発表文中で用いた「メイドキングダム」とは漫画『仮面のメイドガイ』に出てくるメイドさんの国のことですが、この作品、「かっこいいは、大義。」の標語を掲げる豪傑、真の漢(おとこ)コガラシが、巨乳で世の変態たちの崇拝を集める女子高生ご主人・富士原なえかのメイドとして、漢度全開の最凶ご奉仕を繰り広げる、痛快メイド&乳漫画で、作中には、メイドキングダムに加えて、世界史上の様々な偉人聖人たちも巡礼に訪れたメイド神殿とかなんとか言う、メイド喫茶の一種と思しきうさんくさい石造りの聖地まで出てくるのですが、仮にこの王国や神殿が実在しているならば、キルケゴールならきっと訪れていたに違いありません。
それどころか、たとえ実在しなかったとしても、彼ならきっとメイドキングダムにたどり着く。
客観的真理を打ち捨てて主観的真理に仕えるという哲学の新境地を切り拓いた彼ならば、きっと脳内でやってくれる。
発表文中で彼の予測する黄金色のデンマークの未来をメイドキングダムに例えましたが、脳内でメイドキングダムにたどり着いた彼にとっては、あらゆる場所が居ながらにしてメイドキングダム、つまり彼にとっては既に、デンマークはメイドキングダムだったんだよ!
まあキングダムはともかく、かように滑稽なまでのメイド愛を見せ付けてくれたキルケゴール氏ですが、実は、我々日本人も彼のことは笑えません。
なんと、「途上国のメイド事情」(REVの物置)という記事には、ついでに日本のメイドの歴史も記されており、それによれば、
とのこと。
すなわち20世紀初頭から半ばまで、社会を善導すべき偉い人たちの手で三度もメイドブームが到来しているのです。
その上、近年になっての一部の好事家向けのメイド喫茶の出現。さらに狂乱したマスコミの影響もあってか、好事家のひそかな趣味を越えた俗悪化を伴いつつのメイド喫茶の大量繁殖および怪しげなメイド商売の乱立、メイド商売への一般人士の蝟集。
さて、以上のような事実を見るならば、おそれとおののきの中で西洋文明に足を踏み入れて以降、西洋文明の要素をあれこれ受容定着する一環として、我らが祖国は、高きも低きもメイドメイド、武人も文民もメイドメイド、今も昔もメイドメイドと、百年に渡ってメイド愛を高め行き、そこには過度の異国かぶれや軽薄な現代マスコミに煽られた過剰な大衆的俗悪さのように批判すべき点も散見されはするものの、今やこの瞬間、帝国はメイド愛の行程を最終段階まで上り詰めて、国民的規模でメイドに思いを向けていると、いわねばならぬのである。いわせてもらうならば、ある意味日本はキルケゴール的な黄金時代を迎えているのです。
中にはかかる風潮を、日本の文化的伝統を死に至らせるものとして、不安や絶望を感じている人も居るかもしれません。ただ百年に渡るこの狂騒ぶりからすれば、ひょっとして日本人はその血の内にメイドに惹かれる病を抱えているのかもしれず、たとえそうでなくとも百年もの自己修練は、日本人の本質をすっかりメイド愛好民族へと変えてしまっているに違いなく、もはやルビコンを渡った引き返せぬ地点にある以上、我々日本人がここでなすべきことは、メイド愛を避けえぬ神の呪いとして受け入れて、メイド愛の道をひるまずに進む、それのみでしょう。
ジーク、メイドカイザーライヒ・ジパング!
補足記事があります(http://trushnote.exblog.jp/7249841/)
キルケゴールの著書からの引用文を追加しました。リンク先まで行かなければ最低限の内容も理解できない文章というのは好ましくないと思い直したので。(11月21日)
冒頭に挙げた発表の続編記事へのリンク追加。(2008年3月19日)
参考資料
キルケゴール著『死に至る病 現代の批判』桝田啓三郎訳 中公クラシックス(年譜と柏原啓一「キルケゴールという出来事」が付属)
工藤綏夫著『人と思想19 キルケゴール』清水書院
赤衣丸歩郎著『仮面のメイドガイ 1~5(以下続巻)』富士見書房
種村季弘『怪物の解剖学』河出書房文庫
おおつやすたか『まるくすタン ~学園の階級闘争~』サンデー社
関連記事(2009年5月17日新設)
メイド哲学史断章その3 メイドと主人とラノベオタな俺のちょっと危険なアウフヘーベン
世界の偉人とメイドさん
高貴な殿方は何故メイドさんを愛するのか、合理的に(?)考える
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
引きこもりニート列伝その10 マルクス
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html
追記
ところでメイドというネタが現在きわめて低俗な形で消費されていることを、ご存知の方もおられるかと思います。
そのような状況でこのようにふざけた文章を書くことは、その軽薄俗悪な風潮に加担するに等しいのではないかと、少々心苦しくもあるので、せめてもの良心としてメイドネタの俗悪化について、問題提起してくれるサイト等を少しばかり紹介してこの記事を終えたいと思います。
文章を盛り上げる都合上黄金時代とか言いましたが、大衆化とそれに伴う俗悪化の結果2006年段階で既に「メイド」というネタは終わった状態にありました(たとえばメイド情報サイト「電脳メイドしづ子20GB」の「更新一時休止のお知らせ」http://shiduko20gb.ousyou.daa.jp/?eid=495853を参照)。そして現在では「散々メディアに露出」して産業としての俗悪化した当然の結果として、「客層の劣化」が進んで、犯罪行為が頻発するようになり、防犯対策会議まで開かれる有様だそうです(「アキバの王に俺はなる!」の「メイド喫茶防犯対策会議が行われた模様」http://blog.livedoor.jp/valdish05/archives/50610867.htmlを参照)。しかも「この客層劣化はメイド喫茶内だけで起こっている問題ではない」可能性があるらしく、マスコミとマスコミの煽る大衆の俗悪な行動が、町の「治安の悪化、環境の悪化」を引き起こしていると言ってよい状況にあるようです。(私には現地に行って確認することができませんから、引用の形でしか、物言うことはできませんが。)
キルケゴールという人は、マスコミや大衆との衝突に苦しみ、誹謗中傷され、嘲笑されながら、社会の大衆化という現代的な問題に取り組んだ思想家でもあるそうですから、この文章を読んだついでに、マスコミの負の社会的影響の問題なんかにも思いを致してもらえればうれしく思います。(ネット上の一般的な論調を見ればこんなことは言うまでも無く、この問題提起は蛇足でしかないでしょうが。)
(以下2010年6月26日加筆)
社会評論社『ダメ人間の世界史』でネットを飛び出しリアル世界に向けてキルケゴール・メイドオタ伝説拡散中。
(参照 「キルケゴール 史上最狂のメイドオタク。空前絶後のキモさで世間のみんなの笑いもの。」)
リンクを変更(2010年12月8日)
その長い文章のごく一部を引用しておくと
「一般に、女中風情に興味はないという男があるなら、それで損をするのは、女中さんたちよりも、むしろそういう男なのだ。女中さんたちの色とりどりな軍勢こそ、ほんとに、わがデンマークの有するもっともすばらしい市民軍なのだ。」(『誘惑者の日記』桝田啓三郎訳 ちくま学芸文庫 233~234頁)
詳しくはこちらで
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
当ブログ内に続編もあります
もっともっとメイドさんとキルケゴール 続・偉大なるダメ人間シリーズその1
http://trushnote.exblog.jp/8194144/
デカルトやマルクスのように、メイドさんに手をつけた思想家も存在し、思想家先生のメイドさんに向ける思いは浅からぬものがあると言ってよいのですが、それでも彼の態度は尋常のものではありません。特殊な漫画や特殊なゲームの登場人物ならいざしらず、三次元の人が哲学書の中に記した言葉としては、いかがなものでしょう。一体なにゆえ彼はここまでメイドさん大好き人間になったのでしょうか。
ひょっとしたら、彼が手をつけられたメイドの息子だったからかもしれませんが、よく分かりません。
ところで、この記事の表題および前記発表文中で用いた「メイドキングダム」とは漫画『仮面のメイドガイ』に出てくるメイドさんの国のことですが、この作品、「かっこいいは、大義。」の標語を掲げる豪傑、真の漢(おとこ)コガラシが、巨乳で世の変態たちの崇拝を集める女子高生ご主人・富士原なえかのメイドとして、漢度全開の最凶ご奉仕を繰り広げる、痛快メイド&乳漫画で、作中には、メイドキングダムに加えて、世界史上の様々な偉人聖人たちも巡礼に訪れたメイド神殿とかなんとか言う、メイド喫茶の一種と思しきうさんくさい石造りの聖地まで出てくるのですが、仮にこの王国や神殿が実在しているならば、キルケゴールならきっと訪れていたに違いありません。
それどころか、たとえ実在しなかったとしても、彼ならきっとメイドキングダムにたどり着く。
客観的真理を打ち捨てて主観的真理に仕えるという哲学の新境地を切り拓いた彼ならば、きっと脳内でやってくれる。
発表文中で彼の予測する黄金色のデンマークの未来をメイドキングダムに例えましたが、脳内でメイドキングダムにたどり着いた彼にとっては、あらゆる場所が居ながらにしてメイドキングダム、つまり彼にとっては既に、デンマークはメイドキングダムだったんだよ!
まあキングダムはともかく、かように滑稽なまでのメイド愛を見せ付けてくれたキルケゴール氏ですが、実は、我々日本人も彼のことは笑えません。
なんと、「途上国のメイド事情」(REVの物置)という記事には、ついでに日本のメイドの歴史も記されており、それによれば、
1902年・日英同盟でイギリス被れ激増、女中にメイド服を着せる金持ちが出現。
1935年・海軍メイドさん事件、ドイツ帰りの武官によって女中の洋装化、つまりメイド服着用が広まる。
1952年・GHQを廃して日本が独立奪還、占領中に親米反日分子と化した政財界の地主株主雇主は、女中にメイド服を着させる。
http://grev.g.hatena.ne.jp/REV/20070422/p2
とのこと。
すなわち20世紀初頭から半ばまで、社会を善導すべき偉い人たちの手で三度もメイドブームが到来しているのです。
その上、近年になっての一部の好事家向けのメイド喫茶の出現。さらに狂乱したマスコミの影響もあってか、好事家のひそかな趣味を越えた俗悪化を伴いつつのメイド喫茶の大量繁殖および怪しげなメイド商売の乱立、メイド商売への一般人士の蝟集。
さて、以上のような事実を見るならば、おそれとおののきの中で西洋文明に足を踏み入れて以降、西洋文明の要素をあれこれ受容定着する一環として、我らが祖国は、高きも低きもメイドメイド、武人も文民もメイドメイド、今も昔もメイドメイドと、百年に渡ってメイド愛を高め行き、そこには過度の異国かぶれや軽薄な現代マスコミに煽られた過剰な大衆的俗悪さのように批判すべき点も散見されはするものの、今やこの瞬間、帝国はメイド愛の行程を最終段階まで上り詰めて、国民的規模でメイドに思いを向けていると、いわねばならぬのである。いわせてもらうならば、ある意味日本はキルケゴール的な黄金時代を迎えているのです。
中にはかかる風潮を、日本の文化的伝統を死に至らせるものとして、不安や絶望を感じている人も居るかもしれません。ただ百年に渡るこの狂騒ぶりからすれば、ひょっとして日本人はその血の内にメイドに惹かれる病を抱えているのかもしれず、たとえそうでなくとも百年もの自己修練は、日本人の本質をすっかりメイド愛好民族へと変えてしまっているに違いなく、もはやルビコンを渡った引き返せぬ地点にある以上、我々日本人がここでなすべきことは、メイド愛を避けえぬ神の呪いとして受け入れて、メイド愛の道をひるまずに進む、それのみでしょう。
ジーク、メイドカイザーライヒ・ジパング!
補足記事があります(http://trushnote.exblog.jp/7249841/)
キルケゴールの著書からの引用文を追加しました。リンク先まで行かなければ最低限の内容も理解できない文章というのは好ましくないと思い直したので。(11月21日)
冒頭に挙げた発表の続編記事へのリンク追加。(2008年3月19日)
参考資料
キルケゴール著『死に至る病 現代の批判』桝田啓三郎訳 中公クラシックス(年譜と柏原啓一「キルケゴールという出来事」が付属)
工藤綏夫著『人と思想19 キルケゴール』清水書院
赤衣丸歩郎著『仮面のメイドガイ 1~5(以下続巻)』富士見書房
種村季弘『怪物の解剖学』河出書房文庫
おおつやすたか『まるくすタン ~学園の階級闘争~』サンデー社
関連記事(2009年5月17日新設)
メイド哲学史断章その3 メイドと主人とラノベオタな俺のちょっと危険なアウフヘーベン
世界の偉人とメイドさん
高貴な殿方は何故メイドさんを愛するのか、合理的に(?)考える
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
引きこもりニート列伝その10 マルクス
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html
追記
ところでメイドというネタが現在きわめて低俗な形で消費されていることを、ご存知の方もおられるかと思います。
そのような状況でこのようにふざけた文章を書くことは、その軽薄俗悪な風潮に加担するに等しいのではないかと、少々心苦しくもあるので、せめてもの良心としてメイドネタの俗悪化について、問題提起してくれるサイト等を少しばかり紹介してこの記事を終えたいと思います。
文章を盛り上げる都合上黄金時代とか言いましたが、大衆化とそれに伴う俗悪化の結果2006年段階で既に「メイド」というネタは終わった状態にありました(たとえばメイド情報サイト「電脳メイドしづ子20GB」の「更新一時休止のお知らせ」http://shiduko20gb.ousyou.daa.jp/?eid=495853を参照)。そして現在では「散々メディアに露出」して産業としての俗悪化した当然の結果として、「客層の劣化」が進んで、犯罪行為が頻発するようになり、防犯対策会議まで開かれる有様だそうです(「アキバの王に俺はなる!」の「メイド喫茶防犯対策会議が行われた模様」http://blog.livedoor.jp/valdish05/archives/50610867.htmlを参照)。しかも「この客層劣化はメイド喫茶内だけで起こっている問題ではない」可能性があるらしく、マスコミとマスコミの煽る大衆の俗悪な行動が、町の「治安の悪化、環境の悪化」を引き起こしていると言ってよい状況にあるようです。(私には現地に行って確認することができませんから、引用の形でしか、物言うことはできませんが。)
キルケゴールという人は、マスコミや大衆との衝突に苦しみ、誹謗中傷され、嘲笑されながら、社会の大衆化という現代的な問題に取り組んだ思想家でもあるそうですから、この文章を読んだついでに、マスコミの負の社会的影響の問題なんかにも思いを致してもらえればうれしく思います。(ネット上の一般的な論調を見ればこんなことは言うまでも無く、この問題提起は蛇足でしかないでしょうが。)
(以下2010年6月26日加筆)
社会評論社『ダメ人間の世界史』でネットを飛び出しリアル世界に向けてキルケゴール・メイドオタ伝説拡散中。
(参照 「キルケゴール 史上最狂のメイドオタク。空前絶後のキモさで世間のみんなの笑いもの。」)
リンクを変更(2010年12月8日)
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by trushbasket | 2007-08-02 20:47 | My(山田昌弘) | Trackback