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【地方分権】地方分権改革推進委員会が第4次勧告

 政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽 宇一郎 伊藤忠商事会長)は、平成21年11月9日開催の第98回地方分権改革推進委員会において、「第4次勧告〜自治財政権の強化による「地方政府」の実現へ〜」を取りまとめ、同日、鳩山 由紀夫 内閣総理大臣に提出しました。
 委員会は、先に取りまとめた第3次勧告(平成21年10月7日提出)において、「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」、「地方自治関係法制の見直し」、「国と地方の協議の場の法制化」について提言を行いました。
 今回で最終となる第4次勧告では、国と地方を通じた巨額の累積債務残高と社会保障支出の今後の増大を見据え、消費税と地方消費税のあり方を中心に税制全般の抜本的な改革の実施が不可避であるとして、地方税財政における諸課題を「当面の課題」と「中長期の課題」とに区分し、あるべき地方税財政制度の再構築に向けた諸提言を取りまとめています。主な提言は次のとおりです。

 まず、「当面の課題」として、新政権が政権公約等に掲げた政策課題のうち、特に重要な事項として、
 @地方交付税については、地方税と地方交付税の原資である国税5税ともに大幅な減収が予想され、地域間の財政力格差の拡大につながらないよう交付税総額の確保に配慮すべきとし、その際、地方の財源不足が恒久化していることにかんがみ、法定率の引き上げも検討すべきとしています。
 A直轄事業負担金制度の改革については、国の事業の範囲の限定、国の出先機関の縮減・廃止、直轄事業負担金制度の廃止、道路・河川の移管に伴う交付金の創設など、直ちに工程表を作成し、速やかに取り組むべきとしています。
 B地方自治体への事務・権限の移譲と必要な財源等の確保については、事務・権限の移譲に当たり、執行に要する経費全額を税財源の移譲により確実に措置すべきとしています。
 C国庫補助負担金の一括交付金に関しては、これまでの国庫補助負担金制度より自由度が高まることが期待されるとするものの、制度設計に当たっては、地方が必要とする事業の執行に支障が生じないよう必要な総額を確保するとともに、交付基準については、基本的には客観的な指標によるべきであるが、地域間格差是正等を考慮して十分検討すべきとしています。
 D自動車関係諸税の暫定税率の見直しに当たっては、環境問題に係る地方自治体の役割及び税収減等を踏まえ、特に地方税源の確保について、十分に考慮する必要があるとしています。
 E国と地方の協議の場については、子ども手当や高等学校等就学支援金の創設など地方自治体の行財政運営に大きな影響を与える可能性があることから、法制化を待つことなく、速やかに国と地方の事実上の協議を開始し、地方の代表者から意見を聴取・反映するよう努めることとしています。

 次に、「中長期の課題」について、社会的・経済的に安定した将来の適切な時節の課題として、
 @地方税制改革については、国と地方の税源配分を5:5にすることを当初の目標とし、地域的な偏在性が少なく税収が安定した税目である地方消費税を充実することや、地方自治体において課税自主権を有効活用するとともに、国においては、制度及び運用のさらなる見直しを進めるべき等としています。
 A国庫補助負担金については、既に目的を達しているものや存在意義の薄れたものは即刻廃止し、地方自治体の事務として同化・定着・定型化しているものや人件費補助については一般財源化するなど、一括交付金を含めさらなる整理を進めるべきとしています。
 B地方交付税については、財政調整機能の強化を図るため、地方六団体が提唱している「地方共有税」構想を土台として制度改革の議論を深め、地方財政計画額と決算額との乖離の是正に取り組むなど、財源保障機能を再検討し、さらに普通交付税の透明性・予見可能性の向上を図り、新型交付税の比重を高めるとともに、特別交付税の算定基準については、説明責任の向上の観点から見直しを検討すべきとしています。
 C地方債については、起債自主権は歳入自主権の大きな柱であることから、市場からの信用に十分配慮しつつ、地方債の発行に係る国の関与を見直すこと、また、地方共同の資金調達機関である地方公共団体金融機構の充実と地方自治体が共同で債券を発行する仕組みのさらなる活用や財政力が弱い自治体の事業執行に配慮しつつも元利償還金に対する交付税措置の縮減を検討すべきとしています。
 D財政規律の確保については、透明性の向上と自己責任の拡大を図るため、政府は、地方自治体の財務会計制度改革の方向性を国民に提示すべきとし、また、地方議会や監査委員の機能の充実と外部監査機能の積極的な活用を図ることが肝要であるとしています。

 最後に、委員会は今後、これまでの4次にわたる勧告に対応する政府の取組状況を監視し、必要に応じ政府に対して意見を述べる役割へと移行するとし、政府には、提言した勧告事項を最大限尊重し、これらを具体的な指針として速やかに地方分権改革推進計画の策定に取り組み、地方分権改革の全体的な行程表を明らかにすることを強く要請するとしています。


資料:第4次勧告


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