|  産業能率大学客員教授
 西野嘉之
 慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は産業能率大学の客員教授として教鞭をとるとともに、新聞・雑誌などで執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。
 
  
 ユーレットとは?
 上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。
 
 
 
  
    | 東京証券取引所が主催する、株式投資に興味を持ってもらうためのアイデアを自由に表現するコンテスト「ソーシャルかぶコン2013」のサイトに、Dr.西野の動画が公開中! くわしくはこちら |  |  | 地銀は本来の役割を取り戻せるのか 
 日経ビジネスオンラインに『「負け組の地銀」はどこ?再編促進の機運、地域金融機関がすべきこと』という記事が出ていた。
 
 本業である、融資先企業に対する目利き力やコンサル能力を強化しなくてはいけないと、多くの地域金融機関が感じている。これは、今まで貸したお金を回収する仕事はしてきていても、地場企業の未来のために、資金調達について一緒に考えるということを、いつの頃からかしなくなってしまったからではないだろうか? 記事の中に「決算を見て過去の業務分析はできるが、その企業の将来性を見抜いたり、再生の道筋を考えたりできる『目利き力』は、最も強化を怠ってきた能力だ」とある。アベノミクスで景気が良くなることを期待しているが、日本の産業を支えている多くの中小企業にお金が回るようにサポートするのが、地方銀行に課せられた役目だと思う。
 
 経営者は日々運転資金をどうするかを考えている。仕事をとったとしても、その仕事が終わって現金を手にするまで、従業員の給料を支払わなくてはならない。長期間かかる仕事ほど完了しなければ、現金を手にすることはなかなかできない。下請けの仕事の場合、大手が一部を前受金で支払ってくれたとしても、材料を仕入れたり在庫をかかえなくてはいけないため、ある程度の現金が必要となるのだ。そんな時の一時的な運転資金に対しても、銀行は担保がなければお金を貸してくれない。あるいは、過去の決算書を見ると赤字があり、借入金もあると判断されると、お金を借りることができない。そうなると、本来取れる仕事も引き受けることができないケースも出てくる。こんな状況が長い間続いている。
 
 ようやく、地銀も本来の役割を取り戻す動きがあるから、このような記事が出るのだろうか? 最新号のメルマガでは、ある地方銀行のユニークな取り組みについて分析している。
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