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車内ベッド休息認めない 「完全に業務から解放」の解釈

【労務問題】
2013年3月13日 20:05
bed_0311.jpg 運転席後ろのベッドでの睡眠は「休息期間」に含まれない  。長距離運行の多くの運送会社が、そのような指導を受けて困惑している。トラックステーションや宿泊施設のあるSAなどはそうした運送会社への打開策を提供しているようにも見えるが、「数があまりにも少なく実用的でない」ことから実際の選択肢には挙げられない。物理的には寝る場所はあるが、休息とは見なされない。

 食品輸送を主力とする近畿地方の運送会社。昨年やってきた適正化実施機関(ト協)職員は書類を見ながら指摘した。「午前7時からの10分間の運行は何ですか」。荷受け企業が朝の入荷を受け付ける時間に合わせて入門する「ジャストインタイム」が当たり前に求められ、せっかく長距離を無事に運んできたのに時間に遅れてしまったら、といったドライバーの不安心理がある。そこでドライバーは、荷受け先まで10分程度で到着できるように、高速道路のPAなどに一晩トラックを停めて休憩しようと考えるのだという。

 運送会社から説明を受けた職員は続けた。「ドライバーはどこで寝ていたのか。トラックのベッドでは休息とは見なされませんよ」。職員のいう「休息」は、「トラック運転者の労働時間等の改善基準告示」(1989年制定)に記された概念だ。休息期間は原則連続8時間以上確保しなければならないと定められている。もっとも、トラックのベッドなど一日の休息期間をとる場所については、告示の中で特に定めていない。こうした指導が実際に行われていることについて、運送会社は次のように話す。「仮に休息問題をクリアしたとしても、職員らは『運行指示書はありますよね』『全体の拘束時間については...』と手を替え品を替え責め立ててくる」。

 トラックのベッドでの休息について地元労働局は、PAなど駐車場が確保され、完全に業務から解放されている状態であれば休息と見なすという解釈も成り立つという。もっとも、これらの判断も監督官のケースバイケースとのこと。仮に何らかの処分を受けた場合、あくまで運送会社が「トラックのベッドでの睡眠は完全に業務から解放されている状態だった」とするならば、不服審査などを通じて主張していくことになる。

 同様の指摘を2年ほど前に受けた別の事業者は、「完全に業務から解放なんてどうやって証明していくのか。制服を着たまま睡眠をとってはいけないのだろうし、携帯電話の着信もあってはならないのだろう」と話していた。(西口訓生)

 
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