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『なぜ緊縮財政を好むのか①』三橋貴明 AJER2013.5.21(1)
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6月30日(日) 益茂証券主催「アベノミクスと日本経済の行方」(会場:福井県福井市)
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7月11日(木) 第11回烏山講演会「世界経済とマスコミの嘘」
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ワック社から「だから、日本経済が世界最強というこれだけの理由 (WAC BOOK)
」が発売になりました。
本書「だから、日本経済が世界最強というこれだけの理由 (WAC BOOK)
」、早速重刷が(二回)決まりました。つまり、二刷、三刷が一日にして決まったことになります。ありがとうございます!
さて、TPPと消費税増税に関するマスコミのミスリードが本格的に始まっております。先にTPPの方を取り上げたいのですが、TPP関連スケジュールは以下の通りとなっております。
・7月23日(頃) アメリカ議会の批准が通り、日本がTPP交渉に参加する。但し、7月のTPP交渉自体は7月中旬から始まっているため、日本はラスト三日(もしくは二日)のみの交渉参加。交渉参加とは言っても、実際にはTPP交渉における合意文書を受け取り、それを交渉チームが読んでいるうちに7月の交渉は終わる(25日まで)。
・9月 TPP交渉
・10月 APECで首脳同士が大筋合意
・年末 妥結
まあ、9月以降のスケジュールは不透明としか言いようがありませんが、取りあえず7月の「交渉」が、日本にとって「交渉にならない」ことだけは間違いありません。単に、900頁超と言われている合意文書を受け取るだけです。
1000頁近い合意文書を受け取り、残り三日間で「交渉」に持ち込むなど、人間には不可能です。交渉に際しては文書を「読み込み」「整理・分析し」「対策を練り」「日本の主張を以下に盛り込ませるか検討し」「諸外国との連携を模索し」「交渉する」といったプロセス(もっと複雑なのでしょうが)を踏む必要があります。それを7月23日、24日、25日の三日間でこなすなど、無理を通り越しています。
とはいえ、経済産業省や外務省はマスコミを通じ、7月のTPP交渉参加を「成果」として発表するでしょう。日本国民の方は、
「んなわけないだろがっ! くだらないこと言っていないで、さっさと合意文書の中身を国民にディスクローズしろっ!」
と、声を上げていかなければならないのです。
とにかく、マスコミ(及びその後ろにいる省庁)は、TPPに関するネガティブな情報を流したがりません。もちろん、「ウソ」をつくのではなく、マスコミ最強の武器「報道しない自由」を駆使するわけです。
先日、ノーベル経済学者で本ブログにも頻繁に登場するジョセフ・スティグリッツ教授が来日しました。
『世界の著名経済学者ら「アベノミクス」を議論(05/30 20:05)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000006290.html
政府はノーベル経済学賞受賞者など国内外の著名な経済学者を集め、「アベノミクス」について議論する国際会議を都内で開催しました。
甘利経済再生担当大臣:「安倍内閣は、これから打ち出す成長戦略を異次元のスピードで実行していくことをお約束します」
ノーベル経済学賞受賞、米コロンビア大学・ジョセフ・スティグリッツ教授:「新しい一連の政策によって、より高いレベルにいける」
会議は2日間の予定で、冒頭講演した甘利大臣は、経済成長と財政健全化を両立させると強調しました。また、ノーベル賞学者のアメリカ・コロンビア大学のスティグリッツ教授は、アベノミクスの経済政策を積極的に評価したうえで、女性や高齢者の活用を進めるべきだと提言しました。一方、TPP=環太平洋経済連携協定への参加について、スティグリッツ氏が「日本にとって不公平になる」と慎重な姿勢を示したのに対し、日本の学者らが反論し、TPPの重要性を強調する場面もありました。アベノミクスについての集中討議は31日に行われる予定です。』
そらまあ、妥結直前のラスト一回(9月)のみの交渉参加で「日本にとって不公平にならないTPP」になると思う方が、どうかしています。中身を見ずともこれだけは断言できますが、いずれにせよTPPの合意事項は日本にとって不公平でしょう。不公平の度合いがマイナス1なのか、マイナス100なのかといった違いがあるに過ぎません。
さて、上記スティグリッツ教授のTPPに関するコメントについて、日経新聞や産経新聞がいかに報じたかと言えば・・・。
『産経新聞「ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ教授、アベノミクスを評価」2013.5.30 21:25
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130530/plc13053021270013-n1.htm
』
『日経新聞「スティグリッツ氏、安倍政権の経済政策「正しくすべて不可欠」」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL300OU_Q3A530C1000000/
』
黙殺、でございますね。
ちなみに、両紙とも触れている「サービス業の生産性」が、日本は製造業に比べて低いのは確かでございます。とはいえ、欧米諸国のサービス業の生産性の高さは、主に「金融産業」の所得がバカでかい(しかも少数精鋭で稼げる)ことにより実現しているのです。日本人が欧米人と「金融サービスの生産性」で勝てるとはとても思えません。別に、金融サービスの生産性を高めること自体に反対するわけではないですが、同じ土俵ではなく違う土俵で戦う知恵を働かせるほうが現実的だとは思います。
それはともかく、スティグリッツ教授の「TPP参加は日本にとって不公平になる」といった重要発言に対し、大手マスコミが「報道しない自由」を行使しているのが現実の日本です。今後、この手の情報操作はウンザリするほど出てくるでしょう。
日本国民は、新聞報道をそのまま信じるのではなく、可能な限り他のソース(政府発表など)も確認する癖をつける必要があるわけです。さもなければ、経産省などによるマスコミを利用したTPPプロパガンダが成功し、我が国は「別の日本」に変えられてしまう可能性があります。マスコミの情報ソースを確認するなど、面倒くさいことこの上ないですが、やるしかありません。
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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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