債券は大幅安、株高や10年債入札低調な結果で-超長期の売り圧力強い
6月4日(ブルームバーグ):債券相場は大幅安。株式相場の堅調推移に加えて、きょうの10年利付国債入札が低調となったことが売り手掛かりとなった。市場では明後日の30年債入札に対する警戒感が出ており、超長期ゾーンの売り圧力は強かった。
東京先物市場で中心限月の6月物は、前日比12銭安の142円94銭で開始した。午前は142円70銭付近でもみ合ったが、午後に入ると大きく水準を切り下げた。日本株 が一段高となると売りが増えて一時は142円47銭まで下落。結局は56銭安の142円50銭で引けた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは同2ベーシスポイント(bp)高い0.825%で開始し、午後に入ると大きく水準を切り上げ、0.865%まで上昇した。新発5年債物の111回債利回りは2bp高い0.315%。新発20年物の143回債利回りは8.5bp高い1.67%。新発30年物の38回債利回りは8.5bp高い1.805%と3営業日ぶりに1.8%台に乗せている。
しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは、10年債入札が予想外の低調な結果となり、債券売りが優勢となったと指摘。半面、10年債利回りの0.9%付近からは徐々に押し目買いが膨らむとし、日銀が国債買い入れオペの運用を見直すなど債券市場に一定の目配せをしていることで「売りが売りを呼ぶ展開にまでは至らない見通し」とも言う。
財務省がこの日実施した表面利率0.8%の10年利付国債の入札結果によると、最低落札価格は99円34銭と市場予想を6銭下回った。小さければ好調とされるテールは10銭と2010年9月以来の大きさ。投資家需要の強さを示す応札倍率は3.14倍と、前回の3.71倍から低下した。
水準的に物足りないとの声SMBC日興証券金融経済調査部の山田聡部長は、10年債入札でテールが10銭に拡大したことについて、「きのう金利が急低下したので水準的に物足りなかった感じで買いが入りづらかったのではないか」と分析した。また、しんきんアセットマネジメント投信の鈴木氏は「テールが拡大し、最低価格は事前予想から下振れたため、結果発表後に先物売り圧力が強まった」と説明した。
日本相互証券によると、きょう入札の10年物329回債利回りは0.85%で始まり、午後4時すぎには0.885%に上昇した。
市場では6日の30年債入札を懸念する見方が出ている。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、朝方には前日に予想以上に買われた反動もあるとし、超長期ゾーンの金利水準が下がって30年債入札に警戒感が出ていると指摘していた。
株式市場でTOPIXの終値は前日比28.52ポイント(2.6%)高の1125.47、日経平均株価は2.1%高の1万3533円76銭。東京外国為替市場で円は対ドルで下落し、午後3時すぎには1ドル=100円台前半で推移した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/04 16:19 JST