東日本大震災からの復興を目的に国が自治体などに配分した復興予算が趣旨と違う使い方をされているとの指摘がある問題で、県には少なくとも二つの基金に計八十一億円が支出されていた。国は問題がある事業の停止や返金を検討するが、古田肇知事は四日の会見で「国が示したルールにのっとってやっている」と反論した。
県財政課によると、現時点で判明しているのは緊急雇用創出事業臨時特例基金(二十五億円)と森林整備加速化・林業再生基金(五十六億円)。いずれも二〇一一年度三月補正予算で積まれ、翌一二年度から事業が始まった。これまでに、既に合わせて三十七億円を使い、四十四億円が残る。
緊急雇用創出事業は震災以降に失業した人を県がイベントスタッフなどとして雇うもの。国の要綱では被災者の雇用を優先するよう定めているが、震災による景気悪化の影響を受けた失業者を救う狙いもあったという。一二年度は千人余を雇ったが、被災者はそのうち十八人だった。
林業再生は、関連業者向けに木材加工施設や林道の整備、間伐の費用を補助する内容。県の担当者は「復興には木材が必要。安定供給できる体制を整えるためと理解している」とした。
古田知事は、事業計画などについて国と協議を重ね、了解を得た上で実施していると強調。「国から具体的な話は何も来ていない」とした上で「ルールを変更するなら、なぜ今になって変更するのか」と疑問を呈した。
(斎藤雄介)
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