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平成の「富国強兵」路線に専念を 中朝韓の対日批判資格を問え
2013/06/03 03:08更新
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記事本文
【正論】東洋学園大学教授・櫻田淳
「歴史認識」に絡む橋下徹大阪市長の一連の発言が投げ掛けた波紋の後、韓国紙、中央日報が「原爆投下は神の懲罰である」と言い放った論評を掲載したことは、日韓両国における「ナショナリズム言説」の応酬の風景を出現させたようである。
≪正義語れる官軍になってこそ≫
古来、「歴史認識」は大概、「戦争で勝った側」のものが世に流布する。「勝てば官軍、敗(ま)ければ賊軍」という言葉は、「敗れた側」にとって、どれほど理不尽にして悔しいものであっても、一つの真理を表している。故に、端的にいえば、「次の戦争」で「戦勝国」になってしまえば、「歴史認識」の案件は決着がつく。
ここでいう「次の戦争」とは、武力行使を伴う文字通りの「戦争」という意味にとどまらず、経済、産業、技術上の優位の維持、さらには対外広報・文化・芸術・スポーツなどを通じた対外影響力の確保という意味の「競争」を含むものである。こうした「戦争」や「競争」に際して、いかに「勝ち組」に回るか。筆者は、そうしたことにこそ何よりの関心を抱いているし、そのことこそ、真剣な議論に値するものであろう。
筆者は、突き放した物の言い方をさせてもらえれば、第二次世界大戦という「近代以降、偶々(たまたま)、敗れた一度だけの対外戦争」に係る弁明には大した意義を感じていないし、その弁明に日本の政治家が精力を尽瘁(じんすい)するのは、率直に無益なことであると考えている。
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記事本文の続き 故に、筆者が安倍晋三首相の再度の執政に期待するのは結局のところは、「次の戦争」で「戦勝国」としての立場を確実に得るために必要な態勢の整備である。
「アベノミクス」と総称される経済再生施策から、憲法改正を含む安全保障に係る態勢の拡充、さらには安倍首相が就任直後に披露した「アジアの民主主義的な安全保障ダイヤモンド」構想に示された対外政策方針に至るまで、安倍首相が推し進める平成版「富国強兵」路線は、こうした考慮に裏付けられてこそ、意義を持つものであろう。
≪橋下発言は「必然性」が薄弱≫
逆にいえば、こうした平成版「富国強兵」路線の貫徹に具体的に寄与しない政策対応は、「歴史認識」の扱いを含めて、全て棚上げにしても何ら支障はない。国際政治で問題とされるのは、結局は「力」である。安倍首相には、日本の「力」の復活に専念してもらえれば、宰相の仕事としては十分である。
翻って、橋下市長の一連の発言において批判されるべきは、その発言の中身というよりも、それを語る「必然性」が誠に薄弱だということにある。要するに、「橋下市長は、自らの歴史認識を開陳することで、何をしようとしたのか」が、曖昧なのである。橋下市長は、一連の発言を通じて、第二次世界大戦の「敗戦国」としての日本の立場を弁護しようとしたのであろう。
目下、特に米国、英国を含む欧州諸国、さらには豪印両国や東南アジア諸国は、日本の「次の戦争」における盟邦であると期待されているし、その故にこそ、安倍首相は、第2次内閣発足以後、これらの国々との「提携」を加速させている。しかし、橋下市長の発言のように、「従軍慰安婦」の解釈を含めて日本が「敗戦国」としての立場の弁明に走ることは、これらの国々との「提携」を進める際の妨げになる。
というのも、これらの国々の多くは、結局は、「戦勝国」であるからである。「歴史認識」のような「互いに妥協できない」案件を不用意に持ち出し、「敗戦国」と「戦勝国」の立場の違いを結果として際立たせるような言動は、果たして賢明であるのか。橋下市長に問われているのは、その言動の当否ではなく、その言動を披露する際の「賢明さ」なのである。
≪中朝韓の対日批判資格を問え≫
因(ちな)みに、中朝韓3カ国からの対日批判への対応は、そもそも「戦勝国」ですらない韓朝両国、さらには「戦勝国」の地位を継いだだけの中国が何故、あたかも自ら「戦勝国」であるかのように装って、対日批判に走っているかという「資格」を問い質(ただ)し続ければ、それで十分であろう。
「正義」は、「戦争」や「競争」に勝ってから語るべきものである。しかし、勝ってから語られる「正義」は、大概、白々しいものでしかない。政治における「正義」とは、そうしたものである。当代日本の政界やその周辺には、「正義」、即(すなわ)ち「自らにとっての『正しいこと』」を口にしていれば、必ず受け容(い)れられると信じている「政治活動家」は、政治的スペクトラムの左右を問わず、至るところに盤踞(ばんきょ)している。
政治家は、国家・社会にとって「必要なこと」よりも自らにとって「正しいこと」を優先させる言動に走れば、瞬時に「政治活動家」に変貌する。橋下市長の一連の発言に因(よ)る騒動の顛末(てんまつ)が示すのは、彼もまた、その「政治活動家」の一例であったという事実であろう。(さくらだ じゅん)
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