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製薬会社の利益優先し、研究結果歪曲の疑念払拭できず…臨床研究の信頼揺るがす事態 高血圧治療薬めぐる利益相反問題
京都府立医大(京都市)など5大学による高血圧治療薬「バルサルタン」(商品名・ディオバン)を使った臨床研究に、販売元の製薬会社「ノバルティス」(本社・スイス)の日本法人社員(当時)が身分を明示せずに関わっていた問題が波紋を広げている。製薬会社の利益のために研究結果がゆがめられたのではないかという疑念が払拭できず、研究データの捏造(ねつぞう)などの不正があれば日本の臨床研究のあり方や産学連携そのものが根底から揺らぎかねない深刻な事態になっている。
(前田武)
肩書き隠し、研究参加…揺らぐ信頼
「臨床研究の信頼を揺るがせる許し難い行為。二度とあってはならない」
5月下旬、この問題をめぐって東京都内で開かれた日本医学会の会見で、高久史麿会長は憤りをあらわにし、「日本の医療イノベーションには産学連携が不可欠。今回の問題で臨床研究が停滞することになれば、日本にとって大きなマイナスだ」と危機感を示した。
研究者が自分の所属する研究機関以外から給与を受け取るなどして、公的な研究の中立、適正な判断に疑問が生じる「利益相反」状態となることは好ましくないとされる。大学と企業が連携して研究を進める機会が増え、利益相反は起きやすくなっているという。
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