【シンガポール岩佐淳士】中国人民解放軍の戚建国（せきけんこく）・副総参謀長は２日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で講演し、出席者の質問に対し「中国は覇権を求めてはいない」と述べた。戚副総参謀長は質疑の中で、「これまでも（領有権争いにおける）意見の違いを棚上げにしつつ、周辺国との共同資源開発を提案してきた」と発言。沖縄県・尖閣諸島問題で、１９７８年に中国副首相だったトウ小平氏が主張した「棚上げ論」を「賢明な戦略的選択だった」と評価した。ただ、東・南シナ海における海軍展開については「中国の領海である以上、正当な行為だ」と持論を堅持した。

　一方、沖縄の帰属が未解決だと主張する中国共産党機関紙「人民日報」掲載の論文については「一学者の見解で中国政府の見解ではない」とした。アジア安全保障会議は２日、３日間の日程を終え閉幕した。