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【福井】

大豆の新品種に熱視線 ブランド化、売り込み加速

従来品種の「エンレイ」(左)に比べて粒が大きて美しく、収量も多い「里のほほえみ」(右)=福井市の県農業試験場で

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 県が普及を目指す大豆の新品種「里のほほえみ」の今年の作付面積が、従来品種の「エンレイ」を上回り、流通量でも「エンレイ」をしのぐことが確実となった。「里の…」は見た目に白く美しく、エンレイに比べて粒が大きい上、収量も一割ほど多いのが理由。県内の関係者は大豆商品PRの絶好の好機と、新品種に熱いまなざしと期待を寄せる。

 大豆価格高騰や低価格競争のあおりで、県内の豆腐業者は窮地に立たされている。組合員数はピーク時の四分の一にまで減少。一丁(個)十円で売る県外業者もあり、低価格競争のスパイラルに陥っている。関係者は「消費者になんとか『里のほほえみブランド』を定着させ、価格競争から抜け出したい」と話す。

 豆腐と油揚げを製造する岸田食品(福井市問屋町二丁目)の岸田和弘専務(34)は、里のほほえみを100%使用した商品を「福井県産里のほほえみ使用」とラベルに明記して売り込んでいく予定だ。

 「他商品と差別化をはかり、付加価値を高めたい」と岸田さん。豆腐が最も売れる夏場に向け、県内の関係各社はPRシールの導入などを検討しているという。今秋の収穫を終えた来年以降に、さらに「里の…」の売り込みを加速させる。

 エンレイは、北陸地方の主要品種だった。しかし、近年は収量が減り、粒が小ぶりになる傾向が続いた。理由は定かではないが、危機感を抱いた県は二〇〇五〜〇九年度にかけて、全国で研究されたさまざまな大豆の品種を試験栽培。福井の気候風土に合う新品種「里の…」を〇九年度に奨励品種に指定し、昨年度から本格的に栽培・普及を始めた。

 県農業試験場は昨年度、豆腐業者など関係者二百六十五人に、両品種を使用した豆腐と油揚げの食味調査を実施。その結果、「こく」の部分で「里のほほえみはあっさりしている」「エンレイは豆くさい」などと好みに微妙な違いがあったものの、総合的には「同等以上の食味が期待できる」との評価を得て、新品種「里の…」の普及へ自信を深めた。

 「里の…」には大豆を原料とする県内のみそ業者も熱視線を送っている。みそは大豆の色が白い方が、発酵時によりきれいな赤茶色に発色する。

 県内で「里の…」を採用する業者はまだないが、県醤油味噌工業協同組合は「これまで県外産を使ってきたが、できることなら県内産を使用して、地産地消にも貢献したい」と、「里の…」への切り替えに前向きな姿勢を示す。

 (吉野淳一)

 

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