【宮武努】マンションに住む認知症の高齢者を徘徊(はいかい)させないため、ヘルパーらがチェーンキーで外から施錠したのは虐待にあたるとして、神戸市は3日、北区の2事業所に対し、営業停止にあたる6カ月間の指定効力停止処分を決めた。処分は8月1日から。厚労省によると「施設内の身体拘束が行き過ぎるケースは時々聞くが、訪問介護で自宅を外から施錠したケースはあまり聞いたことがない」という。
処分を受けたのは、居宅介護支援事業所「セントケア北六甲」と訪問介護事業所「あじさいのもり神戸」。
市によると、昨年8月10日ごろ、同区のマンションに住む90代の認知症の男性を徘徊させないため、担当するケアマネジャーとヘルパーが本人や親類の了解を得ずにドアノブと横の格子をひもで縛った。男性がひもを包丁で切ったため、同21日に同じヘルパーがチェーンキーでドアノブを施錠。計7人のヘルパーが介護に訪れるたびに施錠を続けた。80代の妻は足が不自由で、11月下旬に訪ねてきた知人が市に連絡し、発覚した。
市の調査に対し、ヘルパーらは「事故や近隣への迷惑を防ぐためだった」と説明。虐待との意識はなかったという。
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朝日新聞社会部