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2013-06-01

ワタミが自らブラック企業告白をしている件について

そりゃ選挙にでるのにブラック呼ばわりされたら体裁が悪いってのもわかりますが、事実なんだからしかたがないよね、という話ですよね。

ワタミの外食事業の年収は、平成24年度において433万円であり、厚生労働省公表の宿泊・飲食サービス業平均年収370万円を上回っています。

わたなべ美樹(ワタミグループ創業者)公式サイト

平成24年賃金構造基本統計調査によると、飲食店事業規模1000人以上の月間給与平均298.6千円、賞与他495.3千円となっています。つまり、平均年収は…4079千円…あれ?宿泊も入れた全体で大卒で絞ると380万くらい。ピッタリ来る数字はどこかにきっとあるでしょう。とまあ確かに平均よりは多い…けd,次のを見てみてください。

時間外労働時間については、ワタミの外食事業の平成24年度月平均は38.1時間。これは、36協定で定めた上限45時間を下回っています。

わたなべ美樹(ワタミグループ創業者)公式サイト

先ほど使った飲食店事業規模1000人以上の月間平均は…なんと15時間です。倍以上。月23時間が差分として、時給2000円と見ても46千円×12で552千円が上積みされますから…平均を上回るのは当たり前じゃ。むしろ残業がなければ飲食店事業規模1000人以上に限ると平均を下回っているように見えます。

ところで、よく誤解があるのですが、三六協定というのは月間平均を規定しているんじゃないんですよ。確かに月間45時間という規定はありますが、年間360時間を超えちゃいけないんですよね。なので、平均で均すと30時間が限度なんですよ。これ明らかに労働基準法違反の告白ですよ。パートを含めると云々の前に社員のレベルで違反。サービス残業があったりなんかするともっと酷いことになりますが、それはわからない。

これでワタミが明確にブラック企業であることが明らかになったわけですが、更に言うと話題になった新入社員の自殺の話を聞くに、実質的な労働時間はもっと長いということは明らかです。とはいえ、これに関しては正式な調査が入らないと外野がとやかくいうのは難しいでしょう。

さらに。

メンタルヘルス不調のため1ヶ月以上欠勤・休業している社員については、ワタミの外食事業においては平成24年度末時点で0.30%(4人)であり、財団法人労務行政研究所が平成22年に行った調査結果0.45%を下回っています。

わたなべ美樹(ワタミグループ創業者)公式サイト

これも数字が評価出来ませんが、外食事業において、というのがちょっとよくわからない。傷病者が元の事業部に所属したままなのかどうか。正直、会社の規模からするとちょっと少なすぎる気がしなくもないので…というか、外食事業の社員って1300人くらいなんだね。

そういうわけで、ワタミが言われなくブラックとされているわけではない、というのは他ならぬ会長の口から明らかになったわけですので、色々考えなきゃいけないですね。

追記

何人からかツッコミがあったので補足として。

36協定には特別条項というのがありまして、これは例えばSIerとかで納期逼迫の時にどうしても頑張らなきゃならないような事態を想定し、「労使が協定を結んだ上で」「特別な事情を明確に定めその範囲内で」のみ適用され、36協定に定められた時間を延長することができるが、その限度は半年を越えないこと、というものです。一般に飲食業であれば年末などの繁忙期については認められる可能性はあります。労使が合意していれば合計720時間まではいけることになりますけどね、常態化するものについては適用されないし、会長の今までの発言(最近知ったので言うと12時間で飯食える店長は無能的な奴)を聞く限り、仮に労使で合意していても立ち入り入ったら認められないレベルのものだと思いますよ。

ワタミの労使関係について

というわけで、労使で合意をしていれば延長できるはできるんですけどね。

労働組合の必要のないワタミの「労使一体」: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)にあるように、ワタミの労使関係は使の言いなりな労というのが実態みたいですね。

あと、Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%BF%E3%83%9F)にある「不適切な労使協定の元での時間外労働」って一年前ですけど、実態調査の結果を明らかにするのが企業の社会的責任ってもんですよね。

SIerでプログラマーの面接は誰がすべきか

SIerとして新卒の採用ではほぼ「プログラマー」を面接することってないと思うんだけど、中途だとそうじゃない場合もある。

本の虫: もし大工の採用面接がプログラマーのように行われていたらを見て思ったこと。これ自体はあんまり出来の良くないジョークだけど、海外でもプログラマーの面接なんてこんなことがあるっていうことのいい証拠だ。

よく、「日本はおかしい」というのが日本だけがおかしいということにされがちだし、プロジェクトマネジメントの問題も海外では起きてないような口ぶりで話す人がいるんだけど、そんなわけなくて、海外も十分おかしいし、色々問題が発生しているからこそマネジメント技法ができたりするわけで。

実のところ、技術志向のベンチャーを除けば、SIerとして会社が求める人物像が「プログラマー」であることはまずない。でも、SEとして採用するときに「技術力」を求めることはある。じゃあその技術力ってなんなのさ、というのが客観的に図ろうとすると大変難しい問題で。

ぶっちゃけプログラマーを求めるのであれば、半日くらいでできる実装の課題を適当に放り投げればいいんじゃないかと思うんだけど、それをやっている会社は少ない(SIerだとほぼないんじゃないか?)。SEを求めるにしてもそのくらいやってもいいと思うんだけど、やらない。で、何を見るのかというと経験値(ただし自己申告)と人柄(ただし面接用)だったりする。経験は嘘をつく。人柄が面接だけでわかるなら苦労しない。僕も一度騙された苦い経験がある。

実装技術者としてのプログラマーが欲しい場合と、アーキテクチャに精通した設計者が欲しい場合と、それらを武器に顧客と渡り歩く人が欲しい場合でも当然評価基準は違うし、結局のところ、スキルセットによる評価ってのは確率をベースに考えた場合はそれなりに合理的だったりする。ただし、嘘を見抜くための技術者は同席させたほうが良い。

このジョークでの悪夢は、結局本来求めていたであろう人物像ではない採用がなされてしまったというところにあるんだろうけれども、それが間違いだったかを判断するのは難しい。ともあれ、大工は「ウォールナット」をスキルセットに加えておくべきだったし、選択肢にあるあらゆる木材についてよっぽど経験が必要なモノ以外は全て扱えるものとするべきだった(実際の経験は問わず)。

この話の教訓は、面接で正直になるのはバカだし、逆に面接官は嘘を見抜くスキルが一番重要、ということだ。スキルセットの質問をするのは手続きとしては妥当で、変に愚直な人はSIの世界には向いていない。悲しいことに。