性犯罪者GPS条例:断念、知事「震災復興を最優先」 /宮城
毎日新聞 2013年05月19日 地方版
性犯罪者などの前歴者を全地球測位システム(GPS)で監視する条例について、村井嘉浩知事は18日、制定を断念する意向を仙台市内で開かれた有識者懇談会で明らかにした。村井知事は「東日本大震災からの復旧・復興が県の最優先課題。大変な人手や財源が必要な制度の導入に対応できるだけの体力がない」と説明した。県は2011年1月の懇談会で試案を示したが、震災で議論を中断していた。【近藤綾加】
試案は、強姦(ごうかん)やドメスティック・バイオレンス(DV)事件で刑期を終え、再犯リスクが高いと判断された県内居住者にGPS端末を携帯させ、県警が監視する内容だった。この日は大学教授や弁護士など13委員で構成する「女性と子どもの安心・安全社会づくり懇談会」が震災後初めて非公開で開催。県によると、条例の制定断念について反対意見はなかったという。
県はこの日、今後の懇談会での検討テーマを示した。子どもへの不当な声かけ・威圧行為の規制や、児童ポルノの画像や動画などを趣味で持つ「単純所持」の規制などのテーマを挙げた。
また、村井知事が「DVやストーカーの相談件数が急増するなど対応が急務」と述べ、県は性犯罪被害者支援センターの設置を提案。委員からは「性暴力の被害者が一つの窓口で相談すれば良い『ワンストップ』の相談体制が必要ではないか」との意見が出たという。