日本の政治家による破廉恥な過去史否定で、国際社会での日本の立場は厳しくなっただろうと思った。ところが現実は、そういうわけでもないらしい。英国BBCは毎年、大陸ごとに一部の国を対象として国別評判調査を行っている。今年の調査で、日本は世界で4番目に人気のある国になった。この調査では、約20カ国、2万5000人前後の人を対象に、特定国が「国際社会に及ぼす影響は肯定的か、否定的か」を尋ねた。2005年から毎年行われており、これまでに蓄積された統計は(国際関係を読み解く上での)幾つかのヒントを与えてくれる。昨年、日本は世界で最も人気ある国だった。日本は、ほとんど毎年トップ圏内に入る。今年は、4月9日までが調査期間になっていた。日本の政治家の妄言妄動が、そのまま反映されることはなかっただろう。しかし来年の調査でも、日本は「世界の人々が好む国」のトップ圏からは外れないと思う。
韓国は2010年から調査対象になった。17カ国のうち10位と12位の間を行ったり来たりしている。調査の数字を見ると世界の人々は、大韓民国(South Korea)という国が国際社会に良い影響を及ぼすのと同時に、ほとんど同じように良くない影響も及ぼしていると考えている。特に西欧ではほぼ全ての国で、韓国が国際社会に及ぼす影響について、かなり否定的に評価していた。ところが日本に対しては、西欧2カ国を除き、大部分の国で肯定的な評価だった。日本の人気は、世界全体にほぼ満遍なく分布している。韓国人と中国人による圧倒的な否定的評価がなかったら、日本は今年も、世界で最も人気ある国の座を争っていたかもしれない。
今年の調査で最も良い評価を受けた国は、ドイツだった。日本と同様、第2次大戦の戦犯国だが、ドイツは徹底した反省を続けた国で、日本はそうではない。日本が、ドイツのような態度を取っていないにもかかわらず、ドイツ同様に国際社会で尊敬されているという現実。まさにここに、韓中日の過去史問題の根源があるのではないかと思う。
国家にも良心や誠意があり得るかについては、幾つもの答えがあるだろう。奴隷貿易に最も早く反対した英国、多数の植民地を手放したフランス、奴隷を解放した米国など、良心的な行動を取った国々がある。しかしその裏には、そうせざるを得なかった国家的な必要と環境が常に存在していたことも事実だ。英国・フランス・ロシア・米国は戦争でドイツを破り、その領土を占領した。ドイツが虐殺したユダヤ人は、米国を動かす勢力になった。そんな国々や勢力が、ドイツを取り囲んでいる。ドイツの良心的な過去史反省は、ある面では、そうするしかない外部環境に由来するものでもある。