NECおよびNECシステムテクノロジー(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:高橋利彦)はこのたび、NECが培ってきたロボット関連技術やノウハウを活用し、ロボットソリューションビジネスに参入することにいたしました。
具体的な取り組みとして、NECシステムテクノロジーは、NECからロボットソフトウェア技術のライセンスを受け、人と一緒にいて楽しく、役に立つ「パートナー型ロボット」の開発を低コストかつ短期間で実現可能とするロボットソフトウェアプラットフォーム 「RoboStudio(ロボスタジオ)」を他社に先駆けて製品化し、本日から販売活動を開始いたします。
あわせてNECでは、パーソナルロボット「PaPeRo(パペロ)」について、約100の家庭で行ったモニタ評価に基づき、「状況検知フィードバック技術」による家庭環境での認識性能の向上、キャラクタや一貫性のある振舞いを実現するロボット向けの「行動モデル」などの技術を開発し、家族の一員たる「パートナー型ロボット」としての強化を実現いたしました。
- ロボットソフトウェアプラットフォーム「RoboStudio」の発売
「RoboStudio」は、ロボットの基本ソフトウェアとアプリケーション開発ツールなどをセットにしたロボットソフトウェアプラットフォームであります。NECシステムテクノロジーでは、本製品とともにロボットの開発・研究に関するコンサルティングサービスや開発受託サービスなどを提供することにより、企業や大学などのお客様が、低コストかつ短期間で、「パートナー型ロボット」を開発・製品化することを可能にいたします。
「RoboStudio」の主な特長は以下のとおりであります。
(1) |
多様なシナリオやハードウェアに対応したロボット開発が可能 |
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ロボットの振る舞いや会話などを記述するシナリオ部分と、画像・音声などの認識やメカ制御機能を実現するワーカ部分を分離しました。これにより、簡潔でメンテナンスしやすいシナリオを効率的に作成できるほか、多様なハードウェアに対応できるなど、容易なロボット開発が可能になります。 |
(2) |
自然な動きや受け答え、振る舞いなどを実現可能 |
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障害物をよけながら会話を続けるなど、複雑な動作やスムーズで自然な動きなどを実現する「ロボットバーチャルマシン」を提供いたします。また、対話の履歴やユーザ情報、入手した知識や感情、性格などをXML形式(注1)のデータで蓄積する知識データベースにより、ロボットごとのシナリオに則した自然な受け答えや振る舞いを実現することが可能になります。 |
(3) |
様々な形態のロボット開発に対応可能 |
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お客様が開発するロボットに合わせて、標準で提供するカメラ・マイクなどの認識機能に加え、手・腕・足などの動作制御機能などを容易に追加で組み込むことが可能です。これにより、二足歩行型や特定作業に特化したロボットなど、様々な形態のロボットの開発に柔軟に対応することが可能です。 |
「RoboStudio」および各種サービスの提供価格および出荷開始時期は以下のとおりであります。あわせて、お客様が開発したロボットに「RoboStudio」を組み込んで販売するためのランタイムライセンスも提供いたします。
製品/サービス名 |
提供価格 |
出荷開始時期 |
RoboStudio
(主な構成内容)
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ロボットバーチャルマシン |
・ |
シナリオエディタ |
・ |
リファレンスシナリオ |
・ |
モーションエディタ、モーションプレーヤ |
・ |
標準ワーカ |
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(音声認識、画像認識、メール、ブラウザ) |
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1,000万円から |
Windows版;
本年7月
Linux版;
本年12月 |
ランタイムライセンス |
個JL8+@Q |
コンサルティング / 開発請負 |
保守サービス |
NECおよびNECシステムテクノロジーでは、介護や手伝いなどを行なうケアロボットや、ショールームのガイドロボットなどでの活用を中心に今後3年間で20ユーザへの提供を見込んでおります。また将来的には、ユビキタス環境の実現をにらみ、自動車に搭載する情報機器やゲーム機、情報家電、エージェント端末向けにも「RoboStudio」の活用提案を行なってまいります。
- パーソナルロボットPaPeRo新バージョンの開発
家庭におけるモニタ評価などを通じて明らかになった課題を、以下のような技術開発によって解決し、家族の一員たる「パートナー型ロボット」として、ユビキタス社会に潤いをもたらすことにつながる強化を実現いたしました。
(1) |
状況検知フィードバック技術による実環境での認識性能の向上 |
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家庭などの実環境において、周りが騒がしい、逆光など、ロボットが音声・顔を認識するのが困難な状況をロボット自身が検知し、(a)可能な限り自ら移動するなどして解決する、(b)ロボット自身で解決できない場合は、原因をユーザに伝えて状況の改善を促す、などの行動をロボットがとるようにいたしました。その結果、認識がうまくいくとともに、ユーザはロボットとうまくやりとりするコツを自然に習得することができます。 |
(2) |
インターネット情報を利用し、楽しく、ためになる対話を実現 |
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インターネット上の膨大でリアルタイムに更新される情報の中から、ロボットが取得したユーザの嗜好や対話履歴を反映した情報をロボット自身が検索・取得し、さらにロボット自身の価値観を反映してユーザに伝えることで、楽しく、ためになる対話を実現いたしました。 |
(3) |
自律的かつ一貫性を持った振る舞いを実現するロボット向け「行動モデル」を開発 |
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ロボットの振る舞いに一貫性・規則性を持たせるため、ロボット向けの「行動モデル」を独自に開発しました。この「行動モデル」は、ロボットに欲求・感情・性格(ロボ格)というパラメータ(変数)を設定し、これらのパラメータに基づきロボット自身が行動を選択するとともに、ユーザとの対話の結果からパラメータ自体をさらに変化させていくものです。これにより、もの知り・ダンス好き・ゲーム好き・ぐうたらなど、個々のPaPeRoごとの性格が形成されていきます。 |
(4) |
「分かりやすさ」「楽しさ」の表現・演出手法を実装 |
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ロボットのできることややりとりの内容を、ユーザの接し方によって時間的に変化させる「時間変化型シナリオ」や、人がロボットの状況を把握する手がかりを声質・口調・動き方などを通じて表現する手法などを開発し、PaPeRoに実装いたしました。 |
近年、ペット型ロボットや生活支援を行なう人型ロボットなど、家庭生活の中に溶け込み、パートナーとなるようなロボットの研究開発が企業や大学などを中心に積極的に行なわれ、今後ますますロボット市場が発展することが期待されております。
NECは、平成9年から人とコミュニケーションするロボットの研究を開始し、平成13年には家庭環境における安全性・信頼性なども考慮したPaPeRoを完成させるなど、積極的な取り組みを推進してまいりました。また、実際の家庭環境での人との暮らしを目指し、モニタ評価を約100の家庭で実施するとともに、様々な専門分野を持つ理科系4大学や人文系7大学と共同研究を実施するなど、ロボットと人の関わり方に関する研究・調査活動を展開してまいりました。このたびのPaPeRoの強化は、こうした取り組みに基づく開発成果であります。
NECおよびNECシステムテクノロジーでは、このたびの「RoboStudio」の発売によって今後のロボット市場の発展を支えてまいります。また、PaPeRoの強化により、今後のロボット文化の創造に寄与してまいります。
なお、「PaPeRo」および「RoboSutudio」についての詳しい情報については、以下のホームページをご覧下さい。
<備考>価格に消費税は含まれておりません。
Windowsは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標。 |
LinuxはLinus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標または商標。 |
(注1) |
XML;eXtensible Markup Language(拡張可能なマークつき言語)
利用者が自分でデータにタグをつけることができる言語。インターネット分野での利用が拡大している。 |
<本件に関するお客様からの問い合わせ先>
【PaPeRo関連】
NEC 研究企画部 企画戦略グループ
電話: (044)856-2054
e-mail: koho@cl.nec.co.jp
【RoboStudio関連】
NECシステムテクノロジー
システムテクノロジーラボラトリ ロボットグループ
電話: (044)856-8077
e-mail: robot@necst.jp.nec.com