日本軍の従軍慰安婦の歴史を否定する発言で墓穴を掘った橋下徹大阪市長(43)は、猪突(ちょとつ)猛進的な推進力で「日本の救世主」と呼ばれた。果たしてどんな素顔を持つ人物なのか。
先月27日に東京の日本外国特派員協会で行われた記者会見で、イタリアの記者が橋下市長にこんな質問を投げ掛けた。
「売春街とされる地域で『飛田シンジケート(組合)』の顧問弁護士をしていたという話がある。売春は日本では違法と承知しているが、市長が売春街の顧問弁護士をしていたことを自分でどう納得しているのか」
「飛田組合」とは、大阪市西成区の歓楽街「飛田新地」の料理組合を指す。飛田新地はかつて日本最大級の歓楽街で、現在も売買春が行われている場所だ。
「歓楽街の売春業者の顧問弁護士出身だったから、日本軍の慰安婦が当時必要で、現在の米軍も風俗業を活用してほしいという妄言を行ったのか」
イタリアの記者の質問をストレートに表現すれば、こんな質問だったかもしれない。
一時橋下氏の不倫相手だった30代のホステスは、橋下市長の本性について「何が真実で何がうそか分からない人」と表現している。今回もそんな本性が垣間見えた。
橋下市長は「かつて顧問弁護士だったことは事実だ。それは飛田の料理組合の弁護士だ。違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰をする。料理組合自体は違法でもない」と答えた。
売春禁止法の制定で1958年に赤線が廃止されて以降、組合は売春業の看板を隠すため、名称だけ「飛田料理組合」と変えた。
苦笑いが聞こえた。同席していた日本の有名ノンフィクション作家、田中龍作氏が橋下市長に問い返した。
「名称は『料理組合』かも知れないが、飛田でお店の2階に上がってお金を払えば買春できることは、大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っている。中学生が聞いて『橋下さん、うそついてはるわ!』と思うような詭弁(きべん)を弄(ろう)してひとりの政治家として恥ずかしくないのか」
日本軍の慰安婦の歴史をあざ笑った橋下市長こそ、不透明な人生があざけりの対象になってきた人物だ。今回の発言でそのストレスを解消しようとしたのかもしれないが、思うようにはいかなかった。元慰安婦の女性に対する橋下市長の発言は根拠のない妄言だが、あざけりの対象となった市長自身の人生は「事実」だからだ。これまで日本で明らかになっている妄言政治家、橋下氏の正体をまとめた。