パナソニック:白物家電、国内生産回帰を検討
毎日新聞 2013年06月03日 20時32分(最終更新 06月03日 22時38分)
パナソニックで白物家電を担当する高見和徳専務は3日、毎日新聞などのインタビューに応じ、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電の国内生産比率を現状の3割から5割に増やす方向で検討に入ったことを明らかにした。最近の円安傾向で、中国で生産し輸入している白物家電の採算が悪化していることに対応したもので、国内生産が5割になるのは、十数年ぶり。
安倍政権下での日銀の大胆な金融緩和で円安が進んだことで、製造業の一部に国内回帰の動きが出てきた形で、雇用拡大につながることを期待する声も出ている。
具体的には、世界全体に占める国内の生産比率について、金額ベースで2割増やす方向だ。増産するかどうかは秋に最終判断する。高見氏は「1ドル=105〜107円が増産を決める判断レート」と述べた。
中国からの輸入を減らし、冷蔵庫は国内で最大年50万台、洗濯機が年70万台、エアコンは年160万台増産する。冷蔵庫は草津工場(滋賀県草津市)、洗濯機は静岡工場(静岡県袋井市)、エアコンは群馬工場(群馬県大泉町)などで増やす。
パナソニックの白物家電は海外生産比率が高いため、円安が進むと、輸入価格の上昇で採算が厳しくなり、1円の円安・ドル高進行で10億円超の営業減益要因となる。1ドル=95円までの円安なら社内のコスト削減策で対応できたが、105円超になると海外生産の採算割れが目立ってくるという。高見氏は「日本の経済力からすればさらに円安が進むのは間違いない」との見通しを述べた。
また、高見氏は「2013年度からの3年間で欧州では大きな投資はない」と述べ、欧州で15年に計画していた白物家電工場の建設を先送りする考えを改めて示した。【宮崎泰宏】