福島・双葉町の警戒区域解除5月28日 15時46分
原発事故に伴う福島県双葉町の警戒区域が、28日午前0時に解除され、沿岸の一部で日中の立ち入りができるようになりました。
しかし、立ち入りが可能になったのは津波で大きな被害を受けた区域で、復興にはかなりの時間がかかるとみられています。
東京電力福島第一原発から20キロ圏内で、全域が警戒区域に指定された双葉町は、およそ7000人のすべての住民が県の内外に避難しています。
28日午前0時に警戒区域が解除され、住民の96%が住んでいた町の大部分が、原則、長期にわたって居住が制限される「帰還困難区域」に指定されました。
また、沿岸部の一部の地区は早期の帰宅を目指す「避難指示解除準備区域」となり、住民は午前9時から午後4時の間であれば、暗証番号を入力しバリケードの鍵を解除して中に入ることができます。
28日は、この区域に自宅がある住民が町を訪れました。
このうち、両竹地区の区長で、茨城県つくば市で避難生活を続けている斉藤六郎さん(75)が妻と共に自宅を訪ねました。
斉藤さんは「帰ってきても状況は同じで、ごみを片づけるだけです。ここに戻って生活できる状況ではない」と話していました。
今回、立ち入りが可能になったのは、津波で建物が流されるなど大きな被害を受けた区域で、警戒区域が解除されても復興にはかなりの時間がかかるとみられています。
区域見直しの課題は
東京電力福島第一原発事故の影響で、国は福島第一原発から20キロ以内の9つの市町村の全域か一部の地域を、「警戒区域」に指定し、立ち入りを制限しました。
また、20キロ圏外でも年間の放射線量が20ミリシーベルトを超えるおそれのある飯舘村の全域と川俣町の一部を「計画的避難区域」に指定しました。
その後、国は、除染を進めて住民の帰還を促すため、おととし12月、放射線量に応じて、住民の早期の帰宅を目指す「避難指示解除準備区域」と、引き続き避難を求める「居住制限区域」、それに、長期にわたって居住を制限する「帰還困難区域」の3つの区域に順次、見直しを行うことを決めました。
これまでに去年4月1日に川内村の一部と田村市の一部が見直されたのをはじめに、南相馬市の一部、飯舘村、楢葉町のほか、大熊町や葛尾村、富岡町、それに浪江町がすでに見直されています。
今回、全域が警戒区域になっている双葉町は、住民の96%に当たる6255人が住む地域が「帰還困難区域」に、残り4%に当たる254人が住む地域が「避難指示解除準備区域」に見直されました。
これは、10番目の区域の見直しで、残る川俣町も見直しに向けた議論が続けられています。
今回、双葉町は警戒区域も解除され、これで福島県内の警戒区域はすべて解除されたことになります。
区域が見直された市町村では「帰還困難区域」を除いて日中は自由に出入りができるようになりましたが、区域内での宿泊は原則、できないままで、11市町村の合わせて8万3900人余りが引き続き避難生活を余儀なくされています。
さらに、双葉町を含む7市町村では、対象の住民の30%に当たる2万5200人余りが住む「帰還困難区域」となっています。
「帰還困難区域」の住民が96%に上る双葉町では、避難生活が長期間にわたる可能性があるとして別の自治体に役場機能と住民の新たな生活圏を作ることを検討していて、元の場所にいつ戻ることができるのか見通しがたっていない状況です。
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