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南海トラフ巨大地震 広域連携で支援を
5月28日 17時31分

南海トラフ巨大地震 広域連携で支援を
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南海トラフで想定される巨大地震の被害想定などを検討してきた政府の検討会は、被災地が広い範囲にわたり、支援が行き届かないおそれがあることから、住民は食料などを1週間分以上備蓄する一方、国は都道府県どうし広域に連携して支援する枠組みを検討すべきという最終報告をまとめました。

政府が設けた専門家などによる検討会は、おととしの東日本大震災を受けて南海トラフで起きる巨大地震や大津波で最悪の場合32万人が死亡するおそれがあるという被害想定をまとめています。
28日に公表した最終報告によりますと、被災地は広い範囲にわたり、支援が行き届かないおそれがあるとして、各家庭で食料や飲料水などの備蓄を1週間分以上確保することが必要だと指摘しています。
また多くの人が被災して避難所が不足する事態も考えられることから、被害の程度に応じて避難所に入る人を選ぶ新たな考え方を示しました。
さらに都道府県どうし広域に連携して支援する枠組みを検討し、被害が比較的小さい都府県は自力で災害対応を行うとともに被害の大きい地域の支援も行うという考え方も提言しています。
国はこれまで「東海地震」と「東南海・南海地震」で、それぞれ別々の法律に基づいて防災対策を立ててきましたが、今回の報告を受けて南海トラフ全体で防災対策の検討を進めることにしています。

山岡教授「ふだんから防災議論を」

地震の予測の研究の現状について報告書を取りまとめた名古屋大学大学院の山岡耕春教授は、「観測や研究が進むにつれて地震の発生には多様性があり、次に起こることを確実に予測するのは難しいことが分かってきた」と述べて、「地震の対策は予知や予測を前提とせず、いつ起きてもおかしくないように一定レベルの防災対策をするのが基本だ」と指摘しました。
そのうえで、「南海トラフで何らかの変動が観測される可能性は少なくない。地震が発生しやすいと捉えられたときは、例えば家庭のストックや流通量を増やすことで被害量を減らすことができる。ふだんより地震が起きやすいとみられる際にどうするか、今後議論してほしい」と話しています。

震度6弱以上の揺れ「21府県682市町村に」

国は、おととしの東日本大震災を受けて南海トラフで起きる可能性のある地震の規模を科学的に考えられる最大クラスとしてマグニチュード9クラスを想定しました。
その結果、▽21の府県の682の市町村が震度6弱以上の激しい揺れに襲われるおそれがあり、▽津波の高さが10メートル以上に達するのは13の都県の100の市町村と被災地が広い範囲に及ぶと想定されました。
また、去年8月には被害想定を公表し、津波と建物の倒壊、火災などで最悪の場合およそ32万3000人が死亡し238万棟余りの建物が全壊や焼失するおそれがあるとしています。
ことし3月には、経済的な被害想定を公表し、施設などの復旧にかかる費用や従業員や企業の被災による影響も加えると、総額で220兆3000億円に上るという試算結果をまとめました。
このほかライフラインが途絶えるなどして避難所や親戚の家などに避難する人の数は地震から1週間で最大で950万人と、避難する人の数が多く影響が長期化するとしています。
また、1週間に不足する食料は合計でおよそ9600万食に達し高速道路などの交通網が復旧して、物資を運ぶ緊急車両が通れるようになるには1週間程度はかかるとみられています。

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