進次郎氏、拉致問題解決へ同世代・金正恩氏のジレンマを突く！

演説後、聴衆と握手をする小泉進次郎氏

　自民党の小泉進次郎青年局長（３２）が２日、神奈川県横須賀市内で演説し、北朝鮮による拉致問題解決を改めて訴えた。スピーチ後、同年代で世襲政治家という共通点のある金正恩第１書記（３０）について「過去にスイス留学経験があり北朝鮮の外を知っているだけに、今の体制にジレンマを抱えている」と分析。金正恩氏の苦悩を突く徹底対話によって、拉致問題を解決するべきと訴えた。

　進次郎氏が金正恩氏について、独自の見解を示した。この日、自民党の青年局が全国約１００か所で「北朝鮮による拉致問題の解決」をテーマに一斉街頭行動を行い、同局長の進次郎氏は横須賀市内で１００人の聴衆を前に演説。その後、記者団の金正恩氏についての質問に対し、その人柄を分析し始めた。

　進次郎氏はまず、「同世代としては、あの年で先軍政治の国を率いるのは、どれほど困難なことか。おそらく相当ジレンマがあるのではないか」と同情。「スイスに若いとき留学して“北朝鮮の外の世界”を知っている。自分の国の当たり前が、世界の当たり前じゃないことは痛感しているはず」と、金正恩氏自身が現状に苦悩を重ねていると指摘した。

　さらに「私も世襲。親とつながっている部分もあれば、そうじゃない部分もある。（金日成、金正日体制で問題になった）拉致問題について言えば、金正恩氏は深く関わっていない」と持論を展開。「どういう決断をするか。過度の期待は禁物だが、『北朝鮮の利益は、日本の大きな懸案である拉致問題の解決に向けたステップを進めていくこと』だと思わせる取り組みをしなければいけない」と、金正恩氏のジレンマを突いた対話をすれば、拉致問題の解決につながると主張した。

　日本の政治家が、北朝鮮の指導者の心情を語るのは珍しい。２人は３０代前半、さらに祖父から続く「世襲政治家」としての共通点もある。それだけに、立場は違えど、その心はある程度、理解できる部分はあるようだ。さらに、進次郎氏の父・小泉純一郎元首相と、金正恩氏の父、故・金正日元総書記は、０２年、０４年と２度の日朝首脳会談を行い、拉致被害者５人の帰国が実現した。関係者によると、その縁からも進次郎氏は拉致解決に大きな関心を持っているという。

　実際、この日は「拉致問題は、現在進行形で、風化をさせてはいけない。相手が一度約束している拉致の再調査を、どこまで踏み込んでできるかが問題だ」と、父が日朝首脳会談時に北朝鮮と交わした「死亡・不明者の再調査」について強調する場面もあった。親子２代の悲願を、進次郎氏がかなえることができるか注目だ。

　◆北朝鮮による日本人拉致　１９７０年～８０年代にかけ、不自然な形で失踪した日本人の多くに、北朝鮮による拉致の疑いが浮上。日本政府は、これまでに１７人を拉致被害者として認定した。０２年９月の日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を初めて認め、１０月に５人が帰国。０４年の２度目の日朝首脳会談後、帰国被害者の家族の帰国・来日も実現した。一方で、返還された被害者の遺骨が本人のものとは異なるなど、拉致問題の全容は解決されないままになっている。

（2013年6月3日06時03分スポーツ報知）