本田「勝ちたい」　あす運命の豪州戦

　【モスクワ原誠司】ロシアのＣＳＫＡモスクワでリーグ戦とカップ戦の２冠を達成した日本代表ＭＦ本田圭佑（２６）が１日（日本時間２日未明）、当地で自らの希望で記者会見した。２冠達成、ロシアでの生活、６月４日のワールドカップ（Ｗ杯）ブラジル大会アジア最終予選のオーストラリア戦のほか、ＡＣミラン（イタリア）などのビッグクラブの名前が飛び交う今夏の移籍を希望する発言まで飛び出した。本田は３日に帰国し、日本代表に合流する。

　−この会見を開いた経緯は？

　本田「自分の気持ちの問題だが、しゃべりたくなったというか…。僕が覚えている限り、ロシアで試合後は通信員のみなさんにコメントした記憶がない。で、この場を借りて嫌いではないということを伝えたかった（会場で笑い。記者から『ありがとうございます』。本田は『ハイ』と笑顔）。いろんな自分の集中の問題で何年もしゃべれず、２冠を達成する前から（会見を）やるというのは決めていたが、リーグを制し、僕自身過去を振り返るということはしないが、少し振り返る質問があっても答えられるという自信があった」

　−チームで２冠を達成した？

　「正直、リーグとカップの結果については、うれしいというよりホッとしている。自分の今まで歩んで来た道を見てみると、どう評価しても順風満帆ではない。それでも、もう４年目。ここに来たことについては、あらためて悔いはない。こうやって何年かに一度、神様がプレゼントをくれる。これからも、おそらく自分が進む道は一筋縄ではいかないし、さらなる困難が待ち受けているんじゃないかな。それでも、悔いなく楽しんでいこうと思う。この優勝を糧に、さらなる進化を、さらなる成功を求め、突き進んでいこうと。全ては自分が選ぶ道なので、しっかり責任をもって進んでいきたい」

　−ＣＳＫＡとは今年で契約が切れる。今後の展望は？

　「今までの経緯を考えると、みなさんもご存じの通り。（契約は）残りまだ半年ある。どうなるかは全く分からないので、ここで言えることは僕自身は、こういう場を設けさせてもらっているし、ある程度、自分の中では、やり終えたというふうにはもちろん思っている。ただ、それは僕が決められることではないので、この夏、すべて自分が望むような形になればいいなと願っている」

　−５月に負傷した右太ももの状態は？

　「太ももに関して、今日（１日）あれだけプレーできて、おそらくリバウンドもないのではないかと思う。（日本代表・ザッケローニ）監督次第だが、豪州戦に向けていい準備ができればなと考えている」

　−豪州戦に向け、一番大事なことは？

　「すべてが大事だけど、強いて言うと、気持ちの面が一番大事になっていく。気持ちというのは、自分たちでポジティブな雰囲気をつくることで、勢いをチームにもたらすという意味だ。豪州には（９０分以内で）勝った記憶がない。勝ちたい。（５月３０日に負けた）ブルガリアが格下というのは失礼かもしれないが、格上ではない相手に負けるときというのは、特に気持ちの面だと思う。（３月２６日のＷ杯予選で負けた）ヨルダンもさらにそう。人間って、気が緩んでいないと自分では思っていても、気が緩んでいるものだと思う。どうやって引き締めるかといったら、もうくどいほど、自問自答するしかないと思っている。『大丈夫か』『準備ちゃんとできているか』と。くどいほどやれるかどうかが、僕はキーポイントだと思っている。特に自分たちが勝たなくてはいけないときには」

　−ロシアリーグのレベルやモスクワの暮らしについて

　「ロシア（リーグ）のレベルは、最近、有名な選手がどんどん移籍するようになって、僕が入ったころよりもレベルが高くなっていると思う。（イングランドの）プレミアリーグを全体的に一回りレベルを下げたような感じ。生活については、渋滞に毎日嫌気がさしている（会場で笑い）。いきなりどこで渋滞するか分からないので。食べ物？　ロシアンレストラン的なところにはあまり行かない。基本的に家で食べるし、外に出ても日本食を食べている。満足している」

　−ロシアに日本の選手が来ることを勧めるか

　「僕は全然悔いがないので、勧める。過去にも自分のチームが、日本人を狙っていたときに相談されたことがあった。そのときに僕より年下の選手だったが、（獲得を）勧めた。１８年にはロシアでのＷ杯も決まっているし、特にお金のあるチームは欧州の名選手をさらに取ると思う。冬の寒さだけはどうしようもないとはいえ、今後（欧州）チャンピオンズ・リーグで上位に食い込むようなチームが出てくるのではないか。若い選手はここにくれば、アピールの場はあるんじゃないかと思う」