脱原発へ

平和・民主主義

2013年5月31日 17:00

ミサイル迎撃は不可能 経ヶ岬・米軍専用レーダー計画の真相

元外務省国際情報局長・元防衛大学校教授 孫崎うけるさんに聞く
 アメリカや政府・防衛省は、京丹後市への米軍レーダー基地設置計画を強引に推進し、住民・行政に対して「日本をミサイル攻撃から守るために必要」と繰り返し説明しています。同レーダーやミサイル防衛システムの問題点について、外務省国際情報局長、防衛大学校教授などを務めた、孫崎享さんに聞きました。

元米閣僚“役に立たない”

  ―防衛省側は、「北朝鮮からのミサイルを迎撃するためにレーダー配備が必要」としています。本当に日本を守ることができるのですか?

ミサイル防衛イメージ
Xバンドレーダーを開発した米国のレイセオン社による、ミサイル防衛のイメージ図。レーダーと人工衛星がミサイルを捕捉(左図)し、さらにレーダーが追跡し、ミサイルを迎撃する(右図)としています(拡大

 孫崎 レーダーが組み込まれるミサイル防衛システム(MD)で、日本を攻撃する弾道ミサイルを撃ち落とすことは不可能です。弾道ミサイルは、打ち上がると1000キロ以上の上空を飛ぶことが可能ですが、イージス艦によるミサイル迎撃範囲は数百キロ、対地空迎撃ミサイルは数十キロ程度で、物理的に届きません。
 また、ミサイルが日本に落下してきたところを狙っても、猛スピードで落下してきます。大陸弾道弾で秒速7キロ、中距離弾道ミサイルで秒速2キロです。それが東京都心、国会、米軍基地や自衛隊など、どこを狙うのか分かりません。北朝鮮から発射されて数分の間で、超高速で動くミサイルの目標は分からないまま、迎撃するのは物理的に不可能です。「米軍がミサイル迎撃に成功」というニュースを見たことがあるかもしれませんが、これはあらかじめ米軍内で発射時刻や目標を決めた上での成功です。北朝鮮がミサイルを撃つ場所や時刻を事前に教えてくれる訳がありません。
 ペリー元米国防長官(94~97)もミサイル防衛システムは役に立たないと述べていますし、専門家になればなるほど技術的に難しいことを認めています。

平和外交だけが解決

 ―「日本の防衛のための配備」としていますが、迎撃できなければ意味が無いのではないですか?

 孫崎 京都に配備する意味は、私にも良くわかりません。先程述べたように、迎撃は不可能だからです。
 アメリカ防衛のための配備なら十分に意味はあると思います。アメリカに向かうミサイルを京都のレーダーで補足すれば、距離の離れている米国内のどこを狙うのか分析できる可能性が高まります。迎撃が不可能だとしても、置く意味はあるかもしれません。ただ、日本を守ることができるシステムではありません。

 ―北朝鮮からの攻撃を防ぐにはどうしたらいいですか?

 孫崎 平和的な外交を粘り強く続けるしかありません。
 戦後の流れを見ると、冷戦が終結して以降、国家間の紛争は減少し、現在の世界では、国際問題を話し合いで解決するのが当たり前になっています。レーダー配備や防衛力増強は相手国との緊張感を増やすだけで、問題を解決することはできません。国連・国際法にもとづき、平和外交を果たすのが日本の役割です。それが北朝鮮からの攻撃をやめさせる最大の手段です。

1
原発からの撤退を求める署名用紙

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