【インタビュー】女子大生Webデザイナーが独学でRubyプログラマーへ転身!Ruby認定試験Goldを2ヶ月で取得したコツ

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みなさんは Ruby Association Certified Ruby Programmer という資格はご存知でしょうか。Ruby の技術者認定試験の上位資格として2010年から実施されているもので、Silver と Gold の2つに分けられています。

Silver は Ruby の背景、文法知識、オブジェクト指向の機能、組み込みライブラリの知識、実行環境について Ruby プログラマとして必須となる基本的なプログラミング技術を持つことを認定する資格です。

Gold は Silver 認定に加え、アプリケーション設計に必要となるクラスやオブジェクトに関する知識を問い、Ruby によるプログラム設計技術を持つことを認定する資格となっています。

Ruby 技術者を確保したい企業に対してアピールになるこれらの資格。学生だけでなく社会人でも転職やスキルアップのために取得を目指している人も多いのではないでしょうか。

今回は、その Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold を勉強開始から2ヶ月で取得した女子大生 Web デザイナーをインタビューしました。ここ Layer8 にも記事を起稿しているcatさんです。Ruby Gold 試験勉強のコツ、デザイナーから Ruby プログラマーへ転身する道のりを教えていただきました。

Webデザイナーだったということですが、まずデザイナーになった経緯を教えてください。

「5インチフロッピーディスクって確かこんなに大きかったような」

「5インチフロッピーディスクって確かこれぐらい大きかったんですよね」

もともと小さい頃からパソコンが家にあって、よくわからないなりにさわってました。5インチフロッピーディスクに入ったテトリスで遊んだり、一太郎のマクロで棒人間が体操するのを見てましたね。

本格的にウェブに関わったのは、高校生の時に「HTML辞典」を読破したのが始まりです。

実際にサイトを作ろうとしたわけではないんですが、テトリスも飽きたしなにかもっと楽しいことができないかと思って、原色の背景に文字を踊らせたりして喜んでました。

デザイナーとしては、大学にあったアルバイト募集の掲示板でいまの会社を見つけたのがきっかけです。はじめはコーダーでした。デザイナーさんが作ったカンプを HTML と CSS で再現する仕事。

そこから徐々にステップアップして、なんとか自分でもデザインを作れるようになっていきました。

 

HTML辞典を読破するとは面白い女子高生だったんですね(笑) デザイナーだったのに、なぜ Ruby Gold 資格試験をうけようと思ったのでしょうか?

去年の末に社長がいきなり「Gold 取ってよ」って(笑) 開発がどんどん Ruby メインになってくるから Ruby マスターしてしまってよ、と。

普段はウェブサービスの表側を担当しているので、ちょっと無茶ぶり感もありましたけど、テンプレート内でプログラムにふれることもありましたし、あまり抵抗はありませんでした。

 

2012年の年末に言われて、実際に合格したのはいつですか? 

Silver は、年が明けて2013年の1月28日です。

そこからすこし仕事が忙しくなって、半月くらいのブランクを挟んで Gold の勉強を始めました。

Gold を取ったのは2月28日で、受けようと思ってからちょうど2ヶ月後ですね。

 

それまでにRubyは知っていましたか?

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「合格すると認定証が発行されます。こういうのがあると実感が湧くので嬉しいです」

大学の講義にプログラミング入門があったんですが、その中に Ruby があったのが出会いだったと思います。

シラバスに書いてあった教科書が「初めてのプログラミング(*1)」といって、これは普通の書店でも買えるんですが一足先に見たらすごく読みやすくて決めました。

他にもC言語とか種類はありましたが、それを取った子は結構きつそうでしたね。

だけどじつは、あまり授業には出ていないのです。バイトばかりしてしまって(笑)。今も籍はあって一応女子大生ですが、仕事ばかりしていますね、楽しいんですよ。

Ruby はこの本と、仕事で Rails のテンプレートを編集していくうちに学んだという感じです。

(*1) 記事では初版を指します。現在は第2版が出されています。

 

実際に何かを作ったことはありましたか?

Ruby を知ってからはすこし便利なプログラムを書いては使い捨ててました。

いままでで一番役に立ったのは HTML でサンプルページを作るときに使ったやつで。

ダミーのブロックがたくさんいるのに全部同じデータでは困るというときに、ハッシュとループを使って生成するという。あまり綺麗な書き方じゃなくて、いま思い返すと恥ずかしいです。

Ruby 自体、本格的に学習したというより独学という感じなのですね。資格のための勉強時間は1日どれくらいでしたか?

参考書を開いていた時間はそんなに長くなかったとおもいます。それより、実際にコードから学ぶ時間の方がメイン。合わせると3時間くらいですね。平日も休日もそう変わらない。

 

3時間を毎日続けるのは結構大変だと思うのですが、モチベーションが下がったときにとった対策などありますか?

同じ境遇の人を見つけること。ちょうど社内に別の資格勉強をしている方がいたので、どれぐらいがんばったかを競いました。会ってすこし話をする程度ですけどね。見栄をはったこともありましたけど、その後はどうも気になって勉強量を増やしたりして。

あとは自分が取った対策ではないんですが、社長に進捗を聞かれること。別に合格しなかったからといって降格するわけではなかったはずなのに、妙にプレッシャーがありました。

 

勉強時間を確保するコツは何ですか?

RubyGirl09生活スタイルによると思うんですが、わたしは家に帰ってから寝るまでの間が一番空いているので、そこを勉強に割こうと決めました。

朝にやるというのも考えたんですがどうも難しいと思ってやめました。帰りが遅れてもちょっとご飯を手抜きするとか家事を別の日にするとかでなんとかなりますが、寝坊したらもうその分は無駄になるので。早起きはもともと苦手というのもあって、リスクが高すぎるなーと。

帰ってきてからの時間をあける方法は、ゲーム断ちです(笑)

Skyrim という RPG があるんですが、発売からもう1年くらい経つのに飽きずにプレイしてるんです。

それを棚に飾りました。そして見るたびに「受からないといつまでたっても旅に出られないよ」と。

万が一落ちて敗因を尋ねられた時に「ゲームをしていて落ちた」なんて答えなきゃいけない… 頭によぎるだけではずかしいですし。

あとは、ウェブサイトを閲覧する時間を減らしました。

動作を確認しようと思ってパソコンを開くと、どうしてもネットサーフィンしてしまうので、常にオフラインの状態にして、どうしても必要なときにだけネットに繋ぎました。特にニュースサイトみたいに時間がいくらでもつぶせるサイトはアクセスブロックしてました。誘惑に弱いんですよ(笑)

 

なるほど、生活スタイルや朝型か夜型かなど自分の適正も踏まえてスケジューリングするのが大事なのですね。勉強のために読んだ本やサイトを教えてください。また、その中で1番良かったものは何でしたか?

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「るりまってかわいいですよね」

Ruby公式資格教科書 Ruby技術者認定試験 Silver/Gold対応 (EXPERT EXPASS)」です。

Gold 対応の本はいまのところこれしかないんですが、誤植が多いのが難点です。わたしも1箇所見つけて送りました。

1番良かったのは公式リファレンスですね。ここに書かれていることが出るので。

実際に Ruby を使っていて困ったら開きます。同じページにあるメソッドもついでに覚えたり。Ruby はリファレンスの分類がすっきりしていていいですね。PHP だとあちこちに分散していることがあるから…。あと「るりま」って愛称もかわいい。

 

まだまだGold対応の本は少ない中で勉強するときに意識したことはありますか?具体的な勉強方法を教えてください。

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「普段は外付けモニターも使うんですが最近オフィスの引越しがあって。今日はMacBook Airだけで仕事してます」

この試験では「正しいものをすべて選べ」という問題が結構あるんです。あやふやな知識で消去法に逃げられなくてこわい。

だから練習問題ではできるだけ、なぜその答えになるかをノートに書いて解く方法を取りました。選択肢それぞれに対してここが間違っているとか、これとこれはエイリアスだからどちらも正解とか。

メソッドを覚えるには実際に使うのが一番でした。仕事用のコードの流れを詳しく追ってみたり、自分のテキスト整形スクリプトを改善してみたり。

なんにせよ積極的にリファレンスに当たることが大事です。空き時間にはオンラインで問題を解ける「ITトレメ」を使っていました。

 

Ruby Gold 資格を取得したあとのことを聞かせてください。仕事の環境、自分自身のことなど変わったことはありますか?

仕事をする上ではメソッドを調べなくてもよくなって効率が上がったように思います。継承の順序や変数のスコープももう迷いませんし。仕事の範囲は Rails のビュー以外の部分にまで広がって、もうデザイナーじゃない(笑) 最近は少しずつ自分でも Ruby プログラマーの自覚が出てきました。

周囲は……変わりませんね。「受かるだろうと思ってた」みたいな反応で。確かにごく当たり前のことを問われる試験だったから、プログラマからしたら持っていて当然なのかもしれません。

試験の対象も前世代のバージョン1.8系列でしたし、どんどん応用的なこと・新しいことを覚えていきたいですね。Ruby や Rails の勉強会、イベントも気になっています。でも女の子が少なそうで、寂しいんじゃないかと心配です。

Rubyだけでなくプログラマーの世界はまだまだ男性が多いのが現状ですね。では最後に、世の女性たちがRubyに興味をもつようなメッセージをお願いします!

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わたしもまだまだこれからですけど……。女性プログラマーが増えるといいなとはすごく願っています。

プログラミングは難しいと思われるかもしれませんが、ひとつひとつは単純なことの集まりであることが多いんです。

ウェブサービスを作るにしても、あらかじめ必要なコードを用意してくれているフレームワークというプログラムの塊があって、Ruby で一番有名なのは Ruby on Rails なんですけど、そのおかげで意外と簡単にできてしまいます。

Ruby は1行からでも動くから、Java や C のような本筋と関係ないコードがたくさん出てくるプログラミング言語と比べるとずっと敷居が低いんです。もちろん奥も深いですけど。

きっかけはなんでもいいと思います。仕事や資格のためじゃなくても。なにか困ったこと・不便なことがあって、自分の手でその問題が解消できるとしたらなんだかわくわくしてきませんか?

まずはちょっとしたことを解決してくれるプログラムから Ruby を始めてみると世界が変わって見えるかもしれません。

今日はありがとうございました!

RubyGirl11

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参考リンク

Rubyアソシエーション: Ruby技術者認定試験制度