記録を調べると、万博に向けて大阪府が全用地を取得。万博終了後、その半分を国に83億円で譲渡している。財務省の関係者に当時の事情を尋ねると「国が公園化の方針を打ち出したのだから、買い取って管理してほしいと、府側が要望したようです」という。年間10億円にものぼる公園管理費を、府では背負いきれないとの判断だったらしい。
今回、府へ公園が返還される契機は2007年、第1次安倍政権による独立行政法人改革で万博記念公園がやり玉に挙がったことだった。業務スリム化に向けて「大阪府の納得が得られれば」という条件付きで、管理業務を府に移す方針が閣議決定された。
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当初は10年度にも返還の見通しだったが、府と国との協議は難航した。大阪府の担当者に話を聞くと、「新たな財政負担がないことが府側の前提条件。無償での土地譲渡か無償貸与を要求したのですが、国側が『前例がない』と拒否し、話し合いが続いていました」と明かしてくれた。
財務省の関係者は「国有地を無償譲渡する前例をつくれば、沖縄県の米軍基地など、他でも求められかねない。国有地はあくまで国民全体の財産です」と説明する。
結局、年間2億円前後の賃料で府が国から用地を借りることで合意。今国会に政府が提出している万博機構の廃止法案が成立すれば、来春にも万博記念公園は府営となる運びとなった。
その場合、府は公園南部の旧エキスポランド跡地を三井不動産に賃貸。その収入で、国に支払う賃料や公園の維持管理費をまかない、新たな財政負担をゼロにする算段だ。
旧エキスポランド跡地には、教育と娯楽の機能を組み合わせた複合施設が15年にも開業する計画。それ以外は「自然公園として維持する方針は、府営になっても変わりません」と大阪府都市魅力・観光課の担当者は話す。地元の吹田市を中心に、緑地保存を求める強い声があったという。
「40年にわたって育んできた自然を、これからも保ってほしい」。万博記念機構の安藤馨・自立した森再生センター長はこう語る。
(大阪社会部 塙和也)
[日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西2013年5月15日付]
万博記念公園、三井不動産
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