東京電力福島第一原発事故の後に自殺した福島県須賀川市の農家の男性(当時64)の遺族に対し、東電が賠償金を支払う内容の和解が近く成立することがわかった。原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が仲介した。
遺族側の関係者が明らかにした。原発事故が原因で自殺したと訴える遺族らに、東電が賠償すると判明したのは初めてという。慰謝料や逸失利益など計1千万円以上とみられる。
男性は30年以上前から有機栽培の野菜づくりに取り組んでいた。原発事故当時はキャベツの収穫時期だったが、政府は事故直後の2011年3月23日、一部の福島県産野菜について「摂取制限」の指示を出した。男性は翌日朝に自宅敷地内で首をつり、亡くなった。
遺族が昨年6月に和解の仲介を申し立て、東電側は先月上旬、センター側の和解案に応じる考えを示した。遺族側が求めていた謝罪は拒否したという。
東電広報部は「個別の事案についてはコメントを差し控える」としている。
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朝日新聞社会部