碧い蜻蛉
西新宿保健センター玄関前道路土壌
1万5千Bq/kg検出
8月7日に屋上に放射線モニターを設置している西新宿保健センター玄関前で計測を行った。ガンマ線線量率は1mHで0.094、地表で0.14μS/hであったが、ベータ線の寄与が高いので土壌をビニール袋に採取して、CDクリエーションで分析をしてもらうよう依頼した。その結果、セシウム総量14,892Bq/kg=967,980Bq/平米(Cs134:5,956Bq/kg、Cs137:8,935Bq/kg)という非常に高い値であった。
採取した土をビニール袋ごとiFKR254の検出部分に密着させて計測を行った(計測時間1000秒)のが上の写真だ。Cs134 の二つのピークとCs137のピークが立ち上がっている。ガンマ線の線量率は0.16μS/hと自宅の室内通常時の0.06から0.07に比べて、0.1μS/hだけ高くなっているだけであるが、袋の中身は1万Bq/kgを越えている。空間線量計を近づけただけでは土壌やがれきの汚染の実態は把握できないことを示している。空間線量の計測だけでは土壌汚染の実態を把握できない。
また、セシウムの3つのピークがつくる二つの山は関東圏では至る所で見ることができるが、関西ではセシウムが検出されるところでも山にはならない。関西にも福島事故のセシウムが降ったのだが、東京と比較して低レベルにとどまっている。
機器を購入してすぐの、地表線量と土壌線量の関係がほとんどわからない時に、柏市の公園で測定したが、保育園の子どもたちが保母さんに連れられて遊びに来ていたり、お母さん方に連れられて子どもたちが砂遊びに来ていた。今から推定するとセシウムを数万Bq/kgも含むと思われる(地表線量率0.63μS/h、セシウムカウント数16000カウント(1000秒)、西新宿の4倍)土壌の上で転げ回って遊ぶ姿を思い出すといたたまれない。
モルモットの実験では実験動物を殺すことを"sacrifice"という言葉で表現する。犠牲として神へのささげものにするという意味だが、いけにえを差し出すことで神の庇護を求めるのだ。福島の子どもたちをいけにえに差し出して、われわれはどの面を下げて生きていくことができるのか。
※ ヨウ素131のピークが検出されているが、この位置にはラジウムなども重なっているため、?マーク付きにしてください。
9ヶ月後、iFKR-ZIPの再測定で1万4千Bq/kg
シンメトリックス社の食品などのセシウム濃度を計測するベクレル計iFKR-ZIPが商品化し、2013年6月9日にオープンする高槻・市民放射能測定所に導入された。1時間測定で2.1Bq/kg、10時間測定で1Bq/kgを定量下限とする機器で、iFKR-254同様に温度ドリフトがほとんどなく厳密な温度管理を必要としない。サンプルを160gづつ2つのZIP袋に入れて、センサーを挟み込むように収めて計測するので合計で320gで良い。
かさばって入る試料の量が少ない時も、比重が高くて重たいものでも、得られたデータを320g相当に換算してセシウム濃度を求める。
立ち上げ準備期間中であるが、土壌試料を20gずつ小さなZIP袋二つに入れ、合計40gの試料で計測をさせてもらったものが上の写真である。試料全体で600ベクレル程度含まれているので急速にセシウム3兄弟のピークが立ち上がってくる。1400keVあたりのCs134のピークも大きくでてくる。通常は1時間計測で行うのだが、1300秒くらいで打ち切って、メニューを切り替え”Find"のコマンドを押すと数値が表示される。
Cs134 443.3Bq/kg
Cs137 1355.5Bq/kg
これは試料重量320gで行った場合の濃度であるので、この数値に(320/40)を乗じて、試料の濃度はそれぞれ
Cs134 3,530Bq/kg
Cs137 10,844Bq/kg
Cs合計 14,374 Bq/kg
昨夏のデータとあまり変わらない結果となった。東京の放射能汚染は容易に下がらないことを示すデータとなった。
iFKR-254を使用してきた実感から市販を期待していたiFKR-ZIPを使ってみた感じは、
1 サンプル量が少なくて済む
2 試料の詰め込みなどの扱いが容易
3 温度管理が不要なので維持費がほとんどかからない
4 水道水や井戸水なども高分子吸水材を添加することでゼリー状に固めて測定すると袋の破損などに対する恐れが無くなり、普通の食品と同様に計測できる。つくば市の井戸水でもやってみたが、3600秒計測でCs合計で4.6Bq/kgという結果を得ることができた。
まだパソコンでのプログラムが完成していないので報告書などを印刷するには難があるが素人でも慣れれば簡単に扱える機器だという印象がした。実に、機器の置かれている本澄寺では奥さんがひとりで扱っておられた。
西新宿の土壌については、昨年シーディークリエーションの鈴木さんがやられたように蚕での生体実験を開始しますので別途報告します。(2013年5月31日)
2012年8月調査
2013年5月再測定