訃報:中坊公平さん83歳=元日本弁護士連合会会長
毎日新聞 2013年05月05日 20時27分(最終更新 05月05日 23時50分)
森永ヒ素ミルク中毒などで被害者救済に尽力し、住宅金融債権管理機構(後に整理回収機構に統合)の初代社長を務めたほか、裁判員制度実現など司法改革を推進した元日本弁護士連合会会長、中坊公平(なかぼう・こうへい)さんが3日、心不全のため京都市内の病院で死去した。83歳。葬儀は5日、近親者で営んだ。喪主は妻淳子(じゅんこ)さん。
京都市生まれ。1957年に弁護士登録。84年に大阪弁護士会会長、90年4月から2年間、日弁連会長を務めた。
森永乳業徳島工場製の粉ミルクで55年に西日本の乳幼児約1万3000人がヒ素中毒となった事件で、被害者側弁護団長に就任。被害救済を求めた裁判で森永の加害責任を認めさせ、73年12月、和解に導いた。
日弁連会長時代には、容疑者段階から弁護人を付ける当番弁護士制度を実現。市民の司法参加も進めた。
96年7月、住宅金融債権管理機構の初代社長に就任。旧住宅金融専門会社の不良債権回収を陣頭指揮したが、不適切な債権回収を巡って詐欺容疑で告発(後に起訴猶予)された。東京地検特捜部の事情聴取を受け、2003年10月、弁護士廃業の意向を表明した。