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この作品は<R-18>です。
〔ボーイズラブ要素〕 があります。
18歳未満の方は移動してください。
キス。
作者:カノン
この小説には同性愛の表現が含まれており、性的描写もあります。読んでからの苦情は受け付けませんのでご注意下さい。

貴方の本を読む声が好き。
朝、ちょっと眠そうにしている顔が好き。

俺だけのものにしたいって、そう思った。



「こらっ!高橋、また遅刻だぞ!」

朝のHR開始から5分、俺は教室の後ろのドアから教室に入った。

いつも通りのセンセのセリフ。

「すみませーん。寝過ごしましたぁ。」

怒った先生の顔に思わず顔がにやけた。

先生はそんな俺をジロリと睨むと、大げさな程大きなため息を吐いた。「ったく、後で職員室に来いよ。」

やった。

遅刻をする度、先生に職員室に呼ばれる。

それが今では俺の日課になっていた。

授業が終わるまでの時間、一限目が先生担当の現国の場合は適当にノートをとりながら先生観賞。

先生以外の授業は全て睡眠の時間。

我ながら凄く解りやすい奴だなって思うけれど。

あーネクタイ曲がってる。
今日はメガネなんだ。

似合ってないよ、先生。
キーンコーン・カーンコーン

授業が終わった後、俺は教室を出る先生の後を追った。

「まーきちゃん!」

先生の名前は、吉田麻紀。
女みたいな名前を、俺は気に入っている。

「高橋!その名前で呼ぶなっていつも言っているだろ!」

「えー可愛いのに。」

ケラケラ笑ってからかうと、先生はカッと顔を真っ赤にさせた。

二十六歳にもなってそんな可愛い反応しないでよ。

もっと、イジメたくなる。
「早く職員室に入れ、まったく・・・」

先生は呆れてため息を吐いた。

俺はそんな先生に苦笑しながら職員室へ入った。

先生は自分の机のイスにドカッと座ると、突っ立っている俺をキッと睨んだ。

「何でお前は毎日遅刻するんだ!?しかも決まって朝のHRだ。俺をバカにしているのか?」

あっ、やっぱ怒った顔もイイ。

「別に俺、先生のことバカになんてしていませんよ。」

バカになんてしてたら、今こうやって向かい合って話なんてしていないよ。

「なら、もう遅刻すんなよ!?わかったか?」

「・・・俺ね、先生にこうして構って欲しかったのかもしんない。真面目に授業受けてたら、きっとすぐに先生は俺のこと忘れちゃうでしょ?」

安心した先生の表情に、つい言葉が出ていた。

今はまだ、内緒にしておこうと思っていた秘密の言葉。

「!?」

先生は俺の言葉に驚いたのか、持っていたペンを床に落とした。

「落としましたよ?」

そのペンを拾ってやろうと思ってしゃがむと、それと同時に先生もイスから降りてしゃがんだ。

先生と俺の瞳が、机の下で重なる。

俺は先生に一瞬の、触れるだけのキスをした。

「ッ!?」

先生は俺に何をされたのかすぐには理解出来なかった様で、目を見開いて俺を見つめていた。

「じゃあ、もういいですよね?俺、次の授業の準備がありますから。」

わざとにっこり笑って、俺は職員室を後にした。

先生は俺が職員室から出るまでその場に固まった様に動かなかった。

俺が教室に戻ると、クラスメイトの林亮子に声をかけられた。

「弘治、なんか嬉しいことでもあったの?顔、緩んでるよ?」

「ん、ちょっとな。」

そう言ってはぐらかしたが、亮子は訳が解らないといった様子で首を傾げていた。

言えるわけないじゃんか。

先生とキスした、なんて。

これは先生と俺の二人だけの秘密なんだから。

その日から、俺と先生は生徒と教師ではなくなったんだと思う。

いや、そう思っているのは俺だけなんだろうけど。

先生は少なからず俺を意識している様で、授業中目が合った時なんて一瞬、困った様な表情を見せたが、すぐに目をそらされた。

そして、俺は先生にキスをした翌日から遅刻をしなくなった。

もちろん、今までの遅刻はわざと。

授業中、他の生徒にからかれて優しく笑う先生。

もう一度、その唇にキスしたかった。



テスト期間に入ると授業は短時間になり、授業が終わると同時に生徒は一斉に家路に着く。

放課後、学校に残るのは先生達だけ。

俺はもう一度話がしたくて、学校中を捜し回った。

先生は、印刷室に居た。

「まーきーちゃん」

俺がそう呼ぶと、先生は大袈裟な位、ビクリと体を震わせて振り返った。

「た、高橋・・・」「やっと見つけた。探したよ・・・」

俺を見て、先生が戸惑っているのが解る。

まるで、狼に捕まったウサギの様で笑えた。

俺は印刷室の戸を閉めると先生に近寄った。

「そんなに怯えないでよ。傷つくなぁ・・・」

苦笑して言ったけれど、何故か心は冷静で、先生をじっと見つめた。

「お前は、何を考えているんだ?何が・・・したい?」

先生の俺を警戒している口調に、これは完全に嫌われたな、と悟った。「先生と、教師と生徒のイケナイ恋がしたい。」

「!?」

驚きに目を見開かせる先生の両頬を素早く包み込み、ムリヤリ口付けた。

「んっ・・・!?」

先生がうっすらと唇を開けた瞬間、スルリと口内に舌を差し入れ、今度は長くディープなキスをした。

「あっ・・・」

先生が苦しげに小さな声をあげた。

あっ、ヤバイ。

もう止まんないよ、先生・・・

先生はもう弱々しい抵抗を見せるだけで、俺にされるがままだった。
先生・・・

先生・・・

俺、アンタが好きだ。

どうしようもなく好きだよ。

「ッ・・・」

急に口内に痛みが走り、俺は先生から離れた。

舌を、噛まれたのだ。

「痛ッ・・・」

口内に血の味が広がる。

俺は先生を睨みつけると、先生は顔を真っ赤にさせて荒い呼吸を整えていた。

その姿に得体のしれないものが背筋を駈け走るのを感じた。「俺・・・と、お前は・・・男同士で生徒と教師なんだぞっ!?」

「それが何?そんな事くらいで俺がアンタを好きな事は変わらない。」

どうしていけない?

男同士だって、生徒と教師だからって、何を恥じる必要があるの?

「俺を見てよ、逃げないで。お願いだから・・・」

目をそらさないで、真っすぐに俺を見てほしい。

「どうして俺なんだ?お前なら普通の女の子とも付き合えるだろうに・・・」「俺だって、別にホモなんかじゃないし、男を好きになったのなんて先生が初めてだよ。」

いつ、どんな瞬間に好きになったかなんて、そんなの知らない。

先生だから好きになった。

先生以外の人なんて嫌。

「高橋・・・」

先生の俺を見る瞳がまるで哀れんで同情しているかの様で、俺は泣きだしそうになった。

「俺はお前の気持ちに答えることは出来ない。」

「いいよ、俺が勝手に先生を好きになって先生を困らせたんだし。それに、そう言われるのも解ってた。でも、俺は先生が好き。これからもそれは変わらない。」

先生が俺を好きじゃないことなんて始めからわかっていたし、この先、好きになってもらえる可能性なんてないこともわかってた。

けれど、わかっていてもこの想いだけは先生に伝えて、少しでもわかってもらいたかった。

好きになって、なんて言わない。ない。ない。
嫌わないでいてほしいだけなんだ。

「お前は・・・本当にそれでいいのか?」

「うん。」

声が、震えた。

「この先、俺がお前の気持ちに答えることがなくてもか?」

「そう、だよ。」

とても残酷な言葉。

そんなこと、先生の口から聞かなくてもわかっているよ。

それでも、どうしても俺の想いは消えない。

消えてはくれない。
苦しい程のこの想いをくれたのは誰でもない先生なんだ。
「これから何度、先生に好きだっていうか解らないし、こうしてキスしたくなるかもしんない。」

触れたいと、抱き締めたいと何度願うだろう。

「ごめんね、先生。こんな俺なんかに惚れられて・・・迷惑だよね、ホントごめん。」

先生の顔を見ることができなくて俯いた。

先生はきっと困った顔をしていて、そんな顔を見てしまったら、泣いてしまうと思ったから・・・

こんな女々しい自分を見せたくない。

なのに、出てくる言葉は先生を困らせる様な言葉ばかり。

「大好きだよ、本当だよ。こんなに好きになった人なんて他に居ないよ。」

先生を好きなんだと自覚した時、不思議と戸惑いはなかった。

けれど、俺はこの人なんだ!と確信したんだ。

「・・・ごめん。」

先生が突然ぽつりと呟いた。

その言葉に胸が張り裂けそうになった。

先生が優しすぎて、俺を傷つけまいとしてくれている事が伝わってきて、俺は苦しかった。

「先生・・・」

顔を上げ、先生を見ると先生は泣いていた。

「ッ・・・」

先生は涙を手の甲で拭うと、俺を見つめた。

「なんで先生が泣くの?先生は泣かなくていいんだよ。悲しいの?何に・・・?」

「わから・・・ない・・・」

優しくて、残酷な先生。

そんな貴方が大好きだよ。





その日から、俺と先生は以前より少し仲良くなった。

恋人になったとか、先生も俺を好きになったとか、そんなんじゃなくて。

以前より側に居ても違和感がなくなったんだと思う。

俺としては複雑だけれど、先生と沢山話を出来るのは嬉しかった。

少しずつ、先生の心に近づいている気がしていた・・・


俺は放課後になると、先生の元へ急いで向かった。

廊下を走ってきたから、呼吸が荒い。

「ハァッハァ・・・」

「・・・高橋、また来たのか。」

呆れた様にため息を吐いて俺を見つめる先生。

先生は、図書室に居た。

現代語を担当している先生は放課後、図書室に居ることが比較的多い。

「だって・・・会いたかった。」

未だ荒い息を整えながら、笑って言った。

「ッ・・・」

俺の言葉に戸惑ったのか、先生は俺からサッと目をそらした。

なんだか複雑。

「今日はどうした?」

「ん、俺も先生を見習って本でも読もうかと思って。先生のお薦めの本とかある?」

毎回、なんやかんやと口実をつけて先生の側に居る。

先生は毎回のことで慣れてしまったのか、本棚に近づくと、少し悩む素振りを見せ、その中の一冊を本棚から引き抜いた。

「これはどうだ?お前、教科書もまともに読まないだろ、これなら読みやすいぞ。」

先生はそう言うと、その本を俺に差し出した。

「どんな本?」

先生からその本を受け取り、その本を見つめる。

「詩集。」

「えー詩集なんて興味ないよ。」

「じゃあ読まなくていい。」

あっさりした先生の言葉に俺は笑ってペラペラと本のページを捲った。

「恋愛の詩じゃん。最悪・・・」

詩集の内容はまるで今の自分を文字に表した様で、俺はすぐに本を閉じた。

胸がもやもやする。

俺はイスに座って静かに本を読む先生の横顔をじっと見つめた。

「・・・・・何だ。」

「やっぱり俺、先生が好きだなぁって思って。」

「ッ・・・冗談はよせ。」

あっ、戸惑ってる。

もっとイジメたくなるじゃんか。

「先生、キスしたい。キスしてもいい?」

「高橋ッ・・・」

顔を真っ赤にして目を見開かせている。

「ねぇ、したいよ。ダメ?」

「だ、駄目に決まってるだろ!」

そんな先生を見つめながら、俺はクスリと笑った。

先生は俺よりずっと年上なのに、まるで子供みたいだ。

「先生・・・」

ズイっと先生の顔に自分の顔を近付ける。

「ッ!?」

先生はビクッと体を震わせて、俺から逃げる様に後ずさった。

「ダメ、逃がさないよ。」

先生の腕を引っ張り、抱き寄せる。

先生の心臓が、ドキッドキッと動いているのが解る。

「ッ・・・誰かに見られたら・・・」



「見られなかったら良いんだ?」

「ちがっ・・・」

「違う?じゃあ、お前なんか嫌いだって言って俺を殴って。そしたら先生のこと、諦めるから。」

先生の口から俺をズタズタにする言葉を吐いて

先生の言葉で俺の心に傷をつけてください。

そしたら、俺はきっと先生を忘れられるよ。

嫌いになれるよ。

先生が優しいから、どうしてもその優しさに甘えてしまうんだ・・・

「嫌いだと、言えないのが困るんだ。お前の言葉にいちいち動揺するのも、流されてしまうのも、もう嫌なのに・・・」

「先生・・・」

「俺とお前は教師と生徒なのに、俺は・・・」

「先生、麻紀先生・・・」

また泣きだしてしまいそうな先生の両頬を掴み、唇に口付けた。

ありったけのこの想いをぶつける様に、深く口付ける。

本棚に先生の体を押しつけ、先生の服の中に手を差し入れた。

「ッ!?」

驚きと恐怖からか、俺から逃げようとする先生をきつく押さえ付けた。

俺の方が身長も力もあり、それは容易だった。

唇を離し、そのまま唇を先生の首筋に移動させた。

「ッ、やめっ・・・」

「ムリヤリだなんて俺も嫌だけど、こうでもしないと先生は俺に答えをくれないから・・・認めろよ。先生も俺のことを好きだって!好きじゃないなら優しくすんな、そんな言葉を俺に言うなよ。嫌いだって言えよ!」

先生の首筋に噛みつく様に強く吸い付き、紅く痛々しい跡を残した。

先生はそれでも何も言わずきつく唇を噛み締めているだけだった。

「先生が俺を好きになるように、先生をドロドロに甘やかしてあげる。」

先生の耳元で低くそう囁くと、先生は体をビクッと震わせた。

「ッ・・・」

黙ったままの先生のシャツのボタンを乱暴に外し、胸元を露にさせた。

恥ずかしいのか寒いのか、先生はふるふると小動物の様に体を震わせている。

顔は真っ赤だ。

「先生、可愛い。」

呟いて、先生の胸の突起を唇に含んだ。

「うぁっ・・・」

柔らかいソレは、俺の愛撫にすぐに固く尖らせた。

ちゅっと音をたてて唇を離す。

「何度、こうして触れ合いたいと思ったか先生に解る?何度、頭の中で先生を抱いたと思う?」

心も体も欲しくてたまらない。

先生を見つめていただけでも幸せだと思えたあの頃にはもう戻れない。

「あっ、うっ・・・」

「ねぇ、嫌?嫌なら嫌って言ってよ。もっと抵抗してみせて。」先生の下肢に手を伸ばし、ズボンの中から先生の自身に触れた。

そこは微かに反応をみせていて、先生が俺の愛撫で感じている証拠だった。

「たか、はしッ・・・」

「何?センセ。」

「お前に・・・触れられると、変になるッ・・・」

「もっと変になってよ。俺の為だけに狂って。」

先生が俺の手で、舌で感じてくれているのが嬉しかった。

「あっ、ッ・・・」

先生の自身を軽く握り、徐々にスピードを上げて擦りあげていった。

先生の足が、快感でがくがくと震える。

「あぁっ・・・」

暴走しそうになる頭と体を、俺は必死に耐えた。

「先生、我慢しないで出して良いよ。」

先生の自身をぎゅっと握り、射精を促す。

「あっ、やっ・・・あぁぁっ!」

一際高い声を発し、先生は達した。

射精後の疲労感から、ぐったりと俺に倒れてくる先生を俺は強く抱き締めた。

「先生・・・」

そのまま、先生を冷たい床に押し倒した。

先生は何も言わず、荒い呼吸を繰り返しながら俺をうつろな瞳で見つめていた。

「俺を嫌いだと言わなかったこと、後悔しないでね。覚悟してよ?」





「先生、教えて。俺のこと、好き?」

先生との行為が終わり、俺は動きづらそうな先生の衣服の乱れを直すのを手伝いながら聞いた。

先生は俺の言葉に少しの間、戸惑いを見せたが、やがて意を決した様に静かに頷いた。

「お願い。言葉にして言って。」

「好き・・・だ。初めてお前にキスをされた時からお前が忘れられなくなった。お前の視線を感じる度、どうしようもない感覚に襲われてたまらなかった。でも、俺はそれを認めることが出来なかった・・・」

先生の言葉が、じわりと胸に広がるのを感じる。

その言葉に、満たされていくのがわかる。

「俺も、先生が好き。大好きだよ。」

俺はそう言うと、先生を強く強く抱き締めていた。





二年後。



「あーやっと同棲だ!やった!」

俺は高校を卒業した直後、大学に進学した俺は先生の家に転がり込んだ。

二年は気が遠くなる程、長くて辛かった。

まぁ、教師と生徒という立場もあやしくて好きだったけどね。

あっ、もう生徒じゃないんだ。

当たり前だけど、なんだか嬉しい。

「おい、弘治。浮かれてないで早く荷物片付けろよ。狭いだろ。」

麻紀は浮かれてはしゃぐ俺に呆れながらため息をついた。

「俺の荷物は何処に置くの?」

「ん?そこの部屋。」

麻紀が指差した部屋は、麻紀とは別の部屋。

「はっ?麻紀と一緒の部屋じゃないのッ!?」

てっきり麻紀と同じ部屋だと思っていた俺は、むっとしてしまう。

うー毎日同じベッドで寝よう作戦が・・・

「バーカ、部屋が空いてるのに、んな訳ないだろ。」

「・・・さみしい。」

「我慢しろ、俺の部屋は狭いんだ。」

「・・・わかった。」

「よし。」

「今日からよろしく、麻紀!」

「あぁ、よろしくな。」





あんなに悩んだ過去がまるで嘘か何かの様に、今ではバカみたいに二人一緒にいる。

これからもっと、沢山の出来事が俺たちに起こるだろう。

俺は何度、麻紀を怒らせるかわからないし、俺は何度、不安になるかわからない。

それでもきっと、離れはしないと思う。





END



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