6年「立体」の学習では,身の回りにある立体の形を調べていきます。三角形や四角形を調べたときと同じように,頂点の数や辺の数を数えたり,面の形に注目したりするのです。
写真(しゃしん)の中央(ちゅうおう)に見(み)える建物(たてもの)のような形(かたち)は,「円柱(えんちゅう)」といいます。円柱の円になっている部分(ぶぶん)を「底面(ていめん)」といいます。2つの底面は平行(へいこう)で,合同(ごうどう:ぴったりかさなる)な円になっています。2つの底面が合同な四角形(しかくけい)なら,四角柱(しかくちゅう)。合同な五角形(ごかくけい)なら五角柱(ごかくちゅう)となります。
そこで,6年生(ねんせい)の友(とも)だちから,次のようなおたずねを受(う)けました。
「円柱には,辺(へん)はあるのですか?」というおたずねです。
なるほど,四角柱の場合(ばあい),頂点(ちょうてん)と頂点を結(むす)ぶ直線(ちょくせん)が辺ですから,数(かぞ)えると10本(ぽん)あるといえます。同(おな)じように,円柱の場合もあるのか?考(かんが)えたくなりますね。しかし,円柱の場合,角柱(かくちゅう)と違(ちが)い,頂点と頂点を結ぶ直線がありません。しいていえば,図(ず)に見られるような底面と側面(そくめん)をつなぐ部分(ぶぶん)だけです。これを「辺」とよんでいいのでしょうか?

このおたずねに,答(こた)えはありません。
一人ひとりが自分(じぶん)なりに考えてみることが,大切(たいせつ)です。
ちなみに,魔数右衛門(ますえもん)の場合,次(つぎ)のように考えてみました。
@ 多角形(たかくけい)の延長(えんちょう)が円の形と考える
円に内接(ないせつ)する多角形について,三角形,四角形,五角形,六角形(ろくかくけい),…と頂点の数を1ずつ増(ふ)やしていくと,形はどのように変(か)わっていきますか?そう,どんどん円の形に近(ちか)づいていくことが分(わ)かります。このまま,十角形(じっかくけい),百角形(ひゃくかくけい),千角形(せんかくけい)となっていけば,おそらく円と見分(みわ)けがつかないほどに,円の形に近づいていきます。つまり,円は多角形が延長ととらえることができます。この考え方からすると,つなぎ目の部分は,辺といえます。そして,辺は無数(むすう)にあることになります。

A 円柱の定義(ていぎ)から考える
円柱の定義をもう一度(いちど)振(ふ)り返(かえ)りましょう。
「2つの底面は平行で,合同な円になっています。」
このことから,底面の形の円に注目(ちゅうもく)します。
円には,円周(えんしゅう)があります。この円周が側面とつながることになっているのですから,円周ととらえることができます。つまり,つなぎ目の部分は,辺ではなく,円周です。
ここに紹介(しょうかい)した考え方は,ほんの一部(いちぶ)です。ほかにも,いろいろ考えることができます。自分なりに円柱の辺について,考えをもてることができたら,素敵(すてき)ですね。
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