【米谷陽一】「森永ミルクキャラメル」が10日に発売100年を迎える。「ライオンこどもハミガキ」もこの冬で発売100年。新商品が出ては消えるご時世に、世紀をまたいで愛される「100歳商品」。その名も味わいも人々の五感にしみこんだ現役選手だ。
ばら売りで1913年6月10日に世に出た森永製菓のミルクキャラメル。翌年に黄色い紙箱をまとい、「風味絶佳(ぜっか)」「滋養豊富」のうたい文句をつけた。やさしい甘さも、装いもいまに続く。
つぶを包むワックス紙に、はがしやすいようアルミ箔(はく)を使ったり、お年寄りの入れ歯にくっつきにくくしたり、と進化している。でも、商品の安定感を傷つけることは御法度だ。森永製菓史料室の野秋誠治さんは「もはやメーカーの手を離れた存在。小細工はできません」と言う。
森永は、キャラメルという菓子を日本に広めたメーカーだ。同じ13年12月に「ライオンこどもハミガキ」を出したライオンも、チューブ入りの練り歯磨きを日本で初めて売った。共通するのは、新しい市場をひらいたことだ。