お立ち台で決勝打の大和(左)とともに笑顔を見せる能見。ポーカーフェイスもこの時ばかりは…【拡大】
停滞ムードも吹っ飛ぶ、ノウミ劇場だ。1安打完封ピッチで、連敗を3でストップ。甘いマスクの微笑みが、ヒーローインタビューでもキラリと輝いた。虎のエース列伝に深く名を刻む能見の快投で、首位巨人の背中を「0・5差」と目前にとらえた。
「連敗中だったので、なんとか止めようと思っていました。ベストピッチ? それに近いものはあります」
村山実、上田二朗(サンケイスポーツ専属評論家)、江夏豊、小林繁…。虎では名だたるエースが成し遂げていた1安打でのシャットアウトは、自身初だった。許したのは三回先頭の後藤の左前打のみ。その以前も、以降も、オリックス打線を圧倒し続けた。序盤は直球主体、後半から変化球主体の配球に変え、敵を翻弄した。
9回、打者30人を牛耳る121球で、5三振1四球。完封は今季2度目で自身7度目だ。虎での1安打完封は2002年のムーア以来、11年ぶり。日本人では1982年の小林繁以来、31年ぶりの快挙だった。
「『エース対決制す』やな。能見に尽きる。きょうはキレだよね。制球もよかった。チームが苦しいときに1人で投げきってくれるのは非常にありがたい投球だった」