その他

鉱工業生産4月速報は5カ月連続上昇、生産計画まだ慎重姿勢

2013年 05月 31日 11:10 JST
 
  • Mixiチェック

[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日発表した4月鉱工業生産指数速報は前月比1.7%上昇と市場予測を上回り、円安などを背景に輸出主導で底堅い動きとなった。上昇は5カ月連続で、けん引役は北米・国内向け出荷の好調な輸送機械工業。

もっとも企業は先行き生産計画にはまだ慎重で、5、6月の生産予測は横ばいから低下の見通しとなっている。経済産業省でもこうした先行きの動きを考慮して、生産判断を「緩やかな持ち直し」に据え置いた。

<自動車がけん引、国内外ともに需要好調>

4月の生産指数は91.9で、09年3月から翌年4月までの14カ月連続に次ぐ5カ月連続の上昇となった。ロイターの事前予測調査では前月比0.6%上昇と予想されていたが、発表数値は予想を上回った。

輸送機械工業が国内外向けともに大きく伸びたことで、素材業種などにその波及効果が出た。円安が数量効果をもたらしたとみられ、北米向けの普通乗用車が好調なほか、国内向けには小型乗用車が伸びた。また中国・米国・国内向けに駆動伝導・操縦装置部品なども増産された。自動車生産と連動して鉄鋼業も好調、安全ガラスなど窯業・土石製品も伸びた。

電子部品・デバイス工業は2カ月連続で上昇。 アジア向けスマホ用メモリやテレビ用液晶素子などの生産が伸びた。ただ、出荷は振るわなかった。

その他の業種も含め、16業種中12業種で生産は上昇している。

鉱工業出荷指数は前月比1.1%上昇、在庫指数は0.6%上昇だった。

<計画上振れも、慎重姿勢崩さず>

年初から増産が続いているにもかかわらず、企業の先行き生産計画はまだ慎重だ。生産予測調査では5月前月比横ばい、6月は1.4%の低下と一服感が見られる。1─3月に前期比2.2%もの急ピッチの増産となった反動とみられる。

特に輸送機械は5、6月ともに前月比では大幅な低下見通しとなっている。経済産業省では「円安傾向の中で輸出増加を見込んでいるのだろうが、生産計画自体はまだ手堅い」としている。

他方で、一般機械や電子部品・デバイスでは5、6月とも高い伸びを計画している。

経済産業省が 生産予測をもとに試算した4─6月生産の前期比は2%の上昇と、3、4月の伸びを反映してしっかりとした伸びとなっているが、5、6月が伸びないために、指数自体は91.5と昨年同期に達しない見通しだ。

今後の生産回復が本格化するためには、設備投資の増加が必要。設備投資を占う指標である、国内向け資本財出荷の1─3月の伸びをみると3四半期ぶりに増加に転じており持ち直しの兆しがある。4月は再び低下しており一本調子の回復とはなっていないが、「今後、設備投資が増えれば、生産持ち直しにも期待できる」(経済産業省)ことになりそうだ。

市場では「米国を中心とした緩やかな世界景気の改善を背景に、日本の生産も緩やかな改善を続けている。円安効果はまだ先だろう。先行きは横ばいから減少の予想だが、4─6月をならしてみれば、改善基調は続くとみている」(マネックス証券 チーフ・エコノミスト、村上 尚己氏)との見方が出ている。

さらに先行きについて「円安による押し上げ効果が3─4月から輸出数量へ及び始めており、鉱工業生産の拡大に貢献しつつある。中国を中心に在庫調整が継続している点には留意が必要だが、円安の輸出数量押し上げ効果は今後さらに強まり、加えて消費税率引き上げ前の駆け込み需要や12年度補正予算執行に伴い内需拡大も見込まれるため、鉱工業生産の拡大は13年度を通じて継続すると考えられる」(伊藤忠経済研究所・主任研究員・丸山義正氏)と明るい見通しが浮上しつつある。

*内容を追加して再送します。

 
写真

政権圧力で反対派は戦々恐々

ロシアではプーチン大統領に批判的な団体や個人への取り締まりが強化。反体制派は「次の標的は誰か」と不安を抱いている。
  記事の全文 | 特集ページ 

注目の商品

5月31日、経済産業省が発表した4月鉱工業生産指数速報は前月比1.7%上昇の91.9となり、5カ月連続の上昇となった。川崎市で1月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
写真
株市場は何を恐れているのか

金融引き締めへの市場の恐怖は時期尚早だ。そうであるなら、最近の株・債券市場の波乱を気に掛ける必要があるのだろうか。 残念ながら答えは「イエス」だ。  記事の全文 | 関連記事 

写真

財政再建の具体的な数値や工程表を、8月の中期財政計画で示せと政府は迫られている。

外国為替フォーラム

最新ニュースのほか、ブログやコラム、スライドショーなどの最新情報をお届け