本屋に行き、積み上げられた書籍の中で、偶然手にした本が、非常に面白い内容だった。
本の名前は
「奇跡のりんご」~「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録~
石川拓治著 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」監修
6月8日に、映画も上映されるらしい。
農薬も肥料も使わず、りんごを実らせるという誰もが不可能と思っていたことをやり遂げた青森県の農家木村さんの実話である。
周りから影口をたたかれ、同じ農家の人からも冷ややかな視線で見られても、諦めなかった。無農薬に挑戦して、悪化するりんご畑に比例し
て貧乏は極まった。りんごに向き合い、ありとあらゆる方法を試した。それでもりんごの花は咲かなかった。そして、数年後の夏に死を決意
した山の頂きで、首をつろうとしたロープがあらぬ方向に落ちた。そのロープを拾った先で見たものは、魔法の木のように葉が茂っていたり
んごの木であった。よく見るとどんぐりの木であったが、そこで悟った。森の木々は農薬など必要としていない。土だと・・。
「この柔らかな土は人が作ったものでない。この場所に棲む生きとし生けるもの全ての合作なのだ。・・・土中にも、草や木の表面にもカビや菌が存在しているだろう。・・・自然の中に孤立して生きている命はないのだと思った。ここではすべての命が、他の命と関わり合い、支え合って生きていた。・・・自分は農薬の代わりに、虫や病気を殺してくれる物資を探していただけなのだ。雑草を刈って、リンゴの木を周囲の自然から切り離して栽培しようとしていた。リンゴの木の命とは何かということを考えなかった。農薬を使わなくても農薬を使っていたのと同じことだ。病気や虫のせいで、リンゴの木が弱ってしまったのだと思っていた。それさえ排除できれば、リンゴの木は健康を取り戻すのだと。そうではない。虫や病気は、むしろ結果なのだ。・・・自分のなすべきことは、その自然を取り戻してやることだ」~文中抜粋~
それから、畑を森のように雑草だらけにし、土づくりを始めた。
こうして20メートル以上の根を生やした木村さんのリンゴの木のリンゴは、信じられないくらい美味しいとのことだ。