憲法と、
岐路に立つ憲法。その60年余を見つめ直します
【政治】決議案 問責 拘束力なし 不信任 解散か失職日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は、旧日本軍の従軍慰安婦発言をめぐる問責決議案が可決された場合、市長を辞職して、出直し市長選に臨む意向を示していた。結果的に否決されたが、地方では近年、首長と議会の対立から、問責や不信任決議案が出される事例がある。法的根拠はどうなっているのか。 (城島建治、中根政人) Q 問責決議とは。 A まず決議とは議会の意思を表明すること。問責決議は首長の責任を問う決議といえるが、法的拘束力はない。安倍政権が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を正式決定した際、強制力のない反対決議を採択する地方議会が相次いだ。決議という意味では、問責と同じ位置付けだ。 Q 橋下氏は、問責は辞職を求めるようなもので「可決された場合は出直し市長選をしなければならない」と表明した。 A 問責決議には辞職を求める文言はなく辞職する必要はなかった。野党三会派が本気で辞職させるつもりなら、不信任決議案提出に踏み切ったはずだ。 Q 問責と不信任決議の違いは。 A 不信任決議は地方自治法に定められており、法的拘束力がある。可決された場合、首長は十日以内に議会を解散しなければ、自らが失職する。 Q 不信任決議が可決された主な例は。 A 「脱ダム」宣言を訴え長野県知事になった田中康夫氏は、県議会との対立が激化して二○○二年、問責決議案を可決された。田中氏が辞職しなかったため、次は不信任決議案が可決された。田中氏は議会を解散せず失職を選び、知事選に再出馬して圧倒的な支持で再選された。今回、橋下氏が世論に訴えようと模索した出直し市長選と似た例といえる。 Q 有権者の信を問うため辞職するなどして、選挙に打って出る手法は分かりやすい。 A 名古屋市の河村たかし市長は一○年、市民税10%減税恒久化など公約実現が議会に阻まれたことを理由に市議会解散を求める直接請求(リコール)運動を仕掛けた。自身に対する問責も不信任も可決していないのに、世論を喚起するため、自ら辞職。一一年に再選を果たすとともに、住民投票によるリコール成立を主導し、市議会を解散に持ち込んだ。 東北大大学院の河村和徳准教授は「組織票に頼らない首長が議会と対立した場合、出直し首長選を選択するケースが増えている」と指摘する。 PR情報
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