【藤崎麻里、江渕崇】経済産業省は、電力会社が原発を廃炉にする場合、一度に巨額の損失を出さなくても済むようにする。廃炉にかかる費用や、原発の資産価値がゼロに目減りするのに伴う損失を、長い期間かけて分割して決算処理する仕組みを検討している。電力会社が経営難に陥るのをおそれて廃炉に踏み切らないため、活断層が指摘される原発などの廃炉を促す環境づくりに乗り出す。
国内の原発50基のうち、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)は、原子力規制委員会が原子炉建屋直下に活断層があると断定し、廃炉の公算が大きい。ほかにも活断層の疑いや津波などの危険があったり古くなったりしている原発があり、廃炉を迫られる可能性がある。
ただ、電力会社が想定より早く廃炉を決めると、その年度に巨額の損失が出る。40年かけて積み立てている「廃炉費用」の積み立て不足の穴埋め▽原発や核燃料の資産価値がゼロに目減りするのに伴う損失、を一度に「特別損失」として処理しなければならないからだ。