◇犠牲の上にそびえる独立
北アフリカにあるアルジェリアは1962年にフランスから独立しました。首都アルジェの小高い丘にある高さ92メートルの独立戦争殉教者記念塔には、今も多くの人が訪れて、独立のために戦って命を落とした人たちをたたえています。
フランスは1830年、オスマントルコ帝国支配下のアルジェリアに攻め込み、1848年に公式にフランス領としました。フランス語教育が行われ、小麦中心だった農業はフランス向けのワインを造るためのブドウ生産が中心になりました。
フランスの支配は1世紀以上続きましたが、抵抗運動も根強く続いていました。そして1954年に大規模な戦いが始まり、1962年に独立を勝ち取りました。この独立戦争で100万人以上が亡くなったと言われています。
独立後は南部の砂漠地帯でとれる石油や天然ガスを元に経済が発展しました。しかし1990年代に、政府と、イスラム教中心の社会を築こうとする勢力の間で内戦が起きました。内戦は2002年に終息しましたが、20万人以上が亡くなったとされます。テロは今も続いており、1月に日本人10人らが死亡した天然ガス施設での人質事件は記憶に新しいところです。
危ないイメージがついたアルジェリアですが、古代遺跡も多く、元々は人気の観光地でした。フランス文化の影響も残っています。人々はフランス語混じりのアラビア語を話し、フランスパンは今も食卓に欠かせません。【カイロ・秋山信一、写真も】
◇国名
アルジェリア民主人民共和国
◇首都
アルジェ
◇面積
238万1741平方キロメートル
◇人口
3648万6000人(2012年推定)
◇現地通貨
100ディナール=128円