投稿者: 星川 哲視 日時: 3日(水) 23:46
中小企業経営者にとって、非常に大きな変化が訪れたのが今年2013年4月でしょう。交際費というのは、中小企業にとってどのように使っていくかを非常に悩む費用のひとつだと思います。経営者でない方はよく知らないと思いますが、これは特にセールス担当者は知っておくべきことでもありますので関係ないやと思わずに読んでいただけると、このことを知らずに使う(申請する)場合とそうではない場合では説得力が違うからです。
・接待交際費とは
まず接待交際費とは何かと考えた時に、みなさんは夜の銀座でふっかふかのソファで美女を侍らせて豪遊するようなイメージを持っているかもしれませんが、それはそれで接待交際費ではあるのですが、それだけではありません。と進むと面白くないと思うので、今回はそういう意味での接待交際費についての話をしたいと思います。
・大企業と中小企業の違い
では、接待交際費について、大企業と中小企業ではその取り扱いが違うという話になった場合、どう違うのかまで分かる人はそれほど多くないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
ものすごく簡単にいうと、大企業の接待交際費とは名目上であって税務上は特に何の意味も持たない、ということです。なかなか簡潔に書けたなとは思いますが、もう少し噛み砕いていうと、大企業では接待交際費として使ったお金は経費として認められないのです。それはなぜなの? と思うかもしれませんが、このエントリーの趣旨は違うところにあるので今回はそうなんだ、と思ってください。
・中小企業だけに認められる接待交際費
まず中小企業の定義はこちらを見ておいてください。自分の所属する会社がこれに当てはまったとしたら、ここからは自分のこととして考えてみましょう。
中小企業では従来400万円、近年600万円までが接待交際費としての経費が認められていました。しかし、この使った金額に対して実際には90%を上限として費用とすることというルールになっていました。たとえば、100万円使ったとすると、90万円までが費用として認められ、この場合では決算時の法人税をかけるときの金額から差し引くことができました。
つまり、諸々仕入れたり売ったり経費を使ったりして最後に残ったのが1000万円でした(ざっくり書いていますので細かいことは抜きに)。たとえば、この場合に100万円の交際費があった場合、90万円を1000万円から差し引き、910万円が課税対象額となります。これは何が良いかといえば、課税対象額が下がるので、法人税などの支払いが減るわけです。ものすっごく大ざっぱに30%くらいの税額であれば、300万円支払うところが270万円くらいになるわけです。たかだか30万円というなかれ、中小企業などはこういう積み重ねで生き延びているのですよ。
そして、何が悪いかといえば、費用として100万円使っているのに10万円は認められないことです。
・2013年4月からの新制度
つい先日から始まった制度として、交際費は年度内合計で800万円までに拡大され、また使用した全額を費用計上することができるようになりました。これまでの悪いところを解消して、ものすごく使いやすい税制にしたということは言えると思いますし、非常に分かりやすい仕組みになりました。
・上限拡大と全額費用化への変更がもたらすもの
これは簡単にいえば、800万円まではバンバン接待交際費を使っても、全額税金対象利益額から差し引かれるということになりますので、利益がある中小企業は法人税額の調整として使ってしまうという選択肢ができたということになりますので、多くの中小企業の決算前である来年の3月あたりは接待交際費祭りが起きるのではないかと思います。
もしもあなたが会社員だったとしたら、このタイミングを逃さずに接待を稟議にかければ通りやすくなりますし、店舗経営などでいえば、うまく消化させるための施策を2月から3がつにかけて行なえば、かなり効果が見込めるのではないかと思います。このようにあんまり関係ないと思っているようなことが大きなビジネスチャンスになることはよくありますので、それを見逃さないようにしましょう。
特に経営者の方には「接待交際費の上限拡大に潜む期待と現実」も併せて読んでいただくと良いと思います。
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