カーネーションの立役者、岸和田内畑町の林英世さん
「さて皆さん、正しい発音で・・・
きしわだ」
(一同)「きしわだ」「きしわだ」
「はい、皆さんよくできました。
憶えて帰ってくださいね」(金水敏さん)
ナカノシマ大学8月講座『ドラマ「カーネーション」に見る大阪弁の不思議』、
岸和田内畑町出身の女優 林英世さんと、言語学者の金水敏さんのトーク。
本当におもしかったわけですが、そのトークのなかの
林英世さんのお話について、この場で一部分、紹介してみます。
林英世さんは映画、ドラマ、舞台、ラジオやCMで活躍されている女優さん。
カーネーションでは岸和田ことば指導という重要な任務を背負い、
ドラマの完成度を高めるうえで、とても大きな貢献をしてくれた事実は
言うまでもありません。ちなみに岸和田高校OBです・・・。
カーネーションでの岸和田ことば指導、女優である林さんにとって、
意外な役回りだったわけですが、この大役に体当たりで挑戦してくれました。
「岸和田の人たちに怒られないような言葉にしてほしい。
関西在住の方々に"おぉ、これは!"といってもらえる言葉(ドラマ)に・・・」
プロデューサーからの指令はこれでした。
関西の視聴者は厳しいですね、特に地元岸和田となると・・・
岸和田で普通の生活で使う言葉
ちょっと前まで使っていた言葉を
意識的に使ったとのこと。確かに視聴者のわれわれも
ほとんど違和感なかったですね、
カーネーション。
「最初に考えたのは
嫁として岸和田に嫁いだ人たちが
よく使うことになる言葉。
"寝り"とか"・・・ちゃ~る"ですね。
これは頻繁にドラマの台詞として
登場してます」
「脚本の第1校をもらい、
そこの大阪弁を岸和田ことばに
変えていきます。
どこまでそれを入れるか、
さじ加減が大切で、
ディレクターやスタッフと
毎回議論しました。」
出演者全員が岸和田ことばを語り出すと、それは話の内容がつかめない
正確に意味が伝わらないドラマになってしまいます。全国放送ですし。
お話の流れのなかで、"ここ!"というポイントに、
ぴしりと岸和田ことばが入ることで、岸和田の空気ができるわけです。
そのチャンスは多すぎず、必ずしも中心的な出演者に限るわけでもなく、
案外エキストラによる微妙な一言の音感が「岸和田」を表すこともあるようです。
そんな小さな所で、岸和田ことばが主張することで舞台が「岸和田」になり、
それがピタッときまったとき、林さんのガッツポーズにつながるわけです。
カーネーション、実際のロケ収録の折、岸和田市民エキストラのなかにも、
林さんのアドバイスを受けた方、少なくないはずです。
「脚本がきまれば出演者ごとに
台詞をテープに入れてお渡しします。
その後リハーサル、
そして撮影当日で実際に演じていただいて
調整します。」
言葉の最後に「け?」がつくけど
ええところの娘である奈津も
「け?」がついていいのか?
そんな議論もあったそうですが、
ええところの娘も「け?」を使うし、
そのほうが人情味が伝わると主張。
林さんの考えが採用されています。
「栗山さんは関西弁がはじめて。
一人で長時間稽古を続けて、
みごとに岸和田ことばを話してくれました。」
「青森出身の新山さんも全くはじめて。
音感が素晴らしく、頑張ってくれました。」
「ほっしゃん。さんは・・・
阪南市尾崎の出身ということで
そのままの方が現実味があると判断され、
逆に尾崎の方言を教えていただきました。」
「ドラマの世界を、岸和田にしていくということは確かに大変でした。
通常の方言指導という範囲を超えていたかもしれません・・・
しかし、大きなやりがいがあり、とても幸運な仕事をさせてもらえました。
素晴らしい機会を与えてくれたことに感謝しています。」
なるほど、あのころ確かにBKスタジオは岸和田になっていました。
そして全国の朝8時からのテレビにより、全国のお茶の間も岸和田になっていました。
もしアレが"変な岸和田ことば"だったとしたら、
カーネーションの全体的な印象、評価は変わったものになっていたでしょう。
まさにカーネーションの立役者、林英世さんに敬意をこめて
改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!
追伸、ナカノシマ大学の講座では
「まつり前岸和田城下町」のチラシも
配布していただけました。
影の大物フィクサー?
140Bの江弘毅さんにも感謝!
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