小野寺防衛相:「日本右傾化は誤解」 アジア安全保障会議
毎日新聞 2013年06月01日 12時25分(最終更新 06月01日 14時03分)
【シンガポール岩佐淳士】小野寺五典防衛相は1日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議の講演で、日本の「右傾化」批判に対して「まったくの誤解だ」と反論した。日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の従軍慰安婦問題を巡る発言についても「安倍政権はそのような野党党首の発言や歴史認識にくみしない」と強調した。国際社会で広がりつつある日本の右傾化への懸念に対し、異例の釈明を行った。
小野寺防衛相は橋下市長の発言について「日本の過去の歴史に関し、不適切な発言を繰り返し、周辺国の誤解と不信を招いた」と正面から批判。「安倍内閣はアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明するという歴代内閣と同じ立場を引き継いでいる」と改めて強調した。
歴史認識を巡り「日本が右傾化している」との見方が広がれば、米国との協調など日本の安全保障環境にも悪影響が出るとの認識から、小野寺防衛相は各国防衛担当者が顔をそろえた場で、明快な反論を試みたとみられる。
一方、小野寺防衛相は自衛隊の防衛力強化の取り組みや、集団的自衛権を巡る議論について「日本が地域安定に向け、より能動的で創造的な貢献を行うことを目的としたもので、国際社会全体の利益と合致する」と主張した。
沖縄・尖閣諸島問題を巡り、小野寺防衛相は「瓜田(かでん)に履(くつ)をいれず、李下(りか)に冠を正さず」との中国の故事を引き、紛争を予防するために「相手に疑われたり怪しまれたりすることはあえて行わない」と述べ、海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射や領海侵入などを行う中国への批判をにじませた。