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『セラエノ断章』は、他の魔導書や禁書とは違い、書物や写本の名ではない。 それは、旧支配者がその仇敵である「旧き神」から盗み出した文献を数多く収蔵しているセラエノの大図書館に滞在していたラバン・シュリュズベリイ博士によって見出された、生き身の人間の目に触れたことがない半ば破損した巨大な石版と、そこに刻まれていた「外なる神」やその敵対者に関する秘密の知識の総称である。 書物としては、シュリュズベリイ博士によって英語に翻訳された私家版の自筆写本が1部のみ存在しており、1915年にシュリュズベリイ博士が謎の失踪を遂げる直前にミスカトニック大学附属図書館に預けられた。 ボストンの核物理学者アサフ・ギルマン教授と、リマ大学のヴィヴァロ・アンドロス教授がこの時期に『セラエノ断章』を閲覧し、要約を作成している。 その失踪から20年後の1935年、姿を消したと同様、全く突然にアーカムに舞い戻ったシュリュズベリイ博士は、すぐにミスカトニック大学に赴いてこの手製の本を一旦手元に取り戻している。 その後もシュリュズベリイ博士とミスカトニック大学との間を何度か行き来したこの二つ折版の本は、現在、厳重に鍵がかけられる仕組みが施されており、無関係な人間が中身に目を通すのは難しくなっている。 「外なる神」とその眷属の諸力を退ける旧き印や、フォマルハウトから火神クトゥグァを召還する術法それを飲むものを時空の束縛から解き放ち、あらゆる時間や空間の旅を可能とするだけでなく、鋭敏な感覚を与えて夢と覚醒の狭間にとどまらせる黄金の蜂蜜酒の製法が記載されており、シュリュズベリイ博士とその同志達はこの神秘的な神酒と、ハスターに仕える有翼の魔物ビヤーキーを呼び出す奇妙な彫刻の施された石笛を併用し、幾度となく危機から逃れたのである。 |