茨城・東海村 実験施設で内部被ばく5月25日 3時38分
茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で23日、金属の金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に装置の誤作動が発生し、放射性物質が管理区域の外に漏れたことが分かりました。
このトラブルで男性研究者4人が内部被ばくしたということです。
国の原子力規制庁によりますと、23日午前11時55分ごろ、茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の素粒子を発生させる実験施設で、放射性物質が管理区域の外に漏れたという連絡が、24日午後9時20分ごろにありました。
当時は、金属の金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中で、装置が誤作動してビームの出力が通常の400倍に上がったため金が高温になって蒸発し、放射性物質が発生したということです。
日本原子力研究開発機構によりますと、このトラブルで22歳から34歳の男性研究者4人が放射性物質を体内に取り込んで内部被ばくし、最大の被ばく量は1.7ミリシーベルトだということです。
また、建屋内の装置のそばにいたおよそ30人が内部被ばくしたおそれがあるということです。
建屋内の汚染は、最大で1平方センチメートル当たりおよそ30ベクレルで、建屋は封鎖され立ち入り禁止になっているということです。
この施設は現在、停止していて、敷地境界で放射線を測定しているモニタリングポストの値に変化はなく、外部への放射性物質の漏えいはないということです。
一方、茨城県によりますと実験施設の隣にある施設のモニタリングポストでは、23日の午後4時ごろから6時ごろにかけて、通常、1時間当たり、70から130ナノグレイを示している値が、一時、10ナノグレイ程度上がったということです原子力規制庁は、誤作動した経緯や、内部被ばくの状況、それに連絡が遅れたことなどについて、日本原子力研究開発機構に話を聞いて調べています。
茨城県は、25日午前2時から記者会見し、発生から通報まで1日半もかかっていて遅いとしたうえで、午後に立ち入り調査を行う考えを示しました。
日本原子力研究開発機構は午前2時半前に茨城県庁で記者会見し、「大変、お騒がせして申し訳ありません」と謝罪しました。
日本原子力研究開発機構では、今月17日に福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で重要な機器の点検漏れなどが相次いだことを受けて、鈴木篤之理事長が辞任したばかりです。
「J-PARC」とは
ホームーページによりますと、今回、放射性物質の漏えいがあったのは茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所にある「J-PARC」と呼ばれる施設です。
素粒子物理や生命科学、それに原子力などの幅広い分野で最先端の研究を行うための施設で、平成20年に第1期施設が完成しています。
このうち素粒子を発生させる実験が行われていたハドロン実験施設は、平成21年1月に完成した建物で、原子力科学研究所の南端に位置し、加速器から取り出された陽子ビームを使って素粒子を発生させるなどの実験が行われています。
周辺の住宅地は、最も近いところで、施設から700メートル余り離れたところにあります。
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